この法律は、  刑事事件 につき、公共の  福祉 の維持と  個人 の基本的人権の  保障 とを全うしつつ、事案の  真相 を明らかにし、刑罰法令を  適正且 つ迅速に  適用実現 することを目的とする。

   第一章 裁判所の管轄

-------------------------------------------------

第二条

 裁判所の土地管轄は、  犯罪地 又は被告人の  住所 、居所若しくは  現在地 による。

○2  国外に在る日本船舶内で犯した罪については、  前項 に規定する地の外、その  船舶 の船籍の  所在地 又は犯罪後その  船舶 の寄泊した地による。

○3  国外に在る日本航空機内で犯した罪については、  第一項 に規定する地の外、  犯罪後 その航空機の  着陸 (着水を含む。)した地による。

-------------------------------------------------

第三条

 事物管轄を異にする数個の  事件 が関連するときは、  上級 の裁判所は、併せてこれを  管轄 することができる。

○2  高等裁判所の特別権限に属する  事件 と他の事件とが  関連 するときは、高等裁判所は、併せてこれを  管轄 することができる。

-------------------------------------------------

第四条

 事物管轄を異にする数個の  関連事件 が上級の  裁判所 に係属する  場合 において、併せて審判することを  必要 としないものがあるときは、上級の  裁判所 は、決定で  管轄権 を有する下級の  裁判所 にこれを移送することができる。

-------------------------------------------------

第五条

 数個の関連事件が  各別 に上級の  裁判所 及び下級の  裁判所 に係属するときは、  事物管轄 にかかわらず、上級の  裁判所 は、決定で  下級 の裁判所の  管轄 に属する事件を併せて  審判 することができる。

○2  高等裁判所の特別権限に属する  事件 が高等裁判所に  係属 し、これと関連する  事件 が下級の  裁判所 に係属するときは、  高等裁判所 は、決定で  下級 の裁判所の  管轄 に属する事件を併せて  審判 することができる。

-------------------------------------------------

第六条

 土地管轄を異にする数個の  事件 が関連するときは、  一個 の事件につき  管轄権 を有する裁判所は、併せて他の  事件 を管轄することができる。但し、他の  法律 の規定により  特定 の裁判所の  管轄 に属する事件は、これを  管轄 することができない。

-------------------------------------------------

第七条

 土地管轄を異にする数個の  関連事件 が同一裁判所に  係属 する場合において、併せて  審判 することを必要としないものがあるときは、その  裁判所 は、決定で  管轄権 を有する他の裁判所にこれを  移送 することができる。

-------------------------------------------------

第八条

 数個の関連事件が  各別 に事物管轄を同じくする  数個 の裁判所に  係属 するときは、各裁判所は、  検察官 又は被告人の  請求 により、決定でこれを一の  裁判所 に併合することができる。

○2  前項の場合において  各裁判所 の決定が  一致 しないときは、各裁判所に  共通 する直近上級の  裁判所 は、検察官又は  被告人 の請求により、  決定 で事件を一の  裁判所 に併合することができる。

-------------------------------------------------

第九条

 数個の事件は、左の  場合 に関連するものとする。

一  一人が数罪を犯したとき。

二  数人が共に同一又は  別個 の罪を犯したとき。

三  数人が通謀して  各別 に罪を犯したとき。

○2  犯人蔵匿の罪、証憑湮滅の罪、  偽証 の罪、虚偽の  鑑定通訳 の罪及び贓物に関する罪とその  本犯 の罪とは、共に犯したものとみなす。

-------------------------------------------------

第十条

 同一事件が事物管轄を異にする  数個 の裁判所に  係属 するときは、上級の  裁判所 が、これを審判する。

○2  上級の裁判所は、  検察官 又は被告人の  請求 により、決定で  管轄権 を有する下級の  裁判所 にその事件を  審判 させることができる。

-------------------------------------------------

第十一条

 同一事件が事物管轄を同じくする  数個 の裁判所に  係属 するときは、最初に  公訴 を受けた裁判所が、これを  審判 する。

○2  各裁判所に共通する  直近上級 の裁判所は、  検察官 又は被告人の  請求 により、決定で後に  公訴 を受けた裁判所にその  事件 を審判させることができる。

-------------------------------------------------

第十二条

 裁判所は、事実発見のため  必要 があるときは、管轄区域外で  職務 を行うことができる。

○2  前項の規定は、  受命裁判官 にこれを準用する。

-------------------------------------------------

第十三条

 訴訟手続は、管轄違の  理由 によつては、その効力を失わない。

-------------------------------------------------

第十四条

 裁判所は、管轄権を有しないときでも、  急速 を要する場合には、  事実発見 のため必要な  処分 をすることができる。

○2  前項の規定は、  受命裁判官 にこれを準用する。

-------------------------------------------------

第十五条

 検察官は、左の場合には、  関係 のある第一審裁判所に  共通 する直近上級の  裁判所 に管轄指定の  請求 をしなければならない。

一  裁判所の管轄区域が明らかでないため  管轄裁判所 が定まらないとき。

二  管轄違を言い渡した裁判が  確定 した事件について他に  管轄裁判所 がないとき。

-------------------------------------------------

第十六条

 法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、  検事総長 は、最高裁判所に  管轄指定 の請求をしなければならない。

-------------------------------------------------

第十七条

 検察官は、左の場合には、  直近上級 の裁判所に  管轄移転 の請求をしなければならない。

一  管轄裁判所が法律上の  理由 又は特別の  事情 により裁判権を行うことができないとき。

二  地方の民心、  訴訟 の状況その他の  事情 により裁判の  公平 を維持することができない虞があるとき。

○2  前項各号の場合には、  被告人 も管轄移転の  請求 をすることができる。

-------------------------------------------------

第十八条

 犯罪の性質、  地方 の民心その他の  事情 により管轄裁判所が  審判 をするときは公安を害する虞があると認める  場合 には、検事総長は、  最高裁判所 に管轄移転の  請求 をしなければならない。

-------------------------------------------------

第十九条

 裁判所は、適当と認めるときは、  検察官 若しくは被告人の  請求 により又は職権で、  決定 を以て、その管轄に属する  事件 を事物管轄を同じくする他の  管轄裁判所 に移送することができる。

○2  移送の決定は、  被告事件 につき証拠調を  開始 した後は、これをすることができない。

○3  移送の決定又は  移送 の請求を  却下 する決定に対しては、その  決定 により著しく利益を害される  場合 に限り、その事由を  疎明 して、即時抗告をすることができる。

   第二章 裁判所職員の除斥及び忌避

-------------------------------------------------

第二十条

 裁判官は、次に掲げる場合には、  職務 の執行から  除斥 される。

一  裁判官が被害者であるとき。

二  裁判官が被告人又は  被害者 の親族であるとき、又はあつたとき。

三  裁判官が被告人又は  被害者 の法定代理人、  後見監督人 、保佐人、  保佐監督人 、補助人又は  補助監督人 であるとき。

四  裁判官が事件について  証人 又は鑑定人となつたとき。

五  裁判官が事件について  被告人 の代理人、  弁護人 又は補佐人となつたとき。

六  裁判官が事件について  検察官 又は司法警察員の  職務 を行つたとき。

七  裁判官が事件について  第二百六十六条第二号 の決定、  略式命令 、前審の  裁判 、第三百九十八条乃至第四百条、  第四百十二条 若しくは第四百十三条の  規定 により差し戻し、若しくは移送された  場合 における原判決又はこれらの  裁判 の基礎となつた  取調 べに関与したとき。ただし、  受託裁判官 として関与した  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第二十一条

 裁判官が職務の  執行 から除斥されるべきとき、又は  不公平 な裁判をする虞があるときは、  検察官 又は被告人は、これを  忌避 することができる。

○2  弁護人は、被告人のため  忌避 の申立をすることができる。但し、  被告人 の明示した  意思 に反することはできない。

-------------------------------------------------

第二十二条

 事件について請求又は  陳述 をした後には、不公平な  裁判 をする虞があることを理由として  裁判官 を忌避することはできない。但し、  忌避 の原因があることを知らなかつたとき、又は  忌避 の原因がその後に生じたときは、この限りでない。

-------------------------------------------------

第二十三条

 合議体の構成員である  裁判官 が忌避されたときは、その  裁判官所属 の裁判所が、  決定 をしなければならない。この場合においてその  裁判所 が地方裁判所又は  家庭裁判所 であるときは、合議体で  決定 をしなければならない。

○2  地方裁判所又は家庭裁判所の  一人 の裁判官が  忌避 されたときはその裁判官所属の  裁判所 が、簡易裁判所の  裁判官 が忌避されたときは  管轄地方裁判所 が、合議体で  決定 をしなければならない。ただし、忌避された  裁判官 が忌避の  申立 てを理由があるものとするときは、その  決定 があつたものとみなす。

○3  忌避された裁判官は、  前二項 の決定に  関与 することができない。

○4  裁判所が忌避された  裁判官 の退去により  決定 をすることができないときは、直近上級の  裁判所 が、決定をしなければならない。

-------------------------------------------------

第二十四条

 訴訟を遅延させる  目的 のみでされたことの明らかな忌避の  申立 は、決定でこれを  却下 しなければならない。この場合には、  前条第三項 の規定を  適用 しない。第二十二条の  規定 に違反し、又は  裁判所 の規則で定める  手続 に違反してされた  忌避 の申立を  却下 する場合も、  同様 である。

○2  前項の場合には、  忌避 された受命裁判官、  地方裁判所 若しくは家庭裁判所の  一人 の裁判官又は  簡易裁判所 の裁判官は、  忌避 の申立てを  却下 する裁判をすることができる。

-------------------------------------------------

第二十五条

 忌避の申立を  却下 する決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第二十六条

 この章の規定は、第二十条第七号の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。○2  決定は、裁判所書記所属の  裁判所 がこれをしなければならない。但し、第二十四条第一項の  場合 には、裁判所書記の  附属 する受命裁判官が、  忌避 の申立を  却下 する裁判をすることができる。

   第三章 訴訟能力

-------------------------------------------------

第二十七条

 被告人又は被疑者が  法人 であるときは、その代表者が、  訴訟行為 についてこれを代表する。

○2  数人が共同して  法人 を代表する  場合 にも、訴訟行為については、  各自 が、これを代表する。

-------------------------------------------------

第二十八条  刑法 第二十八条

(明治四十年法律第四十五号)第三十九条 又は  第四十一条 の規定を  適用 しない罪に当たる事件について、  被告人 又は被疑者が  意思能力 を有しないときは、その法定代理人(  親権者 が二人あるときは、  各自 。以下同じ。)が、  訴訟行為 についてこれを代理する。

-------------------------------------------------

第二十九条

 前二条の規定により  被告人 を代表し、又は  代理 する者がないときは、検察官の  請求 により又は職権で、  特別代理人 を選任しなければならない。 

○2  前二条の規定により  被疑者 を代表し、又は  代理 する者がない場合において、  検察官 、司法警察員又は  利害関係人 の請求があつたときも、  前項 と同様である。

○3  特別代理人は、被告人又は  被疑者 を代表し又は  代理 して訴訟行為をする者ができるまで、その  任務 を行う。

   第四章 弁護及び補佐

-------------------------------------------------

第三十条

 被告人又は被疑者は、  何時 でも弁護人を  選任 することができる。

○2  被告人又は被疑者の  法定代理人 、保佐人、  配偶者 、直系の  親族 及び兄弟姉妹は、  独立 して弁護人を  選任 することができる。

-------------------------------------------------

第三十一条

 弁護人は、弁護士の中からこれを  選任 しなければならない。

○2  簡易裁判所、家庭裁判所又は  地方裁判所 においては、裁判所の  許可 を得たときは、弁護士でない者を  弁護人 に選任することができる。但し、  地方裁判所 においては、他に弁護士の中から  選任 された弁護人がある  場合 に限る。

-------------------------------------------------

第三十一条の二

 弁護人を選任しようとする  被告人 又は被疑者は、  弁護士会 に対し、弁護人の  選任 の申出をすることができる。

○2  弁護士会は、前項の  申出 を受けた場合は、速やかに、  所属 する弁護士の中から  弁護人 となろうとする者を紹介しなければならない。

○3  弁護士会は、前項の  弁護人 となろうとする者がないときは、当該申出をした者に対し、速やかに、その旨を  通知 しなければならない。同項の  規定 により紹介した  弁護士 が被告人又は  被疑者 がした弁護人の  選任 の申込みを拒んだときも、  同様 とする。

-------------------------------------------------

第三十二条

 公訴の提起前にした  弁護人 の選任は、  第一審 においてもその効力を有する。

○2  公訴の提起後における  弁護人 の選任は、  審級 ごとにこれをしなければならない。

-------------------------------------------------

第三十三条

 被告人に数人の  弁護人 があるときは、裁判所の  規則 で、主任弁護人を定めなければならない。

-------------------------------------------------

第三十四条

 前条の規定による  主任弁護人 の権限については、  裁判所 の規則の定めるところによる。

-------------------------------------------------

第三十五条

 裁判所は、裁判所の  規則 の定めるところにより、被告人又は  被疑者 の弁護人の数を  制限 することができる。但し、被告人の  弁護人 については、特別の  事情 のあるときに限る。

-------------------------------------------------

第三十六条

 被告人が貧困その他の  事由 により弁護人を  選任 することができないときは、裁判所は、その  請求 により、被告人のため  弁護人 を附しなければならない。但し、被告人以外の者が  選任 した弁護人がある  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第三十六条の二

 この法律により  弁護人 を要する場合を除いて、  被告人 が前条の  請求 をするには、資力申告書(その者に属する  現金 、預金その  他政令 で定めるこれらに準ずる資産の  合計額 (以下「  資力 」という。)及びその内訳を  申告 する書面をいう。  以下同 じ。)を提出しなければならない。

-------------------------------------------------

第三十六条の三

 この法律により  弁護人 を要する場合を除いて、その  資力 が基準額(  標準的 な必要生計費を  勘案 して一般に  弁護人 の報酬及び  費用 を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。  以下同 じ。)以上である  被告人 が第三十六条の  請求 をするには、あらかじめ、その請求をする  裁判所 の所在地を  管轄 する地方裁判所の  管轄区域内 に在る弁護士会に  第三十一条 の二第一項の  申出 をしていなければならない。

○2  前項の規定により  第三十一条 の二第一項の  申出 を受けた弁護士会は、  同条第三項 の規定による  通知 をしたときは、前項の  地方裁判所 又は当該被告事件が  係属 する裁判所に対し、その旨を  通知 しなければならない。

-------------------------------------------------

第三十七条

 左の場合に  被告人 に弁護人がないときは、  裁判所 は、職権で  弁護人 を附することができる。

一  被告人が未成年者であるとき。

二  被告人が年齢七十年以上の者であるとき。

三  被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。

四  被告人が心神喪失者又は  心神耗弱者 である疑があるとき。

五  その他必要と認めるとき。

-------------------------------------------------

第三十七条の二

 死刑又は無期若しくは  短期一年以上 の懲役若しくは  禁錮 に当たる事件について  被疑者 に対して勾留状が発せられている  場合 において、被疑者が  貧困 その他の事由により  弁護人 を選任することができないときは、  裁判官 は、その請求により、  被疑者 のため弁護人を付さなければならない。ただし、  被疑者以外 の者が選任した  弁護人 がある場合又は  被疑者 が釈放された  場合 は、この限りでない。

○2  前項の請求は、  同項 に規定する  事件 について勾留を  請求 された被疑者も、これをすることができる。

-------------------------------------------------

第三十七条の三

 前条第一項の請求をするには、  資力申告書 を提出しなければならない。

○2  その資力が  基準額以上 である被疑者が  前条第一項 の請求をするには、あらかじめ、その  勾留 の請求を受けた  裁判官 の所属する  裁判所 の所在地を  管轄 する地方裁判所の  管轄区域内 に在る弁護士会に  第三十一条 の二第一項の  申出 をしていなければならない。

○3  前項の規定により  第三十一条 の二第一項の  申出 を受けた弁護士会は、  同条第三項 の規定による  通知 をしたときは、前項の  地方裁判所 に対し、その旨を通知しなければならない。

-------------------------------------------------

第三十七条の四

 裁判官は、第三十七条の  二第一項 に規定する  事件 について被疑者に対して  勾留状 が発せられ、かつ、これに弁護人がない  場合 において、精神上の  障害 その他の事由により  弁護人 を必要とするかどうかを  判断 することが困難である疑いがある  被疑者 について必要があると認めるときは、  職権 で弁護人を付することができる。ただし、  被疑者 が釈放された  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第三十七条の五

 裁判官は、死刑又は  無期 の懲役若しくは  禁錮 に当たる事件について  第三十七条 の二第一項又は  前条 の規定により  弁護人 を付する場合又は付した  場合 において、特に必要があると認めるときは、  職権 で更に弁護人一人を付することができる。ただし、  被疑者 が釈放された  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第三十八条

 この法律の  規定 に基づいて裁判所若しくは  裁判長 又は裁判官が付すべき  弁護人 は、弁護士の中からこれを  選任 しなければならない。

○2  前項の規定により  選任 された弁護人は、  旅費 、日当、  宿泊料 及び報酬を  請求 することができる。

-------------------------------------------------

第三十八条の二

 裁判官による弁護人の  選任 は、被疑者がその  選任 に係る事件について  釈放 されたときは、その効力を失う。ただし、その  釈放 が勾留の  執行停止 によるときは、この限りでない。

-------------------------------------------------

第三十八条の三

 裁判所は、次の各号のいずれかに  該当 すると認めるときは、裁判所若しくは  裁判長 又は裁判官が付した  弁護人 を解任することができる。

一  第三十条の規定により  弁護人 が選任されたことその他の  事由 により弁護人を付する  必要 がなくなつたとき。

二  被告人と弁護人との  利益 が相反する  状況 にあり弁護人にその  職務 を継続させることが  相当 でないとき。

三  心身の故障その他の  事由 により、弁護人が  職務 を行うことができず、又は職務を行うことが  困難 となつたとき。

四  弁護人がその任務に著しく反したことによりその  職務 を継続させることが  相当 でないとき。

五  弁護人に対する暴行、  脅迫 その他の被告人の責めに帰すべき  事由 により弁護人にその  職務 を継続させることが  相当 でないとき。

○2  弁護人を解任するには、あらかじめ、その  意見 を聴かなければならない。

○3  弁護人を解任するに当たつては、  被告人 の権利を  不当 に制限することがないようにしなければならない。

○4  公訴の提起前は、  裁判官 が付した弁護人の  解任 は、裁判官がこれを行う。この  場合 においては、前三項の  規定 を準用する。

-------------------------------------------------

第三十八条の四

 裁判所又は裁判官の  判断 を誤らせる目的で、その  資力 について虚偽の  記載 のある資力申告書を  提出 した者は、十万円以下の  過料 に処する。

-------------------------------------------------

第三十九条

 身体の拘束を受けている  被告人 又は被疑者は、  弁護人 又は弁護人を  選任 することができる者の依頼により  弁護人 となろうとする者(弁護士でない者にあつては、  第三十一条第二項 の許可があつた後に限る。)と  立会人 なくして接見し、又は  書類 若しくは物の授受をすることができる。

○2  前項の接見又は  授受 については、法令(  裁判所 の規則を含む。  以下同 じ。)で、被告人又は  被疑者 の逃亡、  罪証 の隠滅又は  戒護 に支障のある物の  授受 を防ぐため必要な  措置 を規定することができる。

○3  検察官、検察事務官又は  司法警察職員 (司法警察員及び  司法巡査 をいう。以下同じ。)は、  捜査 のため必要があるときは、  公訴 の提起前に限り、  第一項 の接見又は  授受 に関し、その日時、  場所 及び時間を  指定 することができる。但し、その指定は、  被疑者 が防禦の  準備 をする権利を  不当 に制限するようなものであつてはならない。

-------------------------------------------------

第四十条

 弁護人は、公訴の  提起後 は、裁判所において、  訴訟 に関する書類及び  証拠物 を閲覧し、且つ  謄写 することができる。但し、証拠物を  謄写 するについては、裁判長の  許可 を受けなければならない。

○2  前項の規定にかかわらず、  第百五十七条 の四第三項に  規定 する記録媒体は、  謄写 することができない。

-------------------------------------------------

第四十一条

 弁護人は、この法律に  特別 の定のある場合に限り、  独立 して訴訟行為をすることができる。

-------------------------------------------------

第四十二条

 被告人の法定代理人、  保佐人 、配偶者、  直系 の親族及び  兄弟姉妹 は、何時でも  補佐人 となることができる。

○2  補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。

○3  補佐人は、被告人の  明示 した意思に反しない限り、  被告人 がすることのできる訴訟行為をすることができる。但し、この  法律 に特別の定のある  場合 は、この限りでない。

   第五章 裁判

-------------------------------------------------

第四十三条

 判決は、この法律に  特別 の定のある場合を除いては、  口頭弁論 に基いてこれをしなければならない。

○2  決定又は命令は、  口頭弁論 に基いてこれをすることを要しない。

○3  決定又は命令をするについて  必要 がある場合には、  事実 の取調をすることができる。

○4  前項の取調は、  合議体 の構成員にこれをさせ、又は  地方裁判所 、家庭裁判所若しくは  簡易裁判所 の裁判官にこれを  嘱託 することができる。

-------------------------------------------------

第四十四条

 裁判には、理由を附しなければならない。

○2  上訴を許さない決定又は  命令 には、理由を附することを要しない。但し、  第四百二十八条第二項 の規定により  異議 の申立をすることができる  決定 については、この限りでない。

-------------------------------------------------

第四十五条

 判決以外の裁判は、  判事補 が一人でこれをすることができる。

-------------------------------------------------

第四十六条

 被告人その他訴訟関係人は、  自己 の費用で、  裁判書 又は裁判を  記載 した調書の  謄本 又は抄本の  交付 を請求することができる。

   第六章 書類及び送達

-------------------------------------------------

第四十七条

 訴訟に関する書類は、  公判 の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、  公益上 の必要その他の  事由 があつて、相当と認められる  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第四十八条

 公判期日における訴訟手続については、  公判調書 を作成しなければならない。

○2  公判調書には、裁判所の  規則 の定めるところにより、公判期日における  審判 に関する重要な  事項 を記載しなければならない。

○3  公判調書は、各公判期日後速かに、遅くとも  判決 を宣告するまでにこれを  整理 しなければならない。但し、判決を  宣告 する公判期日の  調書 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第四十九条

 被告人に弁護人がないときは、  公判調書 は、裁判所の  規則 の定めるところにより、被告人も、これを  閲覧 することができる。被告人は、読むことができないとき、又は目の見えないときは、  公判調書 の朗読を求めることができる。

-------------------------------------------------

第五十条

 公判調書が次回の  公判期日 までに整理されなかつたときは、  裁判所書記 は、検察官、  被告人 又は弁護人の  請求 により、次回の  公判期日 において又はその期日までに、  前回 の公判期日における  証人 の供述の  要旨 を告げなければならない。この場合において、  請求 をした検察官、  被告人 又は弁護人が  証人 の供述の  要旨 の正確性につき  異議 を申し立てたときは、その旨を調書に  記載 しなければならない。

○2  被告人及び弁護人の  出頭 なくして開廷した  公判期日 の公判調書が、  次回 の公判期日までに  整理 されなかつたときは、裁判所書記は、  次回 の公判期日において又はその  期日 までに、出頭した  被告人 又は弁護人に  前回 の公判期日における  審理 に関する重要な  事項 を告げなければならない。

-------------------------------------------------

第五十一条

 検察官、被告人又は  弁護人 は、公判調書の  記載 の正確性につき  異議 を申し立てることができる。異議の  申立 があつたときは、その旨を調書に  記載 しなければならない。

○2  前項の異議の  申立 は、遅くとも当該審級における  最終 の公判期日後十四日以内にこれをしなければならない。但し、  判決 を宣告する  公判期日 の調書については、  整理 ができた日から十四日以内にこれをすることができる。

-------------------------------------------------

第五十二条

 公判期日における訴訟手続で  公判調書 に記載されたものは、  公判調書 のみによつてこれを証明することができる。

-------------------------------------------------

第五十三条

 何人も、被告事件の  終結後 、訴訟記録を  閲覧 することができる。但し、訴訟記録の  保存 又は裁判所若しくは  検察庁 の事務に  支障 のあるときは、この限りでない。

○2  弁論の公開を  禁止 した事件の  訴訟記録 又は一般の  閲覧 に適しないものとしてその閲覧が  禁止 された訴訟記録は、  前項 の規定にかかわらず、  訴訟関係人 又は閲覧につき  正当 な理由があつて特に  訴訟記録 の保管者の  許可 を受けた者でなければ、これを閲覧することができない。

○3  日本国憲法第八十二条第二項 但書に掲げる事件については、  閲覧 を禁止することはできない。

○4  訴訟記録の保管及びその  閲覧 の手数料については、別に  法律 でこれを定める。

-------------------------------------------------

第五十三条の二

 訴訟に関する書類及び  押収物 については、行政機関の  保有 する情報の  公開 に関する法律 (  平成十一年法律第四十二号 )及び独立行政法人等の  保有 する情報の  公開 に関する法律 (  平成十三年法律第百四十号 )の規定は、  適用 しない。

○2  訴訟に関する書類及び  押収物 に記録されている  個人情報 については、行政機関の  保有 する個人情報の  保護 に関する法律 (  平成十五年法律第五十八号 )第四章 及び  独立行政法人等 の保有する  個人情報 の保護に関する  法律 (平成十五年法律第五十九号)  第四章 の規定は、  適用 しない。

-------------------------------------------------

第五十四条

 書類の送達については、  裁判所 の規則に  特別 の定のある場合を除いては、  民事訴訟 に関する法令の  規定 (公示送達に関する  規定 を除く。)を準用する。

   第七章 期間

-------------------------------------------------

第五十五条

 期間の計算については、時で  計算 するものは、即時からこれを  起算 し、日、月又は年で計算するものは、  初日 を算入しない。但し、  時効期間 の初日は、  時間 を論じないで一日としてこれを  計算 する。

○2  月及び年は、暦に従つてこれを計算する。

○3  期間の末日が  日曜日 、土曜日、  国民 の祝日に関する  法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に  規定 する休日、  一月二日 、一月三日又は  十二月二十九日 から十二月三十一日までの日に当たるときは、これを  期間 に算入しない。ただし、  時効期間 については、この限りでない。

-------------------------------------------------

第五十六条

 法定の期間は、  裁判所 の規則の定めるところにより、  訴訟行為 をすべき者の住居又は  事務所 の所在地と  裁判所 又は検察庁の  所在地 との距離及び  交通通信 の便否に従い、これを  延長 することができる。

○2  前項の規定は、  宣告 した裁判に対する  上訴 の提起期間には、これを  適用 しない。

   第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留

-------------------------------------------------

第五十七条

 裁判所は、裁判所の  規則 で定める相当の  猶予期間 を置いて、被告人を  召喚 することができる。

-------------------------------------------------

第五十八条

 裁判所は、次の場合には、  被告人 を勾引することができる。

一  被告人が定まつた住居を有しないとき。

二  被告人が、正当な  理由 がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。

-------------------------------------------------

第五十九条

 勾引した被告人は、  裁判所 に引致した時から  二十四時間以内 にこれを釈放しなければならない。但し、その  時間内 に勾留状が発せられたときは、この限りでない。

-------------------------------------------------

第六十条

 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる  相当 な理由がある  場合 で、左の各号の一にあたるときは、これを  勾留 することができる。

一  被告人が定まつた住居を有しないとき。

二  被告人が罪証を  隠滅 すると疑うに足りる相当な  理由 があるとき。

三  被告人が逃亡し又は  逃亡 すると疑うに足りる相当な  理由 があるとき。

○2  勾留の期間は、  公訴 の提起があつた日から  二箇月 とする。特に継続の  必要 がある場合においては、  具体的 にその理由を附した  決定 で、一箇月ごとにこれを  更新 することができる。但し、第八十九条第一号、  第三号 、第四号又は  第六号 にあたる場合を除いては、  更新 は、一回に限るものとする。

○3  三十万円(刑法 、  暴力行為等処罰 に関する法律(  大正十五年法律第六十号 )及び経済関係罰則の  整備 に関する法律(  昭和十九年法律第四号 )の罪以外の罪については、  当分 の間、二万円)  以下 の罰金、  拘留 又は科料に当たる  事件 については、被告人が定まつた  住居 を有しない場合に限り、  第一項 の規定を  適用 する。

-------------------------------------------------

第六十一条

 被告人の勾留は、  被告人 に対し被告事件を告げこれに関する  陳述 を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が  逃亡 した場合は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第六十二条

 被告人の召喚、  勾引 又は勾留は、  召喚状 、勾引状又は  勾留状 を発してこれをしなければならない。

-------------------------------------------------

第六十三条

 召喚状には、被告人の  氏名 及び住居、  罪名 、出頭すべき  年月日時 及び場所並びに  正当 な理由がなく  出頭 しないときは勾引状を発することがある旨その  他裁判所 の規則で定める  事項 を記載し、  裁判長 又は受命裁判官が、これに  記名押印 しなければならない。

-------------------------------------------------

第六十四条

 勾引状又は勾留状には、  被告人 の氏名及び  住居 、罪名、  公訴事実 の要旨、  引致 すべき場所又は  勾留 すべき刑事施設、  有効期間 及びその期間経過後は  執行 に着手することができず  令状 はこれを返還しなければならない  旨並 びに発付の  年月日 その他裁判所の  規則 で定める事項を  記載 し、裁判長又は  受命裁判官 が、これに記名押印しなければならない。

○2  被告人の氏名が明らかでないときは、  人相 、体格その  他被告人 を特定するに足りる  事項 で被告人を  指示 することができる。

○3  被告人の住居が明らかでないときは、これを  記載 することを要しない。

-------------------------------------------------

第六十五条

 召喚状は、これを送達する。

○2  被告人から期日に  出頭 する旨を記載した  書面 を差し出し、又は出頭した  被告人 に対し口頭で  次回 の出頭を命じたときは、  召喚状 を送達した  場合 と同一の  効力 を有する。口頭で  出頭 を命じた場合には、その旨を  調書 に記載しなければならない。

○3  裁判所に近接する  刑事施設 にいる被告人に対しては、  刑事施設職員 (刑事施設の長又はその  指名 する刑事施設の  職員 をいう。以下同じ。)に  通知 してこれを召喚することができる。この  場合 には、被告人が  刑事施設職員 から通知を受けた時に  召喚状 の送達があつたものとみなす。

-------------------------------------------------

第六十六条

 裁判所は、被告人の  現在地 の地方裁判所、  家庭裁判所 又は簡易裁判所の  裁判官 に被告人の  勾引 を嘱託することができる。

○2  受託裁判官は、受託の  権限 を有する他の地方裁判所、  家庭裁判所 又は簡易裁判所の  裁判官 に転嘱することができる。

○3  受託裁判官は、受託事項について  権限 を有しないときは、受託の  権限 を有する他の地方裁判所、  家庭裁判所 又は簡易裁判所の  裁判官 に嘱託を  移送 することができる。

○4  嘱託又は移送を受けた  裁判官 は、勾引状を発しなければならない。

○5  第六十四条の規定は、  前項 の勾引状についてこれを  準用 する。この場合においては、  勾引状 に嘱託によつてこれを発する旨を  記載 しなければならない。

-------------------------------------------------

第六十七条

 前条の場合には、  嘱託 によつて勾引状を発した  裁判官 は、被告人を  引致 した時から二十四時間以内にその  人違 でないかどうかを取り調べなければならない。

○2  被告人が人違でないときは、速やかに且つ  直接 これを指定された  裁判所 に送致しなければならない。この  場合 には、嘱託によつて  勾引状 を発した裁判官は、  被告人 が指定された  裁判所 に到着すべき  期間 を定めなければならない。

○3  前項の場合には、  第五十九条 の期間は、  被告人 が指定された  裁判所 に到着した時からこれを  起算 する。

-------------------------------------------------

第六十八条

 裁判所は、必要があるときは、  指定 の場所に  被告人 の出頭又は  同行 を命ずることができる。被告人が  正当 な理由がなくこれに応じないときは、その  場所 に勾引することができる。この  場合 には、第五十九条の  期間 は、被告人をその  場所 に引致した時からこれを  起算 する。

-------------------------------------------------

第六十九条

 裁判長は、急速を要する  場合 には、第五十七条乃至第六十二条、  第六十五条 、第六十六条及び  前条 に規定する  処分 をし、又は合議体の  構成員 にこれをさせることができる。

-------------------------------------------------

第七十条

 勾引状又は勾留状は、  検察官 の指揮によつて、  検察事務官 又は司法警察職員がこれを  執行 する。但し、急速を要する  場合 には、裁判長、  受命裁判官 又は地方裁判所、  家庭裁判所 若しくは簡易裁判所の  裁判官 は、その執行を  指揮 することができる。

○2  刑事施設にいる被告人に対して発せられた  勾留状 は、検察官の  指揮 によつて、刑事施設職員がこれを  執行 する。

-------------------------------------------------

第七十一条

 検察事務官又は司法警察職員は、  必要 があるときは、管轄区域外で、  勾引状 若しくは勾留状を  執行 し、又はその地の検察事務官若しくは  司法警察職員 にその執行を求めることができる。

-------------------------------------------------

第七十二条

 被告人の現在地が判らないときは、  裁判長 は、検事長にその  捜査 及び勾引状又は  勾留状 の執行を  嘱託 することができる。

○2  嘱託を受けた検事長は、その  管内 の検察官に  捜査 及び勾引状又は  勾留状 の執行の  手続 をさせなければならない。

-------------------------------------------------

第七十三条

 勾引状を執行するには、これを  被告人 に示した上、できる限り速やかに且つ直接、  指定 された裁判所その他の  場所 に引致しなければならない。  第六十六条第四項 の勾引状については、これを発した  裁判官 に引致しなければならない。

○2  勾留状を執行するには、これを  被告人 に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、  指定 された刑事施設に  引致 しなければならない。

○3  勾引状又は勾留状を  所持 しないためこれを示すことができない場合において、  急速 を要するときは、前二項の  規定 にかかわらず、被告人に対し  公訴事実 の要旨及び  令状 が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、  令状 は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

-------------------------------------------------

第七十四条

 勾引状又は勾留状の  執行 を受けた被告人を  護送 する場合において  必要 があるときは、仮に最寄りの  刑事施設 にこれを留置することができる。

-------------------------------------------------

第七十五条

 勾引状の執行を受けた  被告人 を引致した  場合 において必要があるときは、これを  刑事施設 に留置することができる。

-------------------------------------------------

第七十六条

 被告人を勾引したときは、直ちに  被告人 に対し、公訴事実の  要旨 及び弁護人を  選任 することができる旨並びに  貧困 その他の事由により自ら  弁護人 を選任することができないときは  弁護人 の選任を  請求 することができる旨を告げなければならない。但し、被告人に  弁護人 があるときは、公訴事実の  要旨 を告げれば足りる。

○2  前項の告知は、  合議体 の構成員又は  裁判所書記 にこれをさせることができる。

○3  第六十六条第四項の規定により  勾引状 を発した場合には、  第一項 の告知は、その  勾引状 を発した裁判官がこれをしなければならない。但し、  裁判所書記 にその告知をさせることができる。

-------------------------------------------------

第七十七条

 逮捕又は勾引に引き続き  勾留 する場合を除いて  被告人 を勾留するには、  被告人 に対し、弁護人を  選任 することができる旨及び貧困その他の  事由 により自ら弁護人を  選任 することができないときは弁護人の  選任 を請求することができる旨を告げなければならない。但し、  被告人 に弁護人があるときは、この限りでない。

○2  第六十一条但書の場合には、  被告人 を勾留した  後直 ちに、前項に  規定 する事項の外、  公訴事実 の要旨を告げなければならない。但し、  被告人 に弁護人があるときは、  公訴事実 の要旨を告げれば足りる。

○3  前条第二項の規定は、  前二項 の告知についてこれを  準用 する。

-------------------------------------------------

第七十八条

 勾引又は勾留された  被告人 は、裁判所又は  刑事施設 の長若しくはその代理者に  弁護士 、弁護士法人又は  弁護士会 を指定して  弁護人 の選任を申し出ることができる。ただし、  被告人 に弁護人があるときは、この限りでない。

○2  前項の申出を受けた  裁判所 又は刑事施設の長若しくはその  代理者 は、直ちに被告人の  指定 した弁護士、  弁護士法人 又は弁護士会にその旨を  通知 しなければならない。被告人が  二人以上 の弁護士又は  二以上 の弁護士法人若しくは  弁護士会 を指定して  前項 の申出をしたときは、そのうちの  一人 の弁護士又は一の  弁護士法人 若しくは弁護士会にこれを  通知 すれば足りる。

-------------------------------------------------

第七十九条

 被告人を勾留したときは、直ちに  弁護人 にその旨を通知しなければならない。  被告人 に弁護人がないときは、  被告人 の法定代理人、  保佐人 、配偶者、  直系 の親族及び  兄弟姉妹 のうち被告人の  指定 する者一人にその旨を  通知 しなければならない。

-------------------------------------------------

第八十条

 勾留されている被告人は、  第三十九条第一項 に規定する  者以外 の者と、法令の  範囲内 で、接見し、又は  書類 若しくは物の授受をすることができる。  勾引状 により刑事施設に  留置 されている被告人も、  同様 である。

-------------------------------------------------

第八十一条

 裁判所は、逃亡し又は  罪証 を隠滅すると疑うに足りる  相当 な理由があるときは、  検察官 の請求により又は  職権 で、勾留されている  被告人 と第三十九条第一項に  規定 する者以外の者との  接見 を禁じ、又はこれと授受すべき  書類 その他の物を検閲し、その  授受 を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。但し、糧食の  授受 を禁じ、又はこれを差し押えることはできない。

-------------------------------------------------

第八十二条

 勾留されている被告人は、  裁判所 に勾留の  理由 の開示を  請求 することができる。

○2  勾留されている被告人の  弁護人 、法定代理人、  保佐人 、配偶者、  直系 の親族、  兄弟姉妹 その他利害関係人も、  前項 の請求をすることができる。

○3  前二項の請求は、  保釈 、勾留の  執行停止 若しくは勾留の  取消 があつたとき、又は勾留状の  効力 が消滅したときは、その  効力 を失う。

-------------------------------------------------

第八十三条

 勾留の理由の  開示 は、公開の  法廷 でこれをしなければならない。

○2  法廷は、裁判官及び  裁判所書記 が列席してこれを開く。

○3  被告人及びその弁護人が  出頭 しないときは、開廷することはできない。但し、  被告人 の出頭については、  被告人 が病気その他やむを得ない  事由 によつて出頭することができず且つ  被告人 に異議がないとき、  弁護人 の出頭については、  被告人 に異議がないときは、この限りでない。

-------------------------------------------------

第八十四条

 法廷においては、裁判長は、  勾留 の理由を告げなければならない。

○2  検察官又は被告人及び  弁護人並 びにこれらの者以外の  請求者 は、意見を述べることができる。但し、  裁判長 は、相当と認めるときは、  意見 の陳述に代え  意見 を記載した  書面 を差し出すべきことを命ずることができる。

-------------------------------------------------

第八十五条

 勾留の理由の  開示 は、合議体の  構成員 にこれをさせることができる。

-------------------------------------------------

第八十六条

 同一の勾留について  第八十二条 の請求が  二以上 ある場合には、  勾留 の理由の  開示 は、最初の  請求 についてこれを行う。その他の請求は、  勾留 の理由の  開示 が終つた後、決定でこれを  却下 しなければならない。

-------------------------------------------------

第八十七条

 勾留の理由又は  勾留 の必要がなくなつたときは、  裁判所 は、検察官、  勾留 されている被告人若しくはその  弁護人 、法定代理人、  保佐人 、配偶者、  直系 の親族若しくは  兄弟姉妹 の請求により、又は  職権 で、決定を以て  勾留 を取り消さなければならない。

○2  第八十二条第三項の規定は、  前項 の請求についてこれを  準用 する。

-------------------------------------------------

第八十八条

 勾留されている被告人又はその  弁護人 、法定代理人、  保佐人 、配偶者、  直系 の親族若しくは  兄弟姉妹 は、保釈の  請求 をすることができる。

○2  第八十二条第三項の規定は、  前項 の請求についてこれを  準用 する。

-------------------------------------------------

第八十九条

 保釈の請求があつたときは、次の  場合 を除いては、これを許さなければならない。

一  被告人が死刑又は  無期 若しくは短期一年以上の  懲役 若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

二  被告人が前に死刑又は  無期 若しくは長期十年を超える  懲役 若しくは禁錮に当たる罪につき  有罪 の宣告を受けたことがあるとき。

三  被告人が常習として  長期三年以上 の懲役又は  禁錮 に当たる罪を犯したものであるとき。

四  被告人が罪証を  隠滅 すると疑うに足りる相当な  理由 があるとき。

五  被告人が、被害者その  他事件 の審判に  必要 な知識を有すると認められる者若しくはその  親族 の身体若しくは  財産 に害を加え又はこれらの者を畏怖させる  行為 をすると疑うに足りる相当な  理由 があるとき。

六  被告人の氏名又は  住居 が分からないとき。

-------------------------------------------------

第九十条

 裁判所は、適当と認めるときは、  職権 で保釈を許すことができる。

-------------------------------------------------

第九十一条

 勾留による拘禁が  不当 に長くなつたときは、裁判所は、  第八十八条 に規定する者の  請求 により、又は職権で、  決定 を以て勾留を取り消し、又は  保釈 を許さなければならない。

○2  第八十二条第三項の規定は、  前項 の請求についてこれを  準用 する。

-------------------------------------------------

第九十二条

 裁判所は、保釈を許す  決定 又は保釈の  請求 を却下する  決定 をするには、検察官の  意見 を聴かなければならない。

○2  検察官の請求による  場合 を除いて、勾留を取り消す  決定 をするときも、前項と  同様 である。但し、急速を要する  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第九十三条

 保釈を許す場合には、  保証金額 を定めなければならない。

○2  保証金額は、犯罪の  性質 及び情状、  証拠 の証明力並びに  被告人 の性格及び  資産 を考慮して、  被告人 の出頭を  保証 するに足りる相当な  金額 でなければならない。

○3  保釈を許す場合には、  被告人 の住居を  制限 しその他適当と認める  条件 を附することができる。

-------------------------------------------------

第九十四条

 保釈を許す決定は、  保証金 の納付があつた後でなければ、これを  執行 することができない。

○2  裁判所は、保釈請求者でない者に  保証金 を納めることを許すことができる。

○3  裁判所は、有価証券又は  裁判所 の適当と認める  被告人以外 の者の差し出した保証書を以て  保証金 に代えることを許すことができる。

-------------------------------------------------

第九十五条

 裁判所は、適当と認めるときは、  決定 で、勾留されている  被告人 を親族、  保護団体 その他の者に委託し、又は  被告人 の住居を  制限 して、勾留の  執行 を停止することができる。

-------------------------------------------------

第九十六条

 裁判所は、左の各号の一にあたる  場合 には、検察官の  請求 により、又は職権で、  決定 を以て保釈又は  勾留 の執行停止を取り消すことができる。

一  被告人が、召喚を受け  正当 な理由がなく  出頭 しないとき。

二  被告人が逃亡し又は  逃亡 すると疑うに足りる相当な  理由 があるとき。

三  被告人が罪証を  隠滅 し又は罪証を  隠滅 すると疑うに足りる相当な  理由 があるとき。

四  被告人が、被害者その  他事件 の審判に  必要 な知識を有すると認められる者若しくはその  親族 の身体若しくは  財産 に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる  行為 をしたとき。

五  被告人が住居の  制限 その他裁判所の定めた  条件 に違反したとき。

○2  保釈を取り消す場合には、  裁判所 は、決定で  保証金 の全部又は  一部 を没取することができる。

○3  保釈された者が、刑の言渡を受けその  判決 が確定した後、  執行 のため呼出を受け  正当 な理由がなく  出頭 しないとき、又は逃亡したときは、  検察官 の請求により、  決定 で保証金の  全部 又は一部を  没取 しなければならない。

-------------------------------------------------

第九十七条

 上訴の提起期間内の  事件 でまだ上訴の  提起 がないものについて、勾留の  期間 を更新し、  勾留 を取り消し、又は保釈若しくは  勾留 の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき  場合 には、原裁判所が、その  決定 をしなければならない。

○2  上訴中の事件で  訴訟記録 が上訴裁判所に  到達 していないものについて前項の  決定 をすべき裁判所は、  裁判所 の規則の定めるところによる。

○3  前二項の規定は、  勾留 の理由の  開示 をすべき場合にこれを  準用 する。

-------------------------------------------------

第九十八条

 保釈若しくは勾留の  執行停止 を取り消す決定があつたとき、又は  勾留 の執行停止の  期間 が満了したときは、  検察事務官 、司法警察職員又は  刑事施設職員 は、検察官の  指揮 により、勾留状の  謄本 及び保釈若しくは  勾留 の執行停止を取り消す  決定 の謄本又は  期間 を指定した  勾留 の執行停止の  決定 の謄本を  被告人 に示してこれを刑事施設に  収容 しなければならない。

○2  前項の書面を  所持 しないためこれを示すことができない場合において、  急速 を要するときは、同項の  規定 にかかわらず、検察官の  指揮 により、被告人に対し  保釈 若しくは勾留の  執行停止 が取り消された旨又は勾留の  執行停止 の期間が  満了 した旨を告げて、これを刑事施設に  収容 することができる。ただし、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

○3  第七十一条の規定は、  前二項 の規定による  収容 についてこれを準用する。

   第九章 押収及び捜索

-------------------------------------------------

第九十九条

 裁判所は、必要があるときは、  証拠物 又は没収すべき物と  思料 するものを差し押えることができる。但し、特別の定のある  場合 は、この限りでない。

○2  裁判所は、差し押えるべき物を指定し、  所有者 、所持者又は  保管者 にその物の提出を命ずることができる。

-------------------------------------------------

第百条

 裁判所は、被告人から発し、又は  被告人 に対して発した郵便物、  信書便物 又は電信に関する  書類 で法令の  規定 に基づき通信事務を取り扱う者が  保管 し、又は所持するものを差し押え、又は  提出 させることができる。

○2  前項の規定に  該当 しない郵便物、  信書便物 又は電信に関する  書類 で法令の  規定 に基づき通信事務を取り扱う者が  保管 し、又は所持するものは、  被告事件 に関係があると認めるに足りる  状況 のあるものに限り、これを差し押え、又は提出させることができる。

○3  前二項の規定による  処分 をしたときは、その旨を発信人又は  受信人 に通知しなければならない。但し、  通知 によつて審理が妨げられる虞がある  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第百一条

 被告人その他の者が遺留した物又は  所有者 、所持者若しくは  保管者 が任意に  提出 した物は、これを領置することができる。

-------------------------------------------------

第百二条

 裁判所は、必要があるときは、  被告人 の身体、物又は  住居 その他の場所に就き、  捜索 をすることができる。

○2  被告人以外の者の身体、物又は  住居 その他の場所については、  押収 すべき物の存在を認めるに足りる  状況 のある場合に限り、  捜索 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百三条

 公務員又は公務員であつた者が  保管 し、又は所持する物について、  本人 又は当該公務所から  職務上 の秘密に関するものであることを申し立てたときは、  当該監督官庁 の承諾がなければ、  押収 をすることはできない。但し、当該監督官庁は、国の  重大 な利益を害する  場合 を除いては、承諾を拒むことができない。

-------------------------------------------------

第百四条

 左に掲げる者が前条の  申立 をしたときは、第一号に掲げる者についてはその院、  第二号 に掲げる者については内閣の  承諾 がなければ、押収をすることはできない。

一  衆議院若しくは参議院の  議員 又はその職に在つた者

二  内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者

○2  前項の場合において、  衆議院 、参議院又は  内閣 は、国の重大な  利益 を害する場合を除いては、  承諾 を拒むことができない。

-------------------------------------------------

第百五条

 医師、歯科医師、  助産師 、看護師、  弁護士 (外国法事務弁護士を含む。)、  弁理士 、公証人、  宗教 の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため、  保管 し、又は所持する物で  他人 の秘密に関するものについては、  押収 を拒むことができる。但し、本人が  承諾 した場合、  押収 の拒絶が  被告人 のためのみにする権利の  濫用 と認められる場合(  被告人 が本人である  場合 を除く。)その他裁判所の  規則 で定める事由がある  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第百六条

 公判廷外における差押又は  捜索 は、差押状又は  捜索状 を発してこれをしなければならない。

-------------------------------------------------

第百七条

 差押状又は捜索状には、  被告人 の氏名、  罪名 、差し押えるべき物又は捜索すべき  場所 、身体若しくは物、  有効期間 及びその期間経過後は  執行 に着手することができず  令状 はこれを返還しなければならない  旨並 びに発付の  年月日 その他裁判所の  規則 で定める事項を  記載 し、裁判長が、これに  記名押印 しなければならない。

○2  第六十四条第二項の規定は、  前項 の差押状又は  捜索状 についてこれを準用する。

-------------------------------------------------

第百八条

 差押状又は捜索状は、  検察官 の指揮によつて、  検察事務官 又は司法警察職員がこれを  執行 する。但し、裁判所が  被告人 の保護のため  必要 があると認めるときは、裁判長は、  裁判所書記 又は司法警察職員にその  執行 を命ずることができる。

○2  裁判所は、差押状又は  捜索状 の執行に関し、その  執行 をする者に対し書面で  適当 と認める指示をすることができる。

○3  前項の指示は、  合議体 の構成員にこれをさせることができる。

○4  第七十一条の規定は、  差押状 又は捜索状の  執行 についてこれを準用する。

-------------------------------------------------

第百九条

 検察事務官又は裁判所書記は、  差押状 又は捜索状の  執行 について必要があるときは、  司法警察職員 に補助を求めることができる。

-------------------------------------------------

第百十条

 差押状又は捜索状は、  処分 を受ける者にこれを示さなければならない。

-------------------------------------------------

第百十一条

 差押状又は捜索状の  執行 については、錠をはずし、封を開き、その他必要な  処分 をすることができる。公判廷で  差押 又は捜索をする  場合 も、同様である。

○2  前項の処分は、  押収物 についても、これをすることができる。

-------------------------------------------------

第百十二条

 差押状又は捜索状の  執行中 は、何人に対しても、  許可 を得ないでその場所に  出入 することを禁止することができる。

○2  前項の禁止に従わない者は、これを  退去 させ、又は執行が終るまでこれに  看守者 を附することができる。

-------------------------------------------------

第百十三条

 検察官、被告人又は  弁護人 は、差押状又は  捜索状 の執行に立ち会うことができる。但し、  身体 の拘束を受けている  被告人 は、この限りでない。

○2  差押状又は捜索状の  執行 をする者は、あらかじめ、執行の  日時 及び場所を  前項 の規定により立ち会うことができる者に  通知 しなければならない。但し、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない  意思 を明示した  場合 及び急速を要する  場合 は、この限りでない。

○3  裁判所は、差押状又は  捜索状 の執行について  必要 があるときは、被告人をこれに立ち会わせることができる。

-------------------------------------------------

第百十四条

 公務所内で差押状又は  捜索状 の執行をするときは、その長又はこれに代るべき者に  通知 してその処分に立ち会わせなければならない。

○2  前項の規定による  場合 を除いて、人の住居又は人の  看守 する邸宅、  建造物 若しくは船舶内で  差押状 又は捜索状の  執行 をするときは、住居主若しくは  看守者 又はこれらの者に代るべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせることができないときは、隣人又は  地方公共団体 の職員を立ち会わせなければならない。

-------------------------------------------------

第百十五条

 女子の身体について  捜索状 の執行をする  場合 には、成年の  女子 をこれに立ち会わせなければならない。但し、急速を要する  場合 は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第百十六条

 日出前、日没後には、  令状 に夜間でも  執行 することができる旨の記載がなければ、  差押状 又は捜索状の  執行 のため、人の住居又は人の  看守 する邸宅、  建造物 若しくは船舶内に入ることはできない。

○2  日没前に差押状又は  捜索状 の執行に  着手 したときは、日没後でも、その  処分 を継続することができる。

-------------------------------------------------

第百十七条

 左の場所で  差押状 又は捜索状の  執行 をするについては、前条第一項に  規定 する制限によることを要しない。

一  賭博、富くじ又は風俗を害する  行為 に常用されるものと認められる場所

二  旅館、飲食店その  他夜間 でも公衆が  出入 することができる場所。但し、  公開 した時間内に限る。

-------------------------------------------------

第百十八条

 差押状又は捜索状の  執行 を中止する  場合 において必要があるときは、  執行 が終るまでその場所を  閉鎖 し、又は看守者を置くことができる。

-------------------------------------------------

第百十九条

 捜索をした場合において  証拠物 又は没収すべきものがないときは、  捜索 を受けた者の請求により、その旨の  証明書 を交付しなければならない。

-------------------------------------------------

第百二十条

 押収をした場合には、その  目録 を作り、所有者、  所持者 若しくは保管者又はこれらの者に代るべき者に、これを  交付 しなければならない。

-------------------------------------------------

第百二十一条

 運搬又は保管に  不便 な押収物については、  看守者 を置き、又は所有者その他の者に、その  承諾 を得て、これを保管させることができる。

○2  危険を生ずる虞がある押収物は、これを  廃棄 することができる。

○3  前二項の処分は、  裁判所 が特別の  指示 をした場合を除いては、  差押状 の執行をした者も、これをすることができる。

-------------------------------------------------

第百二十二条

 没収することができる押収物で  滅失 若しくは破損の虞があるもの又は  保管 に不便なものについては、これを  売却 してその代価を  保管 することができる。

-------------------------------------------------

第百二十三条

 押収物で留置の  必要 がないものは、被告事件の  終結 を待たないで、決定でこれを  還付 しなければならない。

○2  押収物は、所有者、  所持者 、保管者又は  差出人 の請求により、  決定 で仮にこれを還付することができる。

○3  前二項の決定をするについては、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴かなければならない。

-------------------------------------------------

第百二十四条

 押収した贓物で  留置 の必要がないものは、  被害者 に還付すべき  理由 が明らかなときに限り、被告事件の  終結 を待たないで、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴き、決定でこれを  被害者 に還付しなければならない。

○2  前項の規定は、  民事訴訟 の手続に従い、  利害関係人 がその権利を  主張 することを妨げない。

-------------------------------------------------

第百二十五条

 押収又は捜索は、  合議体 の構成員にこれをさせ、又はこれをすべき地の  地方裁判所 、家庭裁判所若しくは  簡易裁判所 の裁判官にこれを  嘱託 することができる。

○2  受託裁判官は、受託の  権限 を有する他の地方裁判所、  家庭裁判所 又は簡易裁判所の  裁判官 に転嘱することができる。

○3  受託裁判官は、受託事項について  権限 を有しないときは、受託の  権限 を有する他の地方裁判所、  家庭裁判所 又は簡易裁判所の  裁判官 に嘱託を  移送 することができる。

○4  受命裁判官又は受託裁判官がする  押収 又は捜索については、  裁判所 がする押収又は  捜索 に関する規定を  準用 する。但し、第百条第三項の  通知 は、裁判所がこれをしなければならない。

-------------------------------------------------

第百二十六条

 検察事務官又は司法警察職員は、  勾引状 又は勾留状を  執行 する場合において  必要 があるときは、人の住居又は人の  看守 する邸宅、  建造物 若しくは船舶内に入り、  被告人 の捜索をすることができる。この  場合 には、捜索状は、これを  必要 としない。

-------------------------------------------------

第百二十七条

 第百十一条、第百十二条、  第百十四条 及び第百十八条の  規定 は、前条の  規定 により検察事務官又は  司法警察職員 がする捜索についてこれを  準用 する。但し、急速を要する  場合 は、第百十四条第二項の  規定 によることを要しない。

   第十章 検証

-------------------------------------------------

第百二十八条

 裁判所は、事実発見のため  必要 があるときは、検証することができる。

-------------------------------------------------

第百二十九条

 検証については、身体の  検査 、死体の  解剖 、墳墓の  発掘 、物の破壊その  他必要 な処分をすることができる。

-------------------------------------------------

第百三十条

 日出前、日没後には、  住居主 若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者の  承諾 がなければ、検証のため、人の  住居 又は人の看守する  邸宅 、建造物若しくは  船舶内 に入ることはできない。但し、日出後では  検証 の目的を達することができない虞がある  場合 は、この限りでない。

○2  日没前検証に着手したときは、  日没後 でもその処分を  継続 することができる。

○3  第百十七条に規定する  場所 については、第一項に  規定 する制限によることを要しない。

-------------------------------------------------

第百三十一条

 身体の検査については、これを受ける者の  性別 、健康状態その他の  事情 を考慮した上、特にその  方法 に注意し、その者の  名誉 を害しないように注意しなければならない。

○2  女子の身体を  検査 する場合には、  医師 又は成年の  女子 をこれに立ち会わせなければならない。

-------------------------------------------------

第百三十二条

 裁判所は、身体の  検査 のため、被告人以外の者を  裁判所 又は指定の  場所 に召喚することができる。

-------------------------------------------------

第百三十三条

 前条の規定により  召喚 を受けた者が正当な  理由 がなく出頭しないときは、  決定 で、十万円以下の  過料 に処し、かつ、出頭しないために生じた  費用 の賠償を命ずることができる。

○2  前項の決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百三十四条

 第百三十二条の規定により  召喚 を受け正当な  理由 がなく出頭しない者は、  十万円以下 の罰金又は  拘留 に処する。

○2  前項の罪を犯した者には、情状により、  罰金 及び拘留を  併科 することができる。

-------------------------------------------------

第百三十五条

 第百三十二条の規定による  召喚 に応じない者は、更にこれを召喚し、又はこれを  勾引 することができる。

-------------------------------------------------

第百三十六条

 第六十二条、第六十三条及び  第六十五条 の規定は、  第百三十二条 及び前条の  規定 による召喚について、  第六十二条 、第六十四条、  第六十六条 、第六十七条、  第七十条 、第七十一条及び  第七十三条第一項 の規定は、  前条 の規定による  勾引 についてこれを準用する。

-------------------------------------------------

第百三十七条

 被告人又は被告人以外の者が  正当 な理由がなく  身体 の検査を拒んだときは、  決定 で、十万円以下の  過料 に処し、かつ、その拒絶により生じた  費用 の賠償を命ずることができる。

○2  前項の決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百三十八条

 正当な理由がなく  身体 の検査を拒んだ者は、  十万円以下 の罰金又は  拘留 に処する。

○2  前項の罪を犯した者には、情状により、  罰金 及び拘留を  併科 することができる。

-------------------------------------------------

第百三十九条

 裁判所は、身体の  検査 を拒む者を過料に処し、又はこれに刑を科しても、その  効果 がないと認めるときは、そのまま、身体の  検査 を行うことができる。

-------------------------------------------------

第百四十条

 裁判所は、第百三十七条の  規定 により過料を科し、又は  前条 の規定により  身体 の検査をするにあたつては、あらかじめ、  検察官 の意見を聴き、且つ、  身体 の検査を受ける者の  異議 の理由を知るため  適当 な努力をしなければならない。

-------------------------------------------------

第百四十一条

 検証をするについて必要があるときは、  司法警察職員 に補助をさせることができる。

-------------------------------------------------

第百四十二条

 第百十二条乃至第百十四条、第百十八条及び  第百二十五条 の規定は、  検証 についてこれを準用する。

   第十一章 証人尋問

-------------------------------------------------

第百四十三条

 裁判所は、この法律に  特別 の定のある場合を除いては、  何人 でも証人としてこれを  尋問 することができる。

-------------------------------------------------

第百四十四条

 公務員又は公務員であつた者が知り得た  事実 について、本人又は  当該公務所 から職務上の  秘密 に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の  承諾 がなければ証人としてこれを  尋問 することはできない。但し、当該監督官庁は、国の  重大 な利益を害する  場合 を除いては、承諾を拒むことができない。

-------------------------------------------------

第百四十五条

 左に掲げる者が前条の  申立 をしたときは、第一号に掲げる者についてはその院、  第二号 に掲げる者については内閣の  承諾 がなければ、証人としてこれを  尋問 することはできない。

一  衆議院若しくは参議院の  議員 又はその職に在つた者

二  内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者

○2  前項の場合において、  衆議院 、参議院又は  内閣 は、国の重大な  利益 を害する場合を除いては、  承諾 を拒むことができない。

-------------------------------------------------

第百四十六条

 何人も、自己が  刑事訴追 を受け、又は有罪判決を受ける虞のある  証言 を拒むことができる。

-------------------------------------------------

第百四十七条

 何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は  有罪判決 を受ける虞のある証言を拒むことができる。

一  自己の配偶者、  三親等内 の血族若しくは  二親等内 の姻族又は  自己 とこれらの親族関係があつた者

二  自己の後見人、  後見監督人 又は保佐人

三  自己を後見人、  後見監督人 又は保佐人とする者

-------------------------------------------------

第百四十八条

 共犯又は共同被告人の  一人 又は数人に対し  前条 の関係がある者でも、他の  共犯 又は共同被告人のみに関する  事項 については、証言を拒むことはできない。

-------------------------------------------------

第百四十九条

 医師、歯科医師、  助産師 、看護師、  弁護士 (外国法事務弁護士を含む。)、  弁理士 、公証人、  宗教 の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た  事実 で他人の  秘密 に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、  本人 が承諾した  場合 、証言の  拒絶 が被告人のためのみにする  権利 の濫用と認められる  場合 (被告人が  本人 である場合を除く。)その  他裁判所 の規則で定める  事由 がある場合は、この限りでない。

-------------------------------------------------

第百五十条

 召喚を受けた証人が  正当 な理由がなく  出頭 しないときは、決定で、  十万円以下 の過料に処し、かつ、  出頭 しないために生じた費用の  賠償 を命ずることができる。

○2  前項の決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百五十一条

 証人として召喚を受け  正当 な理由がなく  出頭 しない者は、十万円以下の  罰金 又は拘留に処する。

○2  前項の罪を犯した者には、情状により、  罰金 及び拘留を  併科 することができる。

-------------------------------------------------

第百五十二条

 召喚に応じない証人に対しては、更にこれを  召喚 し、又はこれを勾引することができる。

-------------------------------------------------

第百五十三条

 第六十二条、第六十三条及び  第六十五条 の規定は、  証人 の召喚について、  第六十二条 、第六十四条、  第六十六条 、第六十七条、  第七十条 、第七十一条及び  第七十三条第一項 の規定は、  証人 の勾引についてこれを  準用 する。

-------------------------------------------------

第百五十三条の二

 勾引状の執行を受けた  証人 を護送する  場合 又は引致した  場合 において必要があるときは、  一時最寄 の警察署その他の  適当 な場所にこれを  留置 することができる。

-------------------------------------------------

第百五十四条

 証人には、この法律に  特別 の定のある場合を除いて、  宣誓 をさせなければならない。

-------------------------------------------------

第百五十五条

 宣誓の趣旨を  理解 することができない者は、宣誓をさせないで、これを  尋問 しなければならない。

○2  前項に掲げる者が宣誓をしたときでも、その  供述 は、証言としての  効力 を妨げられない。

-------------------------------------------------

第百五十六条

 証人には、その実験した  事実 により推測した  事項 を供述させることができる。

○2  前項の供述は、  鑑定 に属するものでも、証言としての  効力 を妨げられない。

-------------------------------------------------

第百五十七条

 検察官、被告人又は  弁護人 は、証人の  尋問 に立ち会うことができる。

○2  証人尋問の日時及び  場所 は、あらかじめ、前項の  規定 により尋問に立ち会うことができる者にこれを  通知 しなければならない。但し、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない  意思 を明示したときは、この限りでない。

○3  第一項に規定する者は、  証人 の尋問に立ち会つたときは、  裁判長 に告げて、その証人を  尋問 することができる。

-------------------------------------------------

第百五十七条の二

 裁判所は、証人を  尋問 する場合において、  証人 の年齢、  心身 の状態その他の  事情 を考慮し、  証人 が著しく不安又は  緊張 を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴き、その不安又は  緊張 を緩和するのに  適当 であり、かつ、裁判官若しくは  訴訟関係人 の尋問若しくは  証人 の供述を妨げ、又はその  供述 の内容に  不当 な影響を与えるおそれがないと認める者を、その  証人 の供述中、  証人 に付き添わせることができる。

○2  前項の規定により  証人 に付き添うこととされた者は、その証人の  供述中 、裁判官若しくは  訴訟関係人 の尋問若しくは  証人 の供述を妨げ、又はその  供述 の内容に  不当 な影響を与えるような  言動 をしてはならない。

-------------------------------------------------

第百五十七条の三

 裁判所は、証人を  尋問 する場合において、  犯罪 の性質、  証人 の年齢、  心身 の状態、  被告人 との関係その他の  事情 により、証人が  被告人 の面前(  次条第一項 に規定する  方法 による場合を含む。)において  供述 するときは圧迫を受け  精神 の平穏を著しく害されるおそれがあると認める  場合 であつて、相当と認めるときは、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴き、  被告人 とその証人との間で、  一方 から又は相互に  相手 の状態を  認識 することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、  被告人 から証人の  状態 を認識することができないようにするための  措置 については、弁護人が  出頭 している場合に限り、採ることができる。

○2  裁判所は、証人を  尋問 する場合において、  犯罪 の性質、  証人 の年齢、  心身 の状態、  名誉 に対する影響その他の  事情 を考慮し、  相当 と認めるときは、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴き、傍聴人とその  証人 との間で、相互に  相手 の状態を  認識 することができないようにするための措置を採ることができる。

-------------------------------------------------

第百五十七条の四

 裁判所は、次に掲げる者を証人として  尋問 する場合において、  相当 と認めるときは、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴き、裁判官及び  訴訟関係人 が証人を  尋問 するために在席する  場所以外 の場所(これらの者が  在席 する場所と  同一 の構内に限る。)にその  証人 を在席させ、  映像 と音声の  送受信 により相手の  状態 を相互に  認識 しながら通話をすることができる  方法 によつて、尋問することができる。

一  刑法第百七十六条 から第百七十八条の  二 まで若しくは第百八十一条 の罪、  同法第二百二十五条 若しくは第二百二十六条の  二第三項 の罪(わいせつ又は結婚の  目的 に係る部分に限る。  以下 この号において同じ。)、同法第二百二十七条第一項 (  第二百二十五条 又は第二百二十六条の  二第三項 の罪を犯した者を幇助する  目的 に係る部分に限る。)若しくは  第三項 (わいせつの目的に係る  部分 に限る。)若しくは第二百四十一条 前段の罪又はこれらの罪の  未遂罪 の被害者

二  児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)  第六十条第一項 の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号 に係る  同法第六十条第二項 の罪又は児童買春、  児童ポ ルノに係る行為等の  処罰 及び児童の  保護等 に関する法律 (  平成十一年法律第五十二号 )第四条 から  第八条 までの罪の被害者

三  前二号に掲げる者のほか、犯罪の  性質 、証人の  年齢 、心身の  状態 、被告人との  関係 その他の事情により、  裁判官 及び訴訟関係人が  証人 を尋問するために  在席 する場所において  供述 するときは圧迫を受け  精神 の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者

○2  前項に規定する  方法 により証人尋問を行う  場合 において、裁判所は、その  証人 が後の刑事手続において  同一 の事実につき再び  証人 として供述を求められることがあると  思料 する場合であつて、  証人 の同意があるときは、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴き、その  証人 の尋問及び  供述並 びにその状況を  記録媒体 (映像及び  音声 を同時に  記録 することができる物をいう。以下同じ。)に  記録 することができる。

○3  前項の規定により  証人 の尋問及び  供述並 びにその状況を  記録 した記録媒体は、  訴訟記録 に添付して  調書 の一部とするものとする。

-------------------------------------------------

第百五十八条

 裁判所は、証人の  重要性 、年齢、  職業 、健康状態その他の  事情 と事案の  軽重 とを考慮した上、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴き、  必要 と認めるときは、裁判所外にこれを  召喚 し、又はその現在場所でこれを  尋問 することができる。

○2  前項の場合には、  裁判所 は、あらかじめ、検察官、  被告人 及び弁護人に、  尋問事項 を知る機会を与えなければならない。

○3  検察官、被告人又は  弁護人 は、前項の  尋問事項 に附加して、  必要 な事項の  尋問 を請求することができる。

-------------------------------------------------

第百五十九条

 裁判所は、検察官、  被告人 又は弁護人が  前条 の証人尋問に立ち会わなかつたときは、立ち会わなかつた者に、  証人 の供述の  内容 を知る機会を与えなければならない。

○2  前項の証人の  供述 が被告人に  予期 しなかつた著しい不利益なものである  場合 には、被告人又は  弁護人 は、更に必要な  事項 の尋問を  請求 することができる。

○3  裁判所は、前項の  請求 を理由がないものと認めるときは、これを  却下 することができる。

-------------------------------------------------

第百六十条

 証人が正当な  理由 がなく宣誓又は  証言 を拒んだときは、決定で、  十万円以下 の過料に処し、かつ、その  拒絶 により生じた費用の  賠償 を命ずることができる。

○2  前項の決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百六十一条

 正当な理由がなく  宣誓 又は証言を拒んだ者は、  十万円以下 の罰金又は  拘留 に処する。

○2  前項の罪を犯した者には、情状により、  罰金 及び拘留を  併科 することができる。

-------------------------------------------------

第百六十二条

 裁判所は、必要があるときは、  決定 で指定の  場所 に証人の  同行 を命ずることができる。証人が  正当 な理由がなく  同行 に応じないときは、これを勾引することができる。

-------------------------------------------------

第百六十三条

 裁判所外で証人を  尋問 すべきときは、合議体の  構成員 にこれをさせ、又は証人の  現在地 の地方裁判所、  家庭裁判所 若しくは簡易裁判所の  裁判官 にこれを嘱託することができる。

○2  受託裁判官は、受託の  権限 を有する他の地方裁判所、  家庭裁判所 又は簡易裁判所の  裁判官 に転嘱することができる。

○3  受託裁判官は、受託事項について  権限 を有しないときは、受託の  権限 を有する他の地方裁判所、  家庭裁判所 又は簡易裁判所の  裁判官 に嘱託を  移送 することができる。

○4  受命裁判官又は受託裁判官は、  証人 の尋問に関し、  裁判所 又は裁判長に属する  処分 をすることができる。但し、第百五十条及び  第百六十条 の決定は、  裁判所 もこれをすることができる。

○5  第百五十八条第二項及び第三項並びに  第百五十九条 に規定する  手続 は、前項の  規定 にかかわらず、裁判所がこれをしなければならない。

-------------------------------------------------

第百六十四条

 証人は、旅費、  日当 及び宿泊料を  請求 することができる。但し、正当な  理由 がなく宣誓又は  証言 を拒んだ者は、この限りでない。

○2  証人は、あらかじめ旅費、  日当 又は宿泊料の  支給 を受けた場合において、  正当 な理由がなく、  出頭 せず又は宣誓若しくは  証言 を拒んだときは、その支給を受けた  費用 を返納しなければならない。

   第十二章 鑑定

-------------------------------------------------

第百六十五条

 裁判所は、学識経験のある者に  鑑定 を命ずることができる。

-------------------------------------------------

第百六十六条

 鑑定人には、宣誓をさせなければならない。

-------------------------------------------------

第百六十七条

 被告人の心神又は  身体 に関する鑑定をさせるについて  必要 があるときは、裁判所は、  期間 を定め、病院その他の  相当 な場所に  被告人 を留置することができる。

○2  前項の留置は、  鑑定留置状 を発してこれをしなければならない。

○3  第一項の留置につき  必要 があるときは、裁判所は、  被告人 を収容すべき  病院 その他の場所の  管理者 の申出により、又は  職権 で、司法警察職員に  被告人 の看守を命ずることができる。

○4  裁判所は、必要があるときは、  留置 の期間を  延長 し又は短縮することができる。

○5  勾留に関する規定は、この  法律 に特別の定のある  場合 を除いては、第一項の  留置 についてこれを準用する。但し、  保釈 に関する規定は、この限りでない。

○6  第一項の留置は、  未決勾留日数 の算入については、これを  勾留 とみなす。

-------------------------------------------------

第百六十七条の二

 勾留中の被告人に対し  鑑定留置状 が執行されたときは、  被告人 が留置されている間、  勾留 は、その執行を  停止 されたものとする。

○2  前項の場合において、  前条第一項 の処分が取り消され又は  留置 の期間が  満了 したときは、第九十八条の  規定 を準用する。

-------------------------------------------------

第百六十八条

 鑑定人は、鑑定について  必要 がある場合には、  裁判所 の許可を受けて、人の  住居 若しくは人の看守する  邸宅 、建造物若しくは  船舶内 に入り、身体を  検査 し、死体を  解剖 し、墳墓を  発掘 し、又は物を破壊することができる。

○2  裁判所は、前項の  許可 をするには、被告人の  氏名 、罪名及び立ち入るべき  場所 、検査すべき  身体 、解剖すべき  死体 、発掘すべき  墳墓 又は破壊すべき  物並 びに鑑定人の  氏名 その他裁判所の  規則 で定める事項を  記載 した許可状を発して、これをしなければならない。

○3  裁判所は、身体の  検査 に関し、適当と認める  条件 を附することができる。

○4  鑑定人は、第一項の  処分 を受ける者に許可状を示さなければならない。

○5  前三項の規定は、  鑑定人 が公判廷でする  第一項 の処分については、これを  適用 しない。

○6  第百三十一条、第百三十七条、  第百三十八条 及び第百四十条の  規定 は、鑑定人の  第一項 の規定によつてする  身体 の検査についてこれを  準用 する。

-------------------------------------------------

第百六十九条

 裁判所は、合議体の  構成員 に鑑定について  必要 な処分をさせることができる。但し、  第百六十七条第一項 に規定する  処分 については、この限りでない。

-------------------------------------------------

第百七十条

 検察官及び弁護人は、  鑑定 に立ち会うことができる。この場合には、  第百五十七条第二項 の規定を  準用 する。

-------------------------------------------------

第百七十一条

 前章の規定は、  勾引 に関する規定を除いて、  鑑定 についてこれを準用する。

-------------------------------------------------

第百七十二条

 身体の検査を受ける者が、  鑑定人 の第百六十八条第一項の  規定 によつてする身体の  検査 を拒んだ場合には、  鑑定人 は、裁判官にその者の  身体 の検査を  請求 することができる。

○2  前項の請求を受けた  裁判官 は、第十章の  規定 に準じ身体の  検査 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百七十三条

 鑑定人は、旅費、  日当 及び宿泊料の外、  鑑定料 を請求し、及び  鑑定 に必要な  費用 の支払又は  償還 を受けることができる。

○2  鑑定人は、あらかじめ鑑定に  必要 な費用の  支払 を受けた場合において、  正当 な理由がなく、  出頭 せず又は宣誓若しくは  鑑定 を拒んだときは、その支払を受けた  費用 を返納しなければならない。

-------------------------------------------------

第百七十四条

 特別の知識によつて知り得た  過去 の事実に関する  尋問 については、この章の規定によらないで、  前章 の規定を  適用 する。

   第十三章 通訳及び翻訳

-------------------------------------------------

第百七十五条

 国語に通じない者に陳述をさせる  場合 には、通訳人に  通訳 をさせなければならない。

-------------------------------------------------

第百七十六条

 耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる  場合 には、通訳人に  通訳 をさせることができる。

-------------------------------------------------

第百七十七条

 国語でない文字又は  符号 は、これを翻訳させることができる。

-------------------------------------------------

第百七十八条

 前章の規定は、  通訳 及び翻訳についてこれを  準用 する。

   第十四章 証拠保全

-------------------------------------------------

第百七十九条

 被告人、被疑者又は  弁護人 は、あらかじめ証拠を  保全 しておかなければその証拠を  使用 することが困難な  事情 があるときは、第一回の  公判期日前 に限り、裁判官に  押収 、捜索、  検証 、証人の  尋問 又は鑑定の  処分 を請求することができる。

○2  前項の請求を受けた  裁判官 は、その処分に関し、  裁判所 又は裁判長と  同一 の権限を有する。

-------------------------------------------------

第百八十条

 検察官及び弁護人は、  裁判所 において、前条第一項の  処分 に関する書類及び  証拠物 を閲覧し、且つ  謄写 することができる。但し、弁護人が  証拠物 の謄写をするについては、  裁判官 の許可を受けなければならない。

○2  前項の規定にかかわらず、  第百五十七条 の四第三項に  規定 する記録媒体は、  謄写 することができない。

○3  被告人又は被疑者は、  裁判官 の許可を受け、  裁判所 において、第一項の  書類 及び証拠物を  閲覧 することができる。ただし、被告人又は  被疑者 に弁護人があるときは、この限りでない。

   第十五章 訴訟費用

-------------------------------------------------

第百八十一条

 刑の言渡をしたときは、  被告人 に訴訟費用の  全部 又は一部を  負担 させなければならない。但し、被告人が  貧困 のため訴訟費用を  納付 することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。

○2  被告人の責に帰すべき事由によつて生じた  費用 は、刑の言渡をしない  場合 にも、被告人にこれを  負担 させることができる。

○3  検察官のみが上訴を申し立てた  場合 において、上訴が  棄却 されたとき、又は上訴の  取下 げがあつたときは、上訴に関する  訴訟費用 は、これを被告人に  負担 させることができない。ただし、被告人の責めに帰すべき  事由 によつて生じた費用については、この限りでない。

○4  公訴が提起されなかつた  場合 において、被疑者の責めに帰すべき  事由 により生じた費用があるときは、  被疑者 にこれを負担させることができる。

-------------------------------------------------

第百八十二条

 共犯の訴訟費用は、  共犯人 に、連帯して、これを  負担 させることができる。

-------------------------------------------------

第百八十三条

 告訴、告発又は  請求 により公訴の  提起 があつた事件について  被告人 が無罪又は  免訴 の裁判を受けた  場合 において、告訴人、  告発人 又は請求人に  故意 又は重大な  過失 があつたときは、その者に訴訟費用を  負担 させることができる。

○2  告訴、告発又は  請求 があつた事件について  公訴 が提起されなかつた  場合 において、告訴人、  告発人 又は請求人に  故意 又は重大な  過失 があつたときも、前項と  同様 とする。

-------------------------------------------------

第百八十四条

 検察官以外の者が上訴又は  再審 若しくは正式裁判の  請求 を取り下げた場合には、その者に  上訴 、再審又は  正式裁判 に関する費用を  負担 させることができる。

-------------------------------------------------

第百八十五条

 裁判によつて訴訟手続が  終了 する場合において、  被告人 に訴訟費用を  負担 させるときは、職権でその  裁判 をしなければならない。この裁判に対しては、  本案 の裁判について  上訴 があつたときに限り、不服を申し立てることができる。

-------------------------------------------------

第百八十六条

 裁判によつて訴訟手続が  終了 する場合において、  被告人以外 の者に訴訟費用を  負担 させるときは、職権で別にその  決定 をしなければならない。この決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百八十七条

 裁判によらないで訴訟手続が  終了 する場合において、  訴訟費用 を負担させるときは、  最終 に事件の  係属 した裁判所が、  職権 でその決定をしなければならない。この  決定 に対しては、即時抗告をすることができる。

-------------------------------------------------

第百八十七条の二

 公訴が提起されなかつた  場合 において、訴訟費用を  負担 させるときは、検察官の  請求 により、裁判所が  決定 をもつてこれを行う。この決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百八十八条

 訴訟費用の負担を命ずる  裁判 にその額を表示しないときは、  執行 の指揮をすべき  検察官 が、これを算定する。

   第十六章 費用の補償

-------------------------------------------------

第百八十八条の二

 無罪の判決が  確定 したときは、国は、当該事件の  被告人 であつた者に対し、その裁判に要した  費用 の補償をする。ただし、  被告人 であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた  費用 については、補償をしないことができる。

○2  被告人であつた者が、捜査又は  審判 を誤らせる目的で、  虚偽 の自白をし、又は他の  有罪 の証拠を作ることにより、  公訴 の提起を受けるに至つたものと認められるときは、  前項 の補償の  全部 又は一部をしないことができる。

○3  第百八十八条の五第一項の  規定 による補償の  請求 がされている場合には、  第百八十八条 の四の規定により  補償 される費用については、  第一項 の補償をしない。

-------------------------------------------------

第百八十八条の三

 前条第一項の補償は、  被告人 であつた者の請求により、  無罪 の判決をした  裁判所 が、決定をもつてこれを行う。

○2  前項の請求は、  無罪 の判決が  確定 した後六箇月以内にこれをしなければならない。

○3  補償に関する決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

-------------------------------------------------

第百八十八条の四

 検察官のみが上訴をした  場合 において、上訴が  棄却 され又は取り下げられて当該上訴に係る  原裁判 が確定したときは、これによつて  無罪 の判決が  確定 した場合を除き、国は、  当該事件 の被告人又は  被告人 であつた者に対し、上訴によりその  審級 において生じた費用の  補償 をする。ただし、被告人又は  被告人 であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた  費用 については、補償をしないことができる。

-------------------------------------------------

第百八十八条の五

 前条の補償は、  被告人 又は被告人であつた者の  請求 により、当該上訴裁判所であつた  最高裁判所 又は高等裁判所が、  決定 をもつてこれを行う。

○2  前項の請求は、  当該上訴 に係る原裁判が  確定 した後二箇月以内にこれをしなければならない。

○3  補償に関する決定で  高等裁判所 がしたものに対しては、第四百二十八条第二項の  異議 の申立てをすることができる。この  場合 には、即時抗告に関する  規定 をも準用する。

-------------------------------------------------

第百八十八条の六

 第百八十八条の二第一項又は  第百八十八条 の四の規定により  補償 される費用の  範囲 は、被告人若しくは  被告人 であつた者又はそれらの者の弁護人であつた者が  公判準備 及び公判期日に  出頭 するに要した旅費、  日当 及び宿泊料並びに  弁護人 であつた者に対する報酬に限るものとし、その額に関しては、  刑事訴訟費用 に関する法律の  規定中 、被告人又は  被告人 であつた者については証人、  弁護人 であつた者については弁護人に関する  規定 を準用する。

○2  裁判所は、公判準備又は  公判期日 に出頭した  弁護人 が二人以上あつたときは、  事件 の性質、  審理 の状況その他の  事情 を考慮して、  前項 の弁護人であつた者の  旅費 、日当及び  宿泊料 を主任弁護人その  他一部 の弁護人に係るものに限ることができる。

-------------------------------------------------

第百八十八条の七

 補償の請求その  他補償 に関する手続、  補償 と他の法律による  損害賠償 との関係、  補償 を受ける権利の  譲渡 又は差押え及び  被告人 又は被告人であつた者の  相続人 に対する補償については、この  法律 に特別の定めがある  場合 のほか、刑事補償法 (  昭和二十五年法律第一号 )第一条 に  規定 する補償の例による。