第一章 総則

第一条 (目的)

 この法律は、  国税 の滞納処分その他の  徴収 に関する手続の  執行 について必要な  事項 を定め、私法秩序との  調整 を図りつつ、国民の  納税義務 の適正な  実現 を通じて国税収入を  確保 することを目的とする。

第二条 (定義)

 この法律において、次の  各号 に掲げる用語の  意義 は、当該各号に定めるところによる。

一  国税 国が課する税のうち関税、とん税及び  特別 とん税以外のものをいう。

二  地方税 地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)  第一条第一項第十四号 (用語)に  規定 する地方団体の  徴収金 (都、特別区及び  全部事務組合 のこれに相当する  徴収金 を含む。)をいう。

三  消費税等 消費税、酒税、たばこ税、  揮発油税 、地方道路税、  石油ガ ス税及び石油石炭税をいう。

四  附帯税 国税のうち延滞税、  利子税 、過少申告加算税、  無申告加算税 、不納付加算税及び  重加算税 をいう。

五  公課 滞納処分の例により徴収することができる  債権 のうち国税(その  滞納処分費 を含む。以下同じ。)及び  地方税以外 のものをいう。

六  納税者 国税に関する法律の  規定 により国税(  国税通則法 (昭和三十七年法律第六十六号)  第二条第二号 (定義)に  規定 する源泉徴収による  国税 を除く。)を納める義務がある者及び  当該源泉徴収 による国税を  徴収 して国に納付しなければならない者をいう。

七  第二次納税義務者 第三十三条から第三十九条まで(  無限責任社員等 の第二次納税義務)又は  第四十一条 (人格のない  社団等 に係る第二次納税義務)の  規定 により納税者の  国税 を納付する  義務 を負う者をいう。

八  保証人 国税に関する法律の  規定 により納税者の  国税 の納付について  保証 をした者をいう。

九  滞納者 納税者でその納付すべき  国税 をその納付の  期限 (国税通則法第四十七条第一項 (  納税 の猶予)に  規定 する納税の  猶予 又は徴収若しくは  滞納処分 に関する猶予に係る  期限 を除く。)までに納付しないものをいう。

十  法定納期限 国税に関する法律の  規定 により国税を  納付 すべき期限(次に掲げる  国税 については、それぞれ次に定める期限又は日)をいう。この  場合 において、国税通則法第三十八条第二項 (  繰上請求 )に規定する  繰上 げに係る期限及び  所得税法 (昭和四十年法律第三十三号)若しくは  相続税法 (昭和二十五年法律第七十三号)の  規定 による延納、  国税通則法第四十七条第一項 に規定する  納税 の猶予又は  徴収 若しくは滞納処分に関する  猶予 に係る期限は、  当該国税 を納付すべき  期限 に含まれないものとする。

イ 国税通則法第三十五条第二項 (期限後申告等による  納付 )の規定により  納付 すべき国税 その  国税 の額をその国税に係る  同法第十七条第二項 (期限内申告書)に  規定 する期限内申告書に  記載 された納付すべき  税額 とみなして国税に関する  法律 の規定を  適用 した場合におけるその  国税 を納付すべき期限

ロ 国税に関する法律の  規定 により国税を  納付 すべき期限とされている  日後 に納税の  告知 がされた国税(ハ又はニに掲げる  国税 に該当するものを除く。) 当該期限

ハ 国税に関する法律の  規定 により一定の  事実 が生じた場合に直ちに  徴収 するものとされている賦課課税方式による  国税当該事実 が生じた日

ニ 附帯税又は滞納処分費 その  納付 又は徴収の  基因 となる国税を  納付 すべき期限(  当該国税 がイからハまでに掲げる国税に  該当 する場合には、それぞれ  当該国税 に係るイからハまでに掲げる期限(  地価税 に係る過少申告加算税、  無申告加算税 及び国税通則法第三十五条第三項 (  過少申告加算税等 の納付)に  規定 する重加算税については、先に  到来 する期限)又は日)

十一  徴収職員 税務署長その他国税の  徴収 に関する事務に  従事 する職員をいう。

十二  強制換価手続 滞納処分(その例による処分を含む。  以下同 じ。)、強制執行、  担保権 の実行としての  競売 、企業担保権の  実行手続 及び破産手続をいう。

十三  執行機関 滞納処分を執行する  行政機関 その他の者(以下「  行政機関等 」という。)、裁判所(  民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)  第百六十七条 の二第二項 (  少額訴訟債権執行 の開始)に  規定 する少額訴訟債権執行にあつては、  裁判所書記官 )、執行官及び  破産管財人 をいう。

第三条 (人格のない社団等に対するこの法律の適用)

 法人でない社団又は  財団 で代表者又は  管理人 の定めがあるもの(以下「  人格 のない社団等」という。)は、  法人 とみなして、この法律の  規定 を適用する。

第四条  削除

第五条  削除

第六条  削除

第七条  削除

   第二章 国税と他の債権との調整

    第一節 一般的優先の原則

第八条 (国税優先の原則)

 国税は、納税者の  総財産 について、この章に別段の定がある  場合 を除き、すべての公課その他の  債権 に先だつて徴収する。

第九条 (強制換価手続の費用の優先)

 納税者の財産につき  強制換価手続 が行われた場合において、  国税 の交付要求をしたときは、その  国税 は、その手続により  配当 すべき金銭(  以下 この章において「換価代金」という。)につき、その  手続 に係る費用に次いで  徴収 する。

第十条 (直接の滞納処分費の優先)

 納税者の財産を  国税 の滞納処分により  換価 したときは、その滞納処分に係る  滞納処分費 は、次条、  第十四条 から第十七条まで(  担保 を徴した国税の  優先等 )、第十九条から  第二十一条 まで(先取特権等の  優先 )及び第二十三条(  法定納期限等以前 にされた仮登記により  担保 される債権の  優先等 )の規定にかかわらず、その  換価代金 につき、他の国税、  地方税 その他の債権に  先立 つて徴収する。

第十一条  国税通則法第三十九条 第十一条 (強制換価の場合の消費税等の優先)

(強制換価の場合の  消費税等 の徴収の  特例 )又は輸入品に対する  内国消費税 の徴収等に関する  法律 (昭和三十年法律第三十七号)  第八条第一項第二号 若しくは第六号 (  公売 又は売却等の  場合 における内国消費税の  徴収 )の規定により  徴収 する消費税等(その  滞納処分費 を含む。)は、次条から  第十七条 まで(差押先着手による  国税 の優先等)及び  第十九条 から第二十一条まで(  先取特権等 の優先)の  規定 にかかわらず、その徴収の  基因 となつた移出又は  公売 若しくは売却に係る  物品 の換価代金につき、他の  国税 、地方税その他の  債権 に先だつて徴収する。

    第二節 国税及び地方税の調整

第十二条 (差押先着手による国税の優先)

 納税者の財産につき  国税 の滞納処分による  差押 をした場合において、他の  国税 又は地方税の  交付要求 があつたときは、その差押に係る  国税 は、その換価代金につき、その  交付要求 に係る他の国税又は  地方税 に先だつて徴収する。

2  納税者の財産につき  国税 又は地方税の  滞納処分 による差押があつた  場合 において、国税の  交付要求 をしたときは、その交付要求に係る  国税 は、その換価代金につき、その  差押 に係る国税又は  地方税 (第九条(  強制換価手続 の費用の  優先 )の規定の  適用 を受ける費用を除く。)に次いで  徴収 する。

第十三条 (交付要求先着手による国税の優先)

 納税者の財産につき  強制換価手続 (破産手続を除く。)が行われた  場合 において、国税及び  地方税 の交付要求があつたときは、その  換価代金 につき、先にされた交付要求に係る  国税 は、後にされた交付要求に係る  国税 又は地方税に先だつて  徴収 し、後にされた交付要求に係る  国税 は、先にされた交付要求に係る  国税 又は地方税に次いで  徴収 する。

第十四条 (担保を徴した国税の優先)

 国税につき徴した担保財産があるときは、  前二条 の規定にかかわらず、その  国税 は、その換価代金につき他の  国税 及び地方税に先だつて  徴収 する。

    第三節 国税と被担保債権との調整

第十五条 (法定納期限等以前に設定された質権の優先)

 納税者がその財産上に  質権 を設定している  場合 において、その質権が  国税 の法定納期限(次の  各号 に掲げる国税については、  当該各号 に定める日とし、当該国税に係る  附帯税 及び滞納処分費については、その  徴収 の基因となつた  国税 に係る当該各号に定める日とする。  以下 「法定納期限等」という。)  以前 に設定されているものであるときは、その  国税 は、その換価代金につき、その  質権 により担保される  債権 に次いで徴収する。

一  法定納期限後にその納付すべき額が  確定 した国税(  過怠税 を含む。) その更正通知書若しくは  決定通知書 又は納税告知書を発した日(  申告納税方式 による国税で  申告 により確定したものについては、その  申告 があつた日)

二  法定納期限前に国税通則法第三十八条第一項 (  繰上請求 )の規定による  請求 (以下「  繰上請求 」という。)がされた国税 当該請求に係る期限

三  第二期分の所得税(  所得税法第百四条第一項 (予定納税額の  納付 )(同法第百六十六条 (  非居住者 に対する準用)において  準用 する場合を含む。  以下 この号において同じ。)の規定により  同項 に規定する  第二期 において納付すべき  所得税 をいい、同法第百十五条 (  出国 をする場合の  予定納税額 の納期限の  特例 )(同法第百六十六条 において  準用 する場合を含む。)の  規定 により納付すべき  所得税 で同法第百四条第一項 に  規定 する第一期において  納付 すべき所得税の  納期限後 に納付すべきものを含む。)   当該第一期 において納付すべき  所得税 の納期限

四  相続税法第三十五条第二項 (申告書の  提出期限前 の決定等)の  規定 による更正又は  決定 により納付すべき  税額 が確定した  相続税 又は贈与税 その  更正通知書 又は決定通知書を発した日

四の二  地価税(国税通則法第二条第七号 (  定義 )に規定する  法定申告期限 (以下この号において「  法定申告期限 」という。)までに納付するもの及び  第一号 に掲げるものを除く。) その更正通知書又は  決定通知書 を発した日(申告により  確定 したものについては、その申告があつた日(その日が  当該地価税 の法定申告期限前である  場合 には、当該法定申告期限))

五  再評価税で確定した  税額 を二以上の  納期 において納付するもののうち  最初 の納期後の  納期 において納付する  再評価税  その再評価税の  最初 の納期限

五の二  国税通則法第十五条第三項第二号 、第三号及び  第五号 (源泉徴収による  国税等 )に掲げる国税(  法定納期限以前 に納付されたものを除く。) その  納税告知書 を発した日(納税の  告知 を受けることなく法定納期限後に  納付 された国税については、その  納付 があつた日)

六  第二十四条第二項(譲渡担保権者の  物的納税責任 )又は第百五十九条第三項(  保全差押 の金額の  通知 )(国税通則法第三十八条第四項 (  繰上保全差押 )において準用する  場合 を含む。)の規定により  告知 し、又は通知した  金額 の国税 これらの  規定 による告知書又は  通知書 を発した日

七  相続人(包括受遺者を含む。  以下同 じ。)の固有の  財産 から徴収する  被相続人 (包括遺贈者を含む。  以下同 じ。)の国税及び  相続財産 から徴収する  相続人 の固有の  国税 (相続(  包括遺贈 を含む。以下同じ。)があつた  日前 にその納付すべき  税額 が確定したもの(  国税通則法第十五条第三項第二号 、第三号及び  第五号 に掲げる国税については、その  日前 に納税告知書を発したもの。  以下次号 及び第九号において同じ。)に限る。) その  相続 があつた日

八  合併により消滅した  法人 (以下「  被合併法人 」という。)に属していた財産から  徴収 する合併後存続する  法人 又は当該合併に係る他の  被合併法人 の固有の  国税 及び合併後存続する  法人 の固有の  財産 から徴収する  被合併法人 の国税(  合併 のあつた日前にその  納付 すべき税額が  確定 したものに限る。)その合併のあつた日

九  分割により事業を  承継 した法人(  以下 この号において「分割承継法人」という。)の  当該分割 をした法人から  承継 した財産(  以下 この号において「承継財産」という。)から  徴収 する分割承継法人の  固有 の国税、  分割承継法人 の固有の  財産 から徴収する  分割承継法人 の国税通則法第九条の  二 (法人の  分割 に係る連帯納付の  責任 )に規定する  連帯納付 の責任(  以下 この号において「連帯納付責任」という。)に係る  国税 及び分割承継法人の  承継財産 から徴収する  分割承継法人 の連帯納付責任に係る  当該分割 に係る他の分割をした  法人 の国税(  分割 のあつた日前にその  納付 すべき税額が  確定 したものに限る。) その分割のあつた日

十  第二次納税義務者又は保証人として  納付 すべき国税 第三十二条第一項(  第二次納税義務者 に対する納付通知)又は  国税通則法第五十二条第二項 (保証人に対する  納付通知 )の納付通知書を発した日

2  前項の規定は、  登記 (登録を含む。  以下同 じ。)をすることができる質権以外の  質権 については、その質権者が、  強制換価手続 において、その執行機関に対し、その  設定 の事実を  証明 した場合に限り  適用 する。この場合において、  有価証券 を目的とする  質権以外 の質権については、その  証明 は、次に掲げる書類によつてしなければならない。

一  公正証書

二  登記所又は公証人役場において  日付 のある印章が押されている私署証書

三  郵便法 (昭和二十二年法律第百六十五号)  第六十三条 (内容証明)の  規定 により内容証明を受けた証書

四  民法施行法 (明治三十一年法律第十一号)  第七条第一項 (公証人法 の  規定 の準用)において  準用 する公証人法 (  明治四十一年法律第五十三号 )第六十二条ノ  七第四項 (書面の  交付 による情報の  提供 )の規定により  交付 を受けた書面

3  前項各号の規定により  証明 された質権は、  第一項 の規定の  適用 については、民法施行法第五条 (  確定日付 がある証書)の  規定 により確定日付があるものとされた日に  設定 されたものとみなす。

4  第一項の質権を有する者は、  第二項 の証明をしなかつたため  国税 におくれる金額の  範囲内 においては、第一項の  規定 により国税に  優先 する後順位の  質権者 に対して優先権を行うことができない。

第十六条 (法定納期限等以前に設定された抵当権の優先)

 納税者が国税の  法定納期限等以前 にその財産上に  抵当権 を設定しているときは、その  国税 は、その換価代金につき、その  抵当権 により担保される  債権 に次いで徴収する。

第十七条 (譲受前に設定された質権又は抵当権の優先)

 納税者が質権又は  抵当権 の設定されている  財産 を譲り受けたときは、国税は、その  換価代金 につき、その質権又は  抵当権 により担保される  債権 に次いで徴収する。

2  前項の規定は、  登記 をすることができる質権以外の  質権 については、その質権者が、  強制換価手続 において、その執行機関に対し、  同項 の譲受前にその  質権 が設定されている  事実 を証明した  場合 に限り適用する。この  場合 においては、第十五条第二項後段及び  第三項 (優先質権の  証明 )の規定を  準用 する。

第十八条 (質権及び抵当権の優先額の限度等)

 前三条の規定に基き  国税 に先だつ質権又は  抵当権 により担保される  債権 の元本の  金額 は、その質権者又は  抵当権者 がその国税に係る  差押 又は交付要求の  通知 を受けた時における債権額を  限度 とする。ただし、その国税に  優先 する他の債権を有する者の  権利 を害することとなるときは、この限りでない。

2  質権又は抵当権により  担保 される債権額又は  極度額 を増加する  登記 がされた場合には、その  登記 がされた時において、その増加した  債権額 又は極度額につき新たに  質権 又は抵当権が  設定 されたものとみなして、前三条の  規定 を適用する。

第十九条 (不動産保存の先取特権等の優先)

 次に掲げる先取特権が  納税者 の財産上にあるときは、  国税 は、その換価代金につき、その  先取特権 により担保される  債権 に次いで徴収する。

一  不動産保存の先取特権

二  不動産工事の先取特権

三  立木の先取特権に関する  法律 (明治四十三年法律第五十六号)  第一項 (立木の  先取特権 )の先取特権

四  商法 (明治三十二年法律第四十八号)  第八百十条 (救助者の  先取特権 )若しくは第八百四十二条 (  船舶債権者 の先取特権)、  国際海上物品運送法 (昭和三十二年法律第百七十二号)  第十九条 (船舶先取特権)、  船舶 の所有者等の  責任 の制限に関する  法律 (昭和五十年法律第九十四号)  第九十五条第一項 (船舶先取特権)又は  船舶油濁損害賠償保障法 (昭和五十年法律第九十五号)  第四十条第一項 (船舶先取特権)の先取特権

五  国税に優先する  債権 のため又は国税のために  動産 を保存した者の先取特権

2  前項第三号から第五号まで(  同項第三号 に掲げる先取特権で  登記 をしたものを除く。)の規定は、その  先取特権者 が、強制換価手続において、その  執行機関 に対しその先取特権がある  事実 を証明した  場合 に限り適用する。

第二十条 (法定納期限等以前にある不動産賃貸の先取特権等の優先)

 次に掲げる先取特権が  納税者 の財産上に  国税 の法定納期限等以前からあるとき、又は  納税者 がその先取特権のある  財産 を譲り受けたときは、その国税は、その  換価代金 につき、その先取特権により  担保 される債権に次いで  徴収 する。

一  不動産賃貸の先取特権その  他質権 と同一の  順位 又はこれらに優先する  順位 の動産に関する  特別 の先取特権(  前条第一項第三号 から第五号までに掲げる  先取特権 を除く。)

二  不動産売買の先取特権

三  借地借家法 (平成三年法律第九十号)  第十二条 (借地権設定者の  先取特権 )、罹災都市借地借家臨時処理法 (  昭和二十一年法律第十三号 )第八条 (  賃貸人等 の先取特権)又は  接収不動産 に関する借地借家臨時処理法 (  昭和三十一年法律第百三十八号 )第七条 (  賃貸人等 の先取特権)に  規定 する先取特権

四  登記をした一般の先取特権

2  前条第二項の規定は、  前項第一号 に掲げる先取特権について  準用 する。

第二十一条 (留置権の優先)

 留置権が納税者の  財産上 にある場合において、その  財産 を滞納処分により  換価 したときは、その国税は、その  換価代金 につき、その留置権により  担保 されていた債権に次いで  徴収 する。この場合において、その  債権 は、質権、  抵当権 、先取特権又は  第二十三条第一項 (法定納期限等以前にされた  仮登記 により担保される  債権 の優先)に  規定 する担保のための  仮登記 により担保される  債権 に先立つて  配当 するものとする。

2  前項の規定は、その  留置権者 が、滞納処分の  手続 において、その行政機関等に対し、その  留置権 がある事実を  証明 した場合に限り  適用 する。

第二十二条 (担保権付財産が譲渡された場合の国税の徴収)

 納税者が他に国税に充てるべき  十分 な財産がない  場合 において、その者がその国税の  法定納期限等後 に登記した  質権 又は抵当権を  設定 した財産を  譲渡 したときは、納税者の  財産 につき滞納処分を  執行 してもなおその国税に  不足 すると認められるときに限り、その国税は、その  質権者 又は抵当権者から、これらの者がその  譲渡 に係る財産の  強制換価手続 において、その質権又は  抵当権 によつて担保される  債権 につき配当を受けるべき  金額 のうちから徴収することができる。

2  前項の規定により  徴収 することができる金額は、  第一号 に掲げる金額から  第二号 に掲げる金額を  控除 した額をこえることができない。

一  前項の譲渡に係る  財産 の換価代金から  同項 に規定する  債権 が配当を受けるべき金額

二  前号の財産を  納税者 の財産とみなし、その  財産 の換価代金につき  前項 の国税の  交付要求 があつたものとした場合に  同項 の債権が  配当 を受けるべき金額

3  税務署長は、第一項の  規定 により国税を  徴収 するため、同項の  質権者 又は抵当権者に  代位 してその質権又は  抵当権 を実行することができる。

4  税務署長は、第一項の  規定 により国税を  徴収 しようとするときは、その旨を質権者又は  抵当権者 に通知しなければならない。

5  税務署長は、第一項の  譲渡 に係る財産につき  強制換価手続 が行われた場合には、  同項 の規定により  徴収 することができる金額の  国税 につき、執行機関に対し、  交付要求 をすることができる。

    第四節 国税と仮登記又は譲渡担保に係る債権との調整

第二十三条 (法定納期限等以前にされた仮登記により担保される債権の優先等)

 国税の法定納期限等以前に  納税者 の財産につき、その者を  登記義務者 (登録義務者を含む。)として、  仮登記担保契約 に関する法律 (  昭和五十三年法律第七十八号 )第一条 (  趣旨 )に規定する  仮登記担保契約 に基づく仮登記又は  仮登録 (以下「  担保 のための仮登記」という。)がされているときは、その  国税 は、その換価代金につき、その  担保 のための仮登記により  担保 される債権に次いで  徴収 する。

2  担保のための仮登記がされている  納税者 の財産上に、  第十九条第一項各号 (不動産保存の  先取特権等 の優先)に掲げる  先取特権 があるとき、国税の  法定納期限等以前 から第二十条第一項各号(  法定納期限等以前 にある不動産賃貸の  先取特権等 の優先)に掲げる  先取特権 があるとき、又は国税の  法定納期限等以前 に質権若しくは  抵当権 が設定され、若しくは  担保 のための仮登記がされているときは、その  国税 は、仮登記担保契約に関する  法律第三条第一項 (清算金)(  同法第二十条 (土地等の  所有権以外 の権利を  目的 とする契約への  準用 )において準用する  場合 を含む。)に規定する  清算金 に係る換価代金につき、  同法第四条第一項 (物上代位)(  同法第二十条 において準用する  場合 を含む。)の規定により  権利 が行使されたこれらの  先取特権 、質権及び  抵当権並

3  第十七条第一項(譲受前に  設定 された質権又は  抵当権 の優先)の  規定 は、納税者が  担保 のための仮登記がされている  財産 を譲り受けたときについて、前条(  第三項 を除く。)の規定は、  納税者 が他に国税に充てるべき  十分 な財産がない  場合 において、その者がその国税の  法定納期限等後 に担保のための  仮登記 をした財産を  譲渡 したときについて、それぞれ準用する。

4  仮登記担保契約に関する法律第一条 に  規定 する仮登記担保契約で、  消滅 すべき金銭債務がその  契約 の時に特定されていないものに基づく  仮登記 及び仮登録は、  国税 の滞納処分においては、その  効力 を有しない。

第二十四条 (譲渡担保権者の物的納税責任)

 納税者が国税を  滞納 した場合において、その者が  譲渡 した財産でその  譲渡 により担保の  目的 となつているもの(以下「  譲渡担保財産 」という。)があるときは、その者の財産につき  滞納処分 を執行してもなお  徴収 すべき国税に  不足 すると認められるときに限り、譲渡担保財産から  納税者 の国税を  徴収 することができる。

2  税務署長は、前項の  規定 により徴収しようとするときは、  譲渡担保財産 の権利者(  以下 「譲渡担保権者」という。)に対し、  徴収 しようとする金額その  他必要 な事項を  記載 した書面により  告知 しなければならない。この場合においては、その者の  住所 又は居所(  事務所 及び事業所を含む。  以下同 じ。)の所在地を  所轄 する税務署長及び  納税者 に対しその旨を通知しなければならない。

3  前項の告知書を発した日から  十日 を経過した日までにその  徴収 しようとする金額が  完納 されていないときは、徴収職員は、  譲渡担保権者 を第二次納税義務者とみなして、その  譲渡担保財産 につき滞納処分を  執行 することができる。この場合においては、  第三十二条第三項 から第五項まで(  第二次納税義務 の通則)及び  第九十条第三項 (換価の  制限 )の規定を  準用 する。

4  譲渡担保財産を第一項の  納税者 の財産としてした  差押 は、同項の  要件 に該当する  場合 に限り、前項の  規定 による差押として  滞納処分 を続行することができる。この  場合 において、税務署長は、  遅滞 なく、第二項の  告知 及び通知をしなければならない。

5  第二項の規定による  告知 又は前項の  規定 の適用を受ける  差押 をした後、納税者の  財産 の譲渡により  担保 される債権が  債務不履行 その他弁済以外の  理由 により消滅した  場合 (譲渡担保財産につき  買戻 、再売買の  予約 その他これらに類する契約を  締結 している場合において、  期限 の経過その他その  契約 の履行以外の  理由 によりその契約が  効力 を失つたときを含む。)においても、なお譲渡担保財産として  存続 するものとみなして、第三項の  規定 を適用する。

6  第一項の規定は、  国税 の法定納期限等以前に、  担保 の目的でされた  譲渡 に係る権利の  移転 の登記がある  場合 又は譲渡担保権者が  国税 の法定納期限等以前に  譲渡担保財産 となつている事実を、その  財産 の売却決定の  前日 までに、証明した  場合 には、適用しない。この  場合 においては、第十五条第二項後段及び  第三項 (優先質権の  証明 )の規定を  準用 する。

7  第一項の規定の  適用 を受ける譲渡担保権者は、  第十章 (罰則)の  規定 の適用については、  納税者 とみなす。

第二十五条 (譲渡担保財産の換価の特例等)

 買戻しの特約のある  売買 の登記、  再売買 の予約の  請求権 の保全のための  仮登記 (仮登録を含む。  以下同 じ。)その他これに類する登記(  以下 この条において「買戻権の  登記等 」という。)がされている譲渡担保財産でその  買戻権 の登記等の  権利者 が滞納者であるときは、その差し押さえた  買戻権 の登記等に係る  権利 及び前条第三項の  規定 により差し押さえたその買戻権の  登記等 のある譲渡担保財産を  一括 して換価することができる。

2  前条及び前項に  規定 するもののほか、譲渡担保財産からする  納税者 の国税の  徴収 に関し必要な  事項 は、政令で定める。

    第五節 国税及び地方税等と私債権との競合の調整

第二十六条 (国税及び地方税等と私債権との競合の調整)

 強制換価手続において国税が他の  国税 、地方税又は  公課 (以下この条において「  地方税等 」という。)及びその他の債権(  以下 この条において「私債権」という。)と  競合 する場合において、この章又は  地方税法 その他の法律の  規定 により、国税が  地方税等 に先だち、私債権がその  地方税等 におくれ、かつ、当該国税に先だつとき、又は  国税 が地方税等におくれ、  私債権 がその地方税等に先だち、かつ、  当該国税 におくれるときは、換価代金の  配当 については、次に定めるところによる。

一  第九条(強制換価手続の  費用 の優先)若しくは  第十条 (直接の  滞納処分費 の優先)に  規定 する費用若しくは  滞納処分費 、第十一条(  強制換価 の場合の  消費税等 の優先)に  規定 する国税(  地方税法 の規定によりこれに  相当 する優先権を有する  地方税 を含む。)、第二十一条(  留置権 の優先)の  規定 の適用を受ける  債権 、第五十九条第三項若しくは  第四項 (前払賃料の  優先 )(第七十一条第四項(  自動車等 についての準用規定)において  準用 する場合を含む。)の  規定 の適用を受ける  債権 又は第十九条(  不動産保存 の先取特権等の  優先 )の規定の  適用 を受ける債権があるときは、これらの  順序 に従い、それぞれこれらに充てる。

二  国税及び地方税等並びに  私債権 (前号の  規定 の適用を受けるものを除く。)につき、  法定納期限等 (地方税又は  公課 のこれに相当する  納期限等 を含む。)又は設定、  登記 、譲渡若しくは  成立 の時期の古いものからそれぞれ  順次 にこの章又は地方税法 その他の  法律 の規定を  適用 して国税及び  地方税等並 びに私債権に充てるべき  金額 の総額をそれぞれ定める。

三  前号の規定により定めた  国税 及び地方税等に充てるべき  金額 の総額を  第八条 (国税優先の  原則 )若しくは第十二条から  第十四条 まで(差押先着手による  国税 の優先等)の  規定 又は地方税法 その他の  法律 のこれらに相当する  規定 により、順次国税及び  地方税等 に充てる。

四  第二号の規定により定めた  私債権 に充てるべき金額の  総額 を民法 (  明治二十九年法律第八十九号 )その他の法律の  規定 により順次私債権に充てる。

   第三章 第二次納税義務

第二十七条  削除

第二十八条  削除

第二十九条  削除

第三十条  削除

第三十一条  削除

第三十二条 (第二次納税義務の通則)

 税務署長は、納税者の  国税 を第二次納税義務者から  徴収 しようとするときは、その者に対し、政令で定めるところにより、  徴収 しようとする金額、  納付 の期限その  他必要 な事項を  記載 した納付通知書により  告知 しなければならない。この場合においては、その者の  住所 又は居所の  所在地 を所轄する  税務署長 に対しその旨を通知しなければならない。

2  第二次納税義務者がその国税を  前項 の納付の  期限 までに完納しないときは、  税務署長 は、次項において  準用 する国税通則法第三十八条第一項 及び  第二項 (繰上請求)の  規定 による請求をする  場合 を除き、納付催告書によりその  納付 を督促しなければならない。この  場合 においては、その納付催告書は、  国税 に関する法律に  別段 の定めがあるものを除き、その納付の  期限 から五十日以内に発するものとする。

3  国税通則法第三十八条第一項 及び第二項 、  同法第四章第一節 (納税の  猶予 )並びに同法第五十五条 (  納付委託 )の規定は、  第一項 の場合について  準用 する。

4  第二次納税義務者の財産の  換価 は、その財産の  価額 が著しく減少するおそれがあるときを除き、  第一項 の納税者の  財産 を換価に付した後でなければ、行うことができない。

5  この章の規定は、  第二次納税義務者 から第一項の  納税者 に対してする求償権の  行使 を妨げない。

第三十三条 (無限責任社員の第二次納税義務)

 合名会社若しくは合資会社又は  無限責任中間法人 が国税を  滞納 した場合において、その  財産 につき滞納処分を  執行 してもなおその徴収すべき額に  不足 すると認められるときは、その社員(  合資会社 にあつては、無限責任社員)は、その  滞納 に係る国税の  第二次納税義務 を負う。この場合において、その  社員 は、連帯してその責めに任ずる。

第三十四条 (清算人等の第二次納税義務)

 法人が解散した  場合 において、その法人に課されるべき、又はその  法人 が納付すべき  国税 を納付しないで  残余財産 の分配又は  引渡 をしたときは、その法人に対し  滞納処分 を執行してもなおその  徴収 すべき額に不足すると認められる  場合 に限り、清算人及び  残余財産 の分配又は  引渡 を受けた者(前条の  規定 の適用を受ける者を除く。  以下 この条において同じ。)は、その滞納に係る  国税 につき第二次納税義務を負う。ただし、  清算人 は分配又は  引渡 をした財産の  価額 の限度において、  残余財産 の分配又は  引渡 を受けた者はその受けた財産の  価額 の限度において、それぞれその責に任ずる。

第三十五条 (同族会社の第二次納税義務)

 滞納者がその者を判定の  基礎 となる株主又は  社員 として選定した  場合 に法人税法 (  昭和四十年法律第三十四号 )第二条第十号 (  同族会社 の定義)に  規定 する会社に  該当 する会社(  以下 「同族会社」という。)の  株式 又は出資を有する  場合 において、その株式又は  出資 につき次に掲げる理由があり、かつ、その者の  財産 (当該株式又は  出資 を除く。)につき滞納処分を  執行 してもなお徴収すべき  国税 に不足すると認められるときは、その有する  当該株式 又は出資(  当該滞納 に係る国税の  法定納期限 (国税に関する  法律 の規定による  国税 の還付金の額に  相当 する税額を  減少 させる修正申告又は  更正 により納付すべき  国税並 びに当該国税に係る  附帯税 及び滞納処分費については、その  還付 の基因となつた  申告 、更正又は  決定 があつた日とし、過怠税については、その  納税義務

一  その株式又は  出資 を再度換価に付してもなお  買受人 がないこと。

二  その株式若しくは  出資 の譲渡につき  法律 若しくは定款に  制限 があり、又は株券の  発行 がないため、これらを譲渡することにつき  支障 があること。

2  前項の同族会社の  株式 又は出資の  価額 は、第三十二条第一項(  第二次納税義務者 への告知)の  納付通知書 を発する時における当該会社の  資産 の総額から  負債 の総額を  控除 した額をその株式又は  出資 の数で除した額を基礎として  計算 した額による。

3  第一項の同族会社であるかどうかの  判定 は、第三十二条第一項の  納付通知書 を発する時の現況による。

第三十六条 (実質課税額等の第二次納税義務)

 滞納者の次の各号に掲げる  国税 につき滞納処分を  執行 してもなおその徴収すべき額に  不足 すると認められるときは、第一号に定める者にあつては  同号 に規定する  収益 が生じた財産(その  財産 の異動により  取得 した財産及びこれらの  財産 に基因して  取得 した財産(  以下 この条、次条及び  第三十八条 (事業を譲り受けた  特殊関係者 の第二次納税義務)において「  取得財産 」という。)を含む。)、第二号に定める者にあつては  同号 に規定する  貸付 けに係る財産(  取得財産 を含む。)、第三号に定める者にあつてはその受けた  利益 の額を限度として、その  滞納 に係る国税の  第二次納税義務 を負う。

一  所得税法第十二条 (実質所得者課税の  原則 )若しくは第百五十八条 (  事業所 の所得の  帰属 の推定)又は  法人税法第十一条 (実質所得者課税の  原則 )の規定により課された  国税  その国税の  賦課 の基因となつた  収益 が法律上帰属するとみられる者

二  消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)  第十三条 (資産の  譲渡等 を行つた者の実質判定)の  規定 により課された国税(  同法第二条第一項第八号 (定義)に  規定 する貸付けに係る  部分 に限る。)その国税の  賦課 の基因となつた  当該貸付 けを法律上行つたとみられる者

三  所得税法第百五十七条 (同族会社等の  行為 又は計算の  否認等 )、法人税法第百三十二条 (  同族会社等 の行為又は  計算 の否認)、  第百三十二条 の二(組織再編成に係る  行為 又は計算の  否認 )若しくは第百三十二条の三(  連結法人 に係る行為又は  計算 の否認)、  相続税法第六十四条 (同族会社等の  行為 又は計算の  否認等 )又は地価税法 (  平成三年法律第六十九号 )第三十二条 (  同族会社等 の行為又は  計算 の否認等)の  規定 により課された国税 これらの  規定 により否認された  納税者 の行為(  否認 された計算の  基礎 となつた行為を含む。)につき  利益 を受けたものとされる者

第三十七条 (共同的な事業者の第二次納税義務)

 次の各号に掲げる者が  納税者 の事業の  遂行 に欠くことができない重要な  財産 を有し、かつ、当該財産に関して生ずる  所得 が納税者の  所得 となつている場合において、その  納税者 がその供されている事業に係る  国税 を滞納し、その  国税 につき滞納処分を  執行 してもなおその徴収すべき額に  不足 すると認められるときは、当該各号に掲げる者は、  当該財産 (取得財産を含む。)を  限度 として、その滞納に係る  国税 の第二次納税義務を負う。

一  納税者が個人である  場合  その者と生計を一にする  配偶者 その他の親族でその  納税者 の経営する  事業 から所得を受けているもの

二  納税者がその事実のあつた時の  現況 において同族会社である  場合  その判定の  基礎 となつた株主又は社員

第三十八条 (事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)

 納税者がその親族その  他納税者 と特殊な  関係 のある個人又は  同族会社 (これに類する法人を含む。)で  政令 で定めるもの(以下「  親族 その他の特殊関係者」という。)に  事業 を譲渡し、かつ、その  譲受人 が同一とみられる  場所 において同一又は  類似 の事業を営んでいる  場合 において、その納税者が  当該事業 に係る国税を  滞納 し、その国税につき  滞納処分 を執行してもなおその  徴収 すべき額に不足すると認められるときは、その  譲受人 は、譲受財産(  取得財産 を含む。)を限度として、その  滞納 に係る国税の  第二次納税義務 を負う。ただし、その譲渡が  滞納 に係る国税の  法定納期限 より一年以上前にされている  場合 は、この限りでない。

第三十九条 (無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)

 滞納者の国税につき  滞納処分 を執行してもなおその  徴収 すべき額に不足すると認められる  場合 において、その不足すると認められることが、  当該国税 の法定納期限の  一年前 の日以後に、  滞納者 がその財産につき行つた  政令 で定める無償又は著しく低い額の  対価 による譲渡(  担保 の目的でする  譲渡 を除く。)、債務の  免除 その他第三者に  利益 を与える処分に  基因 すると認められるときは、これらの処分により  権利 を取得し、又は  義務 を免かれた者は、これらの処分により受けた  利益 が現に存する限度(これらの者がその  処分 の時にその滞納者の  親族 その他の特殊関係者であるときは、これらの  処分 により受けた利益の  限度 )において、その滞納に係る  国税 の第二次納税義務を負う。

第四十条  削除

第四十一条 (人格のない社団等に係る第二次納税義務)

 人格のない社団等が  国税 を滞納した  場合 において、これに属する財産(  第三者 が名義人となつているため、その者に  法律上帰属 するとみられる財産を除く。)につき  滞納処分 を執行してもなおその  徴収 すべき額に不足すると認められるときは、その  第三者 は、その法律上帰属するとみられる  財産 を限度として、その  滞納 に係る国税の  第二次納税義務 を負う。

2  滞納者である人格のない  社団等 の財産の  払戻 又は分配をした  場合 (第三十四条(  清算人等 の第二次納税義務)の  規定 の適用がある  場合 を除く。)において、当該社団等(  前項 に規定する  第三者 を含む。)につき滞納処分を  執行 してもなお徴収すべき額に  不足 すると認められるときは、当該払戻又は  分配 を受けた者は、その受けた財産の  価額 を限度として、その  滞納 に係る国税の  第二次納税義務 を負う。ただし、その払戻又は  分配 が滞納に係る  国税 の法定納期限より  一年以上前 にされている場合は、この限りでない。

   第四章 削除

第四十二条  削除

第四十三条  削除

第四十四条  削除

第四十五条  削除

第四十六条  削除

   第五章 滞納処分

    第一節 財産の差押

     第一款 通則

第四十七条 (差押の要件)

 次の各号の一に  該当 するときは、徴収職員は、  滞納者 の国税につきその  財産 を差し押えなければならない。

一  滞納者が督促を受け、その  督促 に係る国税をその  督促状 を発した日から起算して  十日 を経過した日までに  完納 しないとき。

二  納税者が国税通則法第三十七条第一項 各号(  督促 )に掲げる国税をその  納期限 (繰上請求がされた  国税 については、当該請求に係る  期限 )までに完納しないとき。

2  国税の納期限後前項第一号に  規定 する十日を  経過 した日までに、督促を受けた  滞納者 につき国税通則法第三十八条第一項 各号(  繰上請求 )の一に該当する  事実 が生じたときは、徴収職員は、直ちにその  財産 を差し押えることができる。

3  第二次納税義務者又は保証人について  第一項 の規定を  適用 する場合には、  同項中 「督促状」とあるのは、「  納付催告書 」とする。

第四十八条 (超過差押及び無益な差押の禁止)

 国税を徴収するために  必要 な財産以外の  財産 は、差し押えることができない。

2  差し押えることができる財産の  価額 がその差押に係る  滞納処分費 及び徴収すべき  国税 に先だつ他の国税、  地方税 その他の債権の  金額 の合計額をこえる  見込 がないときは、その財産は、差し押えることができない。

第四十九条 (差押財産の選択に当つての第三者の権利の尊重)

 徴収職員は、滞納者(  譲渡担保権者 を含む。第七十五条、  第七十六条 及び第七十八条(  差押禁止財産 )を除き、以下同じ。)の  財産 を差し押えるに当つては、滞納処分の  執行 に支障がない限り、その  財産 につき第三者が有する  権利 を害さないように努めなければならない。

第五十条 (第三者の権利の目的となつている財産の差押換)

 質権、抵当権、  先取特権 (第十九条第一項各号(  不動産保存 の先取特権等)又は  第二十条第一項各号 (不動産賃貸の  先取特権等 )に掲げる先取特権に限る。この項を除き、  以下同 じ。)、留置権、  賃借権 その他第三者の  権利 (これらの先取特権以外の  先取特権 を除く。以下同じ。)の  目的 となつている財産が差し押えられた  場合 には、その第三者は、  税務署長 に対し、滞納者が他に  換価 の容易な  財産 で他の第三者の  権利 の目的となつていないものを有し、かつ、その  財産 によりその滞納者の  国税 の全額を  徴収 することができることを理由として、その  財産 の公売公告の日(  随意契約 による売却をする  場合 には、その売却の日)までに、その  差押換 を請求することができる。

2  税務署長は、前項の  請求 があつた場合において、その  請求 を相当と認めるときは、その  差押換 をしなければならないものとし、その請求を  相当 と認めないときは、その旨をその第三者に  通知 しなければならない。

3  前項の通知があつた  場合 において、その通知を受けた  第三者 が、その通知を受けた日から  起算 して七日を  経過 した日までに、第一項の  規定 により差し押えるべきことを請求した  財産 の換価をすべきことを申し立てたときは、その  財産 が換価の著しく  困難 なものであり、又は他の第三者の  権利 の目的となつているものであるときを除き、これを差し押え、かつ、  換価 に付した後でなければ、同項に  規定 する第三者の  権利 の目的となつている  財産 を換価することができない。

4  税務署長は、前項の  場合 において、同項の  申立 があつた日から二月以内にその  申立 に係る財産を差し押え、かつ、  換価 に付さないときは、第一項に  規定 する第三者の  権利 の目的となつている  財産 の差押を  解除 しなければならない。ただし、国税に関する  法律 の規定で  換価 をすることができないこととするものの適用があるときは、この限りでない。

5  第二項又は前項の  差押 は、国税に関する  法律 の規定で新たに  滞納処分 の執行をすることができないこととするものにかかわらず、することができる。

第五十一条 (相続があつた場合の差押)

 徴収職員は、被相続人の  国税 につきその相続人の  財産 を差し押える場合には、  滞納処分 の執行に  支障 がない限り、まず相続財産を差し押えるように努めなければならない。

2  被相続人の国税につき  相続人 の固有財産が差し押えられた  場合 には、その相続人は、  税務署長 に対し、他に換価が  容易 な相続財産で  第三者 の権利の  目的 となつていないものを有しており、かつ、その財産により  当該国税 の全額を  徴収 することができることを理由として、その  差押換 を請求することができる。

3  税務署長は、前項の  請求 があつた場合において、その  請求 を相当と認めるときは、その  差押換 をしなければならないものとし、その請求を  相当 と認めないときは、その旨を当該相続人に  通知 しなければならない。この場合においては、  前条第五項 の規定を  準用 する。

第五十二条 (果実に対する差押の効力)

 差押の効力は、差し押えた  財産 (以下「  差押財産 」という。)から生ずる天然果実に及ぶ。ただし、  滞納者 又は第三者が  差押財産 の使用又は  収益 をすることができる場合には、その  財産 から生ずる天然果実(その  財産 の換価による  権利 の移転の時までに  収取 されない天然果実を除く。)については、この限りでない。

2  差押の効力は、  差押財産 から生ずる法定果実に及ばない。ただし、  債権 を差し押えた場合における  差押後 の利息については、この限りでない。

第五十二条の二 (担保のための仮登記がある財産に対する差押えの効力)

 仮登記担保契約に関する法律第十五条 (  強制競売等 の場合の  担保仮登記 )(同法第二十条 (  土地等 の所有権以外の  権利 を目的とする  契約 への準用)において  準用 する場合を含む。)の  規定 は、担保のための  仮登記 がある財産が差し押さえられた  場合 について準用する。この  場合 において、同法第十五条 中「その  決定 」とあるのは「その差押え」と、「  申立 てに基づく」とあるのは「ものである」と読み替えるものとする。

第五十三条 (保険に附されている財産に対する差押の効力)

 差押財産が損害保険に附され、又は  中小企業等協同組合法 (昭和二十四年法律第百八十一号)  第九条 の七の二第一項第一号 (  火災共済協同組合 の火災共済事業)に  規定 する共済その  他法律 の規定による  共済 でこれに類するものの目的となつているときは、その  差押 の効力は、  保険金 又は共済金の  支払 を受ける権利に及ぶ。ただし、  財産 を差し押えた旨を保険者又は  共済事業者 に通知しなければ、その  差押 をもつてこれらの者に対抗することができない。

2  徴収職員が差押に係る  前項 の保険金又は  共済金 の支払を受けた  場合 において、その財産がその  保険 又は共済に係る  事故 が生じた時に先取特権、  質権 又は抵当権の  目的 となつていたときは、その先取特権者、  質権者 又は抵当権者は、  民法第三百四条第一項 ただし書(先取特権の  物上代位 )その他これらの権利の  行使 のためその保険金又は  共済金 の支払を受ける  権利 をその支払前に差し押えることを  必要 とする規定の  適用 については、その支払前にその  差押 をしたものとみなす。

第五十四条 (差押調書)

 徴収職員は、滞納者の  財産 を差し押さえたときは、差押調書を  作成 し、その財産が次に掲げる  財産 であるときは、その謄本を  滞納者 に交付しなければならない。

一  動産(第七十条(  船舶 又は航空機の  差押 え)又は第七十一条(  自動車 、建設機械又は  小型船舶 の差押え)の  規定 の適用を受ける  財産 及び無記名債権を除く。  以下同 じ。)又は有価証券

二  債権(電話加入権、  賃借権 その他取り立てることができない  債権 を除く。以下この章において同じ。)

三  第七十三条(電話加入権等の  差押 え)の規定の  適用 を受ける財産

第五十五条 (質権者等に対する差押えの通知)

 次の各号に掲げる  財産 を差し押さえたときは、税務署長は、  当該各号 に掲げる者のうち知れている者に対し、その旨その他必要な  事項 を通知しなければならない。

一  質権、抵当権、  先取特権 、留置権、  賃借権 その他の第三者の  権利 (担保のための  仮登記 に係る権利を除く。)の  目的 となつている財産 これらの  権利 を有する者

二  仮登記がある財産 仮登記の権利者

三  仮差押え又は仮処分がされている  財産 仮差押 え又は仮処分をした  保全執行裁判所 又は執行官

     第二款 動産又は有価証券の差押

第五十六条 (差押の手続及び効力発生時期等)

 動産又は有価証券の  差押 は、徴収職員がその  財産 を占有して行う。

2  前項の差押の  効力 は、徴収職員がその  財産 を占有した時に生ずる。

3  徴収職員が金銭を差し押えたときは、その  限度 において、滞納者から  差押 に係る国税を  徴収 したものとみなす。

第五十七条 (有価証券に係る債権の取立)

 有価証券を差し押えたときは、徴収職員は、その  有価証券 に係る金銭債権の  取立 をすることができる。

2  徴収職員が前項の  規定 により金銭を取り立てたときは、その  限度 において、滞納者から  差押 に係る国税を  徴収 したものとみなす。

第五十八条 (第三者が占有する動産等の差押手続)

 滞納者の動産又は  有価証券 でその親族その他の  特殊関係者以外 の第三者が  占有 しているものは、その第三者が  引渡 を拒むときは、差し押えることができない。

2  前項の動産又は  有価証券 がある場合において、  同項 の第三者がその  引渡 を拒むときは、滞納者が他に  換価 が容易であり、かつ、その  滞納 に係る国税の  全額 を徴収することができる  財産 を有しないと認められるときに限り、税務署長は、  同項 の第三者に対し、  期限 を指定して、  当該動産 又は有価証券を  徴収職員 に引き渡すべきことを書面により命ずることができる。この  場合 において、その命令をした  税務署長 は、その旨を滞納者に  通知 しなければならない。

3  前項の命令に係る  動産 若しくは有価証券が  徴収職員 に引き渡されたとき、又は同項の  命令 を受けた第三者が  指定 された期限までに  徴収職員 にその引渡をしないときは、  徴収職員 は、第一項の  規定 にかかわらず、その動産又は  有価証券 を差し押えることができる。

第五十九条 (引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)

 前条第二項の規定により  動産 の引渡を命ぜられた  第三者 が、滞納者との  契約 による賃借権、  使用貸借権 その他動産の  使用 又は収益をする  権利 に基きその命令に係る  動産 を占有している  場合 において、その引渡をすることにより  占有 の目的を達することができなくなるときは、その  第三者 は、その占有の  基礎 となつている契約を  解除 することができる。この場合において、その  第三者 は、当該契約の  解除 により滞納者に対して  取得 する損害賠償請求権については、その  動産 の売却代金の  残余 のうちから配当を受けることができる。

2  徴収職員は、前条第二項の  規定 により動産の  引渡 を命ぜられた第三者の  請求 がある場合には、その  第三者 が前項前段の  規定 により契約を  解除 したときを除き、その動産の  占有 の基礎となつている  契約 の期間内(その  期限 がその動産を差し押えた日から  三月 を経過した日より遅いときは、その日まで)は、その  第三者 にその使用又は  収益 をさせなければならない。

3  前条第二項の規定により  動産 の引渡を命ぜられた  第三者 が賃貸借契約に基きこれを  占有 している場合において、  第一項前段 の規定によりその  契約 を解除し、かつ、  前条第二項 の命令があつた  時前 にその後の期間分の  借賃 を支払つているときは、その  第三者 は、税務署長に対し、その  動産 の売却代金のうちから、その  借賃 に相当する  金額 で同条第三項の  規定 による差押の  日後 の期間に係るもの(その  金額 が三月分に  相当 する金額をこえるときは、  当該金額 )の配当を  請求 することができる。この場合において、その  請求 があつた金額は、  第八条 (国税優先の  原則 )の規定にかかわらず、その  滞納処分 に係る滞納処分費に次ぎ、かつ、その  動産上 の留置権により  担保 されていた債権に次ぐものとして、  配当 することができる。

4  前三項の規定は、  前条第一項 に規定する  動産 の引渡を拒まなかつた  同項 に規定する  第三者 について準用する。

第六十条 (差し押えた動産等の保管)

 徴収職員は、必要があると認めるときは、差し押えた  動産 又は有価証券を  滞納者 又はその財産を  占有 する第三者に  保管 させることができる。ただし、その第三者に  保管 させる場合には、その  運搬 が困難であるときを除き、その者の  同意 を受けなければならない。

2  前項の規定により  滞納者 又は第三者に  保管 させたときは、第五十六条第二項(  動産等 の差押の  効力発生時期 )の規定にかかわらず、  封印 、公示書その  他差押 を明白にする  方法 により差し押えた旨を表示した時に、  差押 の効力が生ずる。

第六十一条 (差し押えた動産の使用収益)

 徴収職員は、前条第一項の  規定 により滞納者に差し押えた  動産 を保管させる  場合 において、国税の  徴収上支障 がないと認めるときは、その使用又は  収益 を許可することができる。

2  前項の規定は、差し押えた  動産 につき使用又は  収益 をする権利を有する  第三者 にその動産を  保管 させる場合について  準用 する。

     第三款 債権の差押

第六十二条 (差押えの手続及び効力発生時期)

 債権(社債等の  振替 に関する法律 (  平成十三年法律第七十五号 )第二条第一項 (  定義 )に規定する  社債等 のうちその権利の  帰属 が振替口座簿の  記載 又は記録により定まるものとされるもの(  次条 において「振替社債等」という。)を除く。  以下 この条において同じ。)の差押えは、  第三債務者 に対する債権差押通知書の  送達 により行う。

2  徴収職員は、債権を差し押えるときは、  債務者 に対しその履行を、  滞納者 に対し債権の  取立 その他の処分を禁じなければならない。

3  第一項の差押の  効力 は、債権差押通知書が  第三債務者 に送達された時に生ずる。

4  税務署長は、債権でその  移転 につき登録を要するものを差し押えたときは、  差押 の登録を  関係機関 に嘱託しなければならない。

第六十二条の二 (振替社債等の差押えの手続及び効力発生時期)

 振替社債等の差押えは、  第三債務者 及び滞納者がその  口座 の開設を受けている  振替機関等 (社債等の  振替 に関する法律第二条第五項 (  定義 )に規定する  振替機関等 をいう。以下この条において同じ。)に対する  債権差押通知書 の送達により行う。

2  徴収職員は、振替社債等を差し押さえるときは、  第三債務者 に対しその履行を、  振替機関等 に対し振替社債等の  振替 又は抹消を、  滞納者 に対し振替社債等の  取立 てその他の処分又は  振替 若しくは抹消の  申請 を禁じなければならない。

3  第一項の差押えの  効力 は、債権差押通知書が  振替機関等 に送達された時に生ずる。

第六十三条 (差し押える債権の範囲)

 徴収職員は、債権を差し押えるときは、その  全額 を差し押えなければならない。ただし、その全額を差し押える  必要 がないと認めるときは、その一部を差し押えることができる。

第六十四条 (抵当権等により担保される債権の差押)

 抵当権又は登記することができる  質権 若しくは先取特権によつて  担保 される債権を差し押えたときは、  税務署長 は、その債権の  差押 の登記を  関係機関 に嘱託することができる。この  場合 において、その嘱託をした  税務署長 は、その抵当権若しくは  質権 が設定されている  財産 又は先取特権がある  財産 の権利者(  第三債務者 を除く。)に差し押えた旨を通知しなければならない。

第六十五条 (債権証書の取上げ)

 徴収職員は、債権の  差押 のため必要があるときは、その  債権 に関する証書を取り上げることができる。この  場合 においては、第五十六条第一項(  動産等 の差押手続)及び  第五十八条 (第三者が  占有 する動産等の  差押手続 )の規定を  準用 する。

第六十六条 (継続的な収入に対する差押の効力)

 給料若しくは年金又はこれらに類する  継続収入 の債権の  差押 の効力は、  徴収 すべき国税の額を  限度 として、差押後に  収入 すべき金額に及ぶ。

第六十七条 (差し押えた債権の取立)

 徴収職員は、差し押えた債権の  取立 をすることができる。

2  徴収職員は、前項の  規定 により取り立てたものが金銭以外のものであるときは、これを差し押えなければならない。

3  徴収職員が第一項の  規定 により金銭を取り立てたときは、その  限度 において、滞納者から  差押 に係る国税を  徴収 したものとみなす。

4  国税通則法第五十五条第一項 から第三項 まで(  納付委託 )の規定は、  第一項 の取立をする  場合 において、第三債務者が  徴収職員 に対し、その債権の  弁済 の委託をしようとするときに  準用 する。ただし、その証券の取り立てるべき  期限 が差し押えた債権の  弁済期後 となるときは、第三債務者は、  滞納者 の承認を受けなければならない。

     第四款 不動産等の差押

第六十八条 (不動産の差押の手続及び効力発生時期)

 不動産(地上権その  他不動産 を目的とする  物権 (所有権を除く。)、  工場財団 、鉱業権その  他不動産 とみなされ、又は不動産に関する  規定 の準用がある  財産並 びに鉄道財団、  軌道財団 及び運河財団を含む。  以下同 じ。)の差押は、  滞納者 に対する差押書の  送達 により行う。

2  前項の差押の  効力 は、その差押書が  滞納者 に送達された時に生ずる。

3  税務署長は、不動産を差し押えたときは、  差押 の登記を  関係機関 に嘱託しなければならない。

4  前項の差押の  登記 が差押書の  送達前 にされた場合には、  第二項 の規定にかかわらず、その  差押 の登記がされた時に  差押 の効力が生ずる。

5  鉱業権の差押の  効力 は、第二項及び  前項 の規定にかかわらず、  差押 の登録がされた時に生ずる。

第六十九条 (差押不動産の使用収益)

 滞納者は、差し押えられた不動産につき、  通常 の用法に従い、  使用 又は収益をすることができる。ただし、  税務署長 は、不動産の  価値 が著しく減耗する  行為 がされると認められるときに限り、その使用又は  収益 を制限することができる。

2  前項の規定は、差し押えられた  不動産 につき使用又は  収益 をする権利を有する  第三者 について準用する。

第七十条 (船舶又は航空機の差押)

 登記される船舶(  以下 「船舶」という。)又は  航空法 (昭和二十七年法律第二百三十一号)の  規定 により登録を受けた  飛行機 若しくは回転翼航空機(  以下 「航空機」という。)の  差押 については、第六十八条第一項から  第四項 まで(不動産の  差押 の手続及び  効力発生時期 )の規定を  準用 する。

2  税務署長は、滞納処分のため  必要 があるときは、船舶又は  航空機 を一時停泊させることができる。ただし、  発航 の準備が終つた  船舶 又は航空機については、この限りでない。

3  徴収職員は、滞納処分のため  必要 があるときは、船舶又は  航空機 の監守及び  保存 のため必要な  処分 をすることができる。

4  前項の処分が  差押書 の送達前にされた  場合 には、第一項において  準用 する第六十八条第二項の  規定 にかかわらず、その処分をした時に  差押 の効力が生ずる。

5  税務署長は、停泊中の  船舶 若しくは航空機を差し押えた  場合 又は第二項の  規定 により船舶若しくは  航空機 を停泊させた  場合 において、営業上の  必要 その他相当の  理由 があるときは、滞納者並びにこれらにつき  交付要求 をした者及び抵当権その他の  権利 を有する者の申立により、  航行 を許可することができる。

第七十一条  道路運送車両法 第七十一条 (自動車、建設機械又は小型船舶の差押え)

(昭和二十六年法律第百八十五号)の規定により  登録 を受けた自動車(  以下 「自動車」という。)、  建設機械抵当法 (昭和二十九年法律第九十七号)の  規定 により登記を受けた  建設機械 (以下「  建設機械 」という。)又は小型船舶の  登録等 に関する法律 (  平成十三年法律第百二号 )の規定により  登録 を受けた小型船舶(  以下 「小型船舶」という。)の  差押 えについては、第六十八条第一項から  第四項 まで(不動産の  差押 えの手続及び  効力発生時期 )の規定を  準用 する。

2  前条第三項及び第四項の  規定 は、自動車、  建設機械 又は小型船舶の  差押 えについて準用する。

3  税務署長は、自動車、  建設機械 又は小型船舶を差し押さえた  場合 には、滞納者に対し、これらの  引渡 しを命じ、徴収職員にこれらの  占有 をさせることができる。

4  第五十六条第一項(動産等の  差押手続 )、第五十八条(  第三者 が占有する  動産等 の差押手続)及び  第五十九条 (引渡命令を受けた  第三者等 の権利の  保護 )の規定は、  前項 の規定により  徴収職員 に自動車、  建設機械 又は小型船舶を  占有 させる場合について  準用 する。

5  徴収職員は、第三項の  規定 により占有する  自動車 、建設機械又は  小型船舶 を滞納者又はこれらを  占有 する第三者に  保管 させることができる。この場合においては、  封印 その他の公示方法によりその  自動車 、建設機械又は  小型船舶 が徴収職員の  占有 に係る旨を明らかにしなければならないものとし、また、次項の  規定 により自動車の  運行 、建設機械の  使用 又は小型船舶の  航行 を許可する  場合 を除き、これらの運行、  使用 又は航行をさせないための  適当 な措置を講じなければならない。

6  徴収職員は、第三項又は  前項 の規定により  占有 し、又は保管させた  自動車 、建設機械又は  小型船舶 につき営業上の  必要 その他相当の  理由 があるときは、滞納者並びにこれらにつき  交付要求 をした者及び抵当権その他の  権利 を有する者の申立てにより、その  運行 、使用又は  航行 を許可することができる。

     第五款 無体財産権等の差押

第七十二条 (特許権等の差押の手続及び効力発生時期)

 前三款の規定の  適用 を受けない財産(  以下 「無体財産権等」という。)のうち  特許権 、著作権その  他第三債務者 又はこれに準ずる者(以下「  第三債務者等 」という。)がない財産の  差押 は、滞納者に対する  差押書 の送達により行う。

2  前項の差押の  効力 は、その差押書が  滞納者 に送達された時に生ずる。

3  税務署長は、無体財産権等でその  権利 の移転につき  登記 を要するものを差し押えたときは、差押の  登記 を関係機関に  嘱託 しなければならない。

4  前項の差押の  登記 が差押書の  送達前 にされた場合には、  第二項 の規定にかかわらず、その  差押 の登記がされた時に  差押 の効力が生ずる。

5  特許権、実用新案権その他の  権利 でその処分の  制限 につき登記をしなければ  効力 が生じないものとされているものの差押えの  効力 は、第二項及び  前項 の規定にかかわらず、  差押 えの登記がされた時に生ずる。

第七十三条 (電話加入権等の差押の手続及び効力発生時期)

 無体財産権等のうち電話加入権、  合名会社 の社員の  持分 その他第三債務者等がある  財産 の差押は、  第三債務者等 に対する差押通知書の  送達 により行う。

2  前項の差押の  効力 は、その差押通知書が  第三債務者等 に送達された時に生ずる。

3  前条第三項及び第四項の  規定 は、第一項に  規定 する財産でその  権利 の移転につき  登記 を要するもの(次項に  規定 するものを除く。)の差押について  準用 する。この場合において、  同条第四項中 「差押書」とあるのは、「  差押通知書 」と読み替えるものとする。

4  前条第五項の規定は、  特許権 についての専用実施権その他の  権利 でその処分の  制限 につき登記をしなければ  効力 が生じないものとされているものの差押えについて  準用 する。

5  第六十五条(債権証書の  取上 げ)及び第六十七条(差し押えた  債権 の取立)の  規定 は、第一項に  規定 する財産について  準用 する。

第七十四条 (差し押さえた持分の払戻しの請求)

 税務署長は、中小企業等協同組合法 に基づく  企業組合 、信用金庫その他の  法人 で組合員、  会員 その他の持分を有する  構成員 が任意に(  脱退 につき予告その  他一定 の手続を要する  場合 には、これをした後任意に)  脱退 することができるもの(合名会社、  合資会社 及び合同会社を除く。  以下 この条において「組合等」という。)の  組合員 、会員その他の  構成員 である滞納者の  持分 を差し押さえた場合において、  当該持分 につき次に掲げる理由があり、かつ、その  持分以外 の財産につき  滞納処分 を執行してもなお  徴収 すべき国税に  不足 すると認められるときは、その組合等に対し、その  持分 の一部の  払戻 し(組合等による  譲受 けが認められている持分については、  譲受 け)を請求することができる。

一  その持分を  再度換価 に付してもなお買受人がないこと。

二  その持分の  譲渡 につき法律又は  定款 に制限があるため、  譲渡 することができないこと。

2  前項に規定する  請求 は、三十日(  組合等 からの脱退につき、  法律 又は定款の定めにより、これと異なる  一定期間前 に組合等に  予告 することを必要とするものにあつては、その  期間 )前に組合等にその  予告 をした後でなければ、行うことができない。

     第六款 差押禁止財産

第七十五条 (一般の差押禁止財産)

 次に掲げる財産は、差し押えることができない。

一  滞納者及びその者と生計を一にする  配偶者 (届出をしていないが、  事実上婚姻関係 にある者を含む。)その他の親族(  以下 「生計を一にする  親族 」という。)の生活に欠くことができない  衣服 、寝具、  家具 、台所用具、畳及び建具

二  滞納者及びその者と生計を一にする  親族 の生活に  必要 な三月間の  食料 及び燃料

三  主として自己の  労力 により農業を営む者の  農業 に欠くことができない器具、  肥料 、労役の用に供する  家畜 及びその飼料並びに次の  収穫 まで農業を  続行 するために欠くことができない種子その他これに類する農産物

四  主として自己の  労力 により漁業を営む者の  水産物 の採捕又は  養殖 に欠くことができない漁網その他の  漁具 、えさ及び稚魚その他これに類する水産物

五  技術者、職人、  労務者 その他の主として自己の  知的 又は肉体的な  労働 により職業又は  営業 に従事する者(  前二号 に規定する者を除く。)のその  業務 に欠くことができない器具その他の物(  商品 を除く。)

六  実印その他の印で職業又は  生活 に欠くことができないもの

七  仏像、位牌その  他礼拝 又は祭祀に  直接供 するため欠くことができない物

八  滞納者に必要な  系譜 、日記及びこれに類する書類

九  滞納者又はその親族が受けた  勲章 その他名誉の章票

十  滞納者又はその者と生計を一にする  親族 の学習に  必要 な書籍及び器具

十一  発明又は著作に係るもので、まだ  公表 していないもの

十二  滞納者又はその者と生計を一にする  親族 に必要な  義手 、義足その他の  身体 の補足に供する物

十三  建物その他の工作物について、  災害 の防止又は  保安 のため法令の  規定 により設備しなければならない  消防用 の機械又は  器具 、避難器具その他の備品

2  前項第一号(畳及び建具に係る  部分 に限る。)及び第十三号の  規定 は、これらの規定に  規定 する財産をその  建物 その他の工作物とともに差し押えるときは、  適用 しない。

第七十六条 (給与の差押禁止)

 給料、賃金、  俸給 、歳費、  退職年金 及びこれらの性質を有する  給与 に係る債権(  以下 「給料等」という。)については、次に掲げる  金額 の合計額に達するまでの  部分 の金額は、差し押えることができない。この  場合 において、滞納者が  同一 の期間につき  二以上 の給料等の  支払 を受けるときは、その合計額につき、  第四号 又は第五号に掲げる  金額 に係る限度を  計算 するものとする。

一  所得税法第百八十三条 (給与所得に係る  源泉徴収義務 )、第百九十条(  年末調整 )、第百九十二条(  年末調整 に係る不足額の  徴収 )又は第二百十二条(  非居住者等 の所得に係る  源泉徴収義務 )の規定によりその  給料等 につき徴収される  所得税 に相当する金額

二  地方税法第三百二十一条の三 (  個人 の市町村民税の  特別徴収 )その他の規定によりその  給料等 につき特別徴収の  方法 によつて徴収される  道府県民税 及び市町村民税に  相当 する金額

三  健康保険法 (大正十一年法律第七十号)  第百六十七条第一項 (報酬からの  保険料 の控除)その他の  法令 の規定によりその  給料等 から控除される  社会保険料 (所得税法第七十四条第二項 (  社会保険料控除 )に規定する  社会保険料 をいう。)に相当する金額

四  滞納者(その者と生計を一にする  親族 を含む。)に対し、これらの者が所得を有しないものとして、  生活保護法 (昭和二十五年法律第百四十四号)  第十二条 (生活扶助)に  規定 する生活扶助の  給付 を行うこととした場合におけるその  扶助 の基準となる  金額 で給料等の  支給 の基礎となつた  期間 に応ずるものを勘案して  政令 で定める金額

五  その給料等の  金額 から前各号に掲げる  金額 の合計額を  控除 した金額の  百分 の二十に  相当 する金額(その  金額 が前号に掲げる  金額 の二倍に  相当 する金額をこえるときは、  当該金額

2  給料等に基き支払を受けた  金銭 は、前項第四号及び  第五号 に掲げる金額の  合計額 に、その給料等の  支給 の基礎となつた  期間 の日数のうちに  差押 の日から次の支払日までの  日数 の占める割合を乗じて  計算 した金額を  限度 として、差し押えることができない。

3  賞与及びその性質を有する  給与 に係る債権については、その  支払 を受けるべき時における給料等とみなして、  第一項 の規定を  適用 する。この場合において、  同項第四号 又は第五号に掲げる  金額 に係る限度の  計算 については、その支給の  基礎 となつた期間が  一月 であるものとみなす。

4  退職手当及びその性質を有する  給与 に係る債権(  以下 「退職手当等」という。)については、次に掲げる  金額 の合計額に達するまでの  部分 の金額は、差し押えることができない。

一  所得税法第百九十九条 (退職所得に係る  源泉徴収義務 )又は第二百十二条 の  規定 によりその退職手当等につき  徴収 される所得税に  相当 する金額

二  第一項第二号及び第三号中「  給料等 」とあるのを「退職手当等」として、これらの  規定 を適用して  算定 した金額

三  第一項第四号に掲げる金額で  同号 に規定する  期間 を一月として  算定 したものの三倍に  相当 する金額

四  退職手当等の支給の  基礎 となつた期間が  五年 をこえる場合には、そのこえる  年数一年 につき前号に掲げる  金額 の百分の  二十 に相当する金額

5  第一項、第二項及び  前項 の規定は、  滞納者 の承諾があるときは  適用 しない。

第七十七条 (社会保険制度に基づく給付の差押禁止)

 社会保険制度に基づき支給される  退職年金 、老齢年金、  普通恩給 、休業手当金及びこれらの  性質 を有する給付(  確定給付企業年金法 (平成十三年法律第五十号)  第三十八条第一項 (老齢給付金の  支給方法 )の規定に基づいて  支給 される年金、  確定拠出年金法 (平成十三年法律第八十八号)  第三十五条第一項 (老齢給付金の  支給方法 )(同法第七十三条 (  企業型年金 に係る規定の  準用 )において準用する  場合 を含む。)の規定に基づいて  支給 される年金その  他政令 で定める退職年金を含む。)に係る  債権 は給料等と、  退職一時金 、一時恩給及びこれらの  性質 を有する給付(  確定給付企業年金法第三十八条第二項 の規定に基づいて  支給 される一時金及び  同法第四十二条 (脱退一時金の  支給方法 )の規定に基づいて  支給 される脱退一時金、確定拠出年金法第三十五条

2  前項に規定する  社会保険制度 とは、次に掲げる法律に基づく  保険 、共済又は  恩給 に関する制度その  他政令 で定めるこれらに類する制度をいう。

一  厚生年金保険法 (昭和二十九年法律第百十五号)

二  船員保険法 (昭和十四年法律第七十三号)

三  国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)

四  恩給法 (大正十二年法律第四十八号)(他の  法律 において準用する  場合 を含む。)

五  国家公務員共済組合法 (昭和三十三年法律第百二十八号)

六  地方公務員等共済組合法 (昭和三十七年法律第百五十二号)

七  私立学校教職員共済法 (昭和二十八年法律第二百四十五号)

第七十八条 (条件付差押禁止財産)

 次に掲げる財産(  第七十五条第一項第三号 から第五号まで(  農業等 に欠くことができない財産)に掲げる  財産 を除く。)は、滞納者がその  国税 の全額を  徴収 することができる財産で、  換価 が困難でなく、かつ、  第三者 の権利の  目的 となつていないものを提供したときは、その  選択 により、差押をしないものとする。

一  農業に必要な  機械 、器具、  家畜類 、飼料、  種子 その他の農産物、  肥料 、農地及び採草放牧地

二  漁業に必要な  漁網 その他の漁具、えさ、  稚魚 その他の水産物及び漁船

三  職業又は事業(  前二号 に規定する  事業 を除く。)の継続に  必要 な機械、  器具 その他の備品及び  原材料 その他たな卸をすべき資産

     第七款 差押の解除

第七十九条 (差押の解除の要件)

 徴収職員は、次の各号の一に  該当 するときは、差押を  解除 しなければならない。

一  納付、充当、  更正 の取消その他の  理由 により差押に係る  国税 の全額が  消滅 したとき。

二  差押財産の価額がその  差押 に係る滞納処分費及び  差押 に係る国税に先だつ他の  国税 、地方税その他の  債権 の合計額をこえる  見込 がなくなつたとき。

2  徴収職員は、次の各号の一に  該当 するときは、差押財産の  全部 又は一部について、その  差押 を解除することができる。

一  差押に係る国税の  一部 の納付、  充当 、更正の  一部 の取消、  差押財産 の値上りその他の  理由 により、その価額が  差押 に係る国税及びこれに先だつ他の  国税 、地方税その他の  債権 の合計額を著しく  超過 すると認められるに至つたとき。

二  滞納者が他に差し押えることができる適当な  財産 を提供した  場合 において、その財産を差し押えたとき。

第八十条 (差押えの解除の手続)

 差押の解除は、その旨を  滞納者 に通知することによつて行う。ただし、  債権 及び第三債務者等のある  無体財産権等 の差押の  解除 は、その旨を第三債務者等に  通知 することによつて行う。

2  徴収職員は、次の各号に掲げる  財産 の差押を  解除 したときは、当該各号に掲げる  手続 をしなければならない。ただし、第一号に  規定 する除去は、  滞納者 又はその財産を  占有 する第三者に行わせることができる。

一  動産又は有価証券 その  引渡 及び封印、  公示書 その他差押を  明白 にするために用いた物の除去

二  債権又は第三債務者等がある  無体財産権等 滞納者 への通知

3  税務署長は、不動産その  他差押 の登記をした  財産 の差押を  解除 したときは、その登記のまつ消を  関係機関 に嘱託しなければならない。

4  第二項第一号の動産又は  有価証券 の引渡は、  滞納者 に対し、次の各号に掲げる  場合 の区分に応じ、  当該各号 に掲げる場所において行わなければならない。ただし、  差押 の時に滞納者以外の  第三者 が占有していたものについては、  滞納者 に対し引渡をすべき旨の  第三者 の申出がない限り、その  第三者 に引き渡さなければならない。

一  前条第一項各号又は同条第二項第一号の  規定 に該当する  場合 のうち、更正の  取消 その他国の責に帰すべき  理由 による場合差押の時に  存在 した場所

二  その他の場合 差押を  解除 した時に存在する場所

5  第二項第一号及び前項の  規定 は、債権又は  自動車 、建設機械若しくは  小型船舶 の差押えを  解除 した場合において、  第六十五条 (債権証書の  取上 げ)(第七十三条第五項(  権利証書 の取上げ)の  規定 により準用する  場合 を含む。)の規定により取り上げた  証書 又は第七十一条第三項(差し押さえた  自動車等 の占有)の  規定 により徴収職員が  占有 した自動車、  建設機械 若しくは小型船舶があるときについて  準用 する。

第八十一条 (質権者等への差押解除の通知)

 税務署長は、差押を  解除 した場合において、  第五十五条各号 (質権者等に対する  差押 の通知)に掲げる者のうち知れている者及び  交付要求 をしている者があるときは、これらの者にその旨その他必要な  事項 を通知しなければならない。

    第二節 交付要求

第八十二条 (交付要求の手続)

 滞納者の財産につき  強制換価手続 が行われた場合には、  税務署長 は、執行機関(  破産法 (平成十六年法律第七十五号)  第百十四条第一号 (租税等の  請求権 の届出)に掲げる  請求権 に係る国税の  交付要求 を行う場合には、その  交付要求 に係る破産事件を取り扱う  裁判所 。第八十四条第二項(  交付要求 の解除)において同じ。)に対し、  滞納 に係る国税につき、  交付要求書 により交付要求をしなければならない。

2  税務署長は、交付要求をしたときは、その旨を  滞納者 に通知しなければならない。

3  第五十五条(質権者等に対する  差押 の通知)の  規定 は、交付要求をした  場合 について準用する。

第八十三条 (交付要求の制限)

 税務署長は、滞納者が他に  換価 の容易な  財産 で第三者の  権利 の目的となつていないものを有しており、かつ、その  財産 によりその国税の  全額 を徴収することができると認められるときは、  交付要求 をしないものとする。

第八十四条 (交付要求の解除)

 税務署長は、納付、  充当 、更正の  取消 その他の理由により  交付要求 に係る国税が  消滅 したときは、その交付要求を  解除 しなければならない。

2  交付要求の解除は、その旨をその  交付要求 に係る執行機関に  通知 することによつて行う。

3  第五十五条(質権者等に対する  差押 の通知)及び  第八十二条第二項 (交付要求の  通知 )の規定は、  交付要求 を解除した  場合 について準用する。

第八十五条 (交付要求の解除の請求)

 強制換価手続により配当を受けることができる  債権者 は、交付要求があつたときは、  税務署長 に対し、次の各号のいずれにも  該当 することを理由として、その  交付要求 を解除すべきことを  請求 することができる。

一  その交付要求により  自己 の債権の  全部 又は一部の  弁済 を受けることができないこと。

二  滞納者が他に換価の  容易 な財産で  第三者 の権利の  目的 となつていないものを有しており、かつ、その財産によりその  交付要求 に係る国税の  全額 を徴収することができること。

2  税務署長は、前項の  請求 があつた場合において、その  請求 を相当と認めるときは、  交付要求 を解除しなければならないものとし、その  請求 を相当と認めないときは、その旨をその  請求 をした者に通知しなければならない。

第八十六条 (参加差押えの手続)

 税務署長は、第四十七条(  差押 えの要件)の  規定 により差押えをすることができる  場合 において、滞納者の  財産 で次に掲げるものにつき既に滞納処分による  差押 えがされているときは、当該財産についての  交付要求 は、第八十二条第一項(  交付要求 の手続)の  交付要求書 に代えて参加差押書を  滞納処分 をした行政機関等に  交付 してすることができる。

一  動産及び有価証券

二  不動産、船舶、  航空機 、自動車、  建設機械 及び小型船舶

三  電話加入権

2  税務署長は、前項の  交付要求 (以下「  参加差押 」という。)をしたときは、参加差押通知書により  滞納者 に通知しなければならない。この  場合 において、参加差押をした  財産 が電話加入権であるときは、あわせて  第三債務者 にその旨を通知しなければならない。

3  税務署長は、第一項第二号に掲げる  財産 につき参加差押をしたときは、  参加差押 の登記を  関係機関 に嘱託しなければならない。

4  第五十五条(質権者等に対する  差押 の通知)の  規定 は、参加差押をした  場合 について準用する。

第八十七条 (参加差押えの効力)

 参加差押えをした場合において、その  参加差押 えに係る財産につきされていた  滞納処分 による差押えが  解除 されたときは、その参加差押え(  前条第一項第二号 に掲げる財産について  二以上 の参加差押えがあるときは、そのうち最も先に  登記 されたものとし、その他の財産について  二以上 の参加差押えがあるときは、そのうち最も先にされたものとする。)は、次の  各号 に掲げる財産の  区分 に応じ、当該各号に掲げる時にさかのぼつて  差押 えの効力を生ずる。

一  動産及び有価証券 参加差押書が  滞納処分 による差押えをした  行政機関等 に交付された時

二  不動産(次号に掲げる  財産 を除く。)、船舶、  航空機 、自動車、  建設機械 及び小型船舶 参加差押通知書が  滞納者 に送達された時(  参加差押 えの登記がその  送達前 にされた場合には、その  登記 がされた時)

三  鉱業権 参加差押えの登録がされた時

四  電話加入権 参加差押通知書が第三債務者に  送達 された時

2  税務署長は、差し押さえた動産又は  有価証券 につき参加差押書の  交付 を受けた場合において、その  動産 又は有価証券の  差押 えを解除すべきときは、その  動産 又は有価証券を  前項 の規定により  差押 えの効力を生ずべき  参加差押 えをした行政機関等に引き渡さなければならない。差し押さえた  自動車 、建設機械又は  小型船舶 で第七十一条第三項(差し押さえた  自動車等 の占有)の  規定 により徴収職員が  占有 しているものについても、また同様とする。

3  参加差押をした税務署長は、その  参加差押 に係る滞納処分による  差押財産 が相当期間内に  換価 に付されないときは、すみやかにその換価をすべきことをその  滞納処分 をした行政機関等に  催告 することができる。

第八十八条 (参加差押の制限、解除等)

 第八十三条から第八十五条まで(  交付要求 の制限、  解除等 )の規定は、  参加差押 について準用する。

2  税務署長は、参加差押の  登記 をした財産の  参加差押 を解除したときは、その  登記 のまつ消を関係機関に  嘱託 しなければならない。

3  税務署長は、電話加入権の  参加差押 を解除したときは、その旨を  第三債務者 に通知しなければならない。

4  前二条及び前三項に定めるもののほか、  参加差押 に関する手続について  必要 な事項は、  政令 で定める。

    第三節 財産の換価

     第一款 通則

第八十九条 (換価する財産の範囲)

 差押財産(金銭、  債権 及び第五十七条(  有価証券 に係る債権の  取立 )の規定により  債権 の取立をする  有価証券 を除く。以下この節において同じ。)は、この節の定めるところにより  換価 しなければならない。

2  差し押えた債権のうち、その  全部 又は一部の  弁済期限 が取立をしようとする時から  六月以内 に到来しないもの及び  取立 をすることが著しく困難であると認められるものは、この節の定めるところにより  換価 することができる。

第九十条 (換価の制限)

 果実は成熟した後、蚕は繭となつた後でなければ、  換価 をすることができない。

2  前項の規定は、  生産工程中 における仕掛品(  栽培品 その他これらに類するものを含む。)で、完成品となり、又は  一定 の生産過程に達するのでなければ、その  価額 が著しく低くて通常の  取引 に適しないものについて準用する。

3  第二次納税義務者が第三十二条第一項(  第二次納税義務 の通則)の  告知 、同条第二項の  督促 又はこれらに係る国税に関する  滞納処分 につき訴えを提起したときは、その  訴訟 の係属する間は、  当該国税 につき滞納処分による  財産 の換価をすることができない。  保証人 が国税通則法第五十二条第二項 (  担保 の処分)の  告知 、同条第三項 の  督促 若しくはこれらに係る国税に関する  滞納処分 につき訴えを提起したとき、又は  第五十五条第二号 (仮登記の  権利者 に対する差押えの  通知 )の通知(  担保 のための仮登記に係るものに限る。)に係る  差押 えにつき訴えの提起があつたときにおいても、また  同様 とする。

第九十一条 (自動車等の換価前の占有)

 自動車、建設機械又は  小型船舶 の換価は、  徴収職員 が第七十一条第三項(差し押さえた  自動車等 の占有)の  規定 によりこれらを占有した後に行うものとする。ただし、  換価 に支障がないと認められるときは、この限りでない。

第九十二条 (買受人の制限)

 滞納者は、換価の  目的 となつた自己の  財産 (第二十四条第三項(  譲渡担保財産 に対する執行)の  規定 の適用を受ける  譲渡担保財産 を除く。)を、直接であると  間接 であるとを問わず、買い受けることができない。国税庁、  国税局 、税務署又は  税関 に所属する  職員 で国税に関する  事務 に従事する  職員 は、換価の  目的 となつた財産について、また  同様 とする。

第九十三条 (修理等の処分)

 税務署長は、差押財産を  換価 する場合において、  必要 があると認めるときは、滞納者の  同意 を得て、その財産につき  修理 その他その価額を  増加 する処分をすることができる。

     第二款 公売

第九十四条 (公売)

 税務署長は、差押財産を  換価 するときは、これを公売に付さなければならない。

2  公売は、入札又はせり売の  方法 により行わなければならない。

第九十五条 (公売公告)

 税務署長は、差押財産を  公売 に付するときは、公売の日の少なくとも  十日前 までに、次に掲げる事項を  公告 しなければならない。ただし、公売に付する  財産 (以下「  公売財産 」という。)が不相応の  保存費 を要し、又はその価額を著しく  減少 するおそれがあると認めるときは、この期間を  短縮 することができる。

一  公売財産の名称、  数量 、性質及び所在

二  公売の方法

三  公売の日時及び場所

四  売却決定の日時及び場所

五  公売保証金を納付させるときは、その金額

六  買受代金の納付の期限

七  公売財産の買受人について  一定 の資格その他の  要件 を必要とするときは、その旨

八  公売財産上に質権、  抵当権 、先取特権、  留置権 その他その財産の  売却代金 から配当を受けることができる  権利 を有する者は、売却決定の日の  前日 までにその内容を申し出るべき旨

九  前各号に掲げる事項のほか、  公売 に関し重要と認められる事項

2  前項の公告は、  税務署 の掲示場その  他税務署内 の公衆の見やすい  場所 に掲示して行う。ただし、他の  適当 な場所に  掲示 する方法、  官報 又は時事に関する  事項 を掲載する  日刊新聞紙 に掲げる方法その他の  方法 をあわせて用いることを妨げない。

第九十六条 (公売の通知)

 税務署長は、前条の  公告 をしたときは、同条第一項各号(  第八号 を除く。)に掲げる事項及び  公売 に係る国税の額を  滞納者 及び次に掲げる者のうち知れている者に通知しなければならない。

一  公売財産につき交付要求をした者

二  公売財産上に質権、  抵当権 、先取特権、  留置権 、地上権、  賃借権 その他の権利を有する者

2  税務署長は、前項の  通知 をするときは、公売財産の  売却代金 から配当を受けることができる者のうち知れている者に対し、その  配当 を受けることができる国税、  地方税 その他の債権につき  第百三十条第一項 (債権現在額申立書の  提出 )に規定する  債権現在額申立書 をその財産の  売却決定 をする日の前日までに  提出 すべき旨の催告をあわせてしなければならない。

第九十七条 (公売の場所)

 公売は、公売財産の  所在 する市町村(  特別区 を含む。以下同じ。)において行うものとする。ただし、  税務署長 が必要と認めるときは、他の  場所 で行うことができる。

第九十八条 (見積価額の決定)

 税務署長は、公売財産の  見積価額 を決定しなければならない。この  場合 において、必要と認めるときは、  鑑定人 にその評価を  委託 し、その評価額を  参考 とすることができる。

第九十九条 (見積価額の公告等)

 税務署長は、公売財産のうち次の  各号 に掲げる財産を  公売 に付するときは、当該各号に掲げる日までに  見積価額 を公告しなければならない。

一  不動産、船舶及び  航空機 公売 の日から三日前の日

二  せり売の方法又は  第百五条第一項 (複数落札入札制)に  規定 する方法により  公売 する財産(  前号 に掲げる財産を除く。)   公売 の日の前日(  当該財産 につき第九十五条第一項ただし書(  公売公告 )に該当する  事実 があると認めるときは、公売の日)

三  その他の財産で  税務署長 が公告を  必要 と認めるもの 公売の日の前日

2  税務署長は、見積価額を  公告 しない財産を  公売 するときは、その見積価額を  記載 した書面を  封筒 に入れ、封をして、公売をする  場所 に置かなければならない。

3  第九十五条第二項の規定は、  第一項 の公告について  準用 する。ただし、税務署長は、  公売財産 が動産であるときに限り、その  財産 に見積価額を  記載 した用紙をはりつけて、この  公告 に代えることができる。

4  税務署長は、第一項の  場合 において、公売財産上に  賃借権 (不動産又は  船舶 に係るものに限る。)又は地上権があるときは、あわせてその  存続期限 、借賃又は  地代 その他これらの権利の  内容 を公告しなければならない。

第百条 (公売保証金)

 公売財産の入札又はせり売に係る  買受 の申込(  以下 「入札等」という。)をしようとする者は、  税務署長 が公売財産の  見積価額 の百分の  十以上 の額により定める公売保証金を  現金 (国税の  納付 に使用することができる  小切手 のうち銀行の  振出 に係るもの及びその支払保証のあるものを含む。  以下第百十五条第三項 (買受代金の  納付 の期限)において同じ。)で  納付 しなければならない。ただし、税務署長は、  公売財産 の見積価額が  政令 で定める金額以下である  場合 又は買受代金を  売却決定 の日に納付させるときは、その  納付 を要しないものとすることができる。

2  公売財産の入札等をしようとする者(  以下 「入札者等」という。)は、  前項 ただし書の規定の  適用 を受ける場合を除き、  公売保証金 を納付した後でなければ、  入札等 をすることができない。

3  公売財産の買受人は、その  納付 した公売保証金を  買受代金 に充てることができる。ただし、第百十五条第四項(  売却決定 の取消)の  規定 により売却決定が取り消されたときは、その  公売 に係る国税に充て、なお  残余 があるときは、これを滞納者に  交付 しなければならない。

4  税務署長は、次の各号に掲げる  場合 には、遅滞なく、  当該各号 に規定する  公売保証金 をその納付した者に  返還 しなければならない。

一  第百四条から第百五条まで(  最高価申込者等 の決定)の  規定 により最高価申込者及び  次順位買受申込者 (以下この項、  第百六条第一項 及び第二項(  入札 又は競り売りの終了の  告知等 )、第百八条第一項及び  第二項 (公売実施の  適正化 のための措置)並びに  第百十四条 (買受申込み等の  取消 し)において「最高価申込者等」という。)を定めた  場合 において、他の入札者等の  納付 した公売保証金があるとき。

二  入札等の価額の  全部 が見積価額に達しないことその他の  理由 により最高価申込者を定めることができなかつた  場合 において、入札者等の  納付 した公売保証金があるとき。

三  第百十四条の規定により  最高価申込者等 又は買受人がその  入札等 又は買受けを取り消した  場合 において、その者の納付した  公売保証金 があるとき。

四  第百十五条第三項(買受代金の  納付 )の規定により  最高価申込者 が買受代金を  納付 した場合において、  次順位買受申込者 が納付した  公売保証金 があるとき。

五  第百十七条(国税の  完納 による売却決定の  取消 し)の規定により  売却決定 が取り消された場合において、  買受人 の納付した  公売保証金 があるとき。

第百一条 (入札及び開札)

 入札をしようとする者は、その住所又は  居所 、氏名(  法人 にあつては、名称。  以下同 じ。)、公売財産の  名称 、入札価額その  他必要 な事項を  記載 した入札書に封をして、これを  徴収職員 に差し出さなければならない。この場合において、  行政手続等 における情報通信の  技術 の利用に関する  法律 (平成十四年法律第百五十一号)  第三条第一項 (電子情報処理組織による  申請等 )の規定により  同項 に規定する  電子情報処理組織 を使用して  入札 がされる場合には、  入札書 に封をすることに相当する  措置 であつて財務省令で定めるものをもつて  当該封 をすることに代えることができる。

2  入札者は、その提出した  入札書 の引換、  変更 又は取消をすることができない。

3  開札をするときは、徴収職員は、  入札者 を開札に立ち会わせなければならない。ただし、  入札者 が立ち会わないときは、税務署所属の他の  職員 を開札に立ち会わせなければならない。

第百二条 (再度入札)

 税務署長は、入札の  方法 により差押財産を  公売 する場合において、  入札者 がないとき、又は入札価額が  見積価額 に達しないときは、直ちに再度入札をすることができる。この  場合 においては、見積価額を  変更 することができない。

第百三条 (せり売)

 せり売の方法により  差押財産 を公売するときは、  徴収職員 は、その財産を  指定 して、買受の  申込 を催告しなければならない。

2  徴収職員は、せり売人を選び、  差押財産 のせり売を取り扱わせることができる。

3  前条の規定は、  差押財産 のせり売について準用する。

第百四条 (最高価申込者の決定)

 徴収職員は、見積価額以上の  入札者等 のうち最高の  価額 による入札者等を  最高価申込者 として定めなければならない。

2  前項の場合において、  最高 の価額の  入札者等 が二人以上あるときは、更に  入札等 をさせて定め、なおその入札等の  価額 が同じときは、くじで定める。

第百四条の二 (次順位買受申込者の決定)

 徴収職員は、入札の  方法 により不動産、  船舶 、航空機、  自動車 、建設機械、  小型船舶 、債権又は  電話加入権以外 の無体財産権等(  以下 「不動産等」という。)の  公売 をした場合において、  最高価申込者 の入札価額(  以下 この条において「最高入札価額」という。)に次ぐ高い  価額 (見積価額以上で、かつ、  最高入札価額 から公売保証金の額を  控除 した金額以上であるものに限る。  第三項 において同じ。)による入札者(  前条第二項 の規定によりくじで  最高価申込者 を定めた場合には、  当該最高価申込者以外 の最高の  価額 の入札者とする。  第三項 において同じ。)から次順位による  買受 けの申込みがあるときは、その者を  次順位買受申込者 として定めなければならない。

2  前項の次順位による  買受 けの申込みは、  最高価申込者 の決定後直ちにしなければならない。

3  第一項の場合において、  最高入札価額 に次ぐ高い価額による  入札者 が二人以上あるときは、くじで定める。

第百五条 (複数落札入札制による最高価申込者の決定)

 税務署長は、種類及び  価額 が同じ財産を  一時 に多量に  入札 の方法により  公売 する場合において、  必要 があると認めるときは、その財産の  数量 の範囲内において  入札 をしようとする者の希望する  数量 及び単価を  入札 させ、見積価額以上の  単価 の入札者のうち、  入札価額 の高い入札者から  順次 その財産の  数量 に達するまでの入札者を  最高価申込者 とする方法(  以下 「複数落札入札制」という。)によることができる。この  場合 において、最高価申込者となるべき  最後 の順位の  入札者 が二人以上あるときは、  入札数量 の多いものを先順位の  入札者 とし、入札数量が同じときは、くじで  先順位 の入札者を定める。

2  複数落札入札制による場合において、  最高価申込者 のうち最後の  順位 の入札者の  入札数量 が他の最高価申込者の  入札数量 とあわせて公売財産の  数量 をこえるときは、そのこえる入札数量については、  入札 がなかつたものとする。

3  税務署長は、複数落札入札制による  最高価申込者 に対して売却決定をした  場合 において、買受人のうちに  買受代金 をその納付の  期限 までに納付しない者があるときは、  開札 に引き続き売却決定を行い、かつ、直ちに  代金 を納付させるときに限り、その者に  売却決定 をした数量の  範囲内 において、まず、前項の  規定 により入札がなかつたものとされた  入札数量 (買受代金を  納付 しない買受人の  同項 の規定により  入札 がなかつたものとされた入札数量を除く。)につき  入札 があつたものとし、次に、第一項後段の  規定 により最高価申込者とならなかつた者を  最高価申込者 とすることができる。この場合においては、  同項後段 及び前項の  規定 を準用する。

第百六条 (入札又は競り売りの終了の告知等)

 徴収職員は、最高価申込者等を定めたときは、直ちにその  氏名 及び価額(  複数落札入札制 による場合には、  数量 及び単価。  次項 において同じ。)を呼び上げた後、入札又は競り売りの  終了 を告知しなければならない。

2  前項の場合において、  公売 した財産が  不動産等 であるときは、税務署長は、  最高価申込者等 の氏名、その  価額並 びに売却決定をする  日時 及び場所を  滞納者 及び第九十六条第一項各号(  公売 の通知)に掲げる者(  以下 「利害関係人」という。)のうち知れている者に  通知 するとともに、これらの事項を  公告 しなければならない。

3  第九十五条第二項(公売公告の  方法 )の規定は、  前項 の公告について  準用 する。

第百七条 (再公売)

 税務署長は、公売に付しても  入札者等 がないとき、入札等の  価額 が見積価額に達しないとき、又は  次順位買受申込者 が定められていない場合において  次条第二項 若しくは第百十五条第四項(  売却決定 の取消し)の  規定 により売却決定を取り消したときは、更に  公売 に付するものとする。

2  税務署長は、前項の  規定 により公売に付する  場合 において、必要があると認めるときは、  公売財産 の見積価額の  変更 、第九十五条第一項本文(  公売公告 )の期間の  短縮 その他公売の  条件 の変更をすることができる。

3  第九十六条(公売の  通知 )の規定は、  第一項 の規定による  公売 が直前の  公売期日 から十日以内に行われるときは、  適用 しない。

4  第一項の規定により  公売 に付する場合における  第九十九条第一項第一号 (見積価額の  公告 の日)の規定の  適用 については、同号中「  公売 の日から三日前の日」とあるのは、「  公売 の日の前日」とする。

第百八条 (公売実施の適正化のための措置)

 税務署長は、次に掲げる者に該当すると認められる  事実 がある者については、その事実があつた  後二年間 、公売の  場所 に入ることを制限し、若しくはその  場所 から退場させ、又は  入札等 をさせないことができる。その事実があつた  後二年 を経過しない者を  使用人 その他の従業者として  使用 する者及びこれらの者を入札等の  代理人 とする者についても、また同様とする。

一  入札等をしようとする者の公売への  参加 若しくは入札等、  最高価申込者等 の決定又は  買受人 の買受代金の  納付 を妨げた者

二  公売に際して不当に  価額 を引き下げる目的をもつて  連合 した者

三  偽りの名義で  買受申込 みをした者

四  正当な理由がなく、  買受代金 の納付の  期限 までにその代金を  納付 しない買受人

五  故意に公売財産を  損傷 し、その価額を  減少 させた者

六  前各号に掲げる者のほか、公売又は  随意契約 による売却の  実施 を妨げる行為をした者

2  前項の規定に  該当 する者の入札等又はその者を  最高価申込者等 とする決定については、  税務署長 は、その入札等がなかつたものとし、又はその  決定 を取り消すことができるものとする。

3  前項の場合において、  同項 の処分を受けた者の  納付 した公売保証金があるときは、その  公売保証金 は、国庫に  帰属 する。この場合において、  第百条第四項 (公売保証金の  返還 )の規定は、  適用 しない。

4  税務署長は、第一項の  規定 の適用に関し  必要 があると認めるときは、入札者等の  身分 に関する証明を求めることができる。

     第三款 随意契約による売却

第百九条 (随意契約による売却)

 次の各号の一に  該当 するときは、税務署長は、  差押財産 を、公売に代えて、  随意契約 により売却することができる。

一  法令の規定により、  公売財産 を買い受けることができる者が一人であるとき、その  財産 の最高価額が定められている  場合 において、その価額により  売却 するとき、その他公売に付することが  公益上適当 でないと認められるとき。

二  取引所の相場がある  財産 をその日の相場で  売却 するとき。

三  公売に付しても入札等がないとき、  入札等 の価額が  見積価額 に達しないとき、又は第百十五条第四項(  売却決定 の取消)の  規定 により売却決定を取り消したとき。

2  第九十八条(見積価額の  決定 )の規定は、  前項第一号 又は第三号の  規定 により売却する  場合 について準用する。この  場合 において、同号の  規定 により売却するときは、その  見積価額 は、その直前の  公売 における見積価額を下つてはならない。

3  税務署長は、第一項第三号の  規定 により売却する  差押財産 が動産であるときは、あらかじめ  公告 した価額により  売却 することができる。

4  第九十六条(公売の  通知 )及び第百七条第三項(  公売通知等 の例外)の  規定 は、差押財産を  随意契約 により売却する  場合 について、第百六条第二項及び  第三項 (最高価申込者等の  通知等 )の規定は、  随意契約 により買受人となるべき者を  決定 した場合について  準用 する。この場合において、  第九十六条第一項中 「前条の  公告 をしたときは」とあるのは「随意契約により  売却 をする日の七日前までに」と、「  通知 し」とあるのは「通知書を発し」と読み替えるものとする。

第百十条 (国による買入れ)

 国は、前条第一項第三号の  規定 に該当する  場合 において、必要があるときは、  同条第二項 の規定による  見積価額 でその財産を買い入れることができる。

     第四款 売却決定

第百十一条 (動産等の売却決定)

 税務署長は、動産、  有価証券 又は電話加入権を  換価 に付するときは、公売をする日(  随意契約 により売却する  場合 には、その売却する日。  以下 「公売期日等」という。)において、  最高価申込者 (随意契約により  売却 する場合における  買受人 となるべき者を含む。以下同じ。)に対して  売却決定 を行う。

第百十二条 (動産等の売却決定の取消)

 換価をした動産又は  有価証券 に係る売却決定の  取消 は、これをもつて買受代金を  納付 した善意の  買受人 に対抗することができない。

2  前項の規定により  買受人 に対抗することができないことにより  損害 が生じた者がある場合には、その生じたことについてその者に  故意 又は過失があるときを除き、国は、その  通常生 ずべき損失の額を  賠償 する責に任ずる。この場合において、他に  損害 の原因について責に任ずべき者があるときは、その者に対する  求償権 の行使を妨げない。

第百十三条 (不動産等の売却決定)

 税務署長は、不動産等を  換価 に付するときは、公売期日等から  起算 して七日を  経過 した日(以下「  売却決定期日 」という。)において最高価申込者に対して  売却決定 を行う。

2  次順位買受申込者を定めている場合において、次の  各号 の一に該当する  処分 又は行為があつたときは、  税務署長 は、当該各号に掲げる日において  次順位買受申込者 に対して売却決定を行う。

一  税務署長が第百八条第二項(  最高価申込者等 の決定の  取消 し)の規定により  最高価申込者 に係る決定の  取消 しをしたとき。 当該最高価申込者に係る売却決定期日

二  最高価申込者が次条の  規定 により入札の  取消 しをしたとき。 当該入札に係る売却決定期日

三  最高価申込者である買受人が  次条 の規定により  買受 けの取消しをしたとき。   当該取消 しをした日

四  税務署長が第百十五条第四項(  売却決定 の取消し)の  規定 により最高価申込者である  買受人 に係る売却決定の  取消 しをしたとき。 当該取消しをした日

第百十四条 (買受申込み等の取消し)

 換価に付した財産(  以下 「換価財産」という。)について  最高価申込者等 の決定又は  売却決定 をした場合において、  国税通則法第百五条第一項 ただし書(不服申立てがあつた  場合 の処分の  制限 )その他の法律の  規定 に基づき滞納処分の  続行 の停止があつたときは、その  停止 している間は、その最高価申込者等又は  買受人 は、その入札等又は  買受 けを取り消すことができる。

     第五款 代金納付及び権利移転

第百十五条 (買受代金の納付の期限等)

 換価財産の買受代金の  納付 の期限は、  売却決定 の日(買受人が  次順位買受申込者 である場合にあつては、  同日 から起算して  七日 を経過した日)とする。

2  税務署長は、必要があると認めるときは、  前項 の期限を  延長 することができる。ただし、その期間は、  十日 をこえることができない。

3  買受人は、買受代金を  第一項 の期限までに  現金 で納付しなければならない。

4  税務署長は、買受人が  買受代金 を第一項の  期限 までに納付しないときは、その  売却決定 を取り消すことができる。

第百十六条 (買受代金の納付の効果)

 買受人は、買受代金を  納付 した時に換価財産を  取得 する。

2  徴収職員が買受代金を  受領 したときは、その限度において、  滞納者 から換価に係る  国税 を徴収したものとみなす。

第百十七条 (国税の完納による売却決定の取消し)

 税務署長は、換価財産に係る  国税 の完納の  事実 が買受人の  買受代金 の納付前に  証明 されたときは、その売却決定を取り消さなければならない。

第百十八条 (売却決定通知書の交付)

 税務署長は、換価財産(  有価証券 を除く。)の買受人がその  買受代金 を納付したときは、  売却決定通知書 を買受人に  交付 しなければならない。ただし、動産については、その  交付 をしないことができる。

第百十九条 (動産等の引渡し)

 税務署長は、換価した  動産 、有価証券又は  自動車 、建設機械若しくは  小型船舶 (徴収職員が  占有 したものに限る。)の買受人が  買受代金 を納付したときは、その  財産 を買受人に引き渡さなければならない。

2  税務署長は、前項の  場合 において、その財産を  滞納者 又は第三者に  保管 させているときは、売却決定通知書を  買受人 に交付する  方法 によりその財産の  引渡 をすることができる。この場合において、その  引渡 をした税務署長は、その旨を  滞納者 又は第三者に  通知 しなければならない。

第百二十条 (有価証券の裏書等)

 税務署長は、換価した  有価証券 を買受人に引き渡す  場合 において、その証券に係る  権利 の移転につき  滞納者 に裏書、  名義変更 又は流通回復の  手続 をさせる必要があるときは、  期限 を指定して、これらの  手続 をさせなければならない。

2  税務署長は、前項の  場合 において、滞納者がその  期限 までに同項の  手続 をしないときは、滞納者に代つてその  手続 をすることができる。

第百二十一条 (権利移転の登記の嘱託)

 税務署長は、換価財産で  権利 の移転につき  登記 を要するものについては、不動産登記法 (  平成十六年法律第百二十三号 )その他の法令に  別段 の定めがある場合を除き、その  買受代金 を納付した  買受人 の請求により、その  権利 の移転の  登記 を関係機関に  嘱託 しなければならない。

第百二十二条 (債権等の権利移転の手続)

 税務署長は、換価した  債権 又は第七十三条第一項(  電話加入権等 の差押手続)に  規定 する財産の  買受人 がその買受代金を  納付 したときは、売却決定通知書を  第三債務者等 に交付しなければならない。

2  前項の場合において、  第六十五条 (債権証書の  取上 げ)(第七十三条第五項(  権利証書 の取上げ)において  準用 する場合を含む。)の  規定 により取り上げた証書があるときは、これを  買受人 に引き渡さなければならない。

第百二十三条 (権利移転に伴う費用の負担)

 第百二十条第二項(有価証券の  裏書等 の代位)の  規定 による手続に関する  費用 及び第百二十一条(  権利移転 の登記の  嘱託 )の規定による  嘱託 に係る登記の  登録免許税 その他の費用は、  買受人 の負担とする。

第百二十四条 (担保権の消滅又は引受け)

 換価財産上の質権、  抵当権 、先取特権、  留置権 、担保のための  仮登記 に係る権利及び  担保 のための仮登記に基づく  本登記 (本登録を含む。)でその  財産 の差押え後にされたものに係る  権利 は、その買受人が  買受代金 を納付した時に  消滅 する。第二十四条(  譲渡担保権者 の物的納税責任)の  規定 により譲渡担保財産に対し  滞納処分 を執行した  場合 において、滞納者がした  再売買 の予約の  仮登記 があるときは、その仮登記により  保全 される請求権についても、また  同様 とする。

2  税務署長は、不動産、  船舶 、航空機、  自動車 又は建設機械を  換価 する場合において、次の  各号 のいずれにも該当するときは、その  財産上 の質権、  抵当権 又は先取特権(  登記 がされているものに限る。以下この条において同じ。)に関する  負担 を買受人に引き受けさせることができる。この  場合 において、その引受があつた  質権 、抵当権又は  先取特権 については、前項の  規定 は、適用しない。

一  差押に係る国税がその  質権 、抵当権又は  先取特権 により担保される  債権 に次いで徴収するものであるとき。

二  その質権、  抵当権 又は先取特権により  担保 される債権の  弁済期限 がその財産の  売却決定期日 から六月以内に  到来 しないとき。

三  その質権、  抵当権 又は先取特権を有する者から  申出 があつたとき。

第百二十五条 (換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)

 税務署長は、第百二十一条(  権利移転 の登記の  嘱託 )の規定により  権利 の移転の  登記 を嘱託する  場合 において、換価に伴い  消滅 する権利に係る  登記 があるときは、あわせてそのまつ消を関係機関に  嘱託 しなければならない。

第百二十六条  民法第五百六十八条 第百二十六条 (担保責任)

(強制競売における担保責任)の  規定 は、差押財産の  換価 の場合について  準用 する。

第百二十七条 (法定地上権等の設定)

 土地及びその上にある建物又は  立木 (以下この条において「  建物等 」という。)が滞納者の  所有 に属する場合において、その  土地 又は建物等の  差押 があり、その換価によりこれらの  所有者 を異にするに至つたときは、その建物等につき、  地上権 が設定されたものとみなす。

2  前項の規定は、  地上権 及びその目的となる  土地 の上にある建物等が  滞納者 に属する場合について  準用 する。この場合において、  同項中 「地上権が  設定 された」とあるのは、「地上権の  存続期間内 において土地の  賃貸借 をした」と読み替えるものとする。

3  前二項の場合において、その  権利 の存続期間及び  地代 は、当事者の  請求 により裁判所が定める。

    第四節 換価代金等の配当

第百二十八条 (配当すべき金銭)

 税務署長は、次に掲げる金銭をこの節の定めるところにより  配当 しなければならない。

一  差押財産の売却代金

二  有価証券、債権又は  無体財産権等 の差押により  第三債務者等 から給付を受けた金銭

三  差し押えた金銭

四  交付要求により交付を受けた金銭

第百二十九条 (配当の原則)

 前条第一号又は第二号に掲げる  金銭 (以下「  換価代金等 」という。)は、次に掲げる国税その他の  債権 に配当する。

一  差押えに係る国税

二  交付要求を受けた国税、  地方税 及び公課

三  差押財産に係る質権、  抵当権 、先取特権、  留置権 又は担保のための  仮登記 により担保される債権

四  第五十九条第一項後段、第三項又は  第四項 (第三者の  損害賠償請求権等 への配当)(これらの  規定 を第七十一条第四項(  自動車等 についての準用規定)において  準用 する場合を含む。)の  規定 の適用を受ける  損害賠償請求権 又は借賃に係る債権

2  前条第三号又は第四号に掲げる  金銭 は、それぞれ差押又は  交付要求 に係る国税に充てる。

3  前二項の規定により  配当 した金銭に  残余 があるときは、その残余の  金銭 は、滞納者に  交付 する。

4  換価財産上に担保のための  仮登記 がある場合における  当該仮登記 により担保される  債権 に対する配当については、  仮登記担保契約 に関する法律第十三条 (  優先弁済請求権 )(同法第二十条 (  土地等 の所有権以外の  権利 を目的とする  契約 への準用)において  準用 する場合を含む。)の  規定 を準用する。

5  換価代金等が第一項各号に掲げる  国税 その他の債権の  総額 に不足するときは、  税務署長 は、第二章(  国税 と他の債権との  調整 )、第五十九条第一項後段、  第三項 及び第四項(これらの  規定 を第七十一条第四項において  準用 する場合を含む。)、  前項並 びに民法 その他の  法律 の規定により  配当 すべき順位及び  金額 を定めて配当しなければならない。

6  第一項又は第二項の  規定 により国税に  配当 された金銭を  国税 (附帯税を除く。  以下 この項において同じ。)及びその延滞税又は  利子税 に充てるべきときは、その金銭は、まずその  国税 に充てなければならない。

第百三十条 (債権額の確認方法)

 前条第一項第二号に掲げる国税、  地方税 又は公課を  徴収 する者及び同項第三号又は  第四号 に掲げる債権を有する者は、  売却決定 の日の前日までに  債権現在額申立書 を税務署長に  提出 しなければならない。

2  税務署長は、前項の  債権現在額申立書 を調査して  前条第一項各号 に掲げる国税その他の  債権 を確認するものとする。この  場合 において、次に掲げる債権を有する者が  債権現在額申立書 を提出しないときは、  税務署長 の調査によりその額を  確認 するものとする。

一  登記がされた質権、  抵当権 若しくは先取特権により  担保 される債権又は  担保 のための仮登記により  担保 される債権

二  登記することができない質権若しくは  先取特権 又は留置権により  担保 される債権で知れているもの

三  前条第一項第四号に掲げる債権で知れているもの

3  前条第一項第三号に掲げる債権のうち  前項第一号 及び第二号に掲げる  債権以外 の債権を有する者が  売却決定 の時までに債権現在額申立書を  提出 しないときは、その者は、配当を受けることができない。

第百三十一条 (配当計算書)

 税務署長は、第百二十九条(  配当 の原則)の  規定 により配当しようとするときは、  政令 で定めるところにより、配当を受ける  債権 、前条第二項の  規定 により税務署長が  確認 した金額その  他必要 な事項を  記載 した配当計算書を  作成 し、換価財産の  買受代金 の納付の日から  三日以内 に、次に掲げる者に対する交付のため、その  謄本 を発送しなければならない。

一  債権現在額申立書を提出した者

二  前条第二項後段の規定により  金額 を確認した  債権 を有する者

三  滞納者

第百三十二条 (換価代金等の交付期日)

 税務署長は、前条の  規定 により配当計算書の  謄本 を交付するときは、その  謄本 に換価代金等の  交付期日 を附記して  告知 しなければならない。

2  前項の換価代金等の  交付期日 は、配当計算書の  謄本 を交付のため  発送 した日から起算して  七日 を経過した日としなければならない。ただし、  第百二十九条第一項第三号 又は第四号(  配当 を受ける債権)に掲げる  債権 を有する者で前条第一号又は  第二号 に掲げる者に該当するものがない  場合 には、その期間は、  短縮 することができる。

第百三十三条 (換価代金等の交付)

 税務署長は、換価代金等の  交付期日 に配当計算書に従つて  換価代金等 を交付するものとする。

2  換価代金等の交付期日までに  配当計算書 に関する異議の  申出 があつた場合における  前項 の換価代金等の  交付 は、次に定めるところによる。

一  その異議が  配当計算書 に記載された  国税 、地方税又は  公課 の配当金額に対するものであるときは、その  行政機関等 からの通知に従い、  配当計算書 を更正し、又は直ちに  交付 するものとする。

二  その異議が  配当計算書 に記載された  国税 、地方税又は  公課 の配当金額を  変更 させないものである場合において、その  異議 に関係を有する者及び  滞納者 がその異議を  正当 と認めたとき、又はその他の方法で  合意 したときは、配当計算書を  更正 して交付するものとする。

三  その異議が  配当計算書 に記載された  国税 、地方税又は  公課 の配当金額を  変更 させるその他の債権の  配当金額 に関するものである場合において、その  異議 に関係を有する者及び  滞納者 がその異議を  正当 と認めたとき、又はその他の方法で  合意 したときは、配当計算書を  更正 して交付するものとし、その  合意 がなかつたときは、その異議を  参酌 して配当計算書を  更正 して交付し、又は  異議 につき相当の  理由 がないと認めるときは、直ちに国税、  地方税 又は公課の  金額 を交付するものとする。

3  前項の規定により  換価代金等 を交付することができない  場合 、換価代金等を  配当 すべき債権が  停止条件付 である場合又は  換価代金等 を配当すべき  債権 が仮登記(  民事保全法 (平成元年法律第九十一号)  第五十三条第二項 (不動産の  登記請求権 を保全するための  処分禁止 の仮処分の  執行 )(同法第五十四条 (  不動産 に関する権利以外の  権利 についての登記又は  登録請求権 を保全するための  処分禁止 の仮処分の  執行 )において準用する  場合 を含む。)の規定による  仮処分 による仮登記を含む。)がされた  質権 、抵当権若しくは  先取特権 により担保される  債権 である場合における  換価代金等 の交付については、  政令 で定めるところによる。

第百三十四条 (換価代金等の供託)

 換価代金等を配当すべき  債権 の弁済期が  到来 していないときは、その債権者に  交付 すべき金額は、  供託 しなければならない。

2  税務署長は、前項の  規定 により供託したときは、その旨を  同項 の債権者に  通知 しなければならない。

第百三十五条 (売却決定の取消に伴う措置)

 税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる  手続 をしなければならない。ただし、第百十二条第一項(  動産等 の売却決定の  取消 )の規定により、その  取消 をもつて買受人に  対抗 することができないときは、この限りでない。

一  徴収職員が受領した  換価代金等 の買受人への返還

二  第百二十一条(権利移転の  登記 の嘱託)その他の  法令 の規定により  嘱託 した換価に係る  権利 の移転の  登記 のまつ消の嘱託

三  第百二十五条(換価に伴い  消滅 する権利の  登記 のまつ消の嘱託)その他の  法令 の規定による  嘱託 で換価に係るものによりまつ消された  質権 、抵当権その他の  権利 の登記の  回復 の登記の嘱託

2  前項第三号の規定により  嘱託 した回復の  登記 に係る質権者、  抵当権者 又は先取特権者に対し  換価代金等 から配当した  金額 がある場合において、これらの者がその  金額 を返還しないときは、  税務署長 は、その金額を  限度 として、これらの者に代位することができる。この  場合 において、配当した  金額 がその質権、  抵当権 又は先取特権により  担保 される債権の  一部 であるときは、税務署長は、その  代位 した債権者の  承諾 を要しないで、その代位に係る  権利 を行使し、かつ、その  債権者 に優先して  弁済 を受けることができる。

    第五節 滞納処分費

第百三十六条 (滞納処分費の範囲)

 滞納処分費は、国税の  滞納処分 による財産の  差押 、交付要求、  差押財産 の保管、  運搬 、換価及び  第九十三条 (修理等の  処分 )の規定による  処分 、差し押えた有価証券、  債権 及び無体財産権等の  取立並 びに配当に関する  費用 (通知書その他の  書類 の送達に要する  費用 を除く。)とする。

第百三十七条 (滞納処分費の配当等の順位)

 滞納処分費については、その徴収の  基因 となつた国税に先だつて  配当 し、又は充当する。

第百三十八条 (滞納処分費の納入の告知)

 国税が完納された  場合 において、滞納処分費につき  滞納者 の財産を差し押えようとするときは、  税務署長 は、政令で定めるところにより、  滞納者 に対し、納入の  告知 をしなければならない。

    第六節 雑則

     第一款 滞納処分の効力

第百三十九条 (相続等があつた場合の滞納処分の効力)

 滞納者の財産について  滞納処分 を執行した後、  滞納者 が死亡し、又は  滞納者 である法人が  合併 により消滅したときは、その  財産 につき滞納処分を  続行 することができる。

2  滞納者の死亡後その  国税 につき滞納者の  名義 の財産に対してした  差押 は、当該国税につきその  財産 を有する相続人に対してされたものとみなす。ただし、  徴収職員 がその死亡を知つていたときは、この限りでない。

第百四十条 (仮差押等がされた財産に対する滞納処分の効力)

 滞納処分は、仮差押又は  仮処分 によりその執行を妨げられない。

     第二款 財産の調査

第百四十一条 (質問及び検査)

 徴収職員は、滞納処分のため  滞納者 の財産を  調査 する必要があるときは、その  必要 と認められる範囲内において、次に掲げる者に  質問 し、又はその者の財産に関する  帳簿書類 (その作成又は  保存 に代えて電磁的記録(  電子的方式 、磁気的方式その他の人の  知覚 によつては認識することができない  方式 で作られる記録であつて、  電子計算機 による情報処理の用に供されるものをいう。)の  作成 又は保存がされている  場合 における当該電磁的記録を含む。  第百四十六条 の二及び第百八十八条第二号において同じ。)を  検査 することができる。

一  滞納者

二  滞納者の財産を  占有 する第三者及びこれを  占有 していると認めるに足りる相当の  理由 がある第三者

三  滞納者に対し債権若しくは  債務 があり、又は滞納者から  財産 を取得したと認めるに足りる  相当 の理由がある者

四  滞納者が株主又は  出資者 である法人

第百四十二条 (捜索の権限及び方法)

 徴収職員は、滞納処分のため  必要 があるときは、滞納者の物又は  住居 その他の場所につき  捜索 することができる。

2  徴収職員は、滞納処分のため  必要 がある場合には、次の  各号 の一に該当するときに限り、  第三者 の物又は住居その他の  場所 につき捜索することができる。

一  滞納者の財産を  所持 する第三者がその  引渡 をしないとき。

二  滞納者の親族その他の  特殊関係者 が滞納者の  財産 を所持すると認めるに足りる  相当 の理由がある  場合 において、その引渡をしないとき。

3  徴収職員は、前二項の  捜索 に際し必要があるときは、  滞納者 若しくは第三者に戸若しくは  金庫 その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため  必要 な処分をすることができる。

第百四十三条 (捜索の時間制限)

 捜索は、日没後から  日出前 まではすることができない。ただし、日没前に  着手 した捜索は、  日没後 まで継続することができる。

2  旅館、飲食店その  他夜間 でも公衆が  出入 することができる場所については、  滞納処分 の執行のためやむを得ない  必要 があると認めるに足りる相当の  理由 があるときは、前項本文の  規定 にかかわらず、日没後でも、  公開 した時間内は、  捜索 することができる。

第百四十四条 (捜索の立会人)

 徴収職員は、捜索をするときは、その  捜索 を受ける滞納者若しくは  第三者 又はその同居の  親族 若しくは使用人その他の  従業者 で相当のわきまえのあるものを立ち会わせなければならない。この  場合 において、これらの者が不在であるとき、又は  立会 に応じないときは、成年に達した  者二人以上 又は市町村の  吏員 若しくは警察官を立ち会わせなければならない。

第百四十五条 (出入禁止)

 徴収職員は、捜索、  差押 又は差押財産の  搬出 をする場合において、これらの  処分 の執行のため  支障 があると認められるときは、これらの処分をする間は、次に掲げる者を除き、その  場所 に出入することを  禁止 することができる。

一  滞納者

二  差押に係る財産を  保管 する第三者及び  第百四十二条第二項 (第三者に対する  捜索 )の規定により  捜索 を受けた第三者

三  前二号に掲げる者の同居の親族

四  滞納者の国税に関する  申告 、申請その他の  事項 につき滞納者を  代理 する権限を有する者

第百四十六条 (捜索調書の作成)

 徴収職員は、捜索したときは、  捜索調書 を作成しなければならない。

2  徴収職員は、捜索調書を  作成 した場合には、その  謄本 を捜索を受けた  滞納者 又は第三者及びこれらの  者以外 の立会人があるときはその  立会人 に交付しなければならない。

3  前二項の規定は、  第五十四条 (差押調書)の  規定 により差押調書を  作成 する場合には、  適用 しない。この場合においては、  差押調書 の謄本を  前項 の第三者及び  立会人 に交付しなければならない。

第百四十六条の二 (官公署等への協力要請)

 徴収職員は、滞納処分に関する  調査 について必要があるときは、  官公署 又は政府関係機関に、  当該調査 に関し参考となるべき  帳簿書類 その他の物件の  閲覧 又は提供その他の  協力 を求めることができる。

第百四十七条 (身分証明書の呈示等)

 徴収職員は、この款の規定により  質問 、検査又は  捜索 をするときは、その身分を示す  証明書 を携帯し、  関係者 の請求があつたときは、これを  呈示 しなければならない。

2  この款の規定による  質問 、検査又は  捜索 の権限は、  犯罪捜査 のために認められたものと解してはならない。

   第六章 滞納処分に関する猶予及び停止等

    第一節 換価の猶予

第百四十八条  削除

第百四十九条  削除

第百五十条  削除

第百五十一条 (換価の猶予の要件等)

 税務署長は、滞納者が次の  各号 の一に該当すると認められる  場合 において、その者が納税について  誠実 な意思を有すると認められるときは、その  納付 すべき国税(  国税通則法第四十六条第一項 から第三項 まで(  納税 の猶予)の  規定 の適用を受けているものを除く。)につき  滞納処分 による財産の  換価 を猶予することができる。ただし、その  猶予 の期間は、  一年 をこえることができない。

一  その財産の  換価 を直ちにすることによりその事業の  継続 又はその生活の  維持 を困難にするおそれがあるとき。

二  その財産の  換価 を猶予することが、直ちにその  換価 をすることに比して、滞納に係る  国税 及び最近において  納付 すべきこととなる国税の  徴収上有利 であるとき。

2  税務署長は、前項の  換価 の猶予をする  場合 において、必要があると認めるときは、  差押 により滞納者の  事業 の継続又は  生活 の維持を  困難 にするおそれがある財産の  差押 を猶予し、又は  解除 することができる。

第百五十二条 (換価の猶予に係る分割納付、通知等)

 国税通則法第四十六条第四項 から第七項 まで(  納税 の猶予の  場合 の分割納付等)、  第四十七条第一項 (納税の  猶予 の通知等)、  第四十八条第三項 及び第四項(  果実等 による徴収)並びに  同法第四十九条第一項 及び第三項 (  納税 の猶予の  取消 し)の規定は、  前条第一項 の規定による  換価 の猶予について  準用 する。この場合において、  同法第四十六条第七項 中 「納税者の  申請 に基づき、その期間」とあるのは、「その  期間 」と読み替えるものとする。

    第二節 滞納処分の停止

第百五十三条 (滞納処分の停止の要件等)

 税務署長は、滞納者につき次の  各号 の一に該当する  事実 があると認めるときは、滞納処分の  執行 を停止することができる。

一  滞納処分を執行することができる  財産 がないとき。

二  滞納処分を執行することによつてその  生活 を著しく窮迫させるおそれがあるとき。

三  その所在及び  滞納処分 を執行することができる  財産 がともに不明であるとき。

2  税務署長は、前項の  規定 により滞納処分の  執行 を停止したときは、その旨を  滞納者 に通知しなければならない。

3  税務署長は、第一項第二号の  規定 により滞納処分の  執行 を停止した  場合 において、その停止に係る  国税 について差し押えた財産があるときは、その  差押 を解除しなければならない。

4  第一項の規定により  滞納処分 の執行を  停止 した国税を  納付 する義務は、その  執行 の停止が  三年間継続 したときは、消滅する。

5  第一項第一号の規定により  滞納処分 の執行を  停止 した場合において、その  国税 が限定承認に係るものであるとき、その他その  国税 を徴収することができないことが明らかであるときは、  税務署長 は、前項の  規定 にかかわらず、その国税を  納付 する義務を直ちに  消滅 させることができる。

第百五十四条 (滞納処分の停止の取消)

 税務署長は、前条第一項各号の  規定 により滞納処分の  執行 を停止した  後三年以内 に、その停止に係る  滞納者 につき同項各号に  該当 する事実がないと認めるときは、その  執行 の停止を取り消さなければならない。

2  税務署長は、前項の  規定 により滞納処分の  執行 の停止を取り消したときは、その旨を  滞納者 に通知しなければならない。

第百五十五条  削除 第百五十五条

第百五十六条  削除 第百五十六条

第百五十七条  削除 第百五十七条

    第三節 保全担保及び保全差押

第百五十八条 (保全担保)

 納税者が消費税等(  消費税 を除く。)を滞納した  場合 において、その後その者に課すべきその国税の  徴収 を確保することができないと認められるときは、  税務署長 は、その国税の  担保 として、金額及び  期限 を指定して、その者に  国税通則法第五十条 各号 (担保の  種類 )に掲げるものの提供を命ずることができる。

2  前項の規定により  指定 する金額は、その  提供 を命ずる月の前月分の  当該国税 の額の三倍に  相当 する金額(その  金額 が前年におけるその  提供 を命ずる月に対応する  月分 及びその後二月分の  当該国税 の金額に満たないときは、その額)を  限度 とする。

3  税務署長は、第一項の  規定 により当該国税(  酒税 を除く。)の担保の  提供 を命じた場合において、  納税者 がその指定された  期限 までにその命ぜられた担保を  提供 しないときは、当該国税に関し、その者の  財産 で抵当権の  目的 となるものにつき、同項の  規定 により指定した  金額 を限度として  抵当権 を設定することを  書面 で納税者に  通知 することができる。

4  前項の通知があつたときは、その  通知 を受けた納税者は、  同項 の抵当権を  設定 したものとみなす。この場合において、  税務署長 は、抵当権の  設定 の登記を  関係機関 に嘱託しなければならない。

5  前項後段の場合(  次項 に規定する  場合 を除く。)においては、その嘱託に係る  書面 には、第三項の  書面 が同項の  納税者 に到達したことを証する  書面 を添付しなければならない。

6  第四項後段の場合において、  不動産登記法第十六条第二項 (嘱託による  登記 )(他の法令において  準用 する場合を含む。)において  準用 する同法第十八条 (  登記 の申請方法)の  規定 による嘱託をするときは、その  嘱託情報 と併せて第三項の  書面 が同項の  納税者 に到達したことを証する  情報 を提供しなければならない。この  場合 においては、同法第百十六条第一項 (  官庁 の嘱託による  登記 )の規定にかかわらず、  登記義務者 の承諾を得ることを要しない。

7  税務署長は、第一項の  規定 による担保の  提供 又は第四項の  規定 による抵当権の  設定 (以下「  担保 の提供等」という。)があつた  場合 において、第一項の  命令 に係る国税の  滞納 がない期間が  継続 して三月に達したときは、その  担保 を解除しなければならない。

8  税務署長は、担保の  提供等 があつた納税者の  資力 その他の事情の  変化 により担保の  提供等 の必要がなくなつたと認めるときは、  前項 の規定にかかわらず、直ちにその  解除 をすることができる。

第百五十九条 (保全差押)

 納税義務があると認められる者が不正に  国税 を免かれ、又は国税の  還付 を受けたことの嫌疑に基き、  国税犯則取締法 (明治三十三年法律第六十七号)の  規定 による差押若しくは  領置 又は刑事訴訟法 (  昭和二十三年法律第百三十一号 )の規定による  押収 、領置若しくは  逮捕 を受けた場合において、その  処分 に係る国税の  納付 すべき額の確定(  申告 、更正又は  決定 による確定をいい、  国税通則法第二条第二号 (定義)に  規定 する源泉徴収による  国税 についての納税の  告知 を含む。以下この条において同じ。)後においては  当該国税 の徴収を  確保 することができないと認められるときは、税務署長は、  当該国税 の納付すべき額の  確定前 に、その確定をすると  見込 まれる国税の  金額 のうちその徴収を  確保 するためあらかじめ滞納処分を  執行 することを要すると認める金額(以下

2  税務署長は、前項の  規定 による決定をしようとするときは、あらかじめ、その  所属 する国税局長の  承認 を受けなければならない。

3  税務署長は、第一項の  規定 により保全差押金額を  決定 するときは、当該保全差押金額を  同項 に規定する  納税義務 があると認められる者に書面で  通知 しなければならない。

4  前項の通知をした  場合 において、その納税義務があると認められる者がその  通知 に係る保全差押金額に  相当 する担保として  国税通則法第五十条 各号 (担保の  種類 )に掲げるものを提供してその  差押 をしないことを求めたときは、徴収職員は、その  差押 をすることができない。

5  徴収職員は、第一号又は  第二号 に該当するときは  第一項 の規定による  差押 を、第三号に  該当 するときは同号に  規定 する担保をそれぞれ  解除 しなければならない。

一  第一項の規定による  差押 を受けた者が前項に  規定 する担保を  提供 して、その差押の  解除 を請求したとき。

二  第三項の通知をした日から  六月 を経過した日までに、その  差押 に係る国税につき  納付 すべき額の確定がないとき。

三  第三項の通知をした日から  六月 を経過した日までに、  保全差押金額 について提供されている  担保 に係る国税につき  納付 すべき額の確定がないとき。

6  徴収職員は、第一項の  規定 による差押えを受けた者又は  第四項 若しくは前項第一号の  担保 を提供した者につき、その  資力 その他の事情の  変化 により、その差押え又は  担保 の徴取の  必要 がなくなつたと認められることとなつたときは、その差押え又は  担保 を解除することができる。

7  第一項の規定による  差押 又は第四項若しくは  第五項第一号 の担保の  提供 があつた場合において、その  差押 又は担保の  提供 に係る国税につき  納付 すべき額の確定があつたときは、その  差押 又は担保の  提供 は、その国税を  徴収 するためにされたものとみなす。

8  第一項の規定により差し押えた  財産 は、その差押に係る  国税 につき納付すべき額の  確定 があつた後でなければ、換価することができない。

9  第一項の場合において、差し押えるべき  財産 に不足があると認められるときは、  税務署長 は、差押に代えて  交付要求 をすることができる。この場合においては、その  交付要求 であることを明らかにしなければならない。

10  税務署長は、第一項の  規定 により差し押えた金銭(  有価証券 、債権又は  無体財産権等 の差押により  第三債務者等 から給付を受けた  金銭 を含む。)がある場合において、その  差押 に係る国税につき  納付 すべき額の確定がされていないときは、これを  供託 しなければならない。

11  第一項に規定する  国税 の納付すべき額として  確定 をした金額が  保全差押金額 に満たない場合において、その  差押 を受けた者がその差押により  損害 を受けたときは、国は、その損害を  賠償 する責に任ずる。この場合において、その額は、その  差押 により通常生ずべき  損失 の額とする。

第百六十条  削除 第百六十条

   第七章 削除

第百六十一条  削除 第百六十一条

第百六十二条  削除 第百六十二条

第百六十三条  削除 第百六十三条

第百六十四条  削除 第百六十四条

第百六十五条  削除 第百六十五条

   第八章 不服審査及び訴訟の特例

第百六十六条  削除 第百六十六条

第百六十七条  削除 第百六十七条

第百六十八条  削除 第百六十八条

第百六十九条  削除 第百六十九条

第百七十条  削除 第百七十条

第百七十一条 (滞納処分に関する不服申立て等の期限の特例)

 滞納処分について次の各号に掲げる  処分 に関し欠陥があること(  第一号 に掲げる処分については、これに関する  通知 が到達しないことを含む。)を  理由 としてする異議申立て(  国税通則法第十一条 (災害等による  期限 の延長)又は  第七十七条 (異議申立ての  期間 )の規定により  異議申立 てをすることができる期間を  経過 したものを除く。)は、これらの規定にかかわらず、  当該各号 に掲げる期限まででなければ、することができない。

一  督促 差押に係る通知を受けた日(その  通知 がないときは、その差押があつたことを知つた日)から  二月 を経過した日

二  不動産等についての差押 その公売期日等

三  不動産等についての第九十五条(  公売公告 )の公告(  第百九条第四項 (随意契約による  売却 )において準用する  第九十六条 (公売の  通知 )の通知を含む。)から  売却決定 までの処分 換価財産の  買受代金 の納付の期限

四  換価代金等の配当 換価代金等の交付期日

2  前項の規定は、  国税通則法第七十五条第一項第二号 ロ若しくは第四項 (  始審的審査請求 )の規定による  審査請求 又は同法第百十五条第一項第三号 (訴えの  提起 の特例)の  規定 による訴えの提起について  準用 する。この場合において、  前項中 「国税通則法第十一条 (  災害等 による期限の  延長 )又は第七十七条 (  異議申立 ての期間)の  規定 により異議申立てをする」とあるのは、  当該訴 えについては、「行政事件訴訟法 (  昭和三十七年法律第百三十九号 )第十四条第一項 又は  第二項 (出訴期間)の  規定 により訴えを提起する」と読み替えるものとする。

第百七十二条 (差押動産等の搬出の制限)

 第五十八条第二項(滞納者の  動産等 を占有する  第三者 に対する引渡命令)に  規定 する引渡命令を受けた  第三者 が、その命令に係る  財産 が滞納者の  所有 に属していないことを理由として、その  命令 につき不服申立てをしたときは、その  不服申立 ての係属する間は、  当該財産 の搬出をすることができない。

第百七十三条 (不動産の売却決定等の取消の制限)

 第百七十一条第一項第三号(公売等に関する  不服申立 ての期限の  特例 )に掲げる処分に  欠陥 があることを理由として  滞納処分 に関する不服申立てがあつた  場合 において、その処分は  違法 ではあるが、次に掲げる場合に  該当 するときは、税務署長、  国税局長 若しくは税関長又は  国税不服審判所長 は、その不服申立てを  棄却 することができる。

一  その不服申立てに係る  処分 に続いて行われるべき処分(  以下 この号において「後行処分」という。)が既に行われている  場合 において、その不服申立てに係る  処分 の違法が  軽微 なものであり、その後行処分に  影響 を及ぼさせることが適当でないと認められるとき。

二  換価した財産が  公共 の用に供されている場合その他その  不服申立 てに係る処分を取り消すことにより公の  利益 に著しい障害を生ずる  場合 で、その不服申立てをした者の受ける  損害 の程度、その  損害 の賠償の  程度 及び方法その  他一切 の事情を  考慮 してもなおその処分を取り消すことが  公共 の福祉に  適合 しないと認められるとき。

2  前項の規定による  不服申立 てについての棄却の  決定 又は裁決には、  処分 が違法であること及び  不服申立 てを棄却する  理由 を明示しなければならない。

3  第一項の規定は、国に対する  損害賠償 の請求を妨げない。

   第九章 雑則

第百七十四条  削除 第百七十四条

第百七十五条  削除 第百七十五条

第百七十六条  削除 第百七十六条

第百七十七条  削除 第百七十七条

第百七十八条  削除 第百七十八条

第百七十九条  削除 第百七十九条

第百八十条  削除 第百八十条

第百八十一条  削除 第百八十一条

第百八十二条 (税務署長又は国税局長による滞納処分の執行)

 税務署長又は国税局長は、この  法律 の定めるところにより、その税務署又は  国税局所属 の徴収職員に  滞納処分 を執行させることができる。

2  税務署長又は国税局長は、差し押えるべき  財産 又は差し押えた財産がその  管轄区域外 にあるとき(国税局長については、その  管轄区域内 の地域を  所轄 する税務署長の  管轄区域内 にあるときを含む。)は、当該税務署長又は  国税局長 は、その財産の  所在地 を所轄する  税務署長 又は国税局長に  滞納処分 の引継をすることができる。

3  前項の規定により  滞納処分 の引継があつたときは、  引継 を受けた税務署長又は  国税局長 は、遅滞なく、その旨を  納税者 に通知するものとする。

第百八十三条 (税関長による滞納処分の執行)

 税関長は、この法律の定めるところにより、その  税関所属 の徴収職員に  滞納処分 を執行させることができる。

2  税関長は、差し押えるべき財産又は差し押えた  財産 がその管轄区域外にあるときは、その  財産 の所在地を  所轄 する税関長に  滞納処分 の引継をすることができる。

3  税関長は、差し押えるべき財産又は差し押えた  財産 が滞納処分を著しく  困難 とする地域にあるときは、これらの  財産 の所在地を  所轄 する税務署長又は  国税局長 に滞納処分の  引継 をすることができる。

4  前条第三項の規定は、  前二項 の規定により  滞納処分 の引継があつた  場合 について準用する。

第百八十四条 (国税局長が徴収する場合の読替規定)

 国税通則法第四十三条第三項 若しくは第四十四条第一項 (  徴収 の引継ぎ)の  規定 により国税局長が  徴収 の引継ぎを受けた  場合 又は第百八十二条第二項 (  滞納処分 の引継ぎ)若しくは  前条第三項 の規定により  国税局長 が滞納処分の  引継 ぎを受けた場合におけるこの  法律 (第百五十九条第二項(  保全差押 の承認)、  第百七十三条 (不動産の  売却決定 の取消しの  制限 )及び前二条を除く。  以下次条 において同じ。)の規定の  適用 については、「税務署長」又は「  税務署 」とあるのは、「国税局長」又は「  国税局 」とする。

第百八十五条 (税関長が徴収する場合の読替規定)

 国税通則法第四十三条第一項 ただし書(税関長による  徴収 )の規定により  税関長 が徴収する  場合 、同条第四項 若しくは  同法第四十四条第一項 (徴収の  引継 ぎ)の規定により  税関長 が徴収の  引継 ぎを受けた場合又は  第百八十三条第二項 (滞納処分の  引継 ぎ)の規定により  税関長 が滞納処分の  引継 ぎを受けた場合におけるこの  法律 の規定の  適用 については、「税務署長」又は「  税務署 」とあるのは、「税関長」又は「  税関 」とする。

第百八十六条 (政令への委任)

 この法律に定めるもののほか、  差押調書 、交付要求書その他この  法律 の規定により  作成 する書類に  記載 すべき事項、この  法律 の規定により  利害関係人 その他の者に通知すべき  事項 及びこの法律の  実施 のための手続その他その  執行 に関し必要な  事項 は、政令で定める。

   第十章 罰則

第百八十七条

 納税者が滞納処分の  執行 を免かれる目的でその  財産 を隠蔽し、  損壊 し、国の不利益に  処分 し、又はその財産に係る  負担 を偽つて増加する  行為 をしたときは、その者は、三年以下の  懲役 若しくは五十万円以下の  罰金 に処し、又はこれを併科する。

2  納税者の財産を  占有 する第三者が  納税者 に滞納処分の  執行 を免かれさせる目的で  前項 の行為をしたときも、また  同項 と同様とする。

3  情を知つて前二項の  行為 につき納税者又はその  財産 を占有する  第三者 の相手方となつた者は、  二年以下 の懲役若しくは  三十万円以下 の罰金に処し、又はこれを  併科 する。

第百八十八条

 次の各号の一に  該当 する者は、十万円以下の  罰金 に処する。

一  第百四十一条(質問及び  検査 )の規定による  徴収職員 の質問に対して  答弁 をせず、又は偽りの陳述をした者

二  第百四十一条の規定による  検査 を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は  当該検査 に関し偽りの記載若しくは  記録 をした帳簿書類を  提示 した者

第百八十九条

 法人の代表者(  人格 のない社団等の  管理人 を含む。)又は法人若しくは人の  代理人 、使用人、その他の  従業者 が、その法人又は人の  業務 又は財産に関して  前二条 の違反行為をしたときは、その  行為者 を罰するほか、その法人又は人に対し  各本条 の罰金刑を科する。

2  人格のない社団等について  前項 の規定の  適用 がある場合においては、その  代表者 又は管理人がその  訴訟行為 につき当該人格のない  社団等 を代表するほか、  法人 を被告人又は  被疑者 とする場合の  刑事訴訟 に関する法律の  規定 を準用する。