第一章 総則 -------------------------------------------------

第一条 (趣旨)

   民事訴訟 の本案の  権利 の実現を  保全 するための仮差押え及び  係争物 に関する仮処分並びに  民事訴訟 の本案の  権利関係 につき仮の地位を定めるための  仮処分 (以下「  民事保全 」と総称する。)については、他の  法令 に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

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第二条 (民事保全の機関及び保全執行裁判所)

   民事保全 の命令(  以下 「保全命令」という。)は、  申立 てにより、裁判所が行う。

    民事保全 の執行(  以下 「保全執行」という。)は、  申立 てにより、裁判所又は  執行官 が行う。

    裁判所 が行う保全執行に関してはこの  法律 の規定により  執行処分 を行うべき裁判所をもって、  執行官 が行う保全執行の  執行処分 に関してはその執行官の  所属 する地方裁判所をもって  保全執行裁判所 とする。

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第三条 (任意的口頭弁論)

   民事保全 の手続に関する  裁判 は、口頭弁論を経ないですることができる。

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第四条 (担保の提供)

    この法律の  規定 により担保を立てるには、  担保 を立てるべきことを命じた裁判所又は  保全執行裁判所 の所在地を  管轄 する地方裁判所の  管轄区域内 の供託所に  金銭 又は担保を立てるべきことを命じた  裁判所 が相当と認める  有価証券 (社債等の  振替 に関する法律 (  平成十三年法律第七十五号 )第百二十九条第一項 に  規定 する振替社債等を含む。)を  供託 する方法その  他最高裁判所規則 で定める方法によらなければならない。ただし、  当事者 が特別の  契約 をしたときは、その契約による。

    民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)  第七十七条 、第七十九条及び  第八十条 の規定は、  前項 の担保について  準用 する。

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第五条 (事件の記録の閲覧等)

   保全命令 に関する手続又は  保全執行 に関し裁判所が行う  手続 について、利害関係を有する者は、  裁判所書記官 に対し、事件の  記録 の閲覧若しくは  謄写 、その正本、  謄本 若しくは抄本の  交付 又は事件に関する  事項 の証明書の  交付 を請求することができる。ただし、  債権者以外 の者にあっては、保全命令の  申立 てに関し口頭弁論若しくは  債務者 を呼び出す審尋の  期日 の指定があり、又は  債務者 に対する保全命令の  送達 があるまでの間は、この限りでない。

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第六条 (専属管轄)

    この法律に  規定 する裁判所の  管轄 は、専属とする。

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第七条 (民事訴訟法 の準用)

   特別 の定めがある場合を除き、  民事保全 の手続に関しては、  民事訴訟法 の規定を  準用 する。

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第八条 (最高裁判所規則)

    この法律に定めるもののほか、  民事保全 の手続に関し  必要 な事項は、  最高裁判所規則 で定める。

   第二章 保全命令に関する手続

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    第一節 総則

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第九条 (釈明処分の特例)

   裁判所 は、争いに係る事実関係に関し、  当事者 の主張を  明瞭 にさせる必要があるときは、  口頭弁論 又は審尋の  期日 において、当事者のため  事務 を処理し、又は  補助 する者で、裁判所が  相当 と認めるものに陳述をさせることができる。

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第十条  削除

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第十一条  削除

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    第二節 保全命令

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     第一款 通則

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第十二条 (管轄裁判所)

   保全命令事件 は、本案の  管轄裁判所 又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の  所在地 を管轄する  地方裁判所 が管轄する。

    本案 の訴えが民事訴訟法第六条第一項 に  規定 する特許権等に関する訴えである  場合 には、保全命令事件は、  前項 の規定にかかわらず、  本案 の管轄裁判所が  管轄 する。ただし、仮に差し押さえるべき物又は係争物の  所在地 を管轄する  地方裁判所 が同条第一項 各号に定める  裁判所 であるときは、その裁判所もこれを  管轄 する。

    本案 の管轄裁判所は、  第一審裁判所 とする。ただし、本案が  控訴審 に係属するときは、  控訴裁判所 とする。

    仮 に差し押さえるべき物又は係争物が  債権 (民事執行法 (  昭和五十四年法律第四号 )第百四十三条 に  規定 する債権をいう。  以下 この条において同じ。)であるときは、その債権は、その  債権 の債務者(  以下 「第三債務者」という。)の  普通裁判籍 の所在地にあるものとする。ただし、  船舶 (同法第百十二条 に  規定 する船舶をいう。  以下同 じ。)又は動産(  同法第百二十二条 に規定する  動産 をいう。以下同じ。)の  引渡 しを目的とする  債権 及び物上の  担保権 により担保される  債権 は、その物の所在地にあるものとする。

    前項本文 の規定は、仮に差し押さえるべき物又は  係争物 が民事執行法第百六十七条第一項 に  規定 する財産権(  以下 「その他の財産権」という。)で  第三債務者 又はこれに準ずる者があるものである場合(  次項 に規定する  場合 を除く。)について準用する。

    仮 に差し押さえるべき物又は係争物がその他の  財産権 で権利の  移転 について登記又は  登録 を要するものであるときは、その財産権は、その  登記 又は登録の地にあるものとする。

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第十三条 (申立て及び疎明)

   保全命令 の申立ては、その  趣旨並 びに保全すべき  権利 又は権利関係及び  保全 の必要性を明らかにして、これをしなければならない。

    保全 すべき権利又は  権利関係 及び保全の  必要性 は、疎明しなければならない。

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第十四条 (保全命令の担保)

   保全命令 は、担保を立てさせて、若しくは  相当 と認める一定の  期間内 に担保を立てることを  保全執行 の実施の  条件 として、又は担保を立てさせないで発することができる。

    前項 の担保を立てる  場合 において、遅滞なく  第四条第一項 の供託所に  供託 することが困難な  事由 があるときは、裁判所の  許可 を得て、債権者の  住所地 又は事務所の  所在地 その他裁判所が  相当 と認める地を管轄する  地方裁判所 の管轄区域内の  供託所 に供託することができる。

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第十五条 (裁判長の権限)

   保全命令 は、急迫の  事情 があるときに限り、裁判長が発することができる。

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第十六条 (決定の理由)

   保全命令 の申立てについての  決定 には、理由を付さなければならない。ただし、  口頭弁論 を経ないで決定をする  場合 には、理由の  要旨 を示せば足りる。

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第十七条 (送達)

   保全命令 は、当事者に  送達 しなければならない。

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第十八条 (保全命令の申立ての取下げ)

   保全命令 の申立てを取り下げるには、  保全異議 又は保全取消しの  申立 てがあった後においても、債務者の  同意 を得ることを要しない。

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第十九条 (却下の裁判に対する即時抗告)

   保全命令 の申立てを  却下 する裁判に対しては、  債権者 は、告知を受けた日から  二週間 の不変期間内に、  即時抗告 をすることができる。

    前項 の即時抗告を  却下 する裁判に対しては、更に  抗告 をすることができない。

    第十六条本文 の規定は、  第一項 の即時抗告についての  決定 について準用する。

     第二款 仮差押命令

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第二十条 (仮差押命令の必要性)

   仮差押命令 は、金銭の  支払 を目的とする  債権 について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は  強制執行 をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

    仮差押命令 は、前項の  債権 が条件付又は  期限付 である場合においても、これを発することができる。

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第二十一条 (仮差押命令の対象)

   仮差押命令 は、特定の物について発しなければならない。ただし、  動産 の仮差押命令は、  目的物 を特定しないで発することができる。

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第二十二条 (仮差押解放金)

   仮差押命令 においては、仮差押えの  執行 の停止を得るため、又は既にした  仮差押 えの執行の  取消 しを得るために債務者が  供託 すべき金銭の額を定めなければならない。

    前項 の金銭の  供託 は、仮差押命令を発した  裁判所 又は保全執行裁判所の  所在地 を管轄する  地方裁判所 の管轄区域内の  供託所 にしなければならない。

     第三款 仮処分命令

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第二十三条 (仮処分命令の必要性等)

   係争物 に関する仮処分命令は、その  現状 の変更により、  債権者 が権利を  実行 することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を  実行 するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

    仮 の地位を定める  仮処分命令 は、争いがある権利関係について  債権者 に生ずる著しい損害又は  急迫 の危険を避けるためこれを  必要 とするときに発することができる。

    第二十条第二項 の規定は、  仮処分命令 について準用する。

    第二項 の仮処分命令は、  口頭弁論 又は債務者が立ち会うことができる  審尋 の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その  期日 を経ることにより仮処分命令の  申立 ての目的を達することができない  事情 があるときは、この限りでない。

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第二十四条 (仮処分の方法)

   裁判所 は、仮処分命令の  申立 ての目的を達するため、  債務者 に対し一定の  行為 を命じ、若しくは禁止し、若しくは  給付 を命じ、又は保管人に  目的物 を保管させる  処分 その他の必要な  処分 をすることができる。

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第二十五条 (仮処分解放金)

   裁判所 は、保全すべき  権利 が金銭の  支払 を受けることをもってその行使の  目的 を達することができるものであるときに限り、債権者の  意見 を聴いて、仮処分の  執行 の停止を得るため、又は既にした  仮処分 の執行の  取消 しを得るために債務者が  供託 すべき金銭の額を  仮処分命令 において定めることができる。

    第二十二条第二項 の規定は、  前項 の金銭の  供託 について準用する。

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第二十五条の二 (債務者を特定しないで発する占有移転禁止の仮処分命令)

   占有移転禁止 の仮処分命令(  係争物 の引渡し又は  明渡 しの請求権を  保全 するための仮処分命令のうち、次に掲げる  事項 を内容とするものをいう。  以下 この条、第五十四条の二及び  第六十二条 において同じ。)であって、係争物が  不動産 であるものについては、その執行前に  債務者 を特定することを  困難 とする特別の  事情 があるときは、裁判所は、  債務者 を特定しないで、これを発することができる。

    債務者 に対し、係争物の  占有 の移転を  禁止 し、及び係争物の  占有 を解いて執行官に引き渡すべきことを命ずること。

    執行官 に、係争物の  保管 をさせ、かつ、債務者が  係争物 の占有の  移転 を禁止されている旨及び  執行官 が係争物を  保管 している旨を公示させること。

    前項 の規定による  占有移転禁止 の仮処分命令の  執行 がされたときは、当該執行によって  係争物 である不動産の  占有 を解かれた者が、債務者となる。

    第一項 の規定による  占有移転禁止 の仮処分命令は、  第四十三条第二項 の期間内にその  執行 がされなかったときは、債務者に対して  送達 することを要しない。この場合において、  第四条第二項 において準用する  民事訴訟法第七十九条第一項 の規定による  担保 の取消しの  決定 で第十四条第一項 の  規定 により立てさせた担保に係るものは、  裁判所 が相当と認める  方法 で申立人に  告知 することによって、その効力を生ずる。

    第三節 保全異議

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第二十六条 (保全異議の申立て)

   保全命令 に対しては、債務者は、その  命令 を発した裁判所に  保全異議 を申し立てることができる。

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第二十七条 (保全執行の停止の裁判等)

   保全異議 の申立てがあった  場合 において、保全命令の  取消 しの原因となることが明らかな  事情 及び保全執行により償うことができない  損害 を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、  裁判所 は、申立てにより、  保全異議 の申立てについての  決定 において第三項の  規定 による裁判をするまでの間、  担保 を立てさせて、又は担保を立てることを  条件 として保全執行の  停止 又は既にした執行処分の  取消 しを命ずることができる。

    抗告裁判所 が保全命令を発した  場合 において、事件の  記録 が原裁判所に存するときは、その  裁判所 も、前項の  規定 による裁判をすることができる。

    裁判所 は、保全異議の  申立 てについての決定において、既にした  第一項 の規定による  裁判 を取り消し、変更し、又は  認可 しなければならない。

    第一項 及び前項の  規定 による裁判に対しては、  不服 を申し立てることができない。

    第十五条 の規定は、  第一項 の規定による  裁判 について準用する。

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第二十八条 (事件の移送)

   裁判所 は、当事者、  尋問 を受けるべき証人及び  審尋 を受けるべき参考人の  住所 その他の事情を  考慮 して、保全異議事件につき著しい  遅滞 を避け、又は当事者間の  衡平 を図るために必要があるときは、  申立 てにより又は職権で、  当該保全命令事件 につき管轄権を有する他の  裁判所 に事件を  移送 することができる。

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第二十九条 (保全異議の審理)

   裁判所 は、口頭弁論又は  当事者双方 が立ち会うことができる審尋の  期日 を経なければ、保全異議の  申立 てについての決定をすることができない。

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第三十条  削除

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第三十一条 (審理の終結)

   裁判所 は、審理を  終結 するには、相当の  猶予期間 を置いて、審理を  終結 する日を決定しなければならない。ただし、  口頭弁論 又は当事者双方が立ち会うことができる  審尋 の期日においては、直ちに  審理 を終結する旨を  宣言 することができる。

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第三十二条 (保全異議の申立てについての決定)

   裁判所 は、保全異議の  申立 てについての決定においては、  保全命令 を認可し、  変更 し、又は取り消さなければならない。

    裁判所 は、前項の  決定 において、相当と認める  一定 の期間内に  債権者 が担保を立てること又は  第十四条第一項 の規定による  担保 の額を増加した上、  相当 と認める一定の  期間内 に債権者がその  増加額 につき担保を立てることを  保全執行 の実施又は  続行 の条件とする旨を定めることができる。

    裁判所 は、第一項の  規定 による保全命令を取り消す  決定 について、債務者が  担保 を立てることを条件とすることができる。

    第十六条本文 及び第十七条の  規定 は、第一項の  決定 について準用する。

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第三十三条 (原状回復の裁判)

   仮処分命令 に基づき、債権者が物の  引渡 し若しくは明渡し若しくは  金銭 の支払を受け、又は物の  使用 若しくは保管をしているときは、  裁判所 は、債務者の  申立 てにより、前条第一項の  規定 により仮処分命令を取り消す  決定 において、債権者に対し、  債務者 が引き渡し、若しくは明け渡した物の返還、  債務者 が支払った  金銭 の返還又は  債権者 が使用若しくは  保管 をしている物の返還を命ずることができる。

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第三十四条 (保全命令を取り消す決定の効力)

   裁判所 は、第三十二条第一項の  規定 により保全命令を取り消す  決定 において、その送達を受けた日から  二週間 を超えない範囲内で  相当 と認める一定の  期間 を経過しなければその  決定 の効力が生じない旨を  宣言 することができる。ただし、その決定に対して  保全抗告 をすることができないときは、この限りでない。

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第三十五条 (保全異議の申立ての取下げ)

   保全異議 の申立てを取り下げるには、  債権者 の同意を得ることを要しない。

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第三十六条 (判事補の権限の特例)

   保全異議 の申立てについての  裁判 は、判事補が  単独 ですることができない。

    第四節 保全取消し

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第三十七条 (本案の訴えの不提起等による保全取消し)

   保全命令 を発した裁判所は、  債務者 の申立てにより、  債権者 に対し、相当と認める  一定 の期間内に、  本案 の訴えを提起するとともにその  提起 を証する書面を  提出 し、既に本案の訴えを  提起 しているときはその係属を証する  書面 を提出すべきことを命じなければならない。

    前項 の期間は、  二週間以上 でなければならない。

    債権者 が第一項の  規定 により定められた期間内に  同項 の書面を  提出 しなかったときは、裁判所は、  債務者 の申立てにより、  保全命令 を取り消さなければならない。

    第一項 の書面が  提出 された後に、同項の  本案 の訴えが取り下げられ、又は却下された  場合 には、その書面を  提出 しなかったものとみなす。

    第一項 及び第三項の  規定 の適用については、  本案 が家事審判法 (  昭和二十二年法律第百五十二号 )第十八条第一項 に  規定 する事件であるときは  家庭裁判所 に対する調停の  申立 てを、本案が  労働審判法 (平成十六年法律第四十五号)  第一条 に規定する  事件 であるときは地方裁判所に対する  労働審判手続 の申立てを、  本案 に関し仲裁合意があるときは  仲裁手続 の開始の  手続 を、本案が  公害紛争処理法 (昭和四十五年法律第百八号)  第二条 に規定する  公害 に係る被害についての  損害賠償 の請求に関する  事件 であるときは同法第四十二条の  十二第一項 に規定する  損害賠償 の責任に関する  裁定 (次項において「  責任裁定 」という。)の申請を  本案 の訴えの提起とみなす。

    前項 の調停の  事件 、同項の  労働審判手続 、同項の  仲裁手続 又は同項の  責任裁定 の手続が  調停 の成立、  労働審判 (労働審判法第二十九条 において  準用 する民事調停法 (  昭和二十六年法律第二百二十二号 )第十六条 の  規定 による調停の  成立 及び労働審判法第二十四条第一項 の  規定 による労働審判事件の  終了 を含む。)、仲裁判断又は  責任裁定 (公害紛争処理法第四十二条の  二十四第二項 の当事者間の  合意 の成立を含む。)によらないで  終了 したときは、債権者は、その  終了 の日から第一項の  規定 により定められた期間と  同一 の期間内に  本案 の訴えを提起しなければならない。

    第三項 の規定は  債権者 が前項の  規定 による本案の訴えの  提起 をしなかった場合について、  第四項 の規定は  前項 の本案の訴えが  提起 され、又は労働審判法第二十二条第一項 (  同法第二十三条第二項 及び第二十四条第二項 において  準用 する場合を含む。)の  規定 により訴えの提起があったものとみなされた後にその訴えが取り下げられ、又は  却下 された場合について  準用 する。

    第十六条本文 及び第十七条の  規定 は、第三項(  前項 において準用する  場合 を含む。)の規定による  決定 について準用する。

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第三十八条 (事情の変更による保全取消し)

   保全 すべき権利若しくは  権利関係 又は保全の  必要性 の消滅その他の  事情 の変更があるときは、  保全命令 を発した裁判所又は  本案 の裁判所は、  債務者 の申立てにより、  保全命令 を取り消すことができる。

    前項 の事情の  変更 は、疎明しなければならない。

    第十六条本文 、第十七条並びに  第三十二条第二項 及び第三項の  規定 は、第一項の  申立 てについての決定について  準用 する。

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第三十九条 (特別の事情による保全取消し)

   仮処分命令 により償うことができない損害を生ずるおそれがあるときその他の  特別 の事情があるときは、  仮処分命令 を発した裁判所又は  本案 の裁判所は、  債務者 の申立てにより、  担保 を立てることを条件として  仮処分命令 を取り消すことができる。

    前項 の特別の  事情 は、疎明しなければならない。

    第十六条本文 及び第十七条の  規定 は、第一項の  申立 てについての決定について  準用 する。

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第四十条 (保全異議の規定の準用等)

   第二十七条 から第二十九条まで、  第三十一条 及び第三十三条から  第三十六条 までの規定は、  保全取消 しに関する裁判について  準用 する。ただし、第二十七条から  第二十九条 まで、第三十一条、  第三十三条 、第三十四条及び  第三十六条 の規定は、  第三十七条第一項 の規定による  裁判 については、この限りでない。

    前項 において準用する  第二十七条第一項 の規定による  裁判 は、保全取消しの  申立 てが保全命令を発した  裁判所以外 の本案の  裁判所 にされた場合において、  事件 の記録が  保全命令 を発した裁判所に存するときは、その  裁判所 も、これをすることができる。

    第五節 保全抗告

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第四十一条 (保全抗告)

   保全異議 又は保全取消しの  申立 てについての裁判(  第三十三条 (前条第一項において  準用 する場合を含む。)の  規定 による裁判を含む。)に対しては、その  送達 を受けた日から二週間の  不変期間内 に、保全抗告をすることができる。ただし、  抗告裁判所 が発した保全命令に対する  保全異議 の申立てについての  裁判 に対しては、この限りでない。

    原裁判所 は、保全抗告を受けた  場合 には、保全抗告の  理由 の有無につき  判断 しないで、事件を  抗告裁判所 に送付しなければならない。

    保全抗告 についての裁判に対しては、更に  抗告 をすることができない。

    第十六条本文 、第十七条並びに  第三十二条第二項 及び第三項の  規定 は保全抗告についての  決定 について、第二十七条第一項、  第四項 及び第五項、  第二十九条 、第三十一条並びに  第三十三条 の規定は  保全抗告 に関する裁判について、  民事訴訟法第三百四十九条 の規定は  保全抗告 をすることができる裁判が  確定 した場合について  準用 する。

    前項 において準用する  第二十七条第一項 の規定による  裁判 は、事件の  記録 が原裁判所に存するときは、その  裁判所 も、これをすることができる。

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第四十二条 (保全命令を取り消す決定の効力の停止の裁判)

   保全命令 を取り消す決定に対して  保全抗告 があった場合において、  原決定 の取消しの  原因 となることが明らかな事情及びその  命令 の取消しにより償うことができない  損害 を生ずるおそれがあることにつき疎明があったときに限り、  抗告裁判所 は、申立てにより、  保全抗告 についての裁判をするまでの間、  担保 を立てさせて、又は担保を立てることを  条件 として保全命令を取り消す  決定 の効力の  停止 を命ずることができる。

    第十五条 、第二十七条第四項及び  前条第五項 の規定は、  前項 の規定による  裁判 について準用する。

   第三章 保全執行に関する手続

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    第一節 総則

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第四十三条 (保全執行の要件)

   保全執行 は、保全命令の  正本 に基づいて実施する。ただし、  保全命令 に表示された  当事者以外 の者に対し、又はその者のためにする保全執行は、  執行文 の付された保全命令の  正本 に基づいて実施する。

    保全執行 は、債権者に対して  保全命令 が送達された日から  二週間 を経過したときは、これをしてはならない。

    保全執行 は、保全命令が  債務者 に送達される前であっても、これをすることができる。

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第四十四条 (追加担保を提供しないことによる保全執行の取消し)

   第三十二条第二項 (第三十八条第三項及び  第四十一条第四項 において準用する  場合 を含む。以下この項において同じ。)の  規定 により担保を立てることを  保全執行 の続行の  条件 とする旨の裁判があったときは、  債権者 は、第三十二条第二項の  規定 により定められた期間内に  担保 を立てたことを証する書面をその  期間 の末日から  一週間以内 に保全執行裁判所又は  執行官 に提出しなければならない。

    債権者 が前項の  規定 による書面の  提出 をしない場合において、  債務者 が同項の  裁判 の正本を  提出 したときは、保全執行裁判所又は  執行官 は、既にした執行処分を取り消さなければならない。

    民事執行法第四十条第二項 の規定は、  前項 の規定により  執行処分 を取り消す場合について  準用 する。

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第四十五条 (第三者異議の訴えの管轄裁判所の特例)

   高等裁判所 が保全執行裁判所としてした  保全執行 に対する第三者異議の訴えは、仮に差し押さえるべき物又は  係争物 の所在地を  管轄 する地方裁判所が  管轄 する。

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第四十六条 (民事執行法 の準用)

    この章に特別の定めがある  場合 を除き、民事執行法第五条 から  第十四条 まで、第十六条、  第十八条 、第二十三条第一項、  第二十六条 、第二十七条第二項、  第二十八条 、第三十条第二項、  第三十二条 から第三十四条まで、  第三十六条 から第三十八条まで、  第三十九条第一項第一号 から第四号まで、  第六号 及び第七号、  第四十条並 びに第四十一条の  規定 は、保全執行について  準用 する。

    第二節 仮差押えの執行

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第四十七条 (不動産に対する仮差押えの執行)

   民事執行法第四十三条第一項 に規定する  不動産 (同条第二項 の  規定 により不動産とみなされるものを含む。)に対する  仮差押 えの執行は、  仮差押 えの登記をする  方法 又は強制管理の  方法 により行う。これらの方法は、  併用 することができる。

    仮差押 えの登記をする  方法 による仮差押えの  執行 については、仮差押命令を発した  裁判所 が、保全執行裁判所として  管轄 する。

    仮差押 えの登記は、  裁判所書記官 が嘱託する。

    強制管理 の方法による  仮差押 えの執行においては、  管理人 は、次項において  準用 する民事執行法第百七条第一項 の  規定 により計算した  配当等 に充てるべき金銭を  供託 し、その事情を  保全執行裁判所 に届け出なければならない。

    民事執行法第四十六条第二項 、第四十七条第一項、  第四十八条第二項 、第五十三条及び  第五十四条 の規定は  仮差押 えの登記をする  方法 による仮差押えの  執行 について、同法第四十四条 、  第四十六条第一項 、第四十七条第二項、  第六項本文 及び第七項、  第四十八条 、第五十三条、  第五十四条 、第九十三条から  第九十三条 の三まで、第九十四条から  第百四条 まで、第百六条並びに  第百七条第一項 の規定は  強制管理 の方法による  仮差押 えの執行について  準用 する。

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第四十八条 (船舶に対する仮差押えの執行)

   船舶 に対する仮差押えの  執行 は、仮差押えの  登記 をする方法又は  執行官 に対し船舶の  国籍 を証する文書その他の  船舶 の航行のために  必要 な文書(  以下 この条において「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて  保全執行裁判所 に提出すべきことを命ずる  方法 により行う。これらの方法は、  併用 することができる。

    仮差押 えの登記をする  方法 による仮差押えの  執行 は仮差押命令を発した  裁判所 が、船舶国籍証書等の  取上 げを命ずる方法による  仮差押 えの執行は  船舶 の所在地を  管轄 する地方裁判所が、  保全執行裁判所 として管轄する。

    前条第三項並 びに民事執行法第四十六条第二項 、  第四十七条第一項 、第四十八条第二項、  第五十三条 及び第五十四条の  規定 は仮差押えの  登記 をする方法による  仮差押 えの執行について、  同法第四十五条第三項 、第四十七条第一項、  第五十三条 、第百十六条及び  第百十八条 の規定は  船舶国籍証書等 の取上げを命ずる  方法 による仮差押えの  執行 について準用する。

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第四十九条 (動産に対する仮差押えの執行)

   動産 に対する仮差押えの  執行 は、執行官が  目的物 を占有する  方法 により行う。

    執行官 は、仮差押えの  執行 に係る金銭を  供託 しなければならない。仮差押えの  執行 に係る手形、  小切手 その他の金銭の  支払 を目的とする  有価証券 でその権利の  行使 のため定められた期間内に  引受 け若しくは支払のための  提示 又は支払の  請求 を要するものについて執行官が  支払 を受けた金銭についても、  同様 とする。

    仮差押 えの執行に係る  動産 について著しい価額の  減少 を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために  不相応 な費用を要するときは、  執行官 は、民事執行法 の  規定 による動産執行の  売却 の手続によりこれを  売却 し、その売得金を  供託 しなければならない。

    民事執行法第百二十三条 から第百二十九条 まで、  第百三十一条 、第百三十二条及び  第百三十六条 の規定は、  動産 に対する仮差押えの  執行 について準用する。

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第五十条  民事執行法第百四十三条 第五十条 (債権及びその他の財産権に対する仮差押えの執行)

  規定 する債権に対する  仮差押 えの執行は、  保全執行裁判所 が第三債務者に対し  債務者 への弁済を  禁止 する命令を発する  方法 により行う。

    前項 の仮差押えの  執行 については、仮差押命令を発した  裁判所 が、保全執行裁判所として  管轄 する。

    第三債務者 が仮差押えの  執行 がされた金銭の  支払 を目的とする  債権 の額に相当する  金銭 を供託した  場合 には、債務者が  第二十二条第一項 の規定により定められた  金銭 の額に相当する  金銭 を供託したものとみなす。ただし、その  金銭 の額を超える部分については、この限りでない。

    第一項 及び第二項の  規定 は、その他の財産権に対する  仮差押 えの執行について  準用 する。

    民事執行法第百四十五条第二項 から第五項 まで、  第百四十六条 から第百五十三条まで、  第百五十六条 、第百六十四条第五項及び  第六項並 びに第百六十七条の  規定 は、第一項の  債権 及びその他の財産権に対する  仮差押 えの執行について  準用 する。

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第五十一条 (仮差押解放金の供託による仮差押えの執行の取消し)

   債務者 が第二十二条第一項の  規定 により定められた金銭の額に  相当 する金銭を  供託 したことを証明したときは、  保全執行裁判所 は、仮差押えの  執行 を取り消さなければならない。

    前項 の規定による  決定 は、第四十六条において  準用 する民事執行法第十二条第二項 の  規定 にかかわらず、即時にその  効力 を生ずる。

    第三節 仮処分の執行

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第五十二条 (仮処分の執行)

   仮処分 の執行については、この節に定めるもののほか、  仮差押 えの執行又は  強制執行 の例による。

    物 の給付その他の  作為 又は不作為を命ずる  仮処分 の執行については、  仮処分命令 を債務名義とみなす。

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第五十三条 (不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)

   不動産 に関する権利についての  登記 (仮登記を除く。)を  請求 する権利(  以下 「登記請求権」という。)を  保全 するための処分禁止の  仮処分 の執行は、  処分禁止 の登記をする  方法 により行う。

    不動産 に関する所有権以外の  権利 の保存、  設定 又は変更についての  登記請求権 を保全するための  処分禁止 の仮処分の  執行 は、前項の  処分禁止 の登記とともに、  仮処分 による仮登記(  以下 「保全仮登記」という。)をする  方法 により行う。

    第四十七条第二項 及び第三項並びに  民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び  第五十四条 の規定は、  前二項 の処分禁止の  仮処分 の執行について  準用 する。

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第五十四条 (不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)

   前条 の規定は、  不動産 に関する権利以外の  権利 で、その処分の  制限 につき登記又は  登録 を対抗要件又は  効力発生要件 とするものについての登記(  仮登記 を除く。)又は登録(  仮登録 を除く。)を請求する  権利 を保全するための  処分禁止 の仮処分の  執行 について準用する。

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第五十四条の二 (債務者を特定しないで発された占有移転禁止の仮処分命令の執行)

   第二十五条 の二第一項の  規定 による占有移転禁止の  仮処分命令 の執行は、  係争物 である不動産の  占有 を解く際にその占有者を  特定 することができない場合は、することができない。

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第五十五条 (建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の執行)

   建物 の収去及びその  敷地 の明渡しの  請求権 を保全するため、その  建物 の処分禁止の  仮処分命令 が発せられたときは、その仮処分の  執行 は、処分禁止の  登記 をする方法により行う。

    第四十七条第二項 及び第三項並びに  民事執行法第四十八条第二項 、第五十三条及び  第五十四条 の規定は、  前項 の処分禁止の  仮処分 の執行について  準用 する。

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第五十六条 (法人の代表者の職務執行停止の仮処分等の登記の嘱託)

   法人 を代表する者その  他法人 の役員として  登記 された者について、その職務の  執行 を停止し、若しくはその  職務 を代行する者を  選任 する仮処分命令又はその  仮処分命令 を変更し、若しくは取り消す  決定 がされた場合には、  裁判所書記官 は、法人の  本店 又は主たる事務所及び  支店 又は従たる事務所の  所在地 の登記所にその  登記 を嘱託しなければならない。ただし、これらの  事項 が登記すべきものでないときは、この限りでない。

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第五十七条 (仮処分解放金の供託による仮処分の執行の取消し)

   債務者 が第二十五条第一項の  規定 により定められた金銭の額に  相当 する金銭を  供託 したことを証明したときは、  保全執行裁判所 は、仮処分の  執行 を取り消さなければならない。

    第五十一条第二項 の規定は、  前項 の規定による  決定 について準用する。

   第四章 仮処分の効力

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第五十八条 (不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)

   第五十三条第一項 の処分禁止の  登記 の後にされた登記に係る  権利 の取得又は  処分 の制限は、  同項 の仮処分の  債権者 が保全すべき  登記請求権 に係る登記をする  場合 には、その登記に係る  権利 の取得又は  消滅 と抵触する  限度 において、その債権者に  対抗 することができない。

    前項 の場合においては、  第五十三条第一項 の仮処分の  債権者 (同条第二項の  仮処分 の債権者を除く。)は、  同条第一項 の処分禁止の  登記 に後れる登記を  抹消 することができる。

    第五十三条第二項 の仮処分の  債権者 が保全すべき  登記請求権 に係る登記をするには、  保全仮登記 に基づく本登記をする  方法 による。

    第五十三条第二項 の仮処分の  債権者 は、前項の  規定 により登記をする  場合 において、その仮処分により  保全 すべき登記請求権に係る  権利 が不動産の  使用 又は収益をするものであるときは、  不動産 の使用若しくは  収益 をする権利(  所有権 を除く。)又はその権利を  目的 とする権利の  取得 に関する登記で、  同条第一項 の処分禁止の  登記 に後れるものを抹消することができる。

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第五十九条 (登記の抹消の通知)

   仮処分 の債権者が  前条第二項 又は第四項の  規定 により登記を  抹消 するには、あらかじめ、その登記の  権利者 に対し、その旨を通知しなければならない。

    前項 の規定による  通知 は、これを発する時の同項の  権利者 の登記簿上の  住所 又は事務所にあてて発することができる。この  場合 には、その通知は、遅くとも、これを発した日から  一週間 を経過した時に  到達 したものとみなす。

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第六十条 (仮処分命令の更正等)

   保全仮登記 に係る権利の  表示 がその保全仮登記に基づく  本登記 をすべき旨の本案の  債務名義 における権利の  表示 と符合しないときは、  第五十三条第二項 の処分禁止の  仮処分 の命令を発した  裁判所 は、債権者の  申立 てにより、その命令を  更正 しなければならない。

    前項 の規定による  更正決定 に対しては、即時抗告をすることができる。

    第一項 の規定による  更正決定 が確定したときは、  裁判所書記官 は、保全仮登記の  更正 を嘱託しなければならない。

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第六十一条 (不動産に関する権利以外の権利についての登記又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の効力)

   前三条 の規定は、  第五十四条 に規定する  処分禁止 の仮処分の  効力 について準用する。

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第六十二条 (占有移転禁止の仮処分命令の効力)

   占有移転禁止 の仮処分命令の  執行 がされたときは、債権者は、  本案 の債務名義に基づき、次に掲げる者に対し、  係争物 の引渡し又は  明渡 しの強制執行をすることができる。

    当該占有移転禁止 の仮処分命令の  執行 がされたことを知って  当該係争物 を占有した者

    当該占有移転禁止 の仮処分命令の  執行後 にその執行がされたことを知らないで  当該係争物 について債務者の  占有 を承継した者

    占有移転禁止 の仮処分命令の  執行後 に当該係争物を  占有 した者は、その執行がされたことを  知っ て占有したものと  推定 する。

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第六十三条 (執行文の付与に対する異議の申立ての理由)

   前条第一項 の本案の  債務名義 につき同項の  債務者以外 の者に対する執行文が  付与 されたときは、その者は、執行文の  付与 に対する異議の  申立 てにおいて、債権者に  対抗 することができる権原により  当該物 を占有していること、又はその  仮処分 の執行がされたことを知らず、かつ、  債務者 の占有の  承継人 でないことを理由とすることができる。

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第六十四条 (建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分の効力)

   第五十五条第一項 の処分禁止の  登記 がされたときは、債権者は、  本案 の債務名義に基づき、その  登記 がされた後に建物を譲り受けた者に対し、  建物 の収去及びその  敷地 の明渡しの  強制執行 をすることができる。

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第六十五条  民法 第六十五条 (詐害行為取消権を保全するための仮処分における解放金に対する権利の行使)

  明治二十九年法律第八十九号 )第四百二十四条第一項 の  規定 による詐害行為取消権を  保全 するための仮処分命令において定められた  第二十五条第一項 の金銭の額に  相当 する金銭が  供託 されたときは、同法第四百二十四条第一項 の  債務者 は、供託金の  還付 を請求する  権利 (以下「  還付請求権 」という。)を取得する。この  場合 において、その還付請求権は、その  仮処分 の執行が  第五十七条第一項 の規定により取り消され、かつ、  保全 すべき権利についての  本案 の判決が  確定 した後に、その仮処分の  債権者 が同法第四百二十四条第一項 の  債務者 に対する債務名義によりその  還付請求権 に対し強制執行をするときに限り、これを  行使 することができる。

   第五章 罰則

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第六十六条 (公示書等損壊罪)

   第五十二条第一項 の規定によりその例によることとされる  民事執行法第百六十八条 の二第三項 又は  第四項 の規定により  執行官 が公示するために施した  公示書 その他の標識を  損壊 した者は、一年以下の  懲役 又は百万円以下の  罰金 に処する。

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第六十七条 (陳述等拒絶の罪)

   第五十二条第一項 の規定によりその例によることとされる  民事執行法第百六十八条第二項 の規定による  執行官 の質問又は  文書 の提出の  要求 に対し、正当な  理由 なく、陳述をせず、若しくは  文書 の提示を拒み、又は  虚偽 の陳述をし、若しくは  虚偽 の記載をした  文書 を提示した  債務者 又は同項 に  規定 する不動産等を  占有 する第三者は、  六月以下 の懲役又は  五十万円以下 の罰金に処する。

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