第二編 第一審    第一章 捜査 -------------------------------------------------

第百八十九条

 警察官は、それぞれ、他の法律又は  国家公安委員会 若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、  司法警察職員 として職務を行う。

○2  司法警察職員は、犯罪があると  思料 するときは、犯人及び  証拠 を捜査するものとする。

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第百九十条

 森林、鉄道その  他特別 の事項について  司法警察職員 として職務を行うべき者及びその  職務 の範囲は、別に  法律 でこれを定める。

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第百九十一条

 検察官は、必要と認めるときは、自ら  犯罪 を捜査することができる。

○2  検察事務官は、検察官の  指揮 を受け、捜査をしなければならない。

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第百九十二条

 検察官と都道府県公安委員会及び  司法警察職員 とは、捜査に関し、互に  協力 しなければならない。

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第百九十三条

 検察官は、その管轄区域により、  司法警察職員 に対し、その捜査に関し、  必要 な一般的指示をすることができる。この  場合 における指示は、  捜査 を適正にし、その  他公訴 の遂行を全うするために  必要 な事項に関する  一般的 な準則を定めることによつて行うものとする。

○2  検察官は、その管轄区域により、  司法警察職員 に対し、捜査の  協力 を求めるため必要な  一般的指揮 をすることができる。

○3  検察官は、自ら犯罪を  捜査 する場合において  必要 があるときは、司法警察職員を  指揮 して捜査の  補助 をさせることができる。

○4  前三項の場合において、  司法警察職員 は、検察官の  指示 又は指揮に従わなければならない。

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第百九十四条

 検事総長、検事長又は  検事正 は、司法警察職員が  正当 な理由がなく  検察官 の指示又は  指揮 に従わない場合において  必要 と認めるときは、警察官たる  司法警察職員 については、国家公安委員会又は  都道府県公安委員会 に、警察官たる  者以外 の司法警察職員については、その者を  懲戒 し又は罷免する  権限 を有する者に、それぞれ懲戒又は  罷免 の訴追をすることができる。

○2  国家公安委員会、都道府県公安委員会又は  警察官 たる者以外の  司法警察職員 を懲戒し若しくは  罷免 する権限を有する者は、  前項 の訴追が  理由 のあるものと認めるときは、別に法律の定めるところにより、  訴追 を受けた者を懲戒し又は  罷免 しなければならない。

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第百九十五条

 検察官及び検察事務官は、  捜査 のため必要があるときは、  管轄区域外 で職務を行うことができる。

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第百九十六条

 検察官、検察事務官及び  司法警察職員並 びに弁護人その  他職務上捜査 に関係のある者は、  被疑者 その他の者の名誉を害しないように  注意 し、且つ、捜査の妨げとならないように  注意 しなければならない。

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第百九十七条

 捜査については、その目的を達するため  必要 な取調をすることができる。但し、  強制 の処分は、この  法律 に特別の定のある  場合 でなければ、これをすることができない。

○2  捜査については、公務所又は  公私 の団体に  照会 して必要な  事項 の報告を求めることができる。

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第百九十八条

 検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、犯罪の  捜査 をするについて必要があるときは、  被疑者 の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、  被疑者 は、逮捕又は  勾留 されている場合を除いては、  出頭 を拒み、又は出頭後、  何時 でも退去することができる。

○2  前項の取調に際しては、  被疑者 に対し、あらかじめ、自己の  意思 に反して供述をする  必要 がない旨を告げなければならない。

○3  被疑者の供述は、これを  調書 に録取することができる。

○4  前項の調書は、これを  被疑者 に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、  被疑者 が増減変更の  申立 をしたときは、その供述を  調書 に記載しなければならない。

○5  被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに  署名押印 することを求めることができる。但し、これを拒絶した  場合 は、この限りでない。

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第百九十九条

 検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる  相当 な理由があるときは、  裁判官 のあらかじめ発する逮捕状により、これを  逮捕 することができる。ただし、三十万円(  刑法 、暴力行為等処罰に関する  法律 及び経済関係罰則の  整備 に関する法律の  罪以外 の罪については、当分の間、  二万円 )以下の  罰金 、拘留又は  科料 に当たる罪については、被疑者が定まつた  住居 を有しない場合又は  正当 な理由がなく  前条 の規定による  出頭 の求めに応じない場合に限る。

○2  裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる  相当 な理由があると認めるときは、  検察官 又は司法警察員(  警察官 たる司法警察員については、  国家公安委員会 又は都道府県公安委員会が  指定 する警部以上の者に限る。  以下本条 において同じ。)の請求により、  前項 の逮捕状を発する。但し、明らかに  逮捕 の必要がないと認めるときは、この限りでない。

○3  検察官又は司法警察員は、  第一項 の逮捕状を  請求 する場合において、  同一 の犯罪事実についてその  被疑者 に対し前に逮捕状の  請求 又はその発付があつたときは、その旨を  裁判所 に通知しなければならない。

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第二百条

 逮捕状には、被疑者の  氏名 及び住居、  罪名 、被疑事実の  要旨 、引致すべき  官公署 その他の場所、  有効期間 及びその期間経過後は  逮捕 をすることができず令状はこれを  返還 しなければならない旨並びに  発付 の年月日その  他裁判所 の規則で定める  事項 を記載し、  裁判官 が、これに記名押印しなければならない。

○2  第六十四条第二項及び第三項の  規定 は、逮捕状についてこれを  準用 する。

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第二百一条

 逮捕状により被疑者を  逮捕 するには、逮捕状を  被疑者 に示さなければならない。

○2  第七十三条第三項の規定は、  逮捕状 により被疑者を  逮捕 する場合にこれを  準用 する。

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第二百二条

 検察事務官又は司法巡査が  逮捕状 により被疑者を  逮捕 したときは、直ちに、検察事務官はこれを  検察官 に、司法巡査はこれを  司法警察員 に引致しなければならない。

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第二百三条

 司法警察員は、逮捕状により  被疑者 を逮捕したとき、又は  逮捕状 により逮捕された  被疑者 を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の  要旨 及び弁護人を  選任 することができる旨を告げた上、弁解の  機会 を与え、留置の  必要 がないと思料するときは直ちにこれを  釈放 し、留置の  必要 があると思料するときは  被疑者 が身体を  拘束 された時から四十八時間以内に  書類 及び証拠物とともにこれを  検察官 に送致する  手続 をしなければならない。

○2  前項の場合において、  被疑者 に弁護人の  有無 を尋ね、弁護人があるときは、  弁護人 を選任することができる旨は、これを告げることを要しない。

○3  司法警察員は、第三十七条の  二第一項 に規定する  事件 について第一項の  規定 により弁護人を  選任 することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き  勾留 を請求された  場合 において貧困その他の  事由 により自ら弁護人を  選任 することができないときは裁判官に対して  弁護人 の選任を  請求 することができる旨並びに  裁判官 に対して弁護人の  選任 を請求するには  資力申告書 を提出しなければならない旨及びその  資力 が基準額以上であるときは、あらかじめ、  弁護士会 (第三十七条の  三第二項 の規定により  第三十一条 の二第一項の  申出 をすべき弁護士会をいう。)に  弁護人 の選任の  申出 をしていなければならない旨を教示しなければならない。

○4  第一項の時間の  制限内 に送致の  手続 をしないときは、直ちに被疑者を  釈放 しなければならない。

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第二百四条

 検察官は、逮捕状により  被疑者 を逮捕したとき、又は  逮捕状 により逮捕された  被疑者 (前条の  規定 により送致された  被疑者 を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の  要旨 及び弁護人を  選任 することができる旨を告げた上、弁解の  機会 を与え、留置の  必要 がないと思料するときは直ちにこれを  釈放 し、留置の  必要 があると思料するときは  被疑者 が身体を  拘束 された時から四十八時間以内に  裁判官 に被疑者の  勾留 を請求しなければならない。但し、その  時間 の制限内に  公訴 を提起したときは、  勾留 の請求をすることを要しない。

○2  検察官は、第三十七条の  二第一項 に規定する  事件 について前項の  規定 により弁護人を  選任 することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き  勾留 を請求された  場合 において貧困その他の  事由 により自ら弁護人を  選任 することができないときは裁判官に対して  弁護人 の選任を  請求 することができる旨並びに  裁判官 に対して弁護人の  選任 を請求するには  資力申告書 を提出しなければならない旨及びその  資力 が基準額以上であるときは、あらかじめ、  弁護士会 (第三十七条の  三第二項 の規定により  第三十一条 の二第一項の  申出 をすべき弁護士会をいう。)に  弁護人 の選任の  申出 をしていなければならない旨を教示しなければならない。

3  第一項の時間の  制限内 に勾留の  請求 又は公訴の  提起 をしないときは、直ちに被疑者を  釈放 しなければならない。

4  前条第二項の規定は、  第一項 の場合にこれを  準用 する。

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第二百五条

 検察官は、第二百三条の  規定 により送致された  被疑者 を受け取つたときは、弁解の  機会 を与え、留置の  必要 がないと思料するときは直ちにこれを  釈放 し、留置の  必要 があると思料するときは  被疑者 を受け取つた時から二十四時間以内に  裁判官 に被疑者の  勾留 を請求しなければならない。

○2  前項の時間の  制限 は、被疑者が  身体 を拘束された時から  七十二時間 を超えることができない。

○3  前二項の時間の  制限内 に公訴を  提起 したときは、勾留の  請求 をすることを要しない。

○4  第一項及び第二項の  時間 の制限内に  勾留 の請求又は  公訴 の提起をしないときは、直ちに  被疑者 を釈放しなければならない。

○5  前条第二項の規定は、  検察官 が、第三十七条の  二第一項 に規定する  事件以外 の事件について  逮捕 され、第二百三条の  規定 により同項に  規定 する事件について  送致 された被疑者に対し、  第一項 の規定により  弁解 の機会を与える  場合 についてこれを準用する。ただし、  被疑者 に弁護人があるときは、この限りでない。

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第二百六条

 検察官又は司法警察員がやむを得ない  事情 によつて前三条の  時間 の制限に従うことができなかつたときは、  検察官 は、裁判官にその  事由 を疎明して、  被疑者 の勾留を  請求 することができる。

○2  前項の請求を受けた  裁判官 は、その遅延がやむを得ない  事由 に基く正当なものであると認める  場合 でなければ、勾留状を発することができない。

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第二百七条

 前三条の規定による  勾留 の請求を受けた  裁判官 は、その処分に関し  裁判所 又は裁判長と  同一 の権限を有する。但し、  保釈 については、この限りでない。

○2  前項の裁判官は、  第三十七条 の二第一項に  規定 する事件について  勾留 を請求された  被疑者 に被疑事件を告げる際に、  被疑者 に対し、弁護人を  選任 することができる旨及び貧困その他の  事由 により自ら弁護人を  選任 することができないときは弁護人の  選任 を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、  被疑者 に弁護人があるときは、この限りでない。

○3  前項の規定により  弁護人 の選任を  請求 することができる旨を告げるに当たつては、弁護人の  選任 を請求するには  資力申告書 を提出しなければならない旨及びその  資力 が基準額以上であるときは、あらかじめ、  弁護士会 (第三十七条の  三第二項 の規定により  第三十一条 の二第一項の  申出 をすべき弁護士会をいう。)に  弁護人 の選任の  申出 をしていなければならない旨を教示しなければならない。

4  裁判官は、第一項の  勾留 の請求を受けたときは、速やかに  勾留状 を発しなければならない。ただし、勾留の  理由 がないと認めるとき、及び前条第二項の  規定 により勾留状を発することができないときは、  勾留状 を発しないで、直ちに被疑者の  釈放 を命じなければならない。

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第二百八条

 前条の規定により  被疑者 を勾留した  事件 につき、勾留の  請求 をした日から十日以内に  公訴 を提起しないときは、  検察官 は、直ちに被疑者を  釈放 しなければならない。

○2  裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、  検察官 の請求により、  前項 の期間を  延長 することができる。この期間の  延長 は、通じて十日を超えることができない。

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第二百八条の二

 裁判官は、刑法第二編第二章 乃至第四章 又は第八章 の罪にあたる事件については、検察官の請求により、前条第二項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて五日を超えることができない。-------------------------------------------------

第二百九条

 第七十四条、第七十五条及び  第七十八条 の規定は、  逮捕状 による逮捕についてこれを  準用 する。

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第二百十条

 検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、死刑又は  無期 若しくは長期三年以上の  懲役 若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる  充分 な理由がある  場合 で、急速を要し、  裁判官 の逮捕状を求めることができないときは、その  理由 を告げて被疑者を  逮捕 することができる。この場合には、直ちに  裁判官 の逮捕状を求める  手続 をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに  被疑者 を釈放しなければならない。

○2  第二百条の規定は、  前項 の逮捕状についてこれを  準用 する。

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第二百十一条

 前条の規定により  被疑者 が逮捕された  場合 には、第百九十九条の  規定 により被疑者が  逮捕 された場合に関する  規定 を準用する。

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第二百十二条

 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。

○2  左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを  現行犯人 とみなす。

一  犯人として追呼されているとき。

二  贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる  兇器 その他の物を所持しているとき。

三  身体又は被服に  犯罪 の顕著な  証跡 があるとき。

四  誰何されて逃走しようとするとき。

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第二百十三条

 現行犯人は、何人でも、  逮捕状 なくしてこれを逮捕することができる。

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第二百十四条

 検察官、検察事務官及び  司法警察職員以外 の者は、現行犯人を  逮捕 したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは  区検察庁 の検察官又は  司法警察職員 に引き渡さなければならない。

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第二百十五条

 司法巡査は、現行犯人を受け取つたときは、速やかにこれを  司法警察員 に引致しなければならない。

○2  司法巡査は、犯人を受け取つた  場合 には、逮捕者の  氏名 、住居及び  逮捕 の事由を聴き取らなければならない。  必要 があるときは、逮捕者に対しともに  官公署 に行くことを求めることができる。

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第二百十六条

 現行犯人が逮捕された  場合 には、第百九十九条の  規定 により被疑者が  逮捕 された場合に関する  規定 を準用する。

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第二百十七条  三十万円(刑法 第二百十七条

、暴力行為等処罰に関する法律及び  経済関係罰則 の整備に関する  法律 の罪以外の罪については、  当分 の間、二万円)  以下 の罰金、  拘留 又は科料に当たる罪の  現行犯 については、犯人の  住居 若しくは氏名が明らかでない  場合 又は犯人が  逃亡 するおそれがある場合に限り、  第二百十三条 から前条までの  規定 を適用する。

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第二百十八条

 検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、犯罪の  捜査 をするについて必要があるときは、  裁判官 の発する令状により、  差押 、捜索又は  検証 をすることができる。この場合において  身体 の検査は、  身体検査令状 によらなければならない。

○2  身体の拘束を受けている  被疑者 の指紋若しくは  足型 を採取し、  身長 若しくは体重を  測定 し、又は写真を  撮影 するには、被疑者を裸にしない限り、  前項 の令状によることを要しない。

○3  第一項の令状は、  検察官 、検察事務官又は  司法警察員 の請求により、これを発する。

○4  検察官、検察事務官又は  司法警察員 は、身体検査令状の  請求 をするには、身体の  検査 を必要とする  理由 及び身体の  検査 を受ける者の性別、  健康状態 その他裁判所の  規則 で定める事項を示さなければならない。

○5  裁判官は、身体の  検査 に関し、適当と認める  条件 を附することができる。

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第二百十九条

 前条の令状には、  被疑者 若しくは被告人の  氏名 、罪名、差し押えるべき物、  捜索 すべき場所、  身体 若しくは物、検証すべき  場所 若しくは物又は検査すべき  身体 及び身体の  検査 に関する条件、  有効期間 及びその期間経過後は  差押 、捜索又は  検証 に着手することができず  令状 はこれを返還しなければならない  旨並 びに発付の  年月日 その他裁判所の  規則 で定める事項を  記載 し、裁判官が、これに  記名押印 しなければならない。

○2  第六十四条第二項の規定は、  前条 の令状についてこれを  準用 する。

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第二百二十条

 検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、第百九十九条の  規定 により被疑者を  逮捕 する場合又は  現行犯人 を逮捕する  場合 において必要があるときは、左の  処分 をすることができる。第二百十条の  規定 により被疑者を  逮捕 する場合において  必要 があるときも、同様である。

一  人の住居又は人の  看守 する邸宅、  建造物 若しくは船舶内に入り  被疑者 の捜索をすること。

二  逮捕の現場で  差押 、捜索又は  検証 をすること。

○2  前項後段の場合において  逮捕状 が得られなかつたときは、差押物は、直ちにこれを  還付 しなければならない。

○3  第一項の処分をするには、  令状 は、これを必要としない。

○4  第一項第二号及び前項の  規定 は、検察事務官又は  司法警察職員 が勾引状又は  勾留状 を執行する  場合 にこれを準用する。  被疑者 に対して発せられた勾引状又は  勾留状 を執行する  場合 には、第一項第一号の  規定 をも準用する。

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第二百二十一条

 検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、被疑者その他の者が  遺留 した物又は所有者、  所持者 若しくは保管者が  任意 に提出した物は、これを  領置 することができる。

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第二百二十二条

 第九十九条、第百条、  第百二条乃至第百五条 、第百十条乃至第百十二条、  第百十四条 、第百十五条及び  第百十八条乃至第百二十四条 の規定は、  検察官 、検察事務官又は  司法警察職員 が第二百十八条、  第二百二十条 及び前条の  規定 によつてする押収又は  捜索 について、第百十条、  第百十二条 、第百十四条、  第百十八条 、第百二十九条、  第百三十一条 及び第百三十七条乃至第百四十条の  規定 は、検察官、  検察事務官 又は司法警察職員が  第二百十八条 又は第二百二十条の  規定 によつてする検証についてこれを  準用 する。但し、司法巡査は、  第百二十二条乃至第百二十四条 に規定する  処分 をすることができない。

○2  第二百二十条の規定により  被疑者 を捜索する  場合 において急速を要するときは、  第百十四条第二項 の規定によることを要しない。

○3  第百十六条及び第百十七条の  規定 は、検察官、  検察事務官 又は司法警察職員が  第二百十八条 の規定によつてする  押収 又は捜索について、これを  準用 する。

○4  日出前、日没後には、  令状 に夜間でも  検証 をすることができる旨の記載がなければ、  検察官 、検察事務官又は  司法警察職員 は、第二百十八条の  規定 によつてする検証のため、人の  住居 又は人の看守する  邸宅 、建造物若しくは  船舶内 に入ることができない。但し、第百十七条に  規定 する場所については、この限りでない。

○5  日没前検証に着手したときは、  日没後 でもその処分を  継続 することができる。

○6  検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、第二百十八条の  規定 により差押、  捜索 又は検証をするについて  必要 があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができる。

○7  第一項の規定により、  身体 の検査を拒んだ者を  過料 に処し、又はこれに賠償を命ずべきときは、  裁判所 にその処分を  請求 しなければならない。

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第二百二十二条の二

 通信の当事者のいずれの  同意 も得ないで電気通信の  傍受 を行う強制の  処分 については、別に法律で定めるところによる。

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第二百二十三条

 検察官、検察事務官又は  司法警察職員 は、犯罪の  捜査 をするについて必要があるときは、  被疑者以外 の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに  鑑定 、通訳若しくは  翻訳 を嘱託することができる。

○2  第百九十八条第一項但書及び第三項乃至第五項の  規定 は、前項の  場合 にこれを準用する。

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第二百二十四条

 前条第一項の規定により  鑑定 を嘱託する  場合 において第百六十七条第一項に  規定 する処分を  必要 とするときは、検察官、  検察事務官 又は司法警察員は、  裁判官 にその処分を  請求 しなければならない。

○2  裁判官は、前項の  請求 を相当と認めるときは、  第百六十七条 の場合に準じてその  処分 をしなければならない。この場合には、  第百六十七条 の二の規定を  準用 する。

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第二百二十五条

 第二百二十三条第一項の規定による  鑑定 の嘱託を受けた者は、  裁判官 の許可を受けて、  第百六十八条第一項 に規定する  処分 をすることができる。

○2  前項の許可の  請求 は、検察官、  検察事務官 又は司法警察員からこれをしなければならない。

○3  裁判官は、前項の  請求 を相当と認めるときは、  許可状 を発しなければならない。

○4  第百六十八条第二項乃至第四項及び第六項の  規定 は、前項の  許可状 についてこれを準用する。

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第二百二十六条

 犯罪の捜査に欠くことのできない  知識 を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の  規定 による取調に対して、  出頭 又は供述を拒んだ  場合 には、第一回の  公判期日前 に限り、検察官は、  裁判官 にその者の証人尋問を  請求 することができる。

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第二百二十七条

 第二百二十三条第一項の規定による  検察官 、検察事務官又は  司法警察職員 の取調べに際して  任意 の供述をした者が、  公判期日 においては前にした供述と異なる  供述 をするおそれがあり、かつ、その者の供述が  犯罪 の証明に欠くことができないと認められる  場合 には、第一回の  公判期日前 に限り、検察官は、  裁判官 にその者の証人尋問を  請求 することができる。

○2  前項の請求をするには、  検察官 は、証人尋問を  必要 とする理由及びそれが  犯罪 の証明に欠くことができないものであることを  疎明 しなければならない。

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第二百二十八条

 前二条の請求を受けた  裁判官 は、証人の  尋問 に関し、裁判所又は  裁判長 と同一の  権限 を有する。

○2  裁判官は、捜査に  支障 を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、  被疑者 又は弁護人を  前項 の尋問に立ち会わせることができる。

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第二百二十九条

 変死者又は変死の疑のある  死体 があるときは、その所在地を  管轄 する地方検察庁又は  区検察庁 の検察官は、  検視 をしなければならない。

○2  検察官は、検察事務官又は  司法警察員 に前項の  処分 をさせることができる。

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第二百三十条

 犯罪により害を被つた者は、告訴をすることができる。

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第二百三十一条

 被害者の法定代理人は、  独立 して告訴をすることができる。

○2  被害者が死亡したときは、その  配偶者 、直系の  親族 又は兄弟姉妹は、  告訴 をすることができる。但し、被害者の  明示 した意思に反することはできない。

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第二百三十二条

 被害者の法定代理人が  被疑者 であるとき、被疑者の  配偶者 であるとき、又は被疑者の  四親等内 の血族若しくは  三親等内 の姻族であるときは、  被害者 の親族は、  独立 して告訴をすることができる。

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第二百三十三条

 死者の名誉を  毀損 した罪については、死者の  親族 又は子孫は、  告訴 をすることができる。

○2  名誉を毀損した罪について  被害者 が告訴をしないで  死亡 したときも、前項と  同様 である。但し、被害者の  明示 した意思に反することはできない。

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第二百三十四条

 親告罪について告訴をすることができる者がない  場合 には、検察官は、  利害関係人 の申立により  告訴 をすることができる者を指定することができる。

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第二百三十五条

 親告罪の告訴は、  犯人 を知つた日から六箇月を  経過 したときは、これをすることができない。ただし、次に掲げる告訴については、この限りでない。

一  刑法第百七十六条 から第百七十八条 まで、  第二百二十五条 若しくは第二百二十七条第一項(  第二百二十五条 の罪を犯した者を幇助する  目的 に係る部分に限る。)若しくは  第三項 の罪又はこれらの罪に係る未遂罪につき行う告訴

二  刑法第二百三十二条第二項 の規定により  外国 の代表者が行う  告訴 及び日本国に  派遣 された外国の  使節 に対する同法第二百三十条 又は  第二百三十一条 の罪につきその使節が行う告訴

○2  刑法第二百二十九条 但書の場合における  告訴 は、婚姻の  無効 又は取消の  裁判 が確定した日から  六箇月以内 にこれをしなければ、その効力がない。

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第二百三十六条

 告訴をすることができる者が数人ある  場合 には、一人の  期間 の徒過は、他の者に対しその  効力 を及ぼさない。

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第二百三十七条

 告訴は、公訴の  提起 があるまでこれを取り消すことができる。

○2  告訴の取消をした者は、更に  告訴 をすることができない。

○3  前二項の規定は、  請求 を待つて受理すべき  事件 についての請求についてこれを  準用 する。

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第二百三十八条

 親告罪について共犯の  一人 又は数人に対してした  告訴 又はその取消は、他の  共犯 に対しても、その効力を生ずる。

○2  前項の規定は、  告発 又は請求を待つて  受理 すべき事件についての  告発 若しくは請求又はその  取消 についてこれを準用する。

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第二百三十九条

 何人でも、犯罪があると  思料 するときは、告発をすることができる。

○2  官吏又は公吏は、その  職務 を行うことにより犯罪があると  思料 するときは、告発をしなければならない。

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第二百四十条

 告訴は、代理人によりこれをすることができる。  告訴 の取消についても、  同様 である。

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第二百四十一条

 告訴又は告発は、  書面 又は口頭で  検察官 又は司法警察員にこれをしなければならない。

○2  検察官又は司法警察員は、  口頭 による告訴又は  告発 を受けたときは調書を作らなければならない。

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第二百四十二条

 司法警察員は、告訴又は  告発 を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び  証拠物 を検察官に  送付 しなければならない。

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第二百四十三条

 前二条の規定は、  告訴 又は告発の  取消 についてこれを準用する。

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第二百四十四条

 刑法第二百三十二条第二項 の規定により  外国 の代表者が行う  告訴 又はその取消は、  第二百四十一条 及び前条の  規定 にかかわらず、外務大臣にこれをすることができる。  日本国 に派遣された  外国 の使節に対する  刑法第二百三十条 又は第二百三十一条 の罪につきその  使節 が行う告訴又はその  取消 も、同様である。

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第二百四十五条

 第二百四十一条及び第二百四十二条の  規定 は、自首についてこれを  準用 する。

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第二百四十六条

 司法警察員は、犯罪の  捜査 をしたときは、この法律に  特別 の定のある場合を除いては、速やかに  書類 及び証拠物とともに  事件 を検察官に  送致 しなければならない。但し、検察官が  指定 した事件については、この限りでない。

   第二章 公訴

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第二百四十七条

 公訴は、検察官がこれを行う。

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第二百四十八条

 犯人の性格、  年齢 及び境遇、  犯罪 の軽重及び  情状並 びに犯罪後の  情況 により訴追を  必要 としないときは、公訴を  提起 しないことができる。

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第二百四十九条

 公訴は、検察官の  指定 した被告人以外の者にその  効力 を及ぼさない。

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第二百五十条

 時効は、次に掲げる期間を  経過 することによつて完成する。

一  死刑に当たる罪については二十五年

二  無期の懲役又は  禁錮 に当たる罪については十五年

三  長期十五年以上の懲役又は  禁錮 に当たる罪については十年

四  長期十五年未満の懲役又は  禁錮 に当たる罪については七年

五  長期十年未満の懲役又は  禁錮 に当たる罪については五年

六  長期五年未満の懲役若しくは  禁錮 又は罰金に当たる罪については三年

七  拘留又は科料に当たる罪については一年

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第二百五十一条

 二以上の主刑を  併科 し、又は二以上の  主刑中 その一を科すべき罪については、その重い刑に従つて、前条の  規定 を適用する。

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第二百五十二条  刑法 第二百五十二条

により刑を加重し、又は減軽すべき  場合 には、加重し、又は  減軽 しない刑に従つて、第二百五十条の  規定 を適用する。

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第二百五十三条

 時効は、犯罪行為が終つた時から  進行 する。

○2  共犯の場合には、  最終 の行為が終つた時から、すべての  共犯 に対して時効の  期間 を起算する。

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第二百五十四条

 時効は、当該事件についてした  公訴 の提起によつてその  進行 を停止し、  管轄違 又は公訴棄却の  裁判 が確定した時からその  進行 を始める。

○2  共犯の一人に対してした  公訴 の提起による  時効 の停止は、他の  共犯 に対してその効力を有する。この  場合 において、停止した  時効 は、当該事件についてした  裁判 が確定した時からその  進行 を始める。

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第二百五十五条

 犯人が国外にいる  場合 又は犯人が逃げ隠れているため  有効 に起訴状の  謄本 の送達若しくは  略式命令 の告知ができなかつた  場合 には、時効は、その  国外 にいる期間又は逃げ隠れている  期間 その進行を  停止 する。

○2  犯人が国外にいること又は  犯人 が逃げ隠れているため有効に  起訴状 の謄本の  送達 若しくは略式命令の  告知 ができなかつたことの証明に  必要 な事項は、  裁判所 の規則でこれを定める。

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第二百五十六条

 公訴の提起は、  起訴状 を提出してこれをしなければならない。

○2  起訴状には、左の事項を  記載 しなければならない。

一  被告人の氏名その  他被告人 を特定するに足りる事項

二  公訴事実

三  罪名

○3  公訴事実は、訴因を  明示 してこれを記載しなければならない。  訴因 を明示するには、できる限り  日時 、場所及び  方法 を以て罪となるべき事実を  特定 してこれをしなければならない。

○4  罪名は、適用すべき  罰条 を示してこれを記載しなければならない。但し、  罰条 の記載の誤は、  被告人 の防禦に  実質的 な不利益を生ずる虞がない限り、  公訴提起 の効力に  影響 を及ぼさない。

○5  数個の訴因及び  罰条 は、予備的に又は  択一的 にこれを記載することができる。

○6  起訴状には、裁判官に  事件 につき予断を生ぜしめる虞のある  書類 その他の物を添附し、又はその  内容 を引用してはならない。

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第二百五十七条

 公訴は、第一審の  判決 があるまでこれを取り消すことができる。

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第二百五十八条

 検察官は、事件がその  所属検察庁 の対応する  裁判所 の管轄に属しないものと  思料 するときは、書類及び  証拠物 とともにその事件を  管轄裁判所 に対応する  検察庁 の検察官に  送致 しなければならない。

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第二百五十九条

 検察官は、事件につき  公訴 を提起しない  処分 をした場合において、  被疑者 の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。

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第二百六十条

 検察官は、告訴、  告発 又は請求のあつた  事件 について、公訴を  提起 し、又はこれを提起しない  処分 をしたときは、速やかにその旨を告訴人、  告発人 又は請求人に  通知 しなければならない。公訴を取り消し、又は  事件 を他の検察庁の  検察官 に送致したときも、  同様 である。

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第二百六十一条

 検察官は、告訴、  告発 又は請求のあつた  事件 について公訴を  提起 しない処分をした  場合 において、告訴人、  告発人 又は請求人の  請求 があるときは、速やかに告訴人、  告発人 又は請求人にその  理由 を告げなければならない。

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第二百六十二条  刑法第百九十三条 第二百六十二条

から第百九十六条 まで又は破壊活動防止法 (  昭和二十七年法律第二百四十号 )第四十五条 若しくは  無差別大量殺人行為 を行った  団体 の規制に関する  法律 (平成十一年法律第百四十七号)  第四十二条 若しくは第四十三条 の罪について  告訴 又は告発をした者は、  検察官 の公訴を  提起 しない処分に  不服 があるときは、その検察官所属の  検察庁 の所在地を  管轄 する地方裁判所に  事件 を裁判所の  審判 に付することを請求することができる。

○2  前項の請求は、  第二百六十条 の通知を受けた日から  七日以内 に、請求書を  公訴 を提起しない  処分 をした検察官に差し出してこれをしなければならない。

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第二百六十三条

 前条第一項の請求は、  第二百六十六条 の決定があるまでこれを取り下げることができる。

○2  前項の取下をした者は、その  事件 について更に前条第一項の  請求 をすることができない。

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第二百六十四条

 検察官は、第二百六十二条第一項の  請求 を理由があるものと認めるときは、  公訴 を提起しなければならない。

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第二百六十五条

 第二百六十二条第一項の請求についての  審理 及び裁判は、  合議体 でこれをしなければならない。

○2  裁判所は、必要があるときは、  合議体 の構成員に  事実 の取調をさせ、又は  地方裁判所 若しくは簡易裁判所の  裁判官 にこれを嘱託することができる。この  場合 には、受命裁判官及び  受託裁判官 は、裁判所又は  裁判長 と同一の  権限 を有する。

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第二百六十六条

 裁判所は、第二百六十二条第一項の  請求 を受けたときは、左の区別に従い、  決定 をしなければならない。

一  請求が法令上の  方式 に違反し、若しくは  請求権 の消滅後にされたものであるとき、又は  請求 が理由のないときは、  請求 を棄却する。

二  請求が理由のあるときは、  事件 を管轄地方裁判所の  審判 に付する。

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第二百六十七条

 前条第二号の決定があつたときは、その  事件 について公訴の  提起 があつたものとみなす。

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第二百六十八条

 裁判所は、第二百六十六条第二号の  規定 により事件がその  裁判所 の審判に付されたときは、その  事件 について公訴の  維持 にあたる者を弁護士の中から  指定 しなければならない。

○2  前項の指定を受けた  弁護士 は、事件について  公訴 を維持するため、  裁判 の確定に至るまで  検察官 の職務を行う。但し、  検察事務官 及び司法警察職員に対する  捜査 の指揮は、  検察官 に嘱託してこれをしなければならない。

○3  前項の規定により  検察官 の職務を行う  弁護士 は、これを法令により  公務 に従事する  職員 とみなす。

○4  裁判所は、第一項の  指定 を受けた弁護士がその  職務 を行うに適さないと認めるときその他特別の  事情 があるときは、何時でもその  指定 を取り消すことができる。

○5  第一項の指定を受けた  弁護士 には、政令で定める額の  手当 を給する。

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第二百六十九条

 裁判所は、第二百六十二条第一項の  請求 を棄却する  場合 又はその請求の  取下 があつた場合には、  決定 で、請求者に、その  請求 に関する手続によつて生じた  費用 の全部又は  一部 の賠償を命ずることができる。この  決定 に対しては、即時抗告をすることができる。

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第二百七十条

 検察官は、公訴の  提起後 は、訴訟に関する  書類 及び証拠物を  閲覧 し、且つ謄写することができる。

○2  前項の規定にかかわらず、  第百五十七条 の四第三項に  規定 する記録媒体は、  謄写 することができない。

   第三章 公判

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    第一節 公判準備及び公判手続

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第二百七十一条

 裁判所は、公訴の  提起 があつたときは、遅滞なく  起訴状 の謄本を  被告人 に送達しなければならない。

○2  公訴の提起があつた日から  二箇月以内 に起訴状の  謄本 が送達されないときは、  公訴 の提起は、さかのぼつてその  効力 を失う。

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第二百七十二条

 裁判所は、公訴の  提起 があつたときは、遅滞なく  被告人 に対し、弁護人を  選任 することができる旨及び貧困その他の  事由 により弁護人を  選任 することができないときは弁護人の  選任 を請求することができる旨を知らせなければならない。但し、  被告人 に弁護人があるときは、この限りでない。

○2  裁判所は、この法律により  弁護人 を要する場合を除いて、  前項 の規定により  弁護人 の選任を  請求 することができる旨を知らせるに当たつては、弁護人の  選任 を請求するには  資力申告書 を提出しなければならない旨及びその  資力 が基準額以上であるときは、あらかじめ、  弁護士会 (第三十六条の  三第一項 の規定により  第三十一条 の二第一項の  申出 をすべき弁護士会をいう。)に  弁護人 の選任の  申出 をしていなければならない旨を教示しなければならない。

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第二百七十三条

 裁判長は、公判期日を定めなければならない。

○2  公判期日には、被告人を  召喚 しなければならない。

○3  公判期日は、これを検察官、  弁護人 及び補佐人に  通知 しなければならない。

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第二百七十四条

 裁判所の構内にいる  被告人 に対し公判期日を  通知 したときは、召喚状の  送達 があつた場合と  同一 の効力を有する。

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第二百七十五条

 第一回の公判期日と  被告人 に対する召喚状の  送達 との間には、裁判所の  規則 で定める猶予期間を置かなければならない。

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第二百七十六条

 裁判所は、検察官、  被告人 若しくは弁護人の  請求 により又は職権で、  公判期日 を変更することができる。

○2  公判期日を変更するには、  裁判所 の規則の定めるところにより、あらかじめ、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴かなければならない。但し、  急速 を要する場合は、この限りでない。

○3  前項但書の場合には、  変更後 の公判期日において、まず、  検察官 及び被告人又は  弁護人 に対し、異議を申し立てる  機会 を与えなければならない。

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第二百七十七条

 裁判所がその権限を  濫用 して公判期日を  変更 したときは、訴訟関係人は、  最高裁判所 の規則又は  訓令 の定めるところにより、司法行政監督上の  措置 を求めることができる。

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第二百七十八条

 公判期日に召喚を受けた者が  病気 その他の事由によつて  出頭 することができないときは、裁判所の  規則 の定めるところにより、医師の  診断書 その他の資料を  提出 しなければならない。

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第二百七十八条の二

 裁判所は、必要と認めるときは、  検察官 又は弁護人に対し、  公判準備 又は公判期日に  出頭 し、かつ、これらの手続が行われている  間在席 し又は在廷することを命ずることができる。

○2  裁判長は、急速を要する  場合 には、前項に  規定 する命令をし、又は  合議体 の構成員にこれをさせることができる。

○3  前二項の規定による  命令 を受けた検察官又は  弁護人 が正当な  理由 がなくこれに従わないときは、決定で、  十万円以下 の過料に処し、かつ、その  命令 に従わないために生じた費用の  賠償 を命ずることができる。

○4  前項の決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

○5  裁判所は、第三項の  決定 をしたときは、検察官については  当該検察官 を指揮監督する  権限 を有する者に、弁護士である  弁護人 については当該弁護士の  所属 する弁護士会又は  日本弁護士連合会 に通知し、  適当 な処置をとるべきことを  請求 しなければならない。

○6  前項の規定による  請求 を受けた者は、そのとつた処置を  裁判所 に通知しなければならない。

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第二百七十九条

 裁判所は、検察官、  被告人 若しくは弁護人の  請求 により又は職権で、  公務所 又は公私の  団体 に照会して  必要 な事項の  報告 を求めることができる。

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第二百八十条

 公訴の提起があつた  後第一回 の公判期日までは、  勾留 に関する処分は、  裁判官 がこれを行う。

○2  第百九十九条若しくは第二百十条の  規定 により逮捕され、又は  現行犯人 として逮捕された  被疑者 でまだ勾留されていないものについて  第二百四条 又は第二百五条の  時間 の制限内に  公訴 の提起があつた  場合 には、裁判官は、速やかに、  被告事件 を告げ、これに関する陳述を聴き、  勾留状 を発しないときは、直ちにその釈放を命じなければならない。

○3  前二項の裁判官は、その  処分 に関し、裁判所又は  裁判長 と同一の  権限 を有する。

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第二百八十一条

 証人については、裁判所は、  第百五十八条 に掲げる事項を  考慮 した上、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴き必要と認めるときに限り、  公判期日外 においてこれを尋問することができる。

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第二百八十一条の二

 裁判所は、公判期日外における  証人尋問 に被告人が立ち会つた  場合 において、証人が  被告人 の面前(  第百五十七条 の三第一項に  規定 する措置を採る  場合 及び第百五十七条の  四第一項 に規定する  方法 による場合を含む。)においては  圧迫 を受け充分な  供述 をすることができないと認めるときは、弁護人が立ち会つている  場合 に限り、検察官及び  弁護人 の意見を聴き、その  証人 の供述中被告人を  退席 させることができる。この場合には、  供述終了後被告人 に証言の  要旨 を告知し、その  証人 を尋問する  機会 を与えなければならない。

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第二百八十一条の三

 弁護人は、検察官において  被告事件 の審理の  準備 のために閲覧又は  謄写 の機会を与えた  証拠 に係る複製等(  複製 その他証拠の  全部 又は一部をそのまま  記録 した物及び書面をいう。  以下同 じ。)を適正に  管理 し、その保管をみだりに  他人 にゆだねてはならない。

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第二百八十一条の四

 被告人若しくは弁護人(  第四百四十条 に規定する  弁護人 を含む。)又はこれらであつた者は、検察官において  被告事件 の審理の  準備 のために閲覧又は  謄写 の機会を与えた  証拠 に係る複製等を、次に掲げる  手続 又はその準備に  使用 する目的以外の  目的 で、人に交付し、又は  提示 し、若しくは電気通信回線を通じて  提供 してはならない。

一  当該被告事件の審理その他の  当該被告事件 に係る裁判のための審理

二  当該被告事件に関する次に掲げる手続

イ 第一編第十六章の規定による費用の補償の手続

ロ 第三百四十九条第一項の請求があつた  場合 の手続

ハ 第三百五十条の請求があつた  場合 の手続

ニ 上訴権回復の請求の手続

ホ 再審の請求の手続

ヘ 非常上告の手続

ト 第五百条第一項の申立ての手続

チ 第五百二条の申立ての手続

リ 刑事補償法 の規定による  補償 の請求の手続

○2  前項の規定に  違反 した場合の  措置 については、被告人の  防御権 を踏まえ、複製等の  内容 、行為の  目的 及び態様、  関係人 の名誉、その  私生活 又は業務の  平穏 を害されているかどうか、当該複製等に係る  証拠 が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その  取調 べの方法その他の  事情 を考慮するものとする。

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第二百八十一条の五

 被告人又は被告人であつた者が、  検察官 において被告事件の  審理 の準備のために  閲覧 又は謄写の  機会 を与えた証拠に係る  複製等 を、前条第一項各号に掲げる  手続 又はその準備に  使用 する目的以外の  目的 で、人に交付し、又は  提示 し、若しくは電気通信回線を通じて  提供 したときは、一年以下の  懲役 又は五十万円以下の  罰金 に処する。

○2  弁護人(第四百四十条に  規定 する弁護人を含む。  以下 この項において同じ。)又は弁護人であつた者が、  検察官 において被告事件の  審理 の準備のために  閲覧 又は謄写の  機会 を与えた証拠に係る  複製等 を、対価として  財産上 の利益その他の  利益 を得る目的で、人に  交付 し、又は提示し、若しくは  電気通信回線 を通じて提供したときも、  前項 と同様とする。

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第二百八十一条の六

 裁判所は、審理に  二日以上 を要する事件については、できる限り、  連日開廷 し、継続して  審理 を行わなければならない。

○2  訴訟関係人は、期日を  厳守 し、審理に  支障 を来さないようにしなければならない。

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第二百八十二条

 公判期日における取調は、  公判廷 でこれを行う。

○2  公判廷は、裁判官及び  裁判所書記 が列席し、且つ  検察官 が出席してこれを開く。

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第二百八十三条

 被告人が法人である  場合 には、代理人を  出頭 させることができる。

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第二百八十四条  五十万円(刑法 第二百八十四条

、暴力行為等処罰に関する法律及び  経済関係罰則 の整備に関する  法律 の罪以外の罪については、  当分 の間、五万円)  以下 の罰金又は  科料 に当たる事件については、  被告人 は、公判期日に  出頭 することを要しない。ただし、被告人は、  代理人 を出頭させることができる。

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第二百八十五条

 拘留にあたる事件の  被告人 は、判決の  宣告 をする場合には、  公判期日 に出頭しなければならない。その他の  場合 には、裁判所は、  被告人 の出頭がその  権利 の保護のため  重要 でないと認めるときは、被告人に対し  公判期日 に出頭しないことを許すことができる。

○2  長期三年以下の懲役若しくは  禁錮 又は五十万円(  刑法 、暴力行為等処罰に関する  法律 及び経済関係罰則の  整備 に関する法律の  罪以外 の罪については、当分の間、  五万円 )を超える罰金に当たる  事件 の被告人は、  第二百九十一条 の手続をする  場合 及び判決の  宣告 をする場合には、  公判期日 に出頭しなければならない。その他の  場合 には、前項後段の例による。

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第二百八十六条

 前三条に規定する  場合 の外、被告人が  公判期日 に出頭しないときは、  開廷 することはできない。

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第二百八十六条の二

 被告人が出頭しなければ  開廷 することができない場合において、  勾留 されている被告人が、  公判期日 に召喚を受け、  正当 な理由がなく  出頭 を拒否し、  刑事施設職員 による引致を著しく  困難 にしたときは、裁判所は、  被告人 が出頭しないでも、その  期日 の公判手続を行うことができる。

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第二百八十七条

 公判廷においては、被告人の  身体 を拘束してはならない。但し、  被告人 が暴力を振い又は  逃亡 を企てた場合は、この限りでない。

○2  被告人の身体を  拘束 しない場合にも、これに  看守者 を附することができる。

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第二百八十八条

 被告人は、裁判長の  許可 がなければ、退廷することができない。

○2  裁判長は、被告人を  在廷 させるため、又は法廷の  秩序 を維持するため  相当 な処分をすることができる。

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第二百八十九条

 死刑又は無期若しくは  長期三年 を超える懲役若しくは  禁錮 にあたる事件を  審理 する場合には、  弁護人 がなければ開廷することはできない。

○2  弁護人がなければ開廷することができない  場合 において、弁護人が  出頭 しないとき若しくは在廷しなくなつたとき、又は  弁護人 がないときは、裁判長は、  職権 で弁護人を付さなければならない。

○3  弁護人がなければ開廷することができない  場合 において、弁護人が  出頭 しないおそれがあるときは、裁判所は、  職権 で弁護人を付することができる。

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第二百九十条

 第三十七条各号の場合に  弁護人 が出頭しないときは、  裁判所 は、職権で  弁護人 を附することができる。

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第二百九十一条

 検察官は、まず、起訴状を  朗読 しなければならない。

○2  裁判長は、起訴状の  朗読 が終つた後、被告人に対し、  終始沈黙 し、又は個々の  質問 に対し陳述を拒むことができる旨その  他裁判所 の規則で定める  被告人 の権利を  保護 するため必要な  事項 を告げた上、被告人及び  弁護人 に対し、被告事件について  陳述 する機会を与えなければならない。

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第二百九十一条の二

 被告人が、前条第二項の  手続 に際し、起訴状に  記載 された訴因について  有罪 である旨を陳述したときは、  裁判所 は、検察官、  被告人 及び弁護人の  意見 を聴き、有罪である旨の  陳述 のあつた訴因に限り、  簡易公判手続 によつて審判をする旨の  決定 をすることができる。但し、死刑又は  無期 若しくは短期一年以上の  懲役 若しくは禁錮にあたる  事件 については、この限りでない。

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第二百九十一条の三

 裁判所は、前条の  決定 があつた事件が  簡易公判手続 によることができないものであり、又はこれによることが相当でないものであると認めるときは、その  決定 を取り消さなければならない。

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第二百九十二条

 証拠調べは、第二百九十一条の  手続 が終つた後、これを行う。ただし、次節第一款に定める  公判前整理手続 において争点及び  証拠 の整理のために行う  手続 については、この限りでない。

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第二百九十二条の二

 裁判所は、被害者又はその  法定代理人 (被害者が  死亡 した場合においては、その  配偶者 、直系の  親族 又は兄弟姉妹。  以下 この条において「被害者等」という。)から、  被害 に関する心情その他の  被告事件 に関する意見の  陳述 の申出があるときは、  公判期日 において、その意見を  陳述 させるものとする。

○2  前項の規定による  意見 の陳述の  申出 は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この  場合 において、検察官は、  意見 を付して、これを裁判所に  通知 するものとする。

○3  裁判長又は陪席の  裁判官 は、被害者等が  意見 を陳述した後、その  趣旨 を明確にするため、  当該被害者等 に質問することができる。

○4  訴訟関係人は、被害者等が  意見 を陳述した後、その  趣旨 を明確にするため、  裁判長 に告げて、当該被害者等に  質問 することができる。

○5  裁判長は、被害者等の  意見 の陳述又は  訴訟関係人 の被害者等に対する  質問 が既にした陳述若しくは  質問 と重複するとき、又は  事件 に関係のない  事項 にわたるときその他相当でないときは、これを  制限 することができる。

○6  第百五十七条の二、第百五十七条の三及び  第百五十七条 の四第一項の  規定 は、第一項の  規定 による意見の  陳述 について準用する。

○7  裁判所は、審理の  状況 その他の事情を  考慮 して、相当でないと認めるときは、  意見 の陳述に代え  意見 を記載した  書面 を提出させ、又は  意見 の陳述をさせないことができる。

○8  前項の規定により  書面 が提出された  場合 には、裁判長は、  公判期日 において、その旨を明らかにしなければならない。この場合において、  裁判長 は、相当と認めるときは、その  書面 を朗読し、又はその  要旨 を告げることができる。

○9  第一項の規定による  陳述 又は第七項の  規定 による書面は、  犯罪事実 の認定のための  証拠 とすることができない。

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第二百九十三条

 証拠調が終つた後、検察官は、  事実 及び法律の  適用 について意見を  陳述 しなければならない。

○2  被告人及び弁護人は、  意見 を陳述することができる。

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第二百九十四条

 公判期日における訴訟の  指揮 は、裁判長がこれを行う。

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第二百九十五条

 裁判長は、訴訟関係人のする  尋問 又は陳述が既にした  尋問 若しくは陳述と  重複 するとき、又は事件に  関係 のない事項にわたるときその  他相当 でないときは、訴訟関係人の  本質的 な権利を害しない限り、これを  制限 することができる。訴訟関係人の  被告人 に対する供述を求める  行為 についても同様である。

○2  裁判長は、証人、  鑑定人 、通訳人又は  翻訳人 を尋問する  場合 において、証人、  鑑定人 、通訳人若しくは  翻訳人 若しくはこれらの親族の  身体 若しくは財産に害を加え又はこれらの者を  畏怖 させ若しくは困惑させる  行為 がなされるおそれがあり、これらの者の住居、  勤務先 その他その通常所在する  場所 が特定される  事項 が明らかにされたならば証人、  鑑定人 、通訳人又は  翻訳人 が十分な  供述 をすることができないと認めるときは、当該事項についての  尋問 を制限することができる。ただし、  検察官 のする尋問を  制限 することにより犯罪の  証明 に重大な  支障 を生ずるおそれがあるとき、又は被告人若しくは  弁護人 のする尋問を  制限 することにより被告人の  防御 に実質的な  不利益 を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

○3  裁判所は、前二項の  規定 による命令を受けた  検察官 又は弁護士である  弁護人 がこれに従わなかつた場合には、  検察官 については当該検察官を  指揮監督 する権限を有する者に、  弁護士 である弁護人については  当該弁護士 の所属する  弁護士会 又は日本弁護士連合会に  通知 し、適当な  処置 をとるべきことを請求することができる。

○4  前項の規定による  請求 を受けた者は、そのとつた処置を  裁判所 に通知しなければならない。

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第二百九十六条

 証拠調のはじめに、検察官は、  証拠 により証明すべき  事実 を明らかにしなければならない。但し、証拠とすることができず、又は  証拠 としてその取調を  請求 する意思のない  資料 に基いて、裁判所に  事件 について偏見又は  予断 を生ぜしめる虞のある事項を述べることはできない。

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第二百九十七条

 裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴き、証拠調の  範囲 、順序及び  方法 を定めることができる。

○2  前項の手続は、  合議体 の構成員にこれをさせることができる。

○3  裁判所は、適当と認めるときは、  何時 でも、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴き、第一項の  規定 により定めた証拠調の  範囲 、順序又は  方法 を変更することができる。

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第二百九十八条

 検察官、被告人又は  弁護人 は、証拠調を  請求 することができる。

○2  裁判所は、必要と認めるときは、  職権 で証拠調をすることができる。

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第二百九十九条

 検察官、被告人又は  弁護人 が証人、  鑑定人 、通訳人又は  翻訳人 の尋問を  請求 するについては、あらかじめ、相手方に対し、その  氏名 及び住居を知る  機会 を与えなければならない。証拠書類又は  証拠物 の取調を  請求 するについては、あらかじめ、相手方にこれを  閲覧 する機会を与えなければならない。但し、  相手方 に異議のないときは、この限りでない。

○2  裁判所が職権で  証拠調 の決定をするについては、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴かなければならない。

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第二百九十九条の二

 検察官又は弁護人は、  前条第一項 の規定により  証人 、鑑定人、  通訳人 若しくは翻訳人の  氏名 及び住居を知る  機会 を与え又は証拠書類若しくは  証拠物 を閲覧する  機会 を与えるに当たり、証人、  鑑定人 、通訳人若しくは  翻訳人 若しくは証拠書類若しくは  証拠物 にその氏名が  記載 されている者若しくはこれらの親族の  身体 若しくは財産に害を加え又はこれらの者を  畏怖 させ若しくは困惑させる  行為 がなされるおそれがあると認めるときは、相手方に対し、その旨を告げ、これらの者の  住居 、勤務先その他その  通常所在 する場所が  特定 される事項が、  犯罪 の証明若しくは  犯罪 の捜査又は  被告人 の防御に関し  必要 がある場合を除き、  関係者 (被告人を含む。)に知られないようにすることその他これらの者の  安全 が脅かされることがないように配慮することを求めることができる。

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第三百条

 第三百二十一条第一項第二号後段の規定により  証拠 とすることができる書面については、  検察官 は、必ずその取調を  請求 しなければならない。

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第三百一条

 第三百二十二条及び第三百二十四条第一項の  規定 により証拠とすることができる  被告人 の供述が  自白 である場合には、  犯罪事実 に関する他の証拠が取り調べられた後でなければ、その  取調 を請求することはできない。

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第三百二条

 第三百二十一条乃至第三百二十三条又は第三百二十六条の  規定 により証拠とすることができる  書面 が捜査記録の  一部 であるときは、検察官は、できる限り他の  部分 と分離してその  取調 を請求しなければならない。

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第三百三条

 公判準備においてした証人その他の者の  尋問 、検証、  押収 及び捜索の  結果 を記載した  書面並 びに押収した物については、  裁判所 は、公判期日において  証拠書類 又は証拠物としてこれを取り調べなければならない。

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第三百四条

 証人、鑑定人、  通訳人 又は翻訳人は、  裁判長 又は陪席の  裁判官 が、まず、これを尋問する。

○2  検察官、被告人又は  弁護人 は、前項の  尋問 が終つた後、裁判長に告げて、その  証人 、鑑定人、  通訳人 又は翻訳人を  尋問 することができる。この場合において、その  証人 、鑑定人、  通訳人 又は翻訳人の  取調 が、検察官、  被告人 又は弁護人の  請求 にかかるものであるときは、請求をした者が、先に  尋問 する。

○3  裁判所は、適当と認めるときは、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴き、  前二項 の尋問の  順序 を変更することができる。

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第三百四条の二

 裁判所は、証人を  尋問 する場合において、  証人 が被告人の  面前 (第百五十七条の  三第一項 に規定する  措置 を採る場合及び  第百五十七条 の四第一項に  規定 する方法による  場合 を含む。)においては圧迫を受け  充分 な供述をすることができないと認めるときは、  弁護人 が出頭している  場合 に限り、検察官及び  弁護人 の意見を聴き、その  証人 の供述中被告人を  退廷 させることができる。この場合には、  供述終了後被告人 を入廷させ、これに  証言 の要旨を  告知 し、その証人を  尋問 する機会を与えなければならない。

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第三百五条

 検察官、被告人又は  弁護人 の請求により、  証拠書類 の取調をするについては、  裁判長 は、その取調を  請求 した者にこれを朗読させなければならない。但し、  裁判長 は、自らこれを朗読し、又は  陪席 の裁判官若しくは  裁判所書記 にこれを朗読させることができる。

○2  裁判所が職権で  証拠書類 の取調をするについては、  裁判長 は、自らその書類を  朗読 し、又は陪席の  裁判官 若しくは裁判所書記にこれを  朗読 させなければならない。

○3  第百五十七条の四第三項の  規定 により記録媒体がその  一部 とされた調書の  取調 べについては、前二項による  朗読 に代えて、当該記録媒体を  再生 するものとする。ただし、裁判長は、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴き、  相当 と認めるときは、当該記録媒体の  再生 に代えて、当該調書の  取調 べを請求した者、  陪席 の裁判官若しくは  裁判所書記官 に当該調書に  記録 された供述の  内容 を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。

○4  裁判所は、前項の  規定 により第百五十七条の  四第三項 に規定する  記録媒体 を再生する  場合 において、必要と認めるときは、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴き、  第百五十七条 の三に規定する  措置 を採ることができる。

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第三百六条

 検察官、被告人又は  弁護人 の請求により、  証拠物 の取調をするについては、  裁判長 は、請求をした者をしてこれを示させなければならない。但し、  裁判長 は、自らこれを示し、又は陪席の  裁判官 若しくは裁判所書記にこれを示させることができる。

○2  裁判所が職権で  証拠物 の取調をするについては、  裁判長 は、自らこれを訴訟関係人に示し、又は  陪席 の裁判官若しくは  裁判所書記 にこれを示させなければならない。

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第三百七条

 証拠物中書面の意義が  証拠 となるものの取調をするについては、  前条 の規定による外、  第三百五条 の規定による。

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第三百七条の二

 第二百九十一条の二の決定があつた  事件 については、第二百九十六条、  第二百九十七条 、第三百条乃至第三百二条及び  第三百四条乃至前条 の規定は、これを  適用 せず、証拠調は、  公判期日 において、適当と認める  方法 でこれを行うことができる。

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第三百八条

 裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人に対し、  証拠 の証明力を争うために  必要 とする適当な  機会 を与えなければならない。

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第三百九条

 検察官、被告人又は  弁護人 は、証拠調に関し  異議 を申し立てることができる。

○2  検察官、被告人又は  弁護人 は、前項に  規定 する場合の外、  裁判長 の処分に対して  異議 を申し立てることができる。

○3  裁判所は、前二項の  申立 について決定をしなければならない。

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第三百十条

 証拠調を終つた証拠書類又は  証拠物 は、遅滞なくこれを  裁判所 に提出しなければならない。但し、  裁判所 の許可を得たときは、  原本 に代え、その謄本を  提出 することができる。

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第三百十一条

 被告人は、終始沈黙し、又は  個々 の質問に対し、  供述 を拒むことができる。

○2  被告人が任意に  供述 をする場合には、  裁判長 は、何時でも  必要 とする事項につき  被告人 の供述を求めることができる。

○3  陪席の裁判官、  検察官 、弁護人、  共同被告人 又はその弁護人は、  裁判長 に告げて、前項の  供述 を求めることができる。

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第三百十二条

 裁判所は、検察官の  請求 があるときは、公訴事実の  同一性 を害しない限度において、  起訴状 に記載された  訴因 又は罰条の  追加 、撤回又は  変更 を許さなければならない。

○2  裁判所は、審理の  経過 に鑑み適当と認めるときは、  訴因 又は罰条を  追加 又は変更すべきことを命ずることができる。

○3  裁判所は、訴因又は  罰条 の追加、  撤回 又は変更があつたときは、速やかに  追加 、撤回又は  変更 された部分を  被告人 に通知しなければならない。

○4  裁判所は、訴因又は  罰条 の追加又は  変更 により被告人の  防禦 に実質的な  不利益 を生ずる虞があると認めるときは、被告人又は  弁護人 の請求により、  決定 で、被告人に  充分 な防禦の  準備 をさせるため必要な  期間公判手続 を停止しなければならない。

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第三百十三条

 裁判所は、適当と認めるときは、  検察官 、被告人若しくは  弁護人 の請求により又は  職権 で、決定を以て、  弁論 を分離し若しくは  併合 し、又は終結した  弁論 を再開することができる。

○2  裁判所は、被告人の  権利 を保護するため  必要 があるときは、裁判所の  規則 の定めるところにより、決定を以て  弁論 を分離しなければならない。

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第三百十三条の二

 この法律の  規定 に基づいて裁判所若しくは  裁判長 又は裁判官が付した  弁護人 の選任は、  弁論 が併合された  事件 についてもその効力を有する。ただし、  裁判所 がこれと異なる決定をしたときは、この限りでない。

○2  前項ただし書の決定をするには、あらかじめ、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴かなければならない。

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第三百十四条

 被告人が心神喪失の  状態 に在るときは、検察官及び  弁護人 の意見を聴き、  決定 で、その状態の続いている  間公判手続 を停止しなければならない。但し、  無罪 、免訴、刑の  免除 又は公訴棄却の  裁判 をすべきことが明らかな場合には、  被告人 の出頭を待たないで、直ちにその  裁判 をすることができる。

○2  被告人が病気のため  出頭 することができないときは、検察官及び  弁護人 の意見を聴き、  決定 で、出頭することができるまで  公判手続 を停止しなければならない。但し、  第二百八十四条 及び第二百八十五条の  規定 により代理人を  出頭 させた場合は、この限りでない。

○3  犯罪事実の存否の  証明 に欠くことのできない証人が  病気 のため公判期日に  出頭 することができないときは、公判期日外においてその  取調 をするのを適当と認める  場合 の外、決定で、  出頭 することができるまで公判手続を  停止 しなければならない。

○4  前三項の規定により  公判手続 を停止するには、  医師 の意見を聴かなければならない。

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第三百十五条

 開廷後裁判官がかわつたときは、公判手続を  更新 しなければならない。但し、判決の  宣告 をする場合は、この限りでない。

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第三百十五条の二

 第二百九十一条の二の決定が取り消されたときは、  公判手続 を更新しなければならない。但し、  検察官 及び被告人又は  弁護人 に異議がないときは、この限りでない。

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第三百十六条

 地方裁判所又は家庭裁判所において  一人 の裁判官のした  訴訟手続 は、被告事件が  合議体 で審判すべきものであつた  場合 にも、その効力を失わない。

    第一節の二 争点及び証拠の整理手続

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     第一款 公判前整理手続

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      第一目 通則

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第三百十六条の二

 裁判所は、充実した  公判 の審理を  継続的 、計画的かつ  迅速 に行うため必要があると認めるときは、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴いて、  第一回公判期日前 に、決定で、  事件 の争点及び  証拠 を整理するための  公判準備 として、事件を  公判前整理手続 に付することができる。

○2  公判前整理手続は、この款に定めるところにより、訴訟関係人を  出頭 させて陳述させ、又は  訴訟関係人 に書面を  提出 させる方法により、行うものとする。

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第三百十六条の三

 裁判所は、充実した  公判 の審理を  継続的 、計画的かつ  迅速 に行うことができるよう、公判前整理手続において、  十分 な準備が行われるようにするとともに、できる限り  早期 にこれを終結させるように努めなければならない。

○2  訴訟関係人は、充実した  公判 の審理を  継続的 、計画的かつ  迅速 に行うことができるよう、公判前整理手続において、  相互 に協力するとともに、その  実施 に関し、裁判所に進んで  協力 しなければならない。

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第三百十六条の四

 公判前整理手続においては、被告人に  弁護人 がなければその手続を行うことができない。

○2  公判前整理手続において被告人に  弁護人 がないときは、裁判長は、  職権 で弁護人を付さなければならない。

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第三百十六条の五

 公判前整理手続においては、次に掲げる事項を行うことができる。

一  訴因又は罰条を  明確 にさせること。

二  訴因又は罰条の  追加 、撤回又は  変更 を許すこと。

三  公判期日においてすることを予定している  主張 を明らかにさせて事件の  争点 を整理すること。

四  証拠調べの請求をさせること。

五  前号の請求に係る  証拠 について、その立証趣旨、  尋問事項等 を明らかにさせること。

六  証拠調べの請求に関する  意見 (証拠書類について  第三百二十六条 の同意をするかどうかの  意見 を含む。)を確かめること。

七  証拠調べをする決定又は  証拠調 べの請求を  却下 する決定をすること。

八  証拠調べをする決定をした  証拠 について、その取調べの  順序 及び方法を定めること。

九  証拠調べに関する異議の  申立 てに対して決定をすること。

十  第三目の定めるところにより証拠開示に関する  裁定 をすること。

十一  公判期日を定め、又は変更することその  他公判手続 の進行上必要な  事項 を定めること。

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第三百十六条の六

 裁判長は、訴訟関係人を  出頭 させて公判前整理手続をするときは、  公判前整理手続期日 を定めなければならない。

○2  公判前整理手続期日は、これを検察官、  被告人 及び弁護人に  通知 しなければならない。

○3  裁判長は、検察官、  被告人 若しくは弁護人の  請求 により又は職権で、  公判前整理手続期日 を変更することができる。この  場合 においては、裁判所の  規則 の定めるところにより、あらかじめ、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴かなければならない。

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第三百十六条の七

 公判前整理手続期日に検察官又は  弁護人 が出頭しないときは、その  期日 の手続を行うことができない。

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第三百十六条の八

 弁護人が公判前整理手続期日に  出頭 しないとき、又は在席しなくなつたときは、  裁判長 は、職権で  弁護人 を付さなければならない。

○2  弁護人が公判前整理手続期日に  出頭 しないおそれがあるときは、裁判所は、  職権 で弁護人を付することができる。

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第三百十六条の九

 被告人は、公判前整理手続期日に  出頭 することができる。

○2  裁判所は、必要と認めるときは、  被告人 に対し、公判前整理手続期日に  出頭 することを求めることができる。

○3  裁判長は、被告人を  出頭 させて公判前整理手続をする  場合 には、被告人が  出頭 する最初の  公判前整理手続期日 において、まず、被告人に対し、  終始沈黙 し、又は個々の  質問 に対し陳述を拒むことができる旨を  告知 しなければならない。

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第三百十六条の十

 裁判所は、弁護人の  陳述 又は弁護人が  提出 する書面について  被告人 の意思を確かめる  必要 があると認めるときは、公判前整理手続期日において  被告人 に対し質問を発し、及び  弁護人 に対し被告人と  連署 した書面の  提出 を求めることができる。

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第三百十六条の十一

 裁判所は、合議体の  構成員 に命じ、公判前整理手続(  第三百十六条 の五第二号、  第七号 、第九号及び  第十号 の決定を除く。)をさせることができる。この  場合 において、受命裁判官は、  裁判所 又は裁判長と  同一 の権限を有する。

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第三百十六条の十二

 公判前整理手続期日には、裁判所書記官を立ち会わせなければならない。

○2  公判前整理手続期日における手続については、  裁判所 の規則の定めるところにより、  公判前整理手続調書 を作成しなければならない。

      第二目 争点及び証拠の整理

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第三百十六条の十三

 検察官は、事件が  公判前整理手続 に付されたときは、その証明予定事実(  公判期日 において証拠により  証明 しようとする事実をいう。  以下同 じ。)を記載した  書面 を、裁判所に  提出 し、及び被告人又は  弁護人 に送付しなければならない。この  場合 においては、当該書面には、  証拠 とすることができず、又は証拠としてその  取調 べを請求する  意思 のない資料に基づいて、  裁判所 に事件について  偏見 又は予断を生じさせるおそれのある  事項 を記載することができない。

○2  検察官は、前項の  証明予定事実 を証明するために用いる  証拠 の取調べを  請求 しなければならない。

○3  前項の規定により  証拠 の取調べを  請求 するについては、第二百九十九条第一項の  規定 は適用しない。

○4  裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴いた上で、第一項の  書面 の提出及び  送付並 びに第二項の  請求 の期限を定めるものとする。

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第三百十六条の十四

 検察官は、前条第二項の  規定 により取調べを  請求 した証拠(  以下 「検察官請求証拠」という。)については、速やかに、  被告人 又は弁護人に対し、次の  各号 に掲げる証拠の  区分 に応じ、当該各号に定める  方法 による開示をしなければならない。

一  証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は  証拠物 を閲覧する  機会 (弁護人に対しては、  閲覧 し、かつ、謄写する  機会 )を与えること。

二  証人、鑑定人、  通訳人 又は翻訳人 その  氏名 及び住居を知る  機会 を与え、かつ、その者の供述録取書等(  供述書 、供述を  録取 した書面で  供述者 の署名若しくは  押印 のあるもの又は映像若しくは  音声 を記録することができる  記録媒体 であつて供述を  記録 したものをいう。以下同じ。)のうち、その者が  公判期日 において供述すると  思料 する内容が明らかになるもの(  当該供述録取書等 が存在しないとき、又はこれを  閲覧 させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が  公判期日 において供述すると  思料 する内容の  要旨 を記載した  書面 )を閲覧する  機会 (弁護人に対しては、  閲覧 し、かつ、謄写する  機会 )を与えること。

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第三百十六条の十五

 検察官は、前条の  規定 による開示をした  証拠以外 の証拠であつて、次の  各号 に掲げる証拠の  類型 のいずれかに該当し、かつ、  特定 の検察官請求証拠の  証明力 を判断するために  重要 であると認められるものについて、被告人又は  弁護人 から開示の  請求 があつた場合において、その  重要性 の程度その他の  被告人 の防御の  準備 のために当該開示をすることの  必要性 の程度並びに  当該開示 によつて生じるおそれのある弊害の  内容 及び程度を  考慮 し、相当と認めるときは、速やかに、  同条第一号 に定める方法による  開示 をしなければならない。この場合において、  検察官 は、必要と認めるときは、  開示 の時期若しくは  方法 を指定し、又は  条件 を付することができる。

一  証拠物

二  第三百二十一条第二項に規定する  裁判所 又は裁判官の  検証 の結果を  記載 した書面

三  第三百二十一条第三項に規定する  書面 又はこれに準ずる書面

四  第三百二十一条第四項に規定する  書面 又はこれに準ずる書面

五  次に掲げる者の供述録取書等

イ 検察官が証人として  尋問 を請求した者

ロ 検察官が取調べを  請求 した供述録取書等の  供述者 であつて、当該供述録取書等が  第三百二十六条 の同意がされない  場合 には、検察官が  証人 として尋問を  請求 することを予定しているもの

六  前号に掲げるもののほか、被告人以外の者の  供述録取書等 であつて、検察官が  特定 の検察官請求証拠により  直接証明 しようとする事実の  有無 に関する供述を  内容 とするもの

七  被告人の供述録取書等

八  取調べ状況の  記録 に関する準則に基づき、  検察官 、検察事務官又は  司法警察職員 が職務上作成することを  義務付 けられている書面であつて、  身体 の拘束を受けている者の  取調 べに関し、その年月日、  時間 、場所その他の  取調 べの状況を  記録 したもの(被告人に係るものに限る。)

○2  被告人又は弁護人は、  前項 の開示の  請求 をするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。

一  前項各号に掲げる証拠の  類型 及び開示の  請求 に係る証拠を  識別 するに足りる事項

二  事案の内容、  特定 の検察官請求証拠に  対応 する証明予定事実、  開示 の請求に係る  証拠 と当該検察官請求証拠との  関係 その他の事情に照らし、  当該開示 の請求に係る  証拠 が当該検察官請求証拠の  証明力 を判断するために  重要 であることその他の被告人の  防御 の準備のために  当該開示 が必要である理由

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第三百十六条の十六

 被告人又は弁護人は、  第三百十六条 の十三第一項の  書面 の送付を受け、かつ、  第三百十六条 の十四及び  前条第一項 の規定による  開示 をすべき証拠の  開示 を受けたときは、検察官請求証拠について、  第三百二十六条 の同意をするかどうか又はその  取調 べの請求に関し  異議 がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。

○2  裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴いた上で、前項の  意見 を明らかにすべき期限を定めることができる。

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第三百十六条の十七

 被告人又は弁護人は、  第三百十六条 の十三第一項の  書面 の送付を受け、かつ、  第三百十六条 の十四及び  第三百十六条 の十五第一項の  規定 による開示をすべき  証拠 の開示を受けた  場合 において、その証明予定事実その他の  公判期日 においてすることを予定している  事実上 及び法律上の  主張 があるときは、裁判所及び  検察官 に対し、これを明らかにしなければならない。この場合においては、  第三百十六条 の十三第一項後段の  規定 を準用する。

○2  被告人又は弁護人は、  前項 の証明予定事実があるときは、これを  証明 するために用いる証拠の  取調 べを請求しなければならない。この  場合 においては、第三百十六条の  十三第三項 の規定を  準用 する。

○3  裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴いた上で、第一項の  主張 を明らかにすべき期限及び  前項 の請求の  期限 を定めることができる。

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第三百十六条の十八

 被告人又は弁護人は、  前条第二項 の規定により  取調 べを請求した  証拠 については、速やかに、検察官に対し、次の  各号 に掲げる証拠の  区分 に応じ、当該各号に定める  方法 による開示をしなければならない。

一  証拠書類又は証拠物 当該証拠書類又は  証拠物 を閲覧し、かつ、  謄写 する機会を与えること。

二  証人、鑑定人、  通訳人 又は翻訳人 その  氏名 及び住居を知る  機会 を与え、かつ、その者の供述録取書等のうち、その者が  公判期日 において供述すると  思料 する内容が明らかになるもの(  当該供述録取書等 が存在しないとき、又はこれを  閲覧 させることが相当でないと認めるときにあつては、その者が  公判期日 において供述すると  思料 する内容の  要旨 を記載した  書面 )を閲覧し、かつ、  謄写 する機会を与えること。

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第三百十六条の十九

 検察官は、前条の  規定 による開示をすべき  証拠 の開示を受けたときは、  第三百十六条 の十七第二項の  規定 により被告人又は  弁護人 が取調べを  請求 した証拠について、  第三百二十六条 の同意をするかどうか又はその  取調 べの請求に関し  異議 がないかどうかの意見を明らかにしなければならない。

○2  裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴いた上で、前項の  意見 を明らかにすべき期限を定めることができる。

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第三百十六条の二十

 検察官は、第三百十六条の  十四 及び第三百十六条の  十五第一項 の規定による  開示 をした証拠以外の  証拠 であつて、第三百十六条の  十七第一項 の主張に  関連 すると認められるものについて、被告人又は  弁護人 から開示の  請求 があつた場合において、その  関連性 の程度その他の  被告人 の防御の  準備 のために当該開示をすることの  必要性 の程度並びに  当該開示 によつて生じるおそれのある弊害の  内容 及び程度を  考慮 し、相当と認めるときは、速やかに、  第三百十六条 の十四第一号に定める  方法 による開示をしなければならない。この  場合 において、検察官は、  必要 と認めるときは、開示の  時期 若しくは方法を  指定 し、又は条件を付することができる。

○2  被告人又は弁護人は、  前項 の開示の  請求 をするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。

一  開示の請求に係る  証拠 を識別するに足りる事項

二  第三百十六条の十七第一項の  主張 と開示の  請求 に係る証拠との  関連性 その他の被告人の  防御 の準備のために  当該開示 が必要である理由

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第三百十六条の二十一

 検察官は、第三百十六条の  十三 から前条までに  規定 する手続が終わつた後、その  証明予定事実 を追加し又は  変更 する必要があると認めるときは、速やかに、その  追加 し又は変更すべき  証明予定事実 を記載した  書面 を、裁判所に  提出 し、及び被告人又は  弁護人 に送付しなければならない。この  場合 においては、第三百十六条の  十三第一項後段 の規定を  準用 する。

○2  検察官は、その証明予定事実を  証明 するために用いる証拠の  取調 べの請求を  追加 する必要があると認めるときは、速やかに、その  追加 すべき証拠の  取調 べを請求しなければならない。この  場合 においては、第三百十六条の  十三第三項 の規定を  準用 する。

○3  裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴いた上で、第一項の  書面 の提出及び  送付並 びに前項の  請求 の期限を定めることができる。

○4  第三百十六条の十四から  第三百十六条 の十六までの  規定 は、第二項の  規定 により検察官が  取調 べを請求した  証拠 についてこれを準用する。

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第三百十六条の二十二

 被告人又は弁護人は、  第三百十六条 の十三から  第三百十六条 の二十までに  規定 する手続が終わつた後、  第三百十六条 の十七第一項の  主張 を追加し又は  変更 する必要があると認めるときは、速やかに、  裁判所 及び検察官に対し、その  追加 し又は変更すべき  主張 を明らかにしなければならない。この場合においては、  第三百十六条 の十三第一項後段の  規定 を準用する。

○2  被告人又は弁護人は、その  証明予定事実 を証明するために用いる  証拠 の取調べの  請求 を追加する  必要 があると認めるときは、速やかに、その追加すべき  証拠 の取調べを  請求 しなければならない。この場合においては、  第三百十六条 の十三第三項の  規定 を準用する。

○3  裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴いた上で、第一項の  主張 を明らかにすべき期限及び  前項 の請求の  期限 を定めることができる。

○4  第三百十六条の十八及び  第三百十六条 の十九の  規定 は、第二項の  規定 により被告人又は  弁護人 が取調べを  請求 した証拠についてこれを  準用 する。

○5  第三百十六条の二十の  規定 は、第一項の  追加 し又は変更すべき  主張 に関連すると認められる  証拠 についてこれを準用する。

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第三百十六条の二十三

 第二百九十九条の二の規定は、  検察官 又は弁護人がこの目の  規定 による証拠の  開示 をする場合についてこれを  準用 する。

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第三百十六条の二十四

 裁判所は、公判前整理手続を  終了 するに当たり、検察官及び  被告人 又は弁護人との間で、  事件 の争点及び  証拠 の整理の  結果 を確認しなければならない。

      第三目 証拠開示に関する裁定

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第三百十六条の二十五

 裁判所は、証拠の  開示 の必要性の  程度並 びに証拠の  開示 によつて生じるおそれのある弊害の  内容 及び程度その他の  事情 を考慮して、  必要 と認めるときは、第三百十六条の  十四 (第三百十六条の  二十一第四項 において準用する  場合 を含む。)の規定による  開示 をすべき証拠については  検察官 の請求により、  第三百十六条 の十八(  第三百十六条 の二十二第四項において  準用 する場合を含む。)の  規定 による開示をすべき  証拠 については被告人又は  弁護人 の請求により、  決定 で、当該証拠の  開示 の時期若しくは  方法 を指定し、又は  条件 を付することができる。

○2  裁判所は、前項の  請求 について決定をするときは、  相手方 の意見を聴かなければならない。

○3  第一項の請求についてした  決定 に対しては、即時抗告をすることができる。

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第三百十六条の二十六

 裁判所は、検察官が  第三百十六条 の十四若しくは  第三百十六条 の十五第一項(  第三百十六条 の二十一第四項においてこれらの  規定 を準用する  場合 を含む。)若しくは第三百十六条の  二十第一項 (第三百十六条の  二十二第五項 において準用する  場合 を含む。)の規定による  開示 をすべき証拠を  開示 していないと認めるとき、又は被告人若しくは  弁護人 が第三百十六条の  十八 (第三百十六条の  二十二第四項 において準用する  場合 を含む。)の規定による  開示 をすべき証拠を  開示 していないと認めるときは、相手方の  請求 により、決定で、  当該証拠 の開示を命じなければならない。この  場合 において、裁判所は、  開示 の時期若しくは  方法 を指定し、又は  条件 を付することができる。

○2  裁判所は、前項の  請求 について決定をするときは、  相手方 の意見を聴かなければならない。

○3  第一項の請求についてした  決定 に対しては、即時抗告をすることができる。

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第三百十六条の二十七

 裁判所は、第三百十六条の  二十五第一項 又は前条第一項の  請求 について決定をするに当たり、  必要 があると認めるときは、検察官、  被告人 又は弁護人に対し、  当該請求 に係る証拠の  提示 を命ずることができる。この場合においては、  裁判所 は、何人にも、  当該証拠 の閲覧又は  謄写 をさせることができない。

○2  裁判所は、被告人又は  弁護人 がする前条第一項の  請求 について決定をするに当たり、  必要 があると認めるときは、検察官に対し、その  保管 する証拠であつて、  裁判所 の指定する  範囲 に属するものの標目を  記載 した一覧表の  提示 を命ずることができる。この場合においては、  裁判所 は、何人にも、  当該一覧表 の閲覧又は  謄写 をさせることができない。

○3  第一項の規定は  第三百十六条 の二十五第三項又は  前条第三項 の即時抗告が  係属 する抗告裁判所について、  前項 の規定は  同条第三項 の即時抗告が  係属 する抗告裁判所について、それぞれ  準用 する。

     第二款 期日間整理手続

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第三百十六条の二十八

 裁判所は、審理の  経過 にかんがみ必要と認めるときは、  検察官 及び被告人又は  弁護人 の意見を聴いて、  第一回公判期日後 に、決定で、  事件 の争点及び  証拠 を整理するための  公判準備 として、事件を  期日間整理手続 に付することができる。

○2  期日間整理手続については、前款(  第三百十六条 の二第一項及び  第三百十六条 の九第三項を除く。)の  規定 を準用する。この  場合 において、検察官、  被告人 又は弁護人が  前項 の決定前に  取調 べを請求している  証拠 については、期日間整理手続において  取調 べを請求した  証拠 とみなし、第三百十六条の六から  第三百十六条 の十まで及び第三百十六条の  十二中 「公判前整理手続期日」とあるのは「  期日間整理手続期日 」と、同条第二項中「  公判前整理手続調書 」とあるのは「期日間整理手続調書」と読み替えるものとする。

     第三款 公判手続の特例

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第三百十六条の二十九

 公判前整理手続又は期日間整理手続に付された  事件 を審理する  場合 には、第二百八十九条第一項に  規定 する事件に  該当 しないときであつても、弁護人がなければ  開廷 することはできない。

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第三百十六条の三十

 公判前整理手続に付された事件については、  被告人 又は弁護人は、  証拠 により証明すべき  事実 その他の事実上及び  法律上 の主張があるときは、  第二百九十六条 の手続に引き続き、これを明らかにしなければならない。この  場合 においては、同条ただし書の  規定 を準用する。

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第三百十六条の三十一

 公判前整理手続に付された事件については、  裁判所 は、裁判所の  規則 の定めるところにより、前条の  手続 が終わつた後、公判期日において、  当該公判前整理手続 の結果を明らかにしなければならない。

○2  期日間整理手続に付された事件については、  裁判所 は、裁判所の  規則 の定めるところにより、その手続が終わつた後、  公判期日 において、当該期日間整理手続の  結果 を明らかにしなければならない。

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第三百十六条の三十二

 公判前整理手続又は期日間整理手続に付された  事件 については、検察官及び  被告人 又は弁護人は、  第二百九十八条第一項 の規定にかかわらず、やむを得ない  事由 によつて公判前整理手続又は  期日間整理手続 において請求することができなかつたものを除き、  当該公判前整理手続 又は期日間整理手続が終わつた後には、  証拠調 べを請求することができない。

○2  前項の規定は、  裁判所 が、必要と認めるときに、  職権 で証拠調べをすることを妨げるものではない。

    第二節 証拠

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第三百十七条

 事実の認定は、  証拠 による。

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第三百十八条

 証拠の証明力は、  裁判官 の自由な  判断 に委ねる。

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第三百十九条

 強制、拷問又は  脅迫 による自白、  不当 に長く抑留又は  拘禁 された後の自白その  他任意 にされたものでない疑のある自白は、これを  証拠 とすることができない。

○2  被告人は、公判廷における  自白 であると否とを問わず、その自白が  自己 に不利益な  唯一 の証拠である  場合 には、有罪とされない。

○3  前二項の自白には、  起訴 された犯罪について  有罪 であることを自認する  場合 を含む。

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第三百二十条

 第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する  場合 を除いては、公判期日における  供述 に代えて書面を  証拠 とし、又は公判期日外における他の者の  供述 を内容とする  供述 を証拠とすることはできない。

○2  第二百九十一条の二の決定があつた  事件 の証拠については、  前項 の規定は、これを  適用 しない。但し、検察官、  被告人 又は弁護人が  証拠 とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。

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第三百二十一条

 被告人以外の者が作成した  供述書 又はその者の供述を  録取 した書面で  供述者 の署名若しくは  押印 のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを  証拠 とすることができる。

一  裁判官の面前(  第百五十七条 の四第一項に  規定 する方法による  場合 を含む。)における供述を  録取 した書面については、その  供述者 が死亡、  精神 若しくは身体の  故障 、所在不明若しくは  国外 にいるため公判準備若しくは  公判期日 において供述することができないとき、又は  供述者 が公判準備若しくは  公判期日 において前の供述と異つた  供述 をしたとき。

二  検察官の面前における  供述 を録取した  書面 については、その供述者が  死亡 、精神若しくは  身体 の故障、  所在不明 若しくは国外にいるため  公判準備 若しくは公判期日において  供述 することができないとき、又は公判準備若しくは  公判期日 において前の供述と  相反 するか若しくは実質的に異つた  供述 をしたとき。但し、公判準備又は  公判期日 における供述よりも前の  供述 を信用すべき  特別 の情況の存するときに限る。

三  前二号に掲げる書面以外の  書面 については、供述者が  死亡 、精神若しくは  身体 の故障、  所在不明 又は国外にいるため  公判準備 又は公判期日において  供述 することができず、且つ、その供述が  犯罪事実 の存否の  証明 に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に  信用 すべき情況の下にされたものであるときに限る。

○2  被告人以外の者の公判準備若しくは  公判期日 における供述を  録取 した書面又は  裁判所 若しくは裁判官の  検証 の結果を  記載 した書面は、  前項 の規定にかかわらず、これを  証拠 とすることができる。

○3  検察官、検察事務官又は  司法警察職員 の検証の  結果 を記載した  書面 は、その供述者が  公判期日 において証人として  尋問 を受け、その真正に  作成 されたものであることを供述したときは、  第一項 の規定にかかわらず、これを  証拠 とすることができる。

○4  鑑定の経過及び  結果 を記載した  書面 で鑑定人の  作成 したものについても、前項と  同様 である。

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第三百二十一条の二

 被告事件の公判準備若しくは  公判期日 における手続以外の  刑事手続 又は他の事件の  刑事手続 において第百五十七条の  四第一項 に規定する  方法 によりされた証人の  尋問 及び供述並びにその  状況 を記録した  記録媒体 がその一部とされた  調書 は、前条第一項の  規定 にかかわらず、証拠とすることができる。この  場合 において、裁判所は、その  調書 を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その  供述者 を証人として  尋問 する機会を与えなければならない。

○2  前項の規定により  調書 を取り調べる場合においては、  第三百五条第三項 ただし書の規定は、  適用 しない。

○3  第一項の規定により取り調べられた  調書 に記録された  証人 の供述は、  第二百九十五条第一項前段並 びに前条第一項第一号及び  第二号 の適用については、  被告事件 の公判期日においてされたものとみなす。

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第三百二十二条

 被告人が作成した  供述書 又は被告人の  供述 を録取した  書面 で被告人の  署名 若しくは押印のあるものは、その  供述 が被告人に  不利益 な事実の  承認 を内容とするものであるとき、又は特に  信用 すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを  証拠 とすることができる。但し、被告人に  不利益 な事実の  承認 を内容とする  書面 は、その承認が  自白 でない場合においても、  第三百十九条 の規定に準じ、  任意 にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。

○2  被告人の公判準備又は  公判期日 における供述を  録取 した書面は、その  供述 が任意にされたものであると認めるときに限り、これを  証拠 とすることができる。

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第三百二十三条

 前三条に掲げる書面以外の  書面 は、次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。

一  戸籍謄本、公正証書謄本その  他公務員 (外国の  公務員 を含む。)がその職務上証明することができる  事実 についてその公務員の  作成 した書面

二  商業帳簿、航海日誌その  他業務 の通常の  過程 において作成された書面

三  前二号に掲げるものの外特に  信用 すべき情況の下に  作成 された書面

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第三百二十四条

 被告人以外の者の公判準備又は  公判期日 における供述で  被告人 の供述をその  内容 とするものについては、第三百二十二条の  規定 を準用する。

○2  被告人以外の者の公判準備又は  公判期日 における供述で  被告人以外 の者の供述をその  内容 とするものについては、第三百二十一条第一項第三号の  規定 を準用する。

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第三百二十五条

 裁判所は、第三百二十一条から  前条 までの規定により  証拠 とすることができる書面又は  供述 であつても、あらかじめ、その書面に  記載 された供述又は  公判準備 若しくは公判期日における  供述 の内容となつた他の者の  供述 が任意にされたものかどうかを  調査 した後でなければ、これを証拠とすることができない。

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第三百二十六条

 検察官及び被告人が  証拠 とすることに同意した  書面 又は供述は、その  書面 が作成され又は  供述 のされたときの情況を  考慮 し相当と認めるときに限り、  第三百二十一条乃至前条 の規定にかかわらず、これを  証拠 とすることができる。

○2  被告人が出頭しないでも  証拠調 を行うことができる場合において、  被告人 が出頭しないときは、  前項 の同意があつたものとみなす。但し、  代理人 又は弁護人が  出頭 したときは、この限りでない。

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第三百二十七条

 裁判所は、検察官及び  被告人 又は弁護人が  合意 の上、文書の  内容 又は公判期日に  出頭 すれば供述することが  予想 されるその供述の  内容 を書面に  記載 して提出したときは、その  文書 又は供述すべき者を取り調べないでも、その  書面 を証拠とすることができる。この  場合 においても、その書面の  証明力 を争うことを妨げない。

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第三百二十八条

 第三百二十一条乃至第三百二十四条の規定により  証拠 とすることができない書面又は  供述 であつても、公判準備又は  公判期日 における被告人、  証人 その他の者の供述の  証明力 を争うためには、これを証拠とすることができる。

    第三節 公判の裁判

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第三百二十九条

 被告事件が裁判所の  管轄 に属しないときは、判決で  管轄違 の言渡をしなければならない。但し、  第二百六十六条第二号 の規定により  地方裁判所 の審判に付された  事件 については、管轄違の  言渡 をすることはできない。

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第三百三十条

 高等裁判所は、その特別権限に属する  事件 として公訴の  提起 があつた場合において、その  事件 が下級の  裁判所 の管轄に属するものと認めるときは、  前条 の規定にかかわらず、  決定 で管轄裁判所にこれを  移送 しなければならない。

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第三百三十一条

 裁判所は、被告人の  申立 がなければ、土地管轄について、  管轄違 の言渡をすることができない。

○2  管轄違の申立は、  被告事件 につき証拠調を  開始 した後は、これをすることができない。

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第三百三十二条

 簡易裁判所は、地方裁判所において  審判 するのを相当と認めるときは、  決定 で管轄地方裁判所にこれを  移送 しなければならない。

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第三百三十三条

 被告事件について犯罪の  証明 があつたときは、第三百三十四条の  場合 を除いては、判決で刑の  言渡 をしなければならない。

○2  刑の執行猶予は、刑の  言渡 しと同時に、  判決 でその言渡しをしなければならない。  刑法第二十五条 の二第一項 の  規定 により保護観察に付する  場合 も、同様である。

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第三百三十四条

 被告事件について刑を免除するときは、  判決 でその旨の言渡をしなければならない。

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第三百三十五条

 有罪の言渡をするには、罪となるべき  事実 、証拠の  標目 及び法令の  適用 を示さなければならない。

○2  法律上犯罪の成立を妨げる  理由 又は刑の加重減免の  理由 となる事実が  主張 されたときは、これに対する判断を示さなければならない。

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第三百三十六条

 被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について  犯罪 の証明がないときは、  判決 で無罪の  言渡 をしなければならない。

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第三百三十七条

 左の場合には、  判決 で免訴の  言渡 をしなければならない。

一  確定判決を経たとき。

二  犯罪後の法令により刑が  廃止 されたとき。

三  大赦があつたとき。

四  時効が完成したとき。

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第三百三十八条

 左の場合には、  判決 で公訴を  棄却 しなければならない。

一  被告人に対して裁判権を有しないとき。

二  第三百四十条の規定に  違反 して公訴が  提起 されたとき。

三  公訴の提起があつた  事件 について、更に同一裁判所に  公訴 が提起されたとき。

四  公訴提起の手続がその  規定 に違反したため  無効 であるとき。

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第三百三十九条

 左の場合には、  決定 で公訴を  棄却 しなければならない。

一  第二百七十一条第二項の規定により  公訴 の提起がその  効力 を失つたとき。

二  起訴状に記載された  事実 が真実であつても、何らの罪となるべき  事実 を包含していないとき。

三  公訴が取り消されたとき。

四  被告人が死亡し、又は  被告人 たる法人が  存続 しなくなつたとき。

五  第十条又は第十一条の  規定 により審判してはならないとき。

○2  前項の決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

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第三百四十条

 公訴の取消による  公訴棄却 の決定が  確定 したときは、公訴の  取消後犯罪事実 につきあらたに重要な  証拠 を発見した  場合 に限り、同一事件について更に  公訴 を提起することができる。

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第三百四十一条

 被告人が陳述をせず、  許可 を受けないで退廷し、又は  秩序維持 のため裁判長から  退廷 を命ぜられたときは、その陳述を聴かないで  判決 をすることができる。

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第三百四十二条

 判決は、公判廷において、  宣告 によりこれを告知する。

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第三百四十三条

 禁錮以上の刑に処する判決の  宣告 があつたときは、保釈又は  勾留 の執行停止は、その  効力 を失う。この場合には、あらたに  保釈 又は勾留の  執行停止 の決定がないときに限り、  第九十八条 の規定を  準用 する。

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第三百四十四条

 禁錮以上の刑に処する判決の  宣告 があつた後は、第六十条第二項但書及び  第八十九条 の規定は、これを  適用 しない。

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第三百四十五条

 無罪、免訴、刑の  免除 、刑の執行猶予、  公訴棄却 (第三百三十八条第四号による  場合 を除く。)、罰金又は  科料 の裁判の  告知 があつたときは、勾留状は、その  効力 を失う。

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第三百四十六条

 押収した物について、没収の  言渡 がないときは、押収を解く  言渡 があつたものとする。

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第三百四十七条

 押収した贓物で  被害者 に還付すべき  理由 が明らかなものは、これを被害者に  還付 する言渡をしなければならない。

○2  贓物の対価として得た物について、  被害者 から交付の  請求 があつたときは、前項の例による。

○3  仮に還付した物について、  別段 の言渡がないときは、  還付 の言渡があつたものとする。

○4  前三項の規定は、  民事訴訟 の手続に従い、  利害関係人 がその権利を  主張 することを妨げない。

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第三百四十八条

 裁判所は、罰金、  科料 又は追徴を言い渡す  場合 において、判決の  確定 を待つてはその執行をすることができず、又はその  執行 をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、  検察官 の請求により又は  職権 で、被告人に対し、仮に  罰金 、科料又は  追徴 に相当する  金額 を納付すべきことを命ずることができる。

○2  仮納付の裁判は、刑の  言渡 と同時に、  判決 でその言渡をしなければならない。

○3  仮納付の裁判は、直ちにこれを  執行 することができる。

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第三百四十九条

 刑の執行猶予の  言渡 を取り消すべき場合には、  検察官 は、刑の言渡を受けた者の  現在地 又は最後の  住所地 を管轄する  地方裁判所 、家庭裁判所又は  簡易裁判所 に対しその請求をしなければならない。

○2  刑法第二十六条の二第二号 の  規定 により刑の執行猶予の  言渡 しを取り消すべき場合には、  前項 の請求は、  保護観察所 の長の申出に基づいてこれをしなければならない。

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第三百四十九条の二

 前条の請求があつたときは、  裁判所 は、猶予の  言渡 を受けた者又はその代理人の  意見 を聴いて決定をしなければならない。

○2  前項の場合において、その  請求 が刑法第二十六条の  二第二号 の規定による  猶予 の言渡しの  取消 しを求めるものであつて、猶予の  言渡 しを受けた者の請求があるときは、  口頭弁論 を経なければならない。

○3  第一項の決定をするについて  口頭弁論 を経る場合には、  猶予 の言渡を受けた者は、  弁護人 を選任することができる。

○4  第一項の決定をするについて  口頭弁論 を経る場合には、  検察官 は、裁判所の  許可 を得て、保護観察官に  意見 を述べさせることができる。

○5  第一項の決定に対しては、  即時抗告 をすることができる。

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第三百五十条  刑法第五十二条 第三百五十条

の規定により刑を定むべき場合には、  検察官 は、その犯罪事実について  最終 の判決をした  裁判所 にその請求をしなければならない。この  場合 には、前条第一項及び  第五項 の規定を  準用 する。

   第四章 即決裁判手続

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    第一節 即決裁判手続の申立て

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第三百五十条の二

 検察官は、公訴を  提起 しようとする事件について、  事案 が明白であり、かつ、  軽微 であること、証拠調べが速やかに終わると  見込 まれることその他の事情を  考慮 し、相当と認めるときは、  公訴 の提起と  同時 に、書面により  即決裁判手続 の申立てをすることができる。ただし、  死刑 又は無期若しくは  短期一年以上 の懲役若しくは  禁錮 に当たる事件については、この限りでない。

○2  前項の申立ては、  即決裁判手続 によることについての被疑者の  同意 がなければ、これをすることができない。

○3  検察官は、被疑者に対し、  前項 の同意をするかどうかの  確認 を求めるときは、これを書面でしなければならない。この  場合 において、検察官は、  被疑者 に対し、即決裁判手続を  理解 させるために必要な  事項 (被疑者に  弁護人 がないときは、次条の  規定 により弁護人を  選任 することができる旨を含む。)を説明し、  通常 の規定に従い  審判 を受けることができる旨を告げなければならない。

○4  被疑者に弁護人がある  場合 には、第一項の  申立 ては、被疑者が  第二項 の同意をするほか、  弁護人 が即決裁判手続によることについて  同意 をし又はその意見を  留保 しているときに限り、これをすることができる。

○5  被疑者が第二項の  同意 をし、及び弁護人が  前項 の同意をし又はその  意見 を留保するときは、  書面 でその旨を明らかにしなければならない。

○6  第一項の書面には、  前項 の書面を  添付 しなければならない。

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第三百五十条の三

 前条第三項の確認を求められた  被疑者 が即決裁判手続によることについて  同意 をするかどうかを明らかにしようとする場合において、  被疑者 が貧困その他の  事由 により弁護人を  選任 することができないときは、裁判官は、その  請求 により、被疑者のため  弁護人 を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が  選任 した弁護人がある  場合 は、この限りでない。

○2  第三十七条の三の規定は、  前項 の請求をする  場合 についてこれを準用する。

    第二節 公判準備及び公判手続の特例

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第三百五十条の四

 即決裁判手続の申立てがあつた  場合 において、被告人に  弁護人 がないときは、裁判長は、できる限り速やかに、  職権 で弁護人を付さなければならない。

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第三百五十条の五

 検察官は、即決裁判手続の  申立 てをした事件について、  被告人 又は弁護人に対し、  第二百九十九条第一項 の規定により  証拠書類 を閲覧する  機会 その他の同項に  規定 する機会を与えるべき  場合 には、できる限り速やかに、その機会を与えなければならない。

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第三百五十条の六

 裁判所は、即決裁判手続の  申立 てがあつた事件について、  弁護人 が即決裁判手続によることについてその  意見 を留保しているとき、又は  即決裁判手続 の申立てがあつた後に  弁護人 が選任されたときは、  弁護人 に対し、できる限り速やかに、即決裁判手続によることについて  同意 をするかどうかの確認を求めなければならない。

○2  弁護人は、前項の  同意 をするときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。

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第三百五十条の七

 裁判長は、即決裁判手続の  申立 てがあつたときは、検察官及び  被告人 又は弁護人の  意見 を聴いた上で、その申立て後(  前条第一項 に規定する  場合 においては、同項の  同意 があつた後)、できる限り早い時期の  公判期日 を定めなければならない。

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第三百五十条の八

 裁判所は、即決裁判手続の  申立 てがあつた事件について、  第二百九十一条第二項 の手続に際し、  被告人 が起訴状に  記載 された訴因について  有罪 である旨の陳述をしたときは、次に掲げる  場合 を除き、即決裁判手続によつて  審判 をする旨の決定をしなければならない。

一  第三百五十条の二第二項又は  第四項 の同意が  撤回 されたとき。

二  第三百五十条の六第一項に  規定 する場合において、  同項 の同意がされなかつたとき、又はその  同意 が撤回されたとき。

三  前二号に掲げるもののほか、当該事件が  即決裁判手続 によることができないものであると認めるとき。

四  当該事件が即決裁判手続によることが  相当 でないものであると認めるとき。

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第三百五十条の九

 前条の手続を行う  公判期日 及び即決裁判手続による  公判期日 については、弁護人がないときは、これを開くことができない。

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第三百五十条の十

 第三百五十条の八の決定のための  審理 及び即決裁判手続による  審判 については、第二百八十四条、  第二百八十五条 、第二百九十六条、  第二百九十七条 、第三百条から  第三百二条 まで及び第三百四条から  第三百七条 までの規定は、これを  適用 しない。

○2  即決裁判手続による証拠調べは、  公判期日 において、適当と認める  方法 でこれを行うことができる。

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第三百五十条の十一

 裁判所は、第三百五十条の八の  決定 があつた事件について、次の  各号 のいずれかに該当することとなつた  場合 には、当該決定を取り消さなければならない。

一  判決の言渡し前に、  被告人 又は弁護人が  即決裁判手続 によることについての同意を  撤回 したとき。

二  判決の言渡し前に、  被告人 が起訴状に  記載 された訴因について  有罪 である旨の陳述を  撤回 したとき。

三  前二号に掲げるもののほか、当該事件が  即決裁判手続 によることができないものであると認めるとき。

四  当該事件が即決裁判手続によることが  相当 でないものであると認めるとき。

○2  前項の規定により  第三百五十条 の八の決定が取り消されたときは、  公判手続 を更新しなければならない。ただし、  検察官 及び被告人又は  弁護人 に異議がないときは、この限りでない。

    第三節 証拠の特例

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第三百五十条の十二

 第三百五十条の八の決定があつた  事件 の証拠については、  第三百二十条第一項 の規定は、これを  適用 しない。ただし、検察官、  被告人 又は弁護人が  証拠 とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。

    第四節 公判の裁判の特例

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第三百五十条の十三

 裁判所は、第三百五十条の八の  決定 があつた事件については、できる限り、  即日判決 の言渡しをしなければならない。

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