第一章 総則

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第一条 (趣旨)

   強制執行 、担保権の  実行 としての競売及び  民法 (明治二十九年法律第八十九号)、  商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の  法律 の規定による  換価 のための競売並びに  債務者 の財産の  開示 (以下「  民事執行 」と総称する。)については、他の  法令 に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

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第二条 (執行機関)

   民事執行 は、申立てにより、  裁判所 又は執行官が行う。

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第三条 (執行裁判所)

   裁判所 が行う民事執行に関してはこの  法律 の規定により  執行処分 を行うべき裁判所をもつて、  執行官 が行う執行処分に関してはその  執行官 の所属する  地方裁判所 をもつて執行裁判所とする。

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第四条 (任意的口頭弁論)

   執行裁判所 のする裁判は、  口頭弁論 を経ないですることができる。

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第五条 (審尋)

   執行裁判所 は、執行処分をするに際し、  必要 があると認めるときは、利害関係を有する者その  他参考人 を審尋することができる。

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第六条 (執行官等の職務の執行の確保)

   執行官 は、職務の  執行 に際し抵抗を受けるときは、その  抵抗 を排除するために、  威力 を用い、又は警察上の  援助 を求めることができる。ただし、第六十四条の  二第五項 (第百八十八条において  準用 する場合を含む。)の  規定 に基づく職務の  執行 については、この限りでない。

    執行官以外 の者で執行裁判所の  命令 により民事執行に関する  職務 を行うものは、職務の  執行 に際し抵抗を受けるときは、  執行官 に対し、援助を求めることができる。

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第七条 (立会人)

   執行官 又は執行裁判所の  命令 により民事執行に関する  職務 を行う者(以下「  執行官等 」という。)は、人の住居に立ち入つて  職務 を執行するに際し、  住居主 、その代理人又は  同居 の親族若しくは  使用人 その他の従業者で  相当 のわきまえのあるものに出会わないときは、  市町村 の職員、  警察官 その他証人として  相当 と認められる者を立ち会わせなければならない。執行官が  前条第一項 の規定により  威力 を用い、又は警察上の  援助 を受けるときも、同様とする。

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第八条 (休日又は夜間の執行)

   執行官等 は、日曜日その他の  一般 の休日又は  午後七時 から翌日の  午前七時 までの間に人の住居に立ち入つて  職務 を執行するには、  執行裁判所 の許可を受けなければならない。

    執行官等 は、職務の  執行 に当たり、前項の  規定 により許可を受けたことを証する  文書 を提示しなければならない。

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第九条 (身分証明書等の携帯)

   執行官等 は、職務を  執行 する場合には、その  身分 又は資格を証する  文書 を携帯し、  利害関係 を有する者の請求があつたときは、これを  提示 しなければならない。

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第十条 (執行抗告)

   民事執行 の手続に関する  裁判 に対しては、特別の定めがある  場合 に限り、執行抗告をすることができる。

    執行抗告 は、裁判の  告知 を受けた日から一週間の  不変期間内 に、抗告状を  原裁判所 に提出してしなければならない。

    抗告状 に執行抗告の  理由 の記載がないときは、  抗告人 は、抗告状を  提出 した日から一週間以内に、  執行抗告 の理由書を  原裁判所 に提出しなければならない。

    執行抗告 の理由は、  最高裁判所規則 で定めるところにより記載しなければならない。

    次 の各号に  該当 するときは、原裁判所は、  執行抗告 を却下しなければならない。

    抗告人 が第三項の  規定 による執行抗告の  理由書 の提出をしなかつたとき。

    執行抗告 の理由の  記載 が明らかに前項の  規定 に違反しているとき。

    執行抗告 が不適法であつてその  不備 を補正することができないことが明らかであるとき。

    執行抗告 が民事執行の  手続 を不当に  遅延 させることを目的としてされたものであるとき。

    抗告裁判所 は、執行抗告についての  裁判 が効力を生ずるまでの間、  担保 を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の  執行 の停止若しくは  民事執行 の手続の  全部 若しくは一部の  停止 を命じ、又は担保を立てさせてこれらの  続行 を命ずることができる。事件の  記録 が原裁判所に存する間は、  原裁判所 も、これらの処分を命ずることができる。

    抗告裁判所 は、抗告状又は  執行抗告 の理由書に  記載 された理由に限り、  調査 する。ただし、原裁判に  影響 を及ぼすべき法令の  違反 又は事実の  誤認 の有無については、  職権 で調査することができる。

    第五項 の規定による  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第六項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

  0  民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)  第三百四十九条 の規定は、  執行抗告 をすることができる裁判が  確定 した場合について  準用 する。

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第十一条 (執行異議)

   執行裁判所 の執行処分で  執行抗告 をすることができないものに対しては、執行裁判所に  執行異議 を申し立てることができる。執行官の  執行処分 及びその遅怠に対しても、  同様 とする。

    前条第六項前段 及び第九項の  規定 は、前項の  規定 による申立てがあつた  場合 について準用する。

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第十二条 (取消決定等に対する執行抗告)

   民事執行 の手続を取り消す旨の  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。  民事執行 の手続を取り消す  執行官 の処分に対する  執行異議 の申立てを  却下 する裁判又は  執行官 に民事執行の  手続 の取消しを命ずる  決定 に対しても、同様とする。

    前項 の規定により  執行抗告 をすることができる裁判は、  確定 しなければその効力を生じない。

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第十三条  民事訴訟法第五十四条第一項 第十三条 (代理人)

  規定 により訴訟代理人となることができる  者以外 の者は、執行裁判所でする  手続 については、訴え又は執行抗告に係る  手続 を除き、執行裁判所の  許可 を受けて代理人となることができる。

    執行裁判所 は、いつでも前項の  許可 を取り消すことができる。

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第十四条 (費用の予納等)

   執行裁判所 に対し民事執行の  申立 てをするときは、申立人は、  民事執行 の手続に  必要 な費用として  裁判所書記官 の定める金額を  予納 しなければならない。予納した  費用 が不足する  場合 において、裁判所書記官が  相当 の期間を定めてその  不足 する費用の  予納 を命じたときも、同様とする。

    前項 の規定による  裁判所書記官 の処分に対しては、その  告知 を受けた日から一週間の  不変期間内 に、執行裁判所に  異議 を申し立てることができる。

    第一項 の規定による  裁判所書記官 の処分は、  確定 しなければその効力を生じない。

    申立人 が費用を  予納 しないときは、執行裁判所は、  民事執行 の申立てを  却下 し、又は民事執行の  手続 を取り消すことができる。

    前項 の規定により  申立 てを却下する  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第十五条 (担保の提供)

    この法律の  規定 により担保を立てるには、  担保 を立てるべきことを命じた裁判所(  以下 この項において「発令裁判所」という。)又は  執行裁判所 の所在地を  管轄 する地方裁判所の  管轄区域内 の供託所に  金銭 又は発令裁判所が  相当 と認める有価証券(  社債等 の振替に関する  法律 (平成十三年法律第七十五号)  第百二十九条第一項 に規定する  振替社債等 を含む。)を供託する  方法 その他最高裁判所規則で定める  方法 によらなければならない。ただし、当事者が  特別 の契約をしたときは、その  契約 による。

    民事訴訟法第七十七条 、第七十九条及び  第八十条 の規定は、  前項 の担保について  準用 する。

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第十六条 (送達の特例)

   民事執行 の手続について、  執行裁判所 に対し申立て、  申出 若しくは届出をし、又は  執行裁判所 から文書の  送達 を受けた者は、送達を受けるべき  場所 (日本国内に限る。)を  執行裁判所 に届け出なければならない。この場合においては、  送達受取人 をも届け出ることができる。

    民事訴訟法第百四条第二項 及び第三項 並びに  第百七条 の規定は、  前項前段 の場合について  準用 する。

    第一項前段 の規定による  届出 をしない者(前項において  準用 する民事訴訟法第百四条第三項 に  規定 する者を除く。)に対する送達は、  事件 の記録に表れたその者の  住所 、居所、  営業所 又は事務所においてする。

    前項 の規定による  送達 をすべき場合において、  第二十条 において準用する  民事訴訟法第百六条 の規定により  送達 をすることができないときは、裁判所書記官は、  同項 の住所、  居所 、営業所又は  事務所 にあてて、書類を  書留郵便 又は民間事業者による  信書 の送達に関する  法律 (平成十四年法律第九十九号)  第二条第六項 に規定する  一般信書便事業者 若しくは同条第九項 に  規定 する特定信書便事業者の  提供 する同条第二項 に  規定 する信書便の  役務 のうち書留郵便に準ずるものとして  最高裁判所規則 で定めるものに付して発送することができる。この  場合 においては、民事訴訟法第百七条第二項 及び  第三項 の規定を  準用 する。

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第十七条 (民事執行の事件の記録の閲覧等)

   執行裁判所 の行う民事執行について、  利害関係 を有する者は、裁判所書記官に対し、  事件 の記録の  閲覧 若しくは謄写、その  正本 、謄本若しくは  抄本 の交付又は  事件 に関する事項の  証明書 の交付を  請求 することができる。

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第十八条 (官庁等に対する援助請求等)

   民事執行 のため必要がある  場合 には、執行裁判所又は  執行官 は、官庁又は  公署 に対し、援助を求めることができる。

    前項 に規定する  場合 には、執行裁判所又は  執行官 は、民事執行の  目的 である財産(  財産 が土地である  場合 にはその上にある建物を、  財産 が建物である  場合 にはその敷地を含む。)に対して課される  租税 その他の公課について、  所管 の官庁又は  公署 に対し、必要な  証明書 の交付を  請求 することができる。

    前項 の規定は、  民事執行 の申立てをしようとする者がその  申立 てのため同項の  証明書 を必要とする  場合 について準用する。

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第十九条 (専属管轄)

    この法律に  規定 する裁判所の  管轄 は、専属とする。

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第二十条 (民事訴訟法 の準用)

   特別 の定めがある場合を除き、  民事執行 の手続に関しては、  民事訴訟法 の規定を  準用 する。

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第二十一条 (最高裁判所規則)

    この法律に定めるもののほか、  民事執行 の手続に関し  必要 な事項は、  最高裁判所規則 で定める。

   第二章 強制執行

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    第一節 総則

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第二十二条 (債務名義)

   強制執行 は、次に掲げるもの(以下「  債務名義 」という。)により行う。

一  確定判決

    仮執行 の宣言を付した判決

    抗告 によらなければ不服を申し立てることができない  裁判 (確定しなければその  効力 を生じない裁判にあつては、  確定 したものに限る。)

    仮執行 の宣言を付した支払督促

四の  二  訴訟費用 若しくは和解の  費用 の負担の額を定める  裁判所書記官 の処分又は  第四十二条第四項 に規定する  執行費用 及び返還すべき  金銭 の額を定める裁判所書記官の  処分 (後者の  処分 にあつては、確定したものに限る。)

    金銭 の一定の額の  支払 又はその他の代替物若しくは  有価証券 の一定の  数量 の給付を  目的 とする請求について  公証人 が作成した  公正証書 で、債務者が直ちに  強制執行 に服する旨の陳述が  記載 されているもの(以下「  執行証書 」という。)

    確定 した執行判決のある  外国裁判所 の判決

六の  二  確定 した執行決定のある仲裁判断

    確定判決 と同一の  効力 を有するもの(第三号に掲げる  裁判 を除く。)

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第二十三条 (強制執行をすることができる者の範囲)

   執行証書以外 の債務名義による  強制執行 は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。

    債務名義 に表示された当事者

    債務名義 に表示された  当事者 が他人のために  当事者 となつた場合のその他人

    前二号 に掲げる者の債務名義成立後の  承継人 (前条第一号、  第二号 又は第六号に掲げる  債務名義 にあつては、口頭弁論終結後の  承継人

    執行証書 による強制執行は、  執行証書 に表示された  当事者 又は執行証書作成後のその  承継人 に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。

    第一項 に規定する  債務名義 による強制執行は、  同項各号 に掲げる者のために請求の  目的物 を所持する者に対しても、することができる。

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第二十四条 (外国裁判所の判決の執行判決)

   外国裁判所 の判決についての  執行判決 を求める訴えは、債務者の  普通裁判籍 の所在地を  管轄 する地方裁判所が  管轄 し、この普通裁判籍がないときは、  請求 の目的又は差し押さえることができる  債務者 の財産の  所在地 を管轄する  地方裁判所 が管轄する。

    執行判決 は、裁判の  当否 を調査しないでしなければならない。

    第一項 の訴えは、外国裁判所の  判決 が、確定したことが  証明 されないとき、又は民事訴訟法第百十八条 各号に掲げる  要件 を具備しないときは、  却下 しなければならない。

    執行判決 においては、外国裁判所の  判決 による強制執行を許す旨を  宣言 しなければならない。

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第二十五条 (強制執行の実施)

   強制執行 は、執行文の付された  債務名義 の正本に基づいて  実施 する。ただし、少額訴訟における  確定判決 又は仮執行の  宣言 を付した少額訴訟の  判決 若しくは支払督促により、これに  表示 された当事者に対し、又はその者のためにする  強制執行 は、その正本に基づいて  実施 する。

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第二十六条 (執行文の付与)

   執行文 は、申立てにより、  執行証書以外 の債務名義については  事件 の記録の存する  裁判所 の裁判所書記官が、  執行証書 についてはその原本を  保存 する公証人が  付与 する。

    執行文 の付与は、  債権者 が債務者に対しその  債務名義 により強制執行をすることができる  場合 に、その旨を債務名義の  正本 の末尾に  付記 する方法により行う。

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第二十七条

   請求 が債権者の  証明 すべき事実の  到来 に係る場合においては、  執行文 は、債権者がその  事実 の到来したことを証する  文書 を提出したときに限り、  付与 することができる。

    債務名義 に表示された  当事者以外 の者を債権者又は  債務者 とする執行文は、その者に対し、又はその者のために  強制執行 をすることができることが裁判所書記官若しくは  公証人 に明白であるとき、又は  債権者 がそのことを証する文書を  提出 したときに限り、付与することができる。

    執行文 は、債務名義について次に掲げる  事由 のいずれかがあり、かつ、当該債務名義に基づく  不動産 の引渡し又は  明渡 しの強制執行をする前に  当該不動産 を占有する者を  特定 することを困難とする  特別 の事情がある  場合 において、債権者がこれらを証する  文書 を提出したときに限り、  債務者 を特定しないで、  付与 することができる。

    債務名義 が不動産の  引渡 し又は明渡しの  請求権 を表示したものであり、これを  本案 とする占有移転禁止の  仮処分命令 (民事保全法 (  平成元年法律第九十一号 )第二十五条の  二第一項 に規定する  占有移転禁止 の仮処分命令をいう。)が  執行 され、かつ、同法第六十二条第一項 の  規定 により当該不動産を  占有 する者に対して当該債務名義に基づく  引渡 し又は明渡しの  強制執行 をすることができるものであること。

    債務名義 が強制競売の  手続 (担保権の  実行 としての競売の  手続 を含む。以下この号において同じ。)における  第八十三条第一項本文 (第百八十八条において  準用 する場合を含む。)の  規定 による命令(  以下 「引渡命令」という。)であり、  当該強制競売 の手続において  当該引渡命令 の引渡義務者に対し次のイからハまでのいずれかの  保全処分 及び公示保全処分(  第五十五条第一項 に規定する  公示保全処分 をいう。以下この項において同じ。)が  執行 され、かつ、第八十三条の  二第一項 (第百八十七条第五項又は  第百八十八条 において準用する  場合 を含む。)の規定により  当該不動産 を占有する者に対して  当該引渡命令 に基づく引渡しの  強制執行 をすることができるものであること。

   第五十五条第一項第三号 (第百八十八条において  準用 する場合を含む。)に掲げる  保全処分 及び公示保全処分

   第七十七条第一項第三号 (第百八十八条において  準用 する場合を含む。)に掲げる  保全処分 及び公示保全処分

   第百八十七条第一項 に規定する  保全処分 又は公示保全処分(  第五十五条第一項第三号 に掲げるものに限る。)

    前項 の執行文の付された  債務名義 の正本に基づく  強制執行 は、当該執行文の  付与 の日から四週間を  経過 する前であつて、当該強制執行において  不動産 の占有を解く際にその  占有者 を特定することができる  場合 に限り、することができる。

    第三項 の規定により  付与 された執行文については、  前項 の規定により  当該執行文 の付された債務名義の  正本 に基づく強制執行がされたときは、  当該強制執行 によつて当該不動産の  占有 を解かれた者が、債務者となる。

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第二十八条 (執行文の再度付与等)

   執行文 は、債権の  完全 な弁済を得るため  執行文 の付された債務名義の  正本 が数通必要であるとき、又はこれが  滅失 したときに限り、更に付与することができる。

    前項 の規定は、  少額訴訟 における確定判決又は  仮執行 の宣言を付した  少額訴訟 の判決若しくは  支払督促 の正本を更に  交付 する場合について  準用 する。

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第二十九条 (債務名義等の送達)

   強制執行 は、債務名義又は  確定 により債務名義となるべき  裁判 の正本又は  謄本 が、あらかじめ、又は同時に、  債務者 に送達されたときに限り、  開始 することができる。第二十七条の  規定 により執行文が  付与 された場合においては、  執行文 及び同条の  規定 により債権者が  提出 した文書の  謄本 も、あらかじめ、又は同時に、  送達 されなければならない。

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第三十条 (期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)

   請求 が確定期限の  到来 に係る場合においては、  強制執行 は、その期限の  到来後 に限り、開始することができる。

    担保 を立てることを強制執行の  実施 の条件とする  債務名義 による強制執行は、  債権者 が担保を立てたことを証する  文書 を提出したときに限り、  開始 することができる。

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第三十一条 (反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)

   債務者 の給付が  反対給付 と引換えにすべきものである  場合 においては、強制執行は、  債権者 が反対給付又はその  提供 のあつたことを証明したときに限り、  開始 することができる。

    債務者 の給付が、他の  給付 について強制執行の  目的 を達することができない場合に、他の  給付 に代えてすべきものであるときは、強制執行は、  債権者 が他の給付について  強制執行 の目的を達することができなかつたことを  証明 したときに限り、開始することができる。

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第三十二条 (執行文の付与等に関する異議の申立て)

   執行文 の付与の  申立 てに関する処分に対しては、  裁判所書記官 の処分にあつてはその  裁判所書記官 の所属する  裁判所 に、公証人の  処分 にあつてはその公証人の  役場 の所在地を  管轄 する地方裁判所に  異議 を申し立てることができる。

    執行文 の付与に対し、  異議 の申立てがあつたときは、  裁判所 は、異議についての  裁判 をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで  強制執行 の停止を命じ、又は  担保 を立てさせてその続行を命ずることができる。  急迫 の事情があるときは、  裁判長 も、これらの処分を命ずることができる。

    第一項 の規定による  申立 てについての裁判及び  前項 の規定による  裁判 は、口頭弁論を経ないですることができる。

    前項 に規定する  裁判 に対しては、不服を申し立てることができない。

    前各項 の規定は、  第二十八条第二項 の規定による  少額訴訟 における確定判決又は  仮執行 の宣言を付した  少額訴訟 の判決若しくは  支払督促 の正本の  交付 について準用する。

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第三十三条 (執行文付与の訴え)

   第二十七条第一項 又は第二項に  規定 する文書の  提出 をすることができないときは、債権者は、  執行文 (同条第三項の  規定 により付与されるものを除く。)の  付与 を求めるために、執行文付与の訴えを  提起 することができる。

    前項 の訴えは、次の各号に掲げる  債務名義 の区分に応じ、それぞれ  当該各号 に定める裁判所が  管轄 する。

    第二十二条第一号 から第三号まで、  第六号 又は第六号の二に掲げる  債務名義 及び同条第七号に掲げる  債務名義 のうち第六号に掲げるもの  以外 のもの

     第一審裁判所

    第二十二条第四号 に掲げる債務名義のうち  次号 に掲げるもの以外のもの

       仮執行 の宣言を付した  支払督促 を発した裁判所書記官の  所属 する簡易裁判所(  仮執行 の宣言を付した  支払督促 に係る請求が  簡易裁判所 の管轄に属しないものであるときは、その  簡易裁判所 の所在地を  管轄 する地方裁判所)

    第二十二条第四号 に掲げる債務名義のうち  民事訴訟法第百三十二条 の十第一項 本文の  規定 による支払督促の  申立 て又は同法第四百二条第一項 に  規定 する方式により  記載 された書面をもつてされた  支払督促 の申立てによるもの

       当該支払督促 の申立てについて  同法第三百九十八条 (同法第四百二条第二項 において  準用 する場合を含む。)の  規定 により訴えの提起があつたものとみなされる裁判所

    第二十二条第四号 の二に掲げる債務名義

       同号 の処分をした  裁判所書記官 の所属する裁判所

    第二十二条第五号 に掲げる債務名義

       債務者 の普通裁判籍の  所在地 を管轄する  裁判所 (この普通裁判籍がないときは、  請求 の目的又は差し押さえることができる  債務者 の財産の  所在地 を管轄する  裁判所

    第二十二条第七号 に掲げる債務名義のうち  和解 若しくは調停(  上級裁判所 において成立した  和解 及び調停を除く。)又は  労働審判 に係るもの

       和解 若しくは調停が  成立 した簡易裁判所、  地方裁判所 若しくは家庭裁判所(  簡易裁判所 において成立した  和解 又は調停に係る  請求 が簡易裁判所の  管轄 に属しないものであるときは、その簡易裁判所の  所在地 を管轄する  地方裁判所 )又は労働審判が行われた際に  労働審判事件 が係属していた地方裁判所

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第三十四条 (執行文付与に対する異議の訴え)

   第二十七条 の規定により  執行文 が付与された  場合 において、債権者の  証明 すべき事実の  到来 したこと又は債務名義に  表示 された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために  強制執行 をすることができることについて異議のある  債務者 は、その執行文の付された  債務名義 の正本に基づく  強制執行 の不許を求めるために、  執行文付与 に対する異議の訴えを  提起 することができる。

    異議 の事由が  数個 あるときは、債務者は、  同時 に、これを主張しなければならない。

    前条第二項 の規定は、  第一項 の訴えについて準用する。

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第三十五条 (請求異議の訴え)

   債務名義 (第二十二条第二号又は  第四号 に掲げる債務名義で  確定前 のものを除く。以下この項において同じ。)に係る  請求権 の存在又は  内容 について異議のある  債務者 は、その債務名義による  強制執行 の不許を求めるために、  請求異議 の訴えを提起することができる。  裁判以外 の債務名義の  成立 について異議のある  債務者 も、同様とする。

    確定判決 についての異議の  事由 は、口頭弁論の  終結後 に生じたものに限る。

    第三十三条第二項 及び前条第二項の  規定 は、第一項の訴えについて  準用 する。

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第三十六条 (執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)

   執行文付与 に対する異議の訴え又は  請求異議 の訴えの提起があつた  場合 において、異議のため  主張 した事情が  法律上理由 があるとみえ、かつ、事実上の点について  疎明 があつたときは、受訴裁判所は、  申立 てにより、終局判決において  次条第一項 の裁判をするまでの間、  担保 を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の  停止 を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて  強制執行 の続行を命じ、若しくは  担保 を立てさせて既にした執行処分の  取消 しを命ずることができる。急迫の  事情 があるときは、裁判長も、これらの  処分 を命ずることができる。

    前項 の申立てについての  裁判 は、口頭弁論を経ないですることができる。

    第一項 に規定する  事由 がある場合において、  急迫 の事情があるときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  同項 の規定による  裁判 の正本を  提出 すべき期間を定めて、  同項 に規定する  処分 を命ずることができる。この裁判は、  執行文付与 に対する異議の訴え又は  請求異議 の訴えの提起前においても、することができる。

    前項 の規定により定められた  期間 を経過したとき、又はその  期間内 に第一項の  規定 による裁判が  執行裁判所 若しくは執行官に  提出 されたときは、前項の  裁判 は、その効力を失う。

    第一項 又は第三項の  申立 てについての裁判に対しては、  不服 を申し立てることができない。

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第三十七条 (終局判決における執行停止の裁判等)

   受訴裁判所 は、執行文付与に対する  異議 の訴え又は請求異議の訴えについての  終局判決 において、前条第一項に  規定 する処分を命じ、又は既にした  同項 の規定による  裁判 を取り消し、変更し、若しくは  認可 することができる。この裁判については、  仮執行 の宣言をしなければならない。

    前項 の規定による  裁判 に対しては、不服を申し立てることができない。

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第三十八条 (第三者異議の訴え)

   強制執行 の目的物について  所有権 その他目的物の  譲渡 又は引渡しを妨げる  権利 を有する第三者は、  債権者 に対し、その強制執行の  不許 を求めるために、第三者異議の訴えを  提起 することができる。

    前項 に規定する  第三者 は、同項の訴えに  併合 して、債務者に対する  強制執行 の目的物についての訴えを  提起 することができる。

    第一項 の訴えは、執行裁判所が  管轄 する。

    前二条 の規定は、  第一項 の訴えに係る執行停止の  裁判 について準用する。

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第三十九条 (強制執行の停止)

   強制執行 は、次に掲げる文書の  提出 があつたときは、停止しなければならない。

    債務名義 (執行証書を除く。)若しくは  仮執行 の宣言を取り消す旨又は  強制執行 を許さない旨を記載した  執行力 のある裁判の正本

    債務名義 に係る和解、  認諾 、調停又は  労働審判 の効力がないことを  宣言 する確定判決の正本

    第二十二条第二号 から第四号の二までに掲げる  債務名義 が訴えの取下げその他の  事由 により効力を失つたことを証する  調書 の正本その他の  裁判所書記官 の作成した文書

    強制執行 をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を  記載 した裁判上の  和解 若しくは調停の  調書 の正本又は  労働審判法 (平成十六年法律第四十五号)  第二十一条第四項 の規定により  裁判上 の和解と  同一 の効力を有する  労働審判 の審判書若しくは  同法第二十条第七項 の調書の正本

    強制執行 を免れるための担保を立てたことを証する文書

    強制執行 の停止及び  執行処分 の取消しを命ずる旨を  記載 した裁判の正本

    強制執行 の一時の  停止 を命ずる旨を記載した  裁判 の正本

    債権者 が、債務名義の  成立後 に、弁済を受け、又は  弁済 の猶予を  承諾 した旨を記載した文書

    前項第八号 に掲げる文書のうち  弁済 を受けた旨を記載した  文書 の提出による  強制執行 の停止は、  四週間 に限るものとする。

    第一項第八号 に掲げる文書のうち  弁済 の猶予を  承諾 した旨を記載した  文書 の提出による  強制執行 の停止は、  二回 に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。

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第四十条 (執行処分の取消し)

   前条第一項第一号 から第六号までに掲げる  文書 が提出されたときは、  執行裁判所 又は執行官は、既にした  執行処分 をも取り消さなければならない。

    第十二条 の規定は、  前項 の規定により  執行処分 を取り消す場合については  適用 しない。

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第四十一条 (債務者が死亡した場合の強制執行の続行)

   強制執行 は、その開始後に  債務者 が死亡した  場合 においても、続行することができる。

    前項 の場合において、  債務者 の相続人の  存在 又はその所在が明らかでないときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  相続財産 又は相続人のために、  特別代理人 を選任することができる。

    民事訴訟法第三十五条第二項 及び第三項 の  規定 は、前項の  特別代理人 について準用する。

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第四十二条 (執行費用の負担)

   強制執行 の費用で  必要 なもの(以下「  執行費用 」という。)は、債務者の  負担 とする。

    金銭 の支払を  目的 とする債権についての  強制執行 にあつては、執行費用は、その  執行手続 において、債務名義を要しないで、  同時 に、取り立てることができる。

    強制執行 の基本となる  債務名義 (執行証書を除く。)を取り消す旨の  裁判 又は債務名義に係る  和解 、認諾、  調停 若しくは労働審判の  効力 がないことを宣言する  判決 が確定したときは、  債権者 は、支払を受けた  執行費用 に相当する  金銭 を債務者に  返還 しなければならない。

    第一項 の規定により  債務者 が負担すべき  執行費用 で第二項の  規定 により取り立てられたもの以外のもの及び  前項 の規定により  債権者 が返還すべき  金銭 の額は、申立てにより、  執行裁判所 の裁判所書記官が定める。

    前項 の申立てについての  裁判所書記官 の処分に対しては、その  告知 を受けた日から一週間の  不変期間内 に、執行裁判所に  異議 を申し立てることができる。

    執行裁判所 は、第四項の  規定 による裁判所書記官の  処分 に対する異議の  申立 てを理由があると認める  場合 において、同項に  規定 する執行費用及び  返還 すべき金銭の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。

    第五項 の規定による  異議 の申立てについての  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第四項 の規定による  裁判所書記官 の処分は、  確定 しなければその効力を生じない。

    民事訴訟法第七十四条第一項 の規定は、  第四項 の規定による  裁判所書記官 の処分について  準用 する。この場合においては、  第五項 、第七項及び  前項並 びに同条第三項 の  規定 を準用する。

    第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

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     第一款 不動産に対する強制執行

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      第一目 通則

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第四十三条 (不動産執行の方法)

   不動産 (登記することができない  土地 の定着物を除く。  以下 この節において同じ。)に対する強制執行(  以下 「不動産執行」という。)は、  強制競売 又は強制管理の  方法 により行う。これらの方法は、  併用 することができる。

    金銭 の支払を  目的 とする債権についての  強制執行 については、不動産の  共有持分 、登記された  地上権 及び永小作権並びにこれらの  権利 の共有持分は、  不動産 とみなす。

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第四十四条 (執行裁判所)

   不動産執行 については、その所在地(  前条第二項 の規定により  不動産 とみなされるものにあつては、その登記をすべき地)を  管轄 する地方裁判所が、  執行裁判所 として管轄する。

    建物 が数個の  地方裁判所 の管轄区域にまたがつて  存在 する場合には、その  建物 に対する強制執行については  建物 の存する土地の  所在地 を管轄する  各地方裁判所 が、その土地に対する  強制執行 については土地の  所在地 を管轄する  地方裁判所 又は建物に対する  強制執行 の申立てを受けた  地方裁判所 が、執行裁判所として  管轄 する。

    前項 の場合において、  執行裁判所 は、必要があると認めるときは、  事件 を他の管轄裁判所に  移送 することができる。

    前項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

      第二目 強制競売

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第四十五条 (開始決定等)

   執行裁判所 は、強制競売の  手続 を開始するには、  強制競売 の開始決定をし、その  開始決定 において、債権者のために  不動産 を差し押さえる旨を宣言しなければならない。

    前項 の開始決定は、  債務者 に送達しなければならない。

    強制競売 の申立てを  却下 する裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

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第四十六条 (差押えの効力)

   差押 えの効力は、  強制競売 の開始決定が  債務者 に送達された時に生ずる。ただし、  差押 えの登記がその  開始決定 の送達前にされたときは、  登記 がされた時に生ずる。

    差押 えは、債務者が  通常 の用法に従つて  不動産 を使用し、又は  収益 することを妨げない。

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第四十七条 (二重開始決定)

   強制競売 又は担保権の  実行 としての競売(  以下 この節において「競売」という。)の  開始決定 がされた不動産について  強制競売 の申立てがあつたときは、  執行裁判所 は、更に強制競売の  開始決定 をするものとする。

    先 の開始決定に係る  強制競売 若しくは競売の  申立 てが取り下げられたとき、又は先の開始決定に係る  強制競売 若しくは競売の  手続 が取り消されたときは、執行裁判所は、後の  強制競売 の開始決定に基づいて  手続 を続行しなければならない。

    前項 の場合において、後の  強制競売 の開始決定が  配当要求 の終期後の  申立 てに係るものであるときは、裁判所書記官は、新たに  配当要求 の終期を定めなければならない。この  場合 において、既に第五十条第一項(  第百八十八条 において準用する  場合 を含む。)の届出をした者に対しては、  第四十九条第二項 の規定による  催告 は、要しない。

    前項 の規定による  裁判所書記官 の処分に対しては、  執行裁判所 に異議を申し立てることができる。

    第十条第六項前段 及び第九項の  規定 は、前項の  規定 による異議の  申立 てがあつた場合について  準用 する。

    先 の開始決定に係る  強制競売 又は競売の  手続 が停止されたときは、  執行裁判所 は、申立てにより、後の  強制競売 の開始決定(  配当要求 の終期までにされた  申立 てに係るものに限る。)に基づいて手続を  続行 する旨の裁判をすることができる。ただし、先の  開始決定 に係る強制競売又は  競売 の手続が取り消されたとすれば、  第六十二条第一項第二号 に掲げる事項について  変更 が生ずるときは、この限りでない。

    前項 の申立てを  却下 する決定に対しては、  執行抗告 をすることができる。

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第四十八条 (差押えの登記の嘱託等)

   強制競売 の開始決定がされたときは、  裁判所書記官 は、直ちに、その開始決定に係る  差押 えの登記を  嘱託 しなければならない。

    登記官 は、前項の  規定 による嘱託に基づいて  差押 えの登記をしたときは、その  登記事項証明書 を執行裁判所に  送付 しなければならない。

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第四十九条 (開始決定及び配当要求の終期の公告等)

   強制競売 の開始決定に係る  差押 えの効力が生じた  場合 (その開始決定前に  強制競売 又は競売の  開始決定 がある場合を除く。)においては、  裁判所書記官 は、物件明細書の  作成 までの手続に要する  期間 を考慮して、  配当要求 の終期を定めなければならない。

    裁判所書記官 は、配当要求の  終期 を定めたときは、開始決定がされた旨及び  配当要求 の終期を  公告 し、かつ、次に掲げるものに対し、債権(  利息 その他の附帯の  債権 を含む。)の存否並びにその  原因 及び額を配当要求の  終期 までに執行裁判所に届け出るべき旨を  催告 しなければならない。

    第八十七条第一項第三号 に掲げる債権者

    第八十七条第一項第四号 に掲げる債権者(  抵当証券 の所持人にあつては、知れている  所持人 に限る。)

    租税 その他の公課を  所管 する官庁又は公署

    裁判所書記官 は、特に必要があると認めるときは、  配当要求 の終期を  延期 することができる。

    裁判所書記官 は、前項の  規定 により配当要求の  終期 を延期したときは、  延期後 の終期を  公告 しなければならない。

    第一項 又は第三項の  規定 による裁判所書記官の  処分 に対しては、執行裁判所に  異議 を申し立てることができる。

    第十条第六項前段 及び第九項の  規定 は、前項の  規定 による異議の  申立 てがあつた場合について  準用 する。

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第五十条 (催告を受けた者の債権の届出義務)

   前条第二項 の規定による  催告 を受けた同項第一号又は  第二号 に掲げる者は、配当要求の  終期 までに、その催告に係る  事項 について届出をしなければならない。

    前項 の届出をした者は、その  届出 に係る債権の  元本 の額に変更があつたときは、その旨の  届出 をしなければならない。

    前二項 の規定により  届出 をすべき者は、故意又は  過失 により、その届出をしなかつたとき、又は  不実 の届出をしたときは、これによつて生じた  損害 を賠償する責めに任ずる。

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第五十一条 (配当要求)

   第二十五条 の規定により  強制執行 を実施することができる  債務名義 の正本(  以下 「執行力のある  債務名義 の正本」という。)を有する  債権者 、強制競売の  開始決定 に係る差押えの  登記後 に登記された  仮差押債権者 及び第百八十一条第一項各号に掲げる  文書 により一般の  先取特権 を有することを証明した  債権者 は、配当要求をすることができる。

    配当要求 を却下する  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第五十二条 (配当要求の終期の変更)

   配当要求 の終期から、  三月以内 に売却許可決定がされないとき、又は  三月以内 にされた売却許可決定が取り消され、若しくは  効力 を失つたときは、配当要求の  終期 は、その終期から  三月 を経過した日に  変更 されたものとみなす。ただし、配当要求の  終期 から三月以内にされた  売却許可決定 が効力を失つた  場合 において、第六十七条の  規定 による次順位買受けの  申出 について売却許可決定がされたとき(その  決定 が取り消され、又は効力を失つたときを除く。)は、この限りでない。

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第五十三条 (不動産の滅失等による強制競売の手続の取消し)

   不動産 の滅失その  他売却 による不動産の  移転 を妨げる事情が明らかとなつたときは、  執行裁判所 は、強制競売の  手続 を取り消さなければならない。

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第五十四条 (差押えの登記の抹消の嘱託)

   強制競売 の申立てが取り下げられたとき、又は  強制競売 の手続を取り消す  決定 が効力を生じたときは、  裁判所書記官 は、その開始決定に係る  差押 えの登記の  抹消 を嘱託しなければならない。

    前項 の規定による  嘱託 に要する登録免許税その他の  費用 は、その取下げ又は  取消決定 に係る差押債権者の  負担 とする。

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第五十五条 (売却のための保全処分等)

   執行裁判所 は、債務者又は  不動産 の占有者が  価格減少行為 (不動産の  価格 を減少させ、又は  減少 させるおそれがある行為をいう。  以下 この項において同じ。)をするときは、差押債権者(  配当要求 の終期後に  強制競売 又は競売の  申立 てをした差押債権者を除く。)の  申立 てにより、買受人が  代金 を納付するまでの間、次に掲げる  保全処分 又は公示保全処分(  執行官 に、当該保全処分の  内容 を、不動産の  所在 する場所に  公示書 その他の標識を  掲示 する方法により  公示 させることを内容とする  保全処分 をいう。以下同じ。)を命ずることができる。ただし、  当該価格減少行為 による不動産の  価格 の減少又はそのおそれの  程度 が軽微であるときは、この限りでない。

    当該価格減少行為 をする者に対し、当該価格減少行為を  禁止 し、又は一定の  行為 をすることを命ずる保全処分(  執行裁判所 が必要があると認めるときは、  公示保全処分 を含む。)

    次 に掲げる事項を  内容 とする保全処分(  執行裁判所 が必要があると認めるときは、  公示保全処分 を含む。)

   当該価格減少行為 をする者に対し、不動産に対する  占有 を解いて執行官に引き渡すことを命ずること。

   執行官 に不動産の  保管 をさせること。

    次 に掲げる事項を  内容 とする保全処分及び公示保全処分

   前号 イ及びロに掲げる事項

   前号 イに規定する者に対し、  不動産 の占有の  移転 を禁止することを命じ、及び  当該不動産 の使用を許すこと。

    前項第二号 又は第三号に掲げる  保全処分 は、次に掲げる場合のいずれかに  該当 するときでなければ、命ずることができない。

    前項 の債務者が  不動産 を占有する場合

    前項 の不動産の  占有者 の占有の  権原 が差押債権者、  仮差押債権者 又は第五十九条第一項の  規定 により消滅する  権利 を有する者に対抗することができない場合

    執行裁判所 は、債務者以外の  占有者 に対し第一項の  規定 による決定をする  場合 において、必要があると認めるときは、その者を  審尋 しなければならない。

    執行裁判所 が第一項の  規定 による決定をするときは、  申立人 に担保を立てさせることができる。ただし、  同項第二号 に掲げる保全処分については、  申立人 に担保を立てさせなければ、  同項 の規定による  決定 をしてはならない。

    事情 の変更があつたときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  第一項 の規定による  決定 を取り消し、又は変更することができる。

    第一項 又は前項の  申立 てについての裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    第五項 の規定による  決定 は、確定しなければその  効力 を生じない。

    第一項第二号 又は第三号に掲げる  保全処分 又は公示保全処分を命ずる  決定 は、申立人に  告知 された日から二週間を  経過 したときは、執行してはならない。

    前項 に規定する  決定 は、相手方に  送達 される前であつても、執行することができる。

  0  第一項 の申立て又は  同項 (第一号を除く。)の  規定 による決定の  執行 に要した費用(  不動産 の保管のために要した  費用 を含む。)は、その不動産に対する  強制競売 の手続においては、  共益費用 とする。

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第五十五条の二 (相手方を特定しないで発する売却のための保全処分等)

   前条第一項第二号 又は第三号に掲げる  保全処分 又は公示保全処分を命ずる  決定 については、当該決定の  執行前 に相手方を  特定 することを困難とする  特別 の事情があるときは、  執行裁判所 は、相手方を  特定 しないで、これを発することができる。

    前項 の規定による  決定 の執行は、  不動産 の占有を解く際にその  占有者 を特定することができない  場合 は、することができない。

    第一項 の規定による  決定 の執行がされたときは、  当該執行 によつて不動産の  占有 を解かれた者が、当該決定の  相手方 となる。

    第一項 の規定による  決定 は、前条第八項の  期間内 にその執行がされなかつたときは、  相手方 に対して送達することを要しない。この  場合 において、第十五条第二項において  準用 する民事訴訟法第七十九条第一項 の  規定 による担保の  取消 しの決定で  前条第四項 の規定により立てさせた  担保 に係るものは、執行裁判所が  相当 と認める方法で  申立人 に告知することによつて、その  効力 を生ずる。

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第五十六条 (地代等の代払の許可)

   建物 に対し強制競売の  開始決定 がされた場合において、その  建物 の所有を  目的 とする地上権又は  賃借権 について債務者が  地代 又は借賃を  支払 わないときは、執行裁判所は、  申立 てにより、差押債権者(  配当要求 の終期後に  強制競売 又は競売の  申立 てをした差押債権者を除く。)がその  不払 の地代又は  借賃 を債務者に代わつて  弁済 することを許可することができる。

    第五十五条第十項 の規定は、  前項 の申立てに要した  費用 及び同項の  許可 を得て支払つた  地代 又は借賃について  準用 する。

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第五十七条 (現況調査)

   執行裁判所 は、執行官に対し、  不動産 の形状、  占有関係 その他の現況について  調査 を命じなければならない。

    執行官 は、前項の  調査 をするに際し、不動産に立ち入り、又は  債務者 若しくはその不動産を  占有 する第三者に対し、  質問 をし、若しくは文書の  提示 を求めることができる。

    執行官 は、前項の  規定 により不動産に立ち入る  場合 において、必要があるときは、  閉鎖 した戸を開くため必要な  処分 をすることができる。

    執行官 は、第一項の  調査 のため必要がある  場合 には、市町村(  特別区 の存する区域にあつては、都)に対し、  不動産 (不動産が  土地 である場合にはその上にある  建物 を、不動産が  建物 である場合にはその  敷地 を含む。)に対して課される固定資産税に関して  保有 する図面その他の  資料 の写しの交付を  請求 することができる。

    執行官 は、前項に  規定 する場合には、  電気 、ガス又は水道水の  供給 その他これらに類する継続的給付を行う  公益事業 を営む法人に対し、  必要 な事項の  報告 を求めることができる。

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第五十八条 (評価)

   執行裁判所 は、評価人を  選任 し、不動産の  評価 を命じなければならない。

    評価人 は、近傍同種の  不動産 の取引価格、  不動産 から生ずべき収益、  不動産 の原価その他の  不動産 の価格形成上の  事情 を適切に  勘案 して、遅滞なく、  評価 をしなければならない。この場合において、  評価人 は、強制競売の  手続 において不動産の  売却 を実施するための  評価 であることを考慮しなければならない。

    評価人 は、第六条第二項の  規定 により執行官に対し  援助 を求めるには、執行裁判所の  許可 を受けなければならない。

    第十八条第二項並 びに前条第二項、  第四項 及び第五項の  規定 は、評価人が  評価 をする場合について  準用 する。

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第五十九条 (売却に伴う権利の消滅等)

   不動産 の上に存する先取特権、  使用 及び収益をしない旨の定めのある  質権並 びに抵当権は、  売却 により消滅する。

    前項 の規定により  消滅 する権利を有する者、  差押債権者 又は仮差押債権者に  対抗 することができない不動産に係る  権利 の取得は、  売却 によりその効力を失う。

    不動産 に係る差押え、  仮差押 えの執行及び  第一項 の規定により  消滅 する権利を有する者、  差押債権者 又は仮差押債権者に  対抗 することができない仮処分の  執行 は、売却によりその  効力 を失う。

    不動産 の上に存する留置権並びに  使用 及び収益をしない旨の定めのない  質権 で第二項の  規定 の適用がないものについては、  買受人 は、これらによつて担保される  債権 を弁済する責めに任ずる。

    利害関係 を有する者が次条第一項に  規定 する売却基準価額が定められる時までに  第一項 、第二項又は  前項 の規定と異なる  合意 をした旨の届出をしたときは、  売却 による不動産の上の  権利 の変動は、その  合意 に従う。

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第六十条 (売却基準価額の決定等)

   執行裁判所 は、評価人の  評価 に基づいて、不動産の  売却 の額の基準となるべき  価額 (以下「  売却基準価額 」という。)を定めなければならない。

    執行裁判所 は、必要があると認めるときは、  売却基準価額 を変更することができる。

    買受 けの申出の額は、  売却基準価額 からその十分の二に  相当 する額を控除した  価額 (以下「  買受可能価額 」という。)以上でなければならない。

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第六十一条 (一括売却)

   執行裁判所 は、相互の  利用上不動産 を他の不動産(  差押債権者 又は債務者を異にするものを含む。)と  一括 して同一の  買受人 に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの  不動産 を一括して  売却 することを定めることができる。ただし、一個の  申立 てにより強制競売の  開始決定 がされた数個の  不動産 のうち、あるものの買受可能価額で  各債権者 の債権及び  執行費用 の全部を  弁済 することができる見込みがある  場合 には、債務者の  同意 があるときに限る。

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第六十二条 (物件明細書)

   裁判所書記官 は、次に掲げる事項を  記載 した物件明細書を  作成 しなければならない。

    不動産 の表示

    不動産 に係る権利の  取得 及び仮処分の  執行 で売却によりその  効力 を失わないもの

    売却 により設定されたものとみなされる  地上権 の概要

    裁判所書記官 は、前項の  物件明細書 の写しを執行裁判所に備え置いて  一般 の閲覧に供し、又は  不特定多数 の者が当該物件明細書の  内容 の提供を受けることができるものとして  最高裁判所規則 で定める措置を講じなければならない。

    前二項 の規定による  裁判所書記官 の処分に対しては、  執行裁判所 に異議を申し立てることができる。

    第十条第六項前段 及び第九項の  規定 は、前項の  規定 による異議の  申立 てがあつた場合について  準用 する。

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第六十三条 (剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)

   執行裁判所 は、次の各号のいずれかに  該当 すると認めるときは、その旨を差押債権者(  最初 の強制競売の  開始決定 に係る差押債権者をいう。ただし、  第四十七条第六項 の規定により  手続 を続行する旨の  裁判 があつたときは、その裁判を受けた  差押債権者 をいう。以下この条において同じ。)に  通知 しなければならない。

    差押債権者 の債権に  優先 する債権(  以下 この条において「優先債権」という。)がない  場合 において、不動産の  買受可能価額 が執行費用のうち  共益費用 であるもの(以下「  手続費用 」という。)の見込額を超えないとき。

    優先債権 がある場合において、  不動産 の買受可能価額が  手続費用 及び優先債権の  見込額 の合計額に満たないとき。

    差押債権者 が、前項の  規定 による通知を受けた日から  一週間以内 に、優先債権がない  場合 にあつては手続費用の  見込額 を超える額、優先債権がある  場合 にあつては手続費用及び  優先債権 の見込額の  合計額以上 の額(以下この項において「  申出額 」という。)を定めて、次の各号に掲げる  区分 に応じ、それぞれ当該各号に定める  申出 及び保証の  提供 をしないときは、執行裁判所は、  差押債権者 の申立てに係る  強制競売 の手続を取り消さなければならない。ただし、  差押債権者 が、その期間内に、  前項各号 のいずれにも該当しないことを  証明 したとき、又は同項第二号に  該当 する場合であつて  不動産 の買受可能価額が  手続費用 の見込額を超える  場合 において、不動産の  売却 について優先債権を有する者(  買受可能価額 で自己の  優先債権 の全部の  弁済 を受けることができる見込み

    差押債権者 が不動産の  買受人 になることができる場合

       申出額 に達する買受けの  申出 がないときは、自ら申出額で  不動産 を買い受ける旨の申出及び  申出額 に相当する  保証 の提供

    差押債権者 が不動産の  買受人 になることができない場合

       買受 けの申出の額が  申出額 に達しないときは、申出額と  買受 けの申出の額との  差額 を負担する旨の  申出 及び申出額と  買受可能価額 との差額に  相当 する保証の提供

    前項第二号 の申出及び  保証 の提供があつた  場合 において、買受可能価額以上の額の  買受 けの申出がないときは、  執行裁判所 は、差押債権者の  申立 てに係る強制競売の  手続 を取り消さなければならない。

    第二項 の保証の  提供 は、執行裁判所に対し、  最高裁判所規則 で定める方法により行わなければならない。

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第六十四条 (売却の方法及び公告)

   不動産 の売却は、  裁判所書記官 の定める売却の  方法 により行う。

    不動産 の売却の  方法 は、入札又は競り売りのほか、  最高裁判所規則 で定める。

    裁判所書記官 は、入札又は競り売りの  方法 により売却をするときは、  売却 の日時及び  場所 を定め、執行官に  売却 を実施させなければならない。

    前項 の場合においては、  第二十条 において準用する  民事訴訟法第九十三条第一項 の規定にかかわらず、  売却決定期日 は、裁判所書記官が、  売却 を実施させる旨の  処分 と同時に  指定 する。

    第三項 の場合においては、  裁判所書記官 は、売却すべき  不動産 の表示、  売却基準価額並 びに売却の  日時 及び場所を  公告 しなければならない。

    第一項 、第三項又は  第四項 の規定による  裁判所書記官 の処分に対しては、  執行裁判所 に異議を申し立てることができる。

    第十条第六項前段 及び第九項の  規定 は、前項の  規定 による異議の  申立 てがあつた場合について  準用 する。

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第六十四条の二 (内覧)

   執行裁判所 は、差押債権者(  配当要求 の終期後に  強制競売 又は競売の  申立 てをした差押債権者を除く。)の  申立 てがあるときは、執行官に対し、  内覧 (不動産の  買受 けを希望する者をこれに立ち入らせて  見学 させることをいう。以下この条において同じ。)の  実施 を命じなければならない。ただし、当該不動産の  占有者 の占有の  権原 が差押債権者、  仮差押債権者 及び第五十九条第一項の  規定 により消滅する  権利 を有する者に対抗することができる  場合 で当該占有者が  同意 しないときは、この限りでない。

    前項 の申立ては、  最高裁判所規則 で定めるところにより、売却を  実施 させる旨の裁判所書記官の  処分 の時までにしなければならない。

    第一項 の命令を受けた  執行官 は、売却の  実施 の時までに、最高裁判所規則で定めるところにより  内覧 への参加の  申出 をした者(不動産を買い受ける  資格 又は能力を有しない者その  他最高裁判所規則 で定める事由がある者を除く。  第五項 及び第六項において「  内覧参加者 」という。)のために、内覧を  実施 しなければならない。

    執行裁判所 は、内覧の  円滑 な実施が  困難 であることが明らかであるときは、第一項の  命令 を取り消すことができる。

    執行官 は、内覧の  実施 に際し、自ら不動産に立ち入り、かつ、  内覧参加者 を不動産に立ち入らせることができる。

    執行官 は、内覧参加者であつて  内覧 の円滑な  実施 を妨げる行為をするものに対し、  不動産 に立ち入ることを制限し、又は  不動産 から退去させることができる。

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第六十五条 (売却の場所の秩序維持)

   執行官 は、次に掲げる者に対し、売却の  場所 に入ることを制限し、若しくはその  場所 から退場させ、又は  買受 けの申出をさせないことができる。

    他 の者の買受けの  申出 を妨げ、若しくは不当に  価額 を引き下げる目的をもつて  連合 する等売却の  適正 な実施を妨げる  行為 をし、又はその行為をさせた者

    他 の民事執行の  手続 の売却不許可決定において  前号 に該当する者と  認定 され、その売却不許可決定の  確定 の日から二年を  経過 しない者

    民事執行 の手続における  売却 に関し刑法 (  明治四十年法律第四十五号 )第九十五条 から  第九十六条 の三 まで、  第百九十七条 から第百九十七条の四まで若しくは  第百九十八条 又は公職にある  者等 のあっせん行為による  利得等 の処罰に関する  法律 (平成十二年法律第百三十号)  第一条第一項 、第二条第一項若しくは  第四条 の規定により刑に処せられ、その  裁判 の確定の日から  二年 を経過しない者

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第六十六条 (買受けの申出の保証)

   不動産 の買受けの  申出 をしようとする者は、最高裁判所規則で定めるところにより、  執行裁判所 が定める額及び方法による  保証 を提供しなければならない。

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第六十七条 (次順位買受けの申出)

   最高価買受申出人 に次いで高額の  買受 けの申出をした者は、その  買受 けの申出の額が、  買受可能価額以上 で、かつ、最高価買受申出人の  申出 の額から買受けの  申出 の保証の額を  控除 した額以上である  場合 に限り、売却の  実施 の終了までに、  執行官 に対し、最高価買受申出人に係る  売却許可決定 が第八十条第一項の  規定 により効力を失うときは、  自己 の買受けの  申出 について売却を  許可 すべき旨の申出(  以下 「次順位買受けの  申出 」という。)をすることができる。

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第六十八条 (債務者の買受けの申出の禁止)

   債務者 は、買受けの  申出 をすることができない。

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第六十八条の二 (買受けの申出をした差押債権者のための保全処分等)

   執行裁判所 は、裁判所書記官が  入札 又は競り売りの方法により  売却 を実施させても  買受 けの申出がなかつた  場合 において、債務者又は  不動産 の占有者が  不動産 の売却を  困難 にする行為をし、又はその  行為 をするおそれがあるときは、差押債権者(  配当要求 の終期後に  強制競売 又は競売の  申立 てをした差押債権者を除く。  次項 において同じ。)の申立てにより、  買受人 が代金を  納付 するまでの間、担保を立てさせて、次に掲げる  事項 を内容とする  保全処分 (執行裁判所が  必要 があると認めるときは、公示保全処分を含む。)を命ずることができる。

    債務者 又は不動産の  占有者 に対し、不動産に対する  占有 を解いて執行官又は  申立人 に引き渡すことを命ずること。

    執行官 又は申立人に  不動産 の保管をさせること。

    差押債権者 は、前項の  申立 てをするには、買受可能価額以上の額(  以下 この項において「申出額」という。)を定めて、次の  入札 又は競り売りの方法による  売却 の実施において  申出額 に達する買受けの  申出 がないときは自ら申出額で  不動産 を買い受ける旨の申出をし、かつ、  申出額 に相当する  保証 の提供をしなければならない。

    事情 の変更があつたときは、  執行裁判所 は、申立てにより又は  職権 で、第一項の  規定 による決定を取り消し、又は  変更 することができる。

    第五十五条第二項 の規定は  第一項 に規定する  保全処分 について、同条第三項の  規定 は第一項の  規定 による決定について、  同条第六項 の規定は  第一項 の申立てについての  裁判 、前項の  規定 による裁判又は  同項 の申立てを  却下 する裁判について、  同条第七項 の規定は  前項 の規定による  決定 について、同条第八項及び  第九項並 びに第五十五条の二の  規定 は第一項に  規定 する保全処分を命ずる  決定 について、第五十五条第十項の  規定 は第一項の  申立 て又は同項の  規定 による決定の  執行 に要した費用について、  第六十三条第四項 の規定は  第二項 の保証の  提供 について準用する。

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第六十八条の三 (売却の見込みのない場合の措置)

   執行裁判所 は、裁判所書記官が  入札 又は競り売りの方法による  売却 を三回実施させても  買受 けの申出がなかつた  場合 において、不動産の  形状 、用途、  法令 による利用の  規制 その他の事情を  考慮 して、更に売却を  実施 させても売却の  見込 みがないと認めるときは、強制競売の  手続 を停止することができる。この  場合 においては、差押債権者に対し、その旨を  通知 しなければならない。

    差押債権者 が、前項の  規定 による通知を受けた日から  三月以内 に、執行裁判所に対し、  買受 けの申出をしようとする者があることを  理由 として、売却を  実施 させるべき旨を申し出たときは、裁判所書記官は、  第六十四条 の定めるところにより売却を  実施 させなければならない。

    差押債権者 が前項の  期間内 に同項の  規定 による売却実施の  申出 をしないときは、執行裁判所は、  強制競売 の手続を取り消すことができる。  同項 の規定により  裁判所書記官 が売却を  実施 させた場合において  買受 けの申出がなかつたときも、  同様 とする。

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第六十九条 (売却決定期日)

   執行裁判所 は、売却決定期日を開き、  売却 の許可又は  不許可 を言い渡さなければならない。

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第七十条 (売却の許可又は不許可に関する意見の陳述)

   不動産 の売却の  許可 又は不許可に関し  利害関係 を有する者は、次条各号に掲げる  事由 で自己の  権利 に影響のあるものについて、  売却決定期日 において意見を  陳述 することができる。

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第七十一条 (売却不許可事由)

   執行裁判所 は、次に掲げる事由があると認めるときは、  売却不許可決定 をしなければならない。

    強制競売 の手続の  開始 又は続行をすべきでないこと。

    最高価買受申出人 が不動産を買い受ける  資格 若しくは能力を有しないこと又はその  代理人 がその権限を有しないこと。

    最高価買受申出人 が不動産を買い受ける  資格 を有しない者の計算において  買受 けの申出をした者であること。

    最高価買受申出人 、その代理人又は  自己 の計算において  最高価買受申出人 に買受けの  申出 をさせた者が次のいずれかに該当すること。

イ その  強制競売 の手続において  第六十五条第一号 に規定する  行為 をした者

ロ その  強制競売 の手続において、  代金 の納付をしなかつた者又は  自己 の計算においてその者に  買受 けの申出をさせたことがある者

   第六十五条第二号 又は第三号に掲げる者

    第七十五条第一項 の規定による  売却 の不許可の  申出 があること。

    売却基準価額 若しくは一括売却の  決定 、物件明細書の  作成 又はこれらの手続に  重大 な誤りがあること。

    売却 の手続に  重大 な誤りがあること。

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第七十二条 (売却の実施の終了後に執行停止の裁判等の提出があつた場合の措置)

   売却 の実施の  終了 から売却決定期日の  終了 までの間に第三十九条第一項第七号に掲げる  文書 の提出があつた  場合 には、執行裁判所は、他の  事由 により売却不許可決定をするときを除き、  売却決定期日 を開くことができない。この場合においては、  最高価買受申出人 又は次順位買受申出人は、  執行裁判所 に対し、買受けの  申出 を取り消すことができる。

    売却決定期日 の終了後に  前項 に規定する  文書 の提出があつた  場合 には、その期日にされた  売却許可決定 が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその  期日 にされた売却不許可決定が  確定 したときに限り、第三十九条の  規定 を適用する。

    売却 の実施の  終了後 に第三十九条第一項第八号に掲げる  文書 の提出があつた  場合 には、その売却に係る  売却許可決定 が取り消され、若しくは効力を失つたとき、又はその  売却 に係る売却不許可決定が  確定 したときに限り、同条の  規定 を適用する。

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第七十三条 (超過売却となる場合の措置)

   数個 の不動産を  売却 した場合において、あるものの  買受 けの申出の額で  各債権者 の債権及び  執行費用 の全部を  弁済 することができる見込みがあるときは、  執行裁判所 は、他の不動産についての  売却許可決定 を留保しなければならない。

    前項 の場合において、その  買受 けの申出の額で  各債権者 の債権及び  執行費用 の全部を  弁済 することができる見込みがある  不動産 が数個あるときは、  執行裁判所 は、売却の  許可 をすべき不動産について、あらかじめ、  債務者 の意見を聴かなければならない。

    第一項 の規定により  売却許可決定 が留保された  不動産 の最高価買受申出人又は  次順位買受申出人 は、執行裁判所に対し、  買受 けの申出を取り消すことができる。

    売却許可決定 のあつた不動産について  代金 が納付されたときは、  執行裁判所 は、前項の  不動産 に係る強制競売の  手続 を取り消さなければならない。

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第七十四条 (売却の許可又は不許可の決定に対する執行抗告)

   売却 の許可又は  不許可 の決定に対しては、その  決定 により自己の  権利 が害されることを主張するときに限り、  執行抗告 をすることができる。

    売却許可決定 に対する執行抗告は、  第七十一条各号 に掲げる事由があること又は  売却許可決定 の手続に  重大 な誤りがあることを理由としなければならない。

    民事訴訟法第三百三十八条第一項 各号 に掲げる事由は、  前二項 の規定にかかわらず、  売却 の許可又は  不許可 の決定に対する  執行抗告 の理由とすることができる。

    抗告裁判所 は、必要があると認めるときは、  抗告人 の相手方を定めることができる。

    売却 の許可又は  不許可 の決定は、  確定 しなければその効力を生じない。

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第七十五条 (不動産が損傷した場合の売却の不許可の申出等)

   最高価買受申出人 又は買受人は、  買受 けの申出をした  後天災 その他自己の責めに帰することができない  事由 により不動産が  損傷 した場合には、  執行裁判所 に対し、売却許可決定前にあつては  売却 の不許可の  申出 をし、売却許可決定後にあつては  代金 を納付する時までにその  決定 の取消しの  申立 てをすることができる。ただし、不動産の  損傷 が軽微であるときは、この限りでない。

    前項 の規定による  売却許可決定 の取消しの  申立 てについての決定に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    前項 に規定する  申立 てにより売却許可決定を取り消す  決定 は、確定しなければその  効力 を生じない。

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第七十六条 (買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)

   買受 けの申出があつた後に  強制競売 の申立てを取り下げるには、  最高価買受申出人 又は買受人及び  次順位買受申出人 の同意を得なければならない。ただし、他に  差押債権者 (配当要求の  終期後 に強制競売又は  競売 の申立てをした  差押債権者 を除く。)がある場合において、  取下 げにより第六十二条第一項第二号に掲げる  事項 について変更が生じないときは、この限りでない。

    前項 の規定は、  買受 けの申出があつた後に  第三十九条第一項第四号 又は第五号に掲げる  文書 を提出する  場合 について準用する。

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第七十七条 (最高価買受申出人又は買受人のための保全処分等)

   執行裁判所 は、債務者又は  不動産 の占有者が、  価格減少行為等 (不動産の  価格 を減少させ、又は  不動産 の引渡しを  困難 にする行為をいう。  以下 この項において同じ。)をし、又は価格減少行為等をするおそれがあるときは、  最高価買受申出人 又は買受人の  申立 てにより、引渡命令の  執行 までの間、その買受けの  申出 の額(金銭により  第六十六条 の保証を  提供 した場合にあつては、  当該保証 の額を控除した額)に  相当 する金銭を  納付 させ、又は代金を  納付 させて、次に掲げる保全処分又は  公示保全処分 を命ずることができる。

    債務者 又は不動産の  占有者 に対し、価格減少行為等を  禁止 し、又は一定の  行為 をすることを命ずる保全処分(  執行裁判所 が必要があると認めるときは、  公示保全処分 を含む。)

    次 に掲げる事項を  内容 とする保全処分(  執行裁判所 が必要があると認めるときは、  公示保全処分 を含む。)

   当該価格減少行為等 をし、又はそのおそれがある者に対し、不動産に対する  占有 を解いて執行官に引き渡すことを命ずること。

   執行官 に不動産の  保管 をさせること。

    次 に掲げる事項を  内容 とする保全処分及び公示保全処分

   前号 イ及びロに掲げる事項

   前号 イに規定する者に対し、  不動産 の占有の  移転 を禁止することを命じ、及び  不動産 の使用を許すこと。

    第五十五条第二項 (第一号に係る  部分 に限る。)の規定は  前項第二号 又は第三号に掲げる  保全処分 について、同条第二項(  第二号 に係る部分に限る。)の  規定 は前項に掲げる  保全処分 について、同条第三項、  第四項本文 及び第五項の  規定 は前項の  規定 による決定について、  同条第六項 の規定は  前項 の申立て又はこの項において  準用 する同条第五項の  申立 てについての裁判について、  同条第七項 の規定はこの項において  準用 する同条第五項の  規定 による決定について、  同条第八項 及び第九項並びに  第五十五条 の二の規定は  前項第二号 又は第三号に掲げる  保全処分 を命ずる決定について  準用 する。

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第七十八条 (代金の納付)

   売却許可決定 が確定したときは、  買受人 は、裁判所書記官の定める  期限 までに代金を  裁判所書記官 に納付しなければならない。

    買受人 が買受けの  申出 の保証として  提供 した金銭及び  前条第一項 の規定により  納付 した金銭は、  代金 に充てる。

    買受人 が第六十三条第二項第一号又は  第六十八条 の二第二項の  保証 を金銭の  納付以外 の方法で  提供 しているときは、執行裁判所は、  最高裁判所規則 で定めるところによりこれを換価し、その  換価代金 から換価に要した  費用 を控除したものを  代金 に充てる。この場合において、  換価 に要した費用は、  買受人 の負担とする。

    買受人 は、売却代金から  配当 又は弁済を受けるべき  債権者 であるときは、売却許可決定が  確定 するまでに執行裁判所に申し出て、  配当 又は弁済を受けるべき額を差し引いて  代金 を配当期日又は  弁済金 の交付の日に  納付 することができる。ただし、配当期日において、  買受人 の受けるべき配当の額について  異議 の申出があつたときは、  買受人 は、当該配当期日から  一週間以内 に、異議に係る  部分 に相当する  金銭 を納付しなければならない。

    裁判所書記官 は、特に必要があると認めるときは、  第一項 の期限を  変更 することができる。

    第一項 又は前項の  規定 による裁判所書記官の  処分 に対しては、執行裁判所に  異議 を申し立てることができる。

    第十条第六項前段 及び第九項の  規定 は、前項の  規定 による異議の  申立 てがあつた場合について  準用 する。

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第七十九条 (不動産の取得の時期)

   買受人 は、代金を  納付 した時に不動産を  取得 する。

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第八十条 (代金不納付の効果)

   買受人 が代金を  納付 しないときは、売却許可決定は、その  効力 を失う。この場合においては、  買受人 は、第六十六条の  規定 により提供した  保証 の返還を  請求 することができない。

    前項前段 の場合において、  次順位買受 けの申出があるときは、  執行裁判所 は、その申出について  売却 の許可又は  不許可 の決定をしなければならない。

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第八十一条 (法定地上権)

   土地 及びその上にある建物が  債務者 の所有に属する  場合 において、その土地又は  建物 の差押えがあり、その  売却 により所有者を異にするに至つたときは、その  建物 について、地上権が  設定 されたものとみなす。この場合においては、  地代 は、当事者の  請求 により、裁判所が定める。

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第八十二条 (代金納付による登記の嘱託)

   買受人 が代金を  納付 したときは、裁判所書記官は、次に掲げる  登記 及び登記の  抹消 を嘱託しなければならない。

    買受人 の取得した  権利 の移転の登記

    売却 により消滅した  権利 又は売却により  効力 を失つた権利の  取得 若しくは仮処分に係る  登記 の抹消

    差押 え又は仮差押えの  登記 の抹消

    買受人 及び買受人から  不動産 の上に抵当権の  設定 を受けようとする者が、最高裁判所規則で定めるところにより、  代金 の納付の時までに  申出 をしたときは、前項の  規定 による嘱託は、  登記 の申請の  代理 を業とすることができる者で申出人の  指定 するものに嘱託情報を  提供 して登記所に  提供 させる方法によつてしなければならない。この  場合 において、申出人の  指定 する者は、遅滞なく、その  嘱託情報 を登記所に  提供 しなければならない。

    第一項 の規定による  嘱託 をするには、その嘱託情報と併せて  売却許可決定 があつたことを証する情報を  提供 しなければならない。

    第一項 の規定による  嘱託 に要する登録免許税その他の  費用 は、買受人の  負担 とする。

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第八十三条 (引渡命令)

   執行裁判所 は、代金を  納付 した買受人の  申立 てにより、債務者又は  不動産 の占有者に対し、  不動産 を買受人に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、  事件 の記録上買受人に  対抗 することができる権原により  占有 していると認められる者に対しては、この限りでない。

    買受人 は、代金を  納付 した日から六月(  買受 けの時に民法第三百九十五条第一項 に  規定 する抵当建物使用者が  占有 していた建物の  買受人 にあつては、九月)を  経過 したときは、前項の  申立 てをすることができない。

    執行裁判所 は、債務者以外の  占有者 に対し第一項の  規定 による決定をする  場合 には、その者を審尋しなければならない。ただし、  事件 の記録上その者が  買受人 に対抗することができる  権原 により占有しているものでないことが明らかであるとき、又は既にその者を  審尋 しているときは、この限りでない。

    第一項 の申立てについての  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第一項 の規定による  決定 は、確定しなければその  効力 を生じない。

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第八十三条の二 (占有移転禁止の保全処分等の効力)

   強制競売 の手続において、  第五十五条第一項第三号 又は第七十七条第一項第三号に掲げる  保全処分 及び公示保全処分を命ずる  決定 の執行がされ、かつ、  買受人 の申立てにより  当該決定 の被申立人に対して  引渡命令 が発せられたときは、買受人は、  当該引渡命令 に基づき、次に掲げる者に対し、不動産の  引渡 しの強制執行をすることができる。

    当該決定 の執行がされたことを知つて  当該不動産 を占有した者

    当該決定 の執行後に  当該執行 がされたことを知らないで当該決定の  被申立人 の占有を  承継 した者

    前項 の決定の  執行後 に同項の  不動産 を占有した者は、その  執行 がされたことを知つて占有したものと  推定 する。

    第一項 の引渡命令について  同項 の決定の  被申立人以外 の者に対する執行文が  付与 されたときは、その者は、執行文の  付与 に対する異議の  申立 てにおいて、買受人に  対抗 することができる権原により  不動産 を占有していること、又は  自己 が同項各号のいずれにも  該当 しないことを理由とすることができる。

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第八十四条 (売却代金の配当等の実施)

   執行裁判所 は、代金の  納付 があつた場合には、  次項 に規定する  場合 を除き、配当表に基づいて  配当 を実施しなければならない。

    債権者 が一人である  場合 又は債権者が  二人以上 であつて売却代金で  各債権者 の債権及び  執行費用 の全部を  弁済 することができる場合には、  執行裁判所 は、売却代金の  交付計算書 を作成して、  債権者 に弁済金を  交付 し、剰余金を  債務者 に交付する。

    代金 の納付後に  第三十九条第一項第一号 から第六号までに掲げる  文書 の提出があつた  場合 において、他に売却代金の  配当 又は弁済金の  交付 (以下「  配当等 」という。)を受けるべき債権者があるときは、  執行裁判所 は、その債権者のために  配当等 を実施しなければならない。

    代金 の納付後に  第三十九条第一項第七号 又は第八号に掲げる  文書 の提出があつた  場合 においても、執行裁判所は、  配当等 を実施しなければならない。

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第八十五条 (配当表の作成)

   執行裁判所 は、配当期日において、  第八十七条第一項各号 に掲げる各債権者について、その  債権 の元本及び  利息 その他の附帯の  債権 の額、執行費用の  額並 びに配当の  順位 及び額を定める。ただし、配当の  順位 及び額については、配当期日においてすべての  債権者間 に合意が  成立 した場合は、この限りでない。

    執行裁判所 は、前項本文の  規定 により配当の  順位 及び額を定める場合には、  民法 、商法 その他の  法律 の定めるところによらなければならない。

    配当期日 には、第一項に  規定 する債権者及び  債務者 を呼び出さなければならない。

    執行裁判所 は、配当期日において、  第一項本文 に規定する  事項 を定めるため必要があると認めるときは、  出頭 した債権者及び  債務者 を審尋し、かつ、  即時 に取り調べることができる書証の  取調 べをすることができる。

    第一項 の規定により  同項本文 に規定する  事項 (同項ただし書に  規定 する場合には、  配当 の順位及び額を除く。)が定められたときは、  裁判所書記官 は、配当期日において、  配当表 を作成しなければならない。

    配当表 には、売却代金の額及び  第一項本文 に規定する  事項 についての執行裁判所の定めの  内容 (同項ただし書に  規定 する場合にあつては、  配当 の順位及び額については、その  合意 の内容)を  記載 しなければならない。

    第十六条第三項 及び第四項の  規定 は、第一項に  規定 する債権者(  同条第一項前段 に規定する者を除く。)に対する  呼出状 の送達について  準用 する。

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第八十六条 (売却代金)

   売却代金 は、次に掲げるものとする。

    不動産 の代金

    第六十三条第二項第二号 の規定により  提供 した保証のうち  申出額 から代金の額を  控除 した残額に  相当 するもの

    第八十条第一項後段 の規定により  買受人 が返還を  請求 することができない保証

    第六十一条 の規定により  不動産 が一括して  売却 された場合において、  各不動産 ごとに売却代金の額を定める  必要 があるときは、その額は、売却代金の  総額 を各不動産の  売却基準価額 に応じて案分して得た額とする。  各不動産 ごとの執行費用の  負担 についても、同様とする。

    第七十八条第三項 の規定は、  第一項第二号 又は第三号に  規定 する保証が  金銭 の納付以外の  方法 で提供されている  場合 の換価について  準用 する。

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第八十七条 (配当等を受けるべき債権者の範囲)

   売却代金 の配当等を受けるべき  債権者 は、次に掲げる者とする。

    差押債権者 (配当要求の  終期 までに強制競売又は  一般 の先取特権の  実行 としての競売の  申立 てをした差押債権者に限る。)

    配当要求 の終期までに  配当要求 をした債権者

    差押 え(最初の  強制競売 の開始決定に係る  差押 えをいう。次号において同じ。)の  登記前 に登記された  仮差押 えの債権者

    差押 えの登記前に  登記 (民事保全法第五十三条第二項 に  規定 する仮処分による  仮登記 を含む。)がされた先取特権(  第一号 又は第二号に掲げる  債権者 が有する一般の  先取特権 を除く。)、質権又は  抵当権 で売却により  消滅 するものを有する債権者(その  抵当権 に係る抵当証券の  所持人 を含む。)

    前項第四号 に掲げる債権者の  権利 が仮差押えの  登記後 に登記されたものである  場合 には、その債権者は、  仮差押債権者 が本案の  訴訟 において敗訴し、又は  仮差押 えがその効力を失つたときに限り、  配当等 を受けることができる。

    差押 えに係る強制競売の  手続 が停止され、  第四十七条第六項 の規定による  手続 を続行する旨の  裁判 がある場合において、  執行 を停止された  差押債権者 がその停止に係る  訴訟等 において敗訴したときは、  差押 えの登記後続行の  裁判 に係る差押えの  登記前 に登記された  第一項第四号 に規定する  権利 を有する債権者は、  配当等 を受けることができる。

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第八十八条 (期限付債権の配当等)

   確定期限 の到来していない  債権 は、配当等については、  弁済期 が到来したものとみなす。

    前項 の債権が  無利息 であるときは、配当等の日から  期限 までの法定利率による  利息 との合算額がその  債権 の額となるべき元本額をその  債権 の額とみなして、配当等の額を  計算 しなければならない。

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第八十九条 (配当異議の申出)

   配当表 に記載された  各債権者 の債権又は  配当 の額について不服のある  債権者 及び債務者は、  配当期日 において、異議の  申出 (以下「  配当異議 の申出」という。)をすることができる。

    執行裁判所 は、配当異議の  申出 のない部分に限り、  配当 を実施しなければならない。

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第九十条 (配当異議の訴え等)

   配当異議 の申出をした  債権者 及び執行力のある  債務名義 の正本を有しない  債権者 に対し配当異議の  申出 をした債務者は、  配当異議 の訴えを提起しなければならない。

    前項 の訴えは、執行裁判所が  管轄 する。

    第一項 の訴えは、原告が  最初 の口頭弁論期日に  出頭 しない場合には、その責めに帰することができない  事由 により出頭しないときを除き、  却下 しなければならない。

    第一項 の訴えの判決においては、  配当表 を変更し、又は新たな  配当表 の調製のために、  配当表 を取り消さなければならない。

    執行力 のある債務名義の  正本 を有する債権者に対し  配当異議 の申出をした  債務者 は、請求異議の訴え又は  民事訴訟法第百十七条第一項 の訴えを提起しなければならない。

    配当異議 の申出をした  債権者 又は債務者が、  配当期日 (知れていない抵当証券の  所持人 に対する配当異議の  申出 にあつては、その所持人を知つた日)から  一週間以内 (買受人が  第七十八条第四項 ただし書の規定により  金銭 を納付すべき  場合 にあつては、二週間以内)に、  執行裁判所 に対し、第一項の訴えを  提起 したことの証明をしないとき、又は  前項 の訴えを提起したことの  証明 及びその訴えに係る執行停止の  裁判 の正本の  提出 をしないときは、配当異議の  申出 は、取り下げたものとみなす。

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第九十一条 (配当等の額の供託)

   配当等 を受けるべき債権者の  債権 について次に掲げる事由があるときは、  裁判所書記官 は、その配当等の額に  相当 する金銭を  供託 しなければならない。

    停止条件付 又は不確定期限付であるとき。

    仮差押債権者 の債権であるとき。

    第三十九条第一項第七号 又は第百八十三条第一項第六号に掲げる  文書 が提出されているとき。

     その債権に係る  先取特権 、質権又は  抵当権 (以下この項において「  先取特権等 」という。)の実行を  一時禁止 する裁判の  正本 が提出されているとき。

     その債権に係る  先取特権等 につき仮登記又は  民事保全法第五十三条第二項 に規定する  仮処分 による仮登記がされたものであるとき。

    仮差押 え又は執行停止に係る  差押 えの登記後に  登記 された先取特権等があるため  配当額 が定まらないとき。

    配当異議 の訴えが提起されたとき。

    裁判所書記官 は、配当等の  受領 のために執行裁判所に  出頭 しなかつた債権者(知れていない  抵当証券 の所持人を含む。)に対する  配当等 の額に相当する  金銭 を供託しなければならない。

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第九十二条 (権利確定等に伴う配当等の実施)

   前条第一項 の規定による  供託 がされた場合において、その  供託 の事由が  消滅 したときは、執行裁判所は、  供託金 について配当等を  実施 しなければならない。

    前項 の規定により  配当 を実施すべき  場合 において、前条第一項第一号から  第五号 までに掲げる事由による  供託 に係る債権者若しくは  同項第六号 に掲げる事由による  供託 に係る仮差押債権者若しくは  執行 を停止された  差押債権者 に対して配当を  実施 することができなくなつたとき、又は同項第七号に掲げる  事由 による供託に係る  債権者 が債務者の  提起 した配当異議の訴えにおいて  敗訴 したときは、執行裁判所は、  配当異議 の申出をしなかつた  債権者 のためにも配当表を  変更 しなければならない。

      第三目 強制管理

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第九十三条 (開始決定等)

   執行裁判所 は、強制管理の  手続 を開始するには、  強制管理 の開始決定をし、その  開始決定 において、債権者のために  不動産 を差し押さえる旨を宣言し、かつ、  債務者 に対し収益の  処分 を禁止し、及び  債務者 が賃貸料の  請求権 その他の当該不動産の  収益 に係る給付を求める  権利 (以下「  給付請求権 」という。)を有するときは、債務者に対して  当該給付 をする義務を負う者(  以下 「給付義務者」という。)に対しその  給付 の目的物を  管理人 に交付すべき旨を命じなければならない。

    前項 の収益は、後に  収穫 すべき天然果実及び既に  弁済期 が到来し、又は後に  弁済期 が到来すべき  法定果実 とする。

    第一項 の開始決定は、  債務者 及び給付義務者に  送達 しなければならない。

    給付義務者 に対する第一項の  開始決定 の効力は、  開始決定 が当該給付義務者に  送達 された時に生ずる。

    強制管理 の申立てについての  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第九十三条の二 (二重開始決定)

   既 に強制管理の  開始決定 がされ、又は第百八十条第二号に  規定 する担保不動産収益執行の  開始決定 がされた不動産について  強制管理 の申立てがあつたときは、  執行裁判所 は、更に強制管理の  開始決定 をするものとする。

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第九十三条の三 (給付義務者に対する競合する債権差押命令等の陳述の催告)

   裁判所書記官 は、給付義務者に  強制管理 の開始決定を  送達 するに際し、当該給付義務者に対し、  開始決定 の送達の日から  二週間以内 に給付請求権に対する  差押命令 又は差押処分の  存否 その他の最高裁判所規則で定める  事項 について陳述すべき旨を  催告 しなければならない。この場合においては、  第百四十七条第二項 の規定を  準用 する。

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第九十三条の四 (給付請求権に対する競合する債権差押命令等の効力の停止等)

   第九十三条第四項 の規定により  強制管理 の開始決定の  効力 が給付義務者に対して生じたときは、  給付請求権 に対する差押命令又は  差押処分 であつて既に効力が生じていたものは、その  効力 を停止する。ただし、  強制管理 の開始決定の  給付義務者 に対する効力の  発生 が第百六十五条各号(  第百六十七条 の十四において  第百六十五条各号 (第三号及び  第四号 を除く。)の規定を  準用 する場合及び  第百九十三条第二項 において準用する  場合 を含む。)に掲げる時後であるときは、この限りでない。

    第九十三条第四項 の規定により  強制管理 の開始決定の  効力 が給付義務者に対して生じたときは、  給付請求権 に対する仮差押命令であつて既に  効力 が生じていたものは、その効力を  停止 する。

    第一項 の差押命令又は  差押処分 の債権者、  同項 の差押命令又は  差押処分 が効力を  停止 する時までに当該債権執行(  第百四十三条 に規定する  債権執行 をいう。)又は少額訴訟債権執行(  第百六十七条 の二第二項に  規定 する少額訴訟債権執行をいう。)の  手続 において配当要求をした  債権者 及び前項の  仮差押命令 の債権者は、  第百七条第四項 の規定にかかわらず、  前二項 の強制管理の  手続 において配当等を受けることができる。

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第九十四条 (管理人の選任)

   執行裁判所 は、強制管理の  開始決定 と同時に、  管理人 を選任しなければならない。

    信託会社 (信託業法 (  平成十六年法律第百五十四号 )第三条 又は  第五十三条第一項 の免許を受けた者をいう。)、  銀行 その他の法人は、  管理人 となることができる。

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第九十五条 (管理人の権限)

   管理人 は、強制管理の  開始決定 がされた不動産について、  管理並 びに収益の  収取 及び換価をすることができる。

    管理人 は、民法第六百二条 に定める  期間 を超えて不動産を  賃貸 するには、債務者の  同意 を得なければならない。

    管理人 が数人あるときは、  共同 してその職務を行う。ただし、  執行裁判所 の許可を受けて、  職務 を分掌することができる。

    管理人 が数人あるときは、  第三者 の意思表示は、その  一人 に対してすれば足りる。

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第九十六条 (強制管理のための不動産の占有等)

   管理人 は、不動産について、  債務者 の占有を解いて自らこれを  占有 することができる。

    管理人 は、前項の  場合 において、閉鎖した戸を開く  必要 があると認めるときは、執行官に対し  援助 を求めることができる。

    第五十七条第三項 の規定は、  前項 の規定により  援助 を求められた執行官について  準用 する。

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第九十七条 (建物使用の許可)

   債務者 の居住する  建物 について強制管理の  開始決定 がされた場合において、  債務者 が他に居住すべき  場所 を得ることができないときは、執行裁判所は、  申立 てにより、債務者及びその者と  生計 を一にする同居の  親族 (婚姻又は  縁組 の届出をしていないが  債務者 と事実上夫婦又は  養親子 と同様の  関係 にある者を含む。以下「  債務者等 」という。)の居住に  必要 な限度において、  期間 を定めて、その建物の  使用 を許可することができる。

    債務者 が管理人の  管理 を妨げたとき、又は事情の  変更 があつたときは、執行裁判所は、  申立 てにより、前項の  規定 による決定を取り消し、又は  変更 することができる。

    前二項 の申立てについての  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第九十八条 (収益等の分与)

   強制管理 により債務者の  生活 が著しく困窮することとなるときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  管理人 に対し、収益又はその  換価代金 からその困窮の  程度 に応じ必要な  金銭 又は収益を  債務者 に分与すべき旨を命ずることができる。

    前条第二項 の規定は  前項 の規定による  決定 について、同条第三項の  規定 は前項の  申立 て又はこの項において準用する  前条第二項 の申立てについての  決定 について準用する。

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第九十九条 (管理人の監督)

   管理人 は、執行裁判所が  監督 する。

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第百条 (管理人の注意義務)

   管理人 は、善良な  管理者 の注意をもつてその  職務 を行わなければならない。

    管理人 が前項の  注意 を怠つたときは、その管理人は、  利害関係 を有する者に対し、連帯して  損害 を賠償する責めに任ずる。

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第百一条 (管理人の報酬等)

   管理人 は、強制管理のため  必要 な費用の  前払 及び執行裁判所の定める  報酬 を受けることができる。

    前項 の規定による  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第百二条 (管理人の解任)

   重要 な事由があるときは、  執行裁判所 は、利害関係を有する者の  申立 てにより、又は職権で、  管理人 を解任することができる。この  場合 においては、その管理人を  審尋 しなければならない。

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第百三条 (計算の報告義務)

   管理人 の任務が  終了 した場合においては、  管理人 又はその承継人は、  遅滞 なく、執行裁判所に  計算 の報告をしなければならない。

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第百四条 (強制管理の停止)

   第三十九条第一項第七号 又は第八号に掲げる  文書 の提出があつた  場合 においては、強制管理は、  配当等 の手続を除き、その時の  態様 で継続することができる。この  場合 においては、管理人は、  配当等 に充てるべき金銭を  供託 し、その事情を  執行裁判所 に届け出なければならない。

    前項 の規定により  供託 された金銭の額で  各債権者 の債権及び  執行費用 の全部を  弁済 することができるときは、執行裁判所は、  配当等 の手続を除き、  強制管理 の手続を取り消さなければならない。

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第百五条 (配当要求)

   執行力 のある債務名義の  正本 を有する債権者及び  第百八十一条第一項各号 に掲げる文書により  一般 の先取特権を有することを  証明 した債権者は、  執行裁判所 に対し、配当要求をすることができる。

    配当要求 を却下する  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第百六条 (配当等に充てるべき金銭等)

   配当等 に充てるべき金銭は、  第九十八条第一項 の規定による  分与 をした後の収益又はその  換価代金 から、不動産に対して課される  租税 その他の公課及び  管理人 の報酬その他の  必要 な費用を  控除 したものとする。

    配当等 に充てるべき金銭を生ずる  見込 みがないときは、執行裁判所は、  強制管理 の手続を取り消さなければならない。

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第百七条 (管理人による配当等の実施)

   管理人 は、前条第一項に  規定 する費用を  支払 い、執行裁判所の定める  期間 ごとに、配当等に充てるべき  金銭 の額を計算して、  配当等 を実施しなければならない。

    債権者 が一人である  場合 又は債権者が  二人以上 であつて配当等に充てるべき  金銭 で各債権者の  債権 及び執行費用の  全部 を弁済することができる  場合 には、管理人は、  債権者 に弁済金を  交付 し、剰余金を  債務者 に交付する。

    前項 に規定する  場合 を除き、配当等に充てるべき  金銭 の配当について  債権者間 に協議が調つたときは、  管理人 は、その協議に従い  配当 を実施する。

    配当等 を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。

    差押債権者 のうち次のイからハまでのいずれかに該当するもの

   第一項 の期間の  満了 までに強制管理の  申立 てをしたもの

   第一項 の期間の  満了 までに一般の  先取特権 の実行として  第百八十条第二号 に規定する  担保不動産収益執行 の申立てをしたもの

   第一項 の期間の  満了 までに第百八十条第二号に  規定 する担保不動産収益執行の  申立 てをしたもの(ロに掲げるものを除く。)であつて、当該申立てが  最初 の強制管理の  開始決定 に係る差押えの  登記前 に登記(  民事保全法第五十三条第二項 に規定する  保全仮登記 を含む。)がされた担保権に基づくもの

    仮差押債権者 (第一項の  期間 の満了までに、  強制管理 の方法による  仮差押 えの執行の  申立 てをしたものに限る。)

    第一項 の期間の  満了 までに配当要求をした債権者

    第三項 の協議が調わないときは、  管理人 は、その事情を  執行裁判所 に届け出なければならない。

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第百八条 (管理人による配当等の額の供託)

   配当等 を受けるべき債権者の  債権 について第九十一条第一項各号(  第七号 を除く。)に掲げる事由があるときは、  管理人 は、その配当等の額に  相当 する金銭を  供託 し、その事情を  執行裁判所 に届け出なければならない。債権者が  配当等 の受領のために  出頭 しなかつたときも、同様とする。

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第百九条 (執行裁判所による配当等の実施)

   執行裁判所 は、第百七条第五項の  規定 による届出があつた  場合 には直ちに、第百四条第一項又は  前条 の規定による  届出 があつた場合には  供託 の事由が  消滅 したときに、配当等の  手続 を実施しなければならない。

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第百十条 (弁済による強制管理の手続の取消し)

   各債権者 が配当等によりその  債権 及び執行費用の  全部 の弁済を受けたときは、  執行裁判所 は、強制管理の  手続 を取り消さなければならない。

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第百十一条 (強制競売の規定の準用)

   第四十六条第一項 、第四十七条第二項、  第六項本文 及び第七項、  第四十八条 、第五十三条、  第五十四条 、第八十四条第三項及び  第四項 、第八十七条第二項及び  第三項並 びに第八十八条の  規定 は強制管理について、  第八十四条第一項 及び第二項、  第八十五条並 びに第八十九条から  第九十二条 までの規定は  第百九条 の規定により  執行裁判所 が実施する  配当等 の手続について  準用 する。この場合において、  第八十四条第三項 及び第四項中「  代金 の納付後」とあるのは、「  第百七条第一項 の期間の  経過後 」と読み替えるものとする。

     第二款 船舶に対する強制執行

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第百十二条 (船舶執行の方法)

   総 トン数二十トン  以上 の船舶(  端舟 その他ろかい又は主としてろかいをもつて運転する舟を除く。  以下 この節及び次章において「  船舶 」という。)に対する強制執行(  以下 「船舶執行」という。)は、  強制競売 の方法により行う。

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第百十三条 (執行裁判所)

   船舶執行 については、強制競売の  開始決定 の時の船舶の  所在地 を管轄する  地方裁判所 が、執行裁判所として  管轄 する。

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第百十四条 (開始決定等)

   執行裁判所 は、強制競売の  手続 を開始するには、  強制競売 の開始決定をし、かつ、  執行官 に対し、船舶の  国籍 を証する文書その他の  船舶 の航行のために  必要 な文書(  以下 「船舶国籍証書等」という。)を取り上げて  執行裁判所 に提出すべきことを命じなければならない。ただし、その  開始決定前 にされた開始決定により  船舶国籍証書等 が取り上げられているときは、執行官に対する  命令 を要しない。

    強制競売 の開始決定においては、  債権者 のために船舶を差し押さえる旨を  宣言 し、かつ、債務者に対し  船舶 の出航を  禁止 しなければならない。

    強制競売 の開始決定の  送達 又は差押えの  登記前 に執行官が  船舶国籍証書等 を取り上げたときは、差押えの  効力 は、その取上げの時に生ずる。

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第百十五条 (船舶執行の申立て前の船舶国籍証書等の引渡命令)

   船舶執行 の申立て前に  船舶国籍証書等 を取り上げなければ船舶執行が著しく  困難 となるおそれがあるときは、その船舶の  船籍 の所在地(  船籍 のない船舶にあつては、  最高裁判所 の指定する地)を  管轄 する地方裁判所は、  申立 てにより、債務者に対し、  船舶国籍証書等 を執行官に引き渡すべき旨を命ずることができる。  急迫 の事情があるときは、  船舶 の所在地を  管轄 する地方裁判所も、この  命令 を発することができる。

    前項 の規定による  裁判 は、口頭弁論を経ないですることができる。

    第一項 の申立てをするには、  執行力 のある債務名義の  正本 を提示し、かつ、  同項 に規定する  事由 を疎明しなければならない。

    執行官 は、船舶国籍証書等の  引渡 しを受けた日から五日以内に  債権者 が船舶執行の  申立 てをしたことを証する文書を  提出 しないときは、その船舶国籍証書等を  債務者 に返還しなければならない。

    第一項 の規定による  決定 に対しては、即時抗告をすることができる。

    前項 の即時抗告は、  執行停止 の効力を有しない。

    第五十五条第八項 から第十項までの  規定 は、第一項の  規定 による決定について  準用 する。

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第百十六条 (保管人の選任等)

   執行裁判所 は、差押債権者の  申立 てにより、必要があると認めるときは、  強制競売 の開始決定がされた  船舶 について保管人を  選任 することができる。

    前項 の保管人が  船舶 の保管のために要した  費用 (第四項において  準用 する第百一条第一項の  報酬 を含む。)は、手続費用とする。

    第一項 の申立てについての  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第九十四条第二項 、第九十六条及び  第九十九条 から第百三条までの  規定 は、第一項の  保管人 について準用する。

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第百十七条 (保証の提供による強制競売の手続の取消し)

   差押債権者 の債権について、  第三十九条第一項第七号 又は第八号に掲げる  文書 が提出されている  場合 において、債務者が  差押債権者 及び保証の  提供 の時(配当要求の  終期後 にあつては、その終期)までに  配当要求 をした債権者の  債権 及び執行費用の  総額 に相当する  保証 を買受けの  申出前 に提供したときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  配当等 の手続を除き、  強制競売 の手続を取り消さなければならない。

    前項 に規定する  文書 の提出による  執行停止 がその効力を失つたときは、  執行裁判所 は、同項の  規定 により提供された  保証 について、同項の  債権者 のために配当等を  実施 しなければならない。この場合において、  執行裁判所 は、保証の  提供 として供託された  有価証券 を取り戻すことができる。

    第一項 の申立てを  却下 する裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    第十二条 の規定は、  第一項 の規定による  決定 については適用しない。

    第十五条 の規定は  第一項 の保証の  提供 について、第七十八条第三項の  規定 は第一項の  保証 が金銭の  供託以外 の方法で  提供 されている場合の  換価 について準用する。

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第百十八条 (航行許可)

   執行裁判所 は、営業上の  必要 その他相当の  事由 があると認める場合において、  各債権者並 びに最高価買受申出人又は  買受人 及び次順位買受申出人の  同意 があるときは、債務者の  申立 てにより、船舶の  航行 を許可することができる。

    前項 の申立てについての  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第一項 の規定による  決定 は、確定しなければその  効力 を生じない。

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第百十九条 (事件の移送)

   執行裁判所 は、強制競売の  開始決定 がされた船舶が  管轄区域外 の地に所在することとなつた  場合 には、船舶の  所在地 を管轄する  地方裁判所 に事件を  移送 することができる。

    前項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

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第百二十条 (船舶国籍証書等の取上げができない場合の強制競売の手続の取消し)

   執行官 が強制競売の  開始決定 の発せられた日から二週間以内に  船舶国籍証書等 を取り上げることができないときは、執行裁判所は、  強制競売 の手続を取り消さなければならない。

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第百二十一条 (不動産に対する強制競売の規定の準用)

 前款第二目(第四十五条第一項、第四十六条第二項、第四十八条、第五十四条、第五十五条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第五十六条、第六十四条の二、第八十一条及び第八十二条を除く。)の規定は船舶執行について、第四十八条、第五十四条及び第八十二条の規定は船舶法 (明治三十二年法律第四十六号)第一条 に規定する日本船舶に対する強制執行について準用する。

     第三款 動産に対する強制執行

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第百二十二条 (動産執行の開始等)

   動産 (登記することができない  土地 の定着物、  土地 から分離する前の  天然果実 で一月以内に  収穫 することが確実であるもの及び  裏書 の禁止されている  有価証券以外 の有価証券を含む。  以下 この節、次章及び  第四章 において同じ。)に対する強制執行(  以下 「動産執行」という。)は、  執行官 の目的物に対する  差押 えにより開始する。

    動産執行 においては、執行官は、  差押債権者 のためにその債権及び  執行費用 の弁済を  受領 することができる。

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第百二十三条 (債務者の占有する動産の差押え)

   債務者 の占有する  動産 の差押えは、  執行官 がその動産を  占有 して行う。

    執行官 は、前項の  差押 えをするに際し、債務者の  住居 その他債務者の  占有 する場所に立ち入り、その  場所 において、又は債務者の  占有 する金庫その他の  容器 について目的物を  捜索 することができる。この場合において、  必要 があるときは、閉鎖した戸及び  金庫 その他の容器を開くため  必要 な処分をすることができる。

    執行官 は、相当であると認めるときは、  債務者 に差し押さえた動産(  以下 「差押物」という。)を  保管 させることができる。この場合においては、  差押 えは、差押物について  封印 その他の方法で  差押 えの表示をしたときに限り、その  効力 を有する。

    執行官 は、前項の  規定 により債務者に  差押物 を保管させる  場合 において、相当であると認めるときは、その  使用 を許可することができる。

    執行官 は、必要があると認めるときは、  第三項 の規定により  債務者 に保管させた  差押物 を自ら保管し、又は  前項 の規定による  許可 を取り消すことができる。

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第百二十四条 (債務者以外の者の占有する動産の差押え)

   前条第一項 及び第三項から  第五項 までの規定は、  債権者 又は提出を拒まない  第三者 の占有する  動産 の差押えについて  準用 する。

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第百二十五条 (二重差押えの禁止及び事件の併合)

   執行官 は、差押物又は  仮差押 えの執行をした  動産 を更に差し押さえることができない。

    差押 えを受けた債務者に対しその  差押 えの場所について更に  動産執行 の申立てがあつた  場合 においては、執行官は、まだ差し押さえていない  動産 があるときはこれを差し押さえ、差し押さえるべき動産がないときはその旨を明らかにして、その  動産執行事件 と先の動産執行事件とを  併合 しなければならない。仮差押えの  執行 を受けた債務者に対しその  執行 の場所について更に  動産執行 の申立てがあつたときも、  同様 とする。

    前項前段 の規定により  二個 の動産執行事件が  併合 されたときは、後の事件において差し押さえられた  動産 は、併合の時に、先の  事件 において差し押さえられたものとみなし、後の事件の  申立 ては、配当要求の  効力 を生ずる。先の差押債権者が  動産執行 の申立てを取り下げたとき、又はその  申立 てに係る手続が  停止 され、若しくは取り消されたときは、先の事件において差し押さえられた  動産 は、併合の時に、後の  事件 のために差し押さえられたものとみなす。

    第二項後段 の規定により  仮差押執行事件 と動産執行事件とが  併合 されたときは、仮差押えの  執行 がされた動産は、  併合 の時に、動産執行事件において差し押さえられたものとみなし、  仮差押執行事件 の申立ては、  配当要求 の効力を生ずる。  差押債権者 が動産執行の  申立 てを取り下げたとき、又はその申立てに係る  手続 が取り消されたときは、動産執行事件において差し押さえられた  動産 は、併合の時に、  仮差押執行事件 において仮差押えの  執行 がされたものとみなす。

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第百二十六条 (差押えの効力が及ぶ範囲)

   差押 えの効力は、  差押物 から生ずる天然の  産出物 に及ぶ。

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第百二十七条 (差押物の引渡命令)

   差押物 を第三者が  占有 することとなつたときは、執行裁判所は、  差押債権者 の申立てにより、その  第三者 に対し、差押物を  執行官 に引き渡すべき旨を命ずることができる。

    前項 の申立ては、  差押物 を第三者が  占有 していることを知つた日から一週間以内にしなければならない。

    第一項 の申立てについての  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第五十五条第八項 から第十項までの  規定 は、第一項の  規定 による決定について  準用 する。

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第百二十八条 (超過差押えの禁止等)

   動産 の差押えは、  差押債権者 の債権及び  執行費用 の弁済に  必要 な限度を超えてはならない。

    差押 えの後にその差押えが  前項 の限度を超えることが明らかとなつたときは、  執行官 は、その超える限度において  差押 えを取り消さなければならない。

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第百二十九条 (剰余を生ずる見込みのない場合の差押えの禁止等)

   差 し押さえるべき動産の  売得金 の額が手続費用の額を超える  見込 みがないときは、執行官は、  差押 えをしてはならない。

    差押物 の売得金の額が  手続費用 及び差押債権者の  債権 に優先する  債権 の額の合計額以上となる  見込 みがないときは、執行官は、  差押 えを取り消さなければならない。

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第百三十条 (売却の見込みのない差押物の差押えの取消し)

   差押物 について相当な  方法 による売却の  実施 をしてもなお売却の  見込 みがないときは、執行官は、その  差押物 の差押えを取り消すことができる。

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第百三十一条 (差押禁止動産)

   次 に掲げる動産は、差し押さえてはならない。

    債務者等 の生活に欠くことができない  衣服 、寝具、  家具 、台所用具、畳及び建具

    債務者等 の一月間の  生活 に必要な  食料 及び燃料

    標準的 な世帯の  二月間 の必要生計費を  勘案 して政令で定める額の金銭

    主 として自己の  労力 により農業を営む者の  農業 に欠くことができない器具、  肥料 、労役の用に供する  家畜 及びその飼料並びに次の  収穫 まで農業を  続行 するために欠くことができない種子その他これに類する農産物

    主 として自己の  労力 により漁業を営む者の  水産物 の採捕又は  養殖 に欠くことができない漁網その他の  漁具 、えさ及び稚魚その他これに類する水産物

    技術者 、職人、  労務者 その他の主として自己の  知的 又は肉体的な  労働 により職業又は  営業 に従事する者(  前二号 に規定する者を除く。)のその  業務 に欠くことができない器具その他の物(  商品 を除く。)

    実印 その他の印で職業又は  生活 に欠くことができないもの

    仏像 、位牌その  他礼拝 又は祭祀に  直接供 するため欠くことができない物

    債務者 に必要な  系譜 、日記、  商業帳簿 及びこれらに類する書類

    債務者 又はその親族が受けた  勲章 その他の名誉を  表章 する物

  一  債務者等 の学校その他の  教育施設 における学習に  必要 な書類及び器具

  二  発明 又は著作に係る物で、まだ  公表 していないもの

  三  債務者等 に必要な  義手 、義足その他の  身体 の補足に供する物

  四  建物 その他の工作物について、  災害 の防止又は  保安 のため法令の  規定 により設備しなければならない  消防用 の機械又は  器具 、避難器具その他の備品

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第百三十二条 (差押禁止動産の範囲の変更)

   執行裁判所 は、申立てにより、  債務者 及び債権者の  生活 の状況その他の  事情 を考慮して、  差押 えの全部若しくは  一部 の取消しを命じ、又は  前条各号 に掲げる動産の  差押 えを許すことができる。

    事情 の変更があつたときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  前項 の規定により  差押 えが取り消された動産の  差押 えを許し、又は同項の  規定 による差押えの  全部 若しくは一部の  取消 しを命ずることができる。

    前二項 の規定により  差押 えの取消しの  命令 を求める申立てがあつたときは、  執行裁判所 は、その裁判が  効力 を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで  強制執行 の停止を命ずることができる。

    第一項 又は第二項の  申立 てを却下する  決定 及びこれらの規定により  差押 えを許す決定に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    第三項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

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第百三十三条 (先取特権者等の配当要求)

   先取特権 又は質権を有する者は、その  権利 を証する文書を  提出 して、配当要求をすることができる。

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第百三十四条 (売却の方法)

   執行官 は、差押物を  売却 するには、入札又は競り売りのほか、  最高裁判所規則 で定める方法によらなければならない。

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第百三十五条 (売却の場所の秩序維持等に関する規定の準用)

   第六十五条 及び第六十八条の  規定 は、差押物を  売却 する場合について  準用 する。

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第百三十六条 (手形等の提示義務)

   執行官 は、手形、  小切手 その他の金銭の  支払 を目的とする  有価証券 でその権利の  行使 のため定められた期間内に  引受 け若しくは支払のための  提示 又は支払の  請求 (以下「  提示等 」という。)を要するもの(以下「  手形等 」という。)を差し押さえた場合において、その  期間 の始期が  到来 したときは、債務者に代わつて  手形等 の提示等をしなければならない。

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第百三十七条 (執行停止中の売却)

   第三十九条第一項第七号 又は第八号に掲げる  文書 の提出があつた  場合 において、差押物について著しい  価額 の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその  保管 のために不相応な  費用 を要するときは、執行官は、その  差押物 を売却することができる。

    執行官 は、前項の  規定 により差押物を  売却 したときは、その売得金を  供託 しなければならない。

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第百三十八条 (有価証券の裏書等)

   執行官 は、有価証券を  売却 したときは、買受人のために、  債務者 に代わつて裏書又は  名義書換 えに必要な  行為 をすることができる。

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第百三十九条 (執行官による配当等の実施)

   債権者 が一人である  場合 又は債権者が  二人以上 であつて売得金、  差押金銭 若しくは手形等の  支払金 (以下「  売得金等 」という。)で各債権者の  債権 及び執行費用の  全部 を弁済することができる  場合 には、執行官は、  債権者 に弁済金を  交付 し、剰余金を  債務者 に交付する。

    前項 に規定する  場合 を除き、売得金等の  配当 について債権者間に  協議 が調つたときは、執行官は、その  協議 に従い配当を  実施 する。

    前項 の協議が調わないときは、  執行官 は、その事情を  執行裁判所 に届け出なければならない。

    第八十四条第三項 及び第四項並びに  第八十八条 の規定は、  第一項 又は第二項の  規定 により配当等を  実施 する場合について  準用 する。

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第百四十条 (配当等を受けるべき債権者の範囲)

   配当等 を受けるべき債権者は、  差押債権者 のほか、売得金については  執行官 がその交付を受けるまで(  第百三十七条 又は民事保全法第四十九条第三項 の  規定 により供託された  売得金 については、動産執行が  続行 されることとなるまで)に、差押金銭についてはその  差押 えをするまでに、手形等の  支払金 についてはその支払を受けるまでに  配当要求 をした債権者とする。

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第百四十一条 (執行官の供託)

   第百三十九条第一項 又は第二項の  規定 により配当等を  実施 する場合において、  配当等 を受けるべき債権者の  債権 について次に掲げる事由があるときは、  執行官 は、その配当等の額に  相当 する金銭を  供託 し、その事情を  執行裁判所 に届け出なければならない。

    停止条件付 又は不確定期限付であるとき。

    仮差押債権者 の債権であるとき。

    第三十九条第一項第七号 又は第百九十二条において  準用 する第百八十三条第一項第六号に掲げる  文書 が提出されているとき。

     その債権に係る  先取特権 又は質権の  実行 を一時禁止する  裁判 の正本が  提出 されているとき。

    執行官 は、配当等の  受領 のために出頭しなかつた  債権者 に対する配当等の額に  相当 する金銭を  供託 しなければならない。

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第百四十二条 (執行裁判所による配当等の実施)

   執行裁判所 は、第百三十九条第三項の  規定 による届出があつた  場合 には直ちに、前条第一項の  規定 による届出があつた  場合 には供託の  事由 が消滅したときに、  配当等 の手続を  実施 しなければならない。

    第八十四条 、第八十五条及び  第八十八条 から第九十二条までの  規定 は、前項の  規定 により執行裁判所が  実施 する配当等の  手続 について準用する。

     第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行

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      第一目 債権執行等

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第百四十三条 (債権執行の開始)

   金銭 の支払又は  船舶 若しくは動産の  引渡 しを目的とする  債権 (動産執行の  目的 となる有価証券が  発行 されている債権を除く。  以下 この節において「債権」という。)に対する  強制執行 (第百六十七条の  二第二項 に規定する  少額訴訟債権執行 を除く。以下この節において「  債権執行 」という。)は、執行裁判所の  差押命令 により開始する。

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第百四十四条 (執行裁判所)

   債権執行 については、債務者の  普通裁判籍 の所在地を  管轄 する地方裁判所が、この  普通裁判籍 がないときは差し押さえるべき債権の  所在地 を管轄する  地方裁判所 が、執行裁判所として  管轄 する。

    差 し押さえるべき債権は、その  債権 の債務者(  以下 「第三債務者」という。)の  普通裁判籍 の所在地にあるものとする。ただし、  船舶 又は動産の  引渡 しを目的とする  債権 及び物上の  担保権 により担保される  債権 は、その物の所在地にあるものとする。

    差押 えに係る債権(  差押命令 により差し押さえられた債権に限る。  以下 この目において同じ。)について更に差押命令が発せられた  場合 において、差押命令を発した  執行裁判所 が異なるときは、執行裁判所は、  事件 を他の執行裁判所に  移送 することができる。

    前項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

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第百四十五条 (差押命令)

   執行裁判所 は、差押命令において、  債務者 に対し債権の  取立 てその他の処分を  禁止 し、かつ、第三債務者に対し  債務者 への弁済を  禁止 しなければならない。

    差押命令 は、債務者及び  第三債務者 を審尋しないで発する。

    差押命令 は、債務者及び  第三債務者 に送達しなければならない。

    差押 えの効力は、  差押命令 が第三債務者に  送達 された時に生ずる。

    差押命令 の申立てについての  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第百四十六条 (差押えの範囲)

   執行裁判所 は、差し押さえるべき債権の  全部 について差押命令を発することができる。

    差 し押さえた債権の  価額 が差押債権者の  債権 及び執行費用の額を超えるときは、  執行裁判所 は、他の債権を差し押さえてはならない。

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第百四十七条 (第三債務者の陳述の催告)

   差押債権者 の申立てがあるときは、  裁判所書記官 は、差押命令を  送達 するに際し、第三債務者に対し、  差押命令 の送達の日から  二週間以内 に差押えに係る  債権 の存否その他の  最高裁判所規則 で定める事項について  陳述 すべき旨を催告しなければならない。

    第三債務者 は、前項の  規定 による催告に対して、  故意 又は過失により、  陳述 をしなかつたとき、又は不実の  陳述 をしたときは、これによつて生じた損害を  賠償 する責めに任ずる。

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第百四十八条 (債権証書の引渡し)

   差押 えに係る債権について  証書 があるときは、債務者は、  差押債権者 に対し、その証書を引き渡さなければならない。

    差押債権者 は、差押命令に基づいて、  第百六十九条 に規定する  動産 の引渡しの  強制執行 の方法により  前項 の証書の  引渡 しを受けることができる。

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第百四十九条 (差押えが一部競合した場合の効力)

   債権 の一部が差し押さえられ、又は  仮差押 えの執行を受けた  場合 において、その残余の  部分 を超えて差押命令が発せられたときは、  各差押 え又は仮差押えの  執行 の効力は、その  債権 の全部に及ぶ。  債権 の全部が差し押さえられ、又は  仮差押 えの執行を受けた  場合 において、その債権の  一部 について差押命令が発せられたときのその  差押 えの効力も、  同様 とする。

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第百五十条 (先取特権等によつて担保される債権の差押えの登記等の嘱託)

   登記 又は登録(  以下 「登記等」という。)のされた  先取特権 、質権又は  抵当権 によつて担保される  債権 に対する差押命令が  効力 を生じたときは、裁判所書記官は、  申立 てにより、その債権について  差押 えがされた旨の登記等を  嘱託 しなければならない。

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第百五十一条 (継続的給付の差押え)

   給料 その他継続的給付に係る  債権 に対する差押えの  効力 は、差押債権者の  債権 及び執行費用の額を  限度 として、差押えの後に受けるべき  給付 に及ぶ。

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第百五十一条の二 (扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)

   債権者 が次に掲げる義務に係る  確定期限 の定めのある定期金債権を有する  場合 において、その一部に  不履行 があるときは、第三十条第一項の  規定 にかかわらず、当該定期金債権のうち  確定期限 が到来していないものについても、  債権執行 を開始することができる。

    民法第七百五十二条 の規定による  夫婦間 の協力及び  扶助 の義務

    民法第七百六十条 の規定による  婚姻 から生ずる費用の  分担 の義務

    民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、  第七百七十一条 及び第七百八十八条において  準用 する場合を含む。)の  規定 による子の監護に関する義務

    民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの  規定 による扶養の義務

    前項 の規定により  開始 する債権執行においては、  各定期金債権 について、その確定期限の  到来後 に弁済期が  到来 する給料その  他継続的給付 に係る債権のみを差し押さえることができる。

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第百五十二条 (差押禁止債権)

   次 に掲げる債権については、その  支払期 に受けるべき給付の  四分 の三に相当する  部分 (その額が標準的な  世帯 の必要生計費を  勘案 して政令で定める額を超えるときは、  政令 で定める額に相当する  部分 )は、差し押さえてはならない。

    債務者 が国及び地方公共団体以外の者から  生計 を維持するために  支給 を受ける継続的給付に係る債権

    給料 、賃金、  俸給 、退職年金及び  賞与並 びにこれらの性質を有する  給与 に係る債権

    退職手当 及びその性質を有する  給与 に係る債権については、その  給付 の四分の三に  相当 する部分は、差し押さえてはならない。

    債権者 が前条第一項各号に掲げる  義務 に係る金銭債権(  金銭 の支払を  目的 とする債権をいう。  以下同 じ。)を請求する  場合 における前二項の  規定 の適用については、  前二項中 「四分の三」とあるのは、「  二分 の一」とする。

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第百五十三条 (差押禁止債権の範囲の変更)

   執行裁判所 は、申立てにより、  債務者 及び債権者の  生活 の状況その他の  事情 を考慮して、  差押命令 の全部若しくは  一部 を取り消し、又は前条の  規定 により差し押さえてはならない債権の  部分 について差押命令を発することができる。

    事情 の変更があつたときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  前項 の規定により  差押命令 が取り消された債権を差し押さえ、又は  同項 の規定による  差押命令 の全部若しくは  一部 を取り消すことができる。

    前二項 の申立てがあつたときは、  執行裁判所 は、その裁判が  効力 を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、  第三債務者 に対し、支払その他の  給付 の禁止を命ずることができる。

    第一項 又は第二項の  規定 による差押命令の  取消 しの申立てを  却下 する決定に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    第三項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

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第百五十四条 (配当要求)

   執行力 のある債務名義の  正本 を有する債権者及び  文書 により先取特権を有することを  証明 した債権者は、  配当要求 をすることができる。

    前項 の配当要求があつたときは、その旨を  記載 した文書は、  第三債務者 に送達しなければならない。

    配当要求 を却下する  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第百五十五条 (差押債権者の金銭債権の取立て)

   金銭債権 を差し押さえた債権者は、  債務者 に対して差押命令が  送達 された日から一週間を  経過 したときは、その債権を取り立てることができる。ただし、  差押債権者 の債権及び  執行費用 の額を超えて支払を受けることができない。

    差押債権者 が第三債務者から  支払 を受けたときは、その債権及び  執行費用 は、支払を受けた額の  限度 で、弁済されたものとみなす。

    差押債権者 は、前項の  支払 を受けたときは、直ちに、その旨を執行裁判所に届け出なければならない。

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第百五十六条 (第三債務者の供託)

   第三債務者 は、差押えに係る  金銭債権 (差押命令により差し押さえられた  金銭債権 に限る。次項において同じ。)の  全額 に相当する  金銭 を債務の  履行地 の供託所に  供託 することができる。

    第三債務者 は、次条第一項に  規定 する訴えの訴状の  送達 を受ける時までに、差押えに係る  金銭債権 のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた  差押命令 、差押処分又は  仮差押命令 の送達を受けたときはその  債権 の全額に  相当 する金銭を、  配当要求 があつた旨を記載した  文書 の送達を受けたときは差し押さえられた  部分 に相当する  金銭 を債務の  履行地 の供託所に  供託 しなければならない。

    第三債務者 は、前二項の  規定 による供託をしたときは、その  事情 を執行裁判所に届け出なければならない。

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第百五十七条 (取立訴訟)

   差押債権者 が第三債務者に対し差し押さえた  債権 に係る給付を求める訴え(  以下 「取立訴訟」という。)を  提起 したときは、受訴裁判所は、  第三債務者 の申立てにより、他の  債権者 で訴状の  送達 の時までにその債権を差し押さえたものに対し、  共同訴訟人 として原告に  参加 すべきことを命ずることができる。

    前項 の裁判は、  口頭弁論 を経ないですることができる。

    取立訴訟 の判決の  効力 は、第一項の  規定 により参加すべきことを命じられた  差押債権者 で参加しなかつたものにも及ぶ。

    前条第二項 の規定により  供託 の義務を負う  第三債務者 に対する取立訴訟において、  原告 の請求を  認容 するときは、受訴裁判所は、  請求 に係る金銭の  支払 は供託の  方法 によりすべき旨を判決の  主文 に掲げなければならない。

    強制執行 又は競売において、  前項 に規定する  判決 の原告が  配当等 を受けるべきときは、その配当等の額に  相当 する金銭は、  供託 しなければならない。

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第百五十八条 (債権者の損害賠償)

   差押債権者 は、債務者に対し、差し押さえた  債権 の行使を怠つたことによつて生じた  損害 を賠償する責めに任ずる。

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第百五十九条 (転付命令)

   執行裁判所 は、差押債権者の  申立 てにより、支払に代えて  券面額 で差し押さえられた金銭債権を  差押債権者 に転付する  命令 (以下「  転付命令 」という。)を発することができる。

    転付命令 は、債務者及び  第三債務者 に送達しなければならない。

    転付命令 が第三債務者に  送達 される時までに、転付命令に係る  金銭債権 について、他の債権者が  差押 え、仮差押えの  執行 又は配当要求をしたときは、  転付命令 は、その効力を生じない。

    第一項 の申立てについての  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

    転付命令 は、確定しなければその  効力 を生じない。

    転付命令 が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は  第八号 に掲げる文書を  提出 したことを理由として  執行抗告 がされたときは、抗告裁判所は、他の  理由 により転付命令を取り消す  場合 を除き、執行抗告についての  裁判 を留保しなければならない。

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第百六十条 (転付命令の効力)

   差押命令 及び転付命令が  確定 した場合においては、  差押債権者 の債権及び  執行費用 は、転付命令に係る  金銭債権 が存する限り、その券面額で、  転付命令 が第三債務者に  送達 された時に弁済されたものとみなす。

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第百六十一条 (譲渡命令等)

   差 し押さえられた債権が、  条件付 若しくは期限付であるとき、又は  反対給付 に係ることその他の事由によりその  取立 てが困難であるときは、  執行裁判所 は、差押債権者の  申立 てにより、その債権を  執行裁判所 が定めた価額で  支払 に代えて差押債権者に  譲渡 する命令(  以下 「譲渡命令」という。)、  取立 てに代えて、執行裁判所の定める  方法 によりその債権の  売却 を執行官に命ずる  命令 (以下「  売却命令 」という。)又は管理人を  選任 してその債権の  管理 を命ずる命令(  以下 「管理命令」という。)その  他相当 な方法による  換価 を命ずる命令を発することができる。

    執行裁判所 は、前項の  規定 による決定をする  場合 には、債務者を  審尋 しなければならない。ただし、債務者が  外国 にあるとき、又はその住所が知れないときは、この限りでない。

    第一項 の申立てについての  決定 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第一項 の規定による  決定 は、確定しなければその  効力 を生じない。

    執行官 は、差し押さえられた債権を  売却 したときは、債務者に代わり、  第三債務者 に対し、確定日付のある  証書 によりその譲渡の  通知 をしなければならない。

    第百五十九条第二項 及び第三項並びに  前条 の規定は  譲渡命令 について、第百五十九条第六項の  規定 は譲渡命令に対する  執行抗告 について、第六十五条及び  第六十八条 の規定は  売却命令 に基づく執行官の  売却 について、第百五十九条第二項の  規定 は管理命令について、  第八十四条第三項 及び第四項、  第八十八条 、第九十四条第二項、  第九十五条第一項 、第三項及び  第四項 、第九十八条から  第百四条 まで並びに第百六条から  第百十条 までの規定は  管理命令 に基づく管理について  準用 する。この場合において、  第八十四条第三項 及び第四項中「  代金 の納付後」とあるのは、「  第百六十一条 において準用する  第百七条第一項 の期間の  経過後 」と読み替えるものとする。

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第百六十二条 (船舶の引渡請求権の差押命令の執行)

   船舶 の引渡請求権を差し押さえた  債権者 は、債務者に対して  差押命令 が送達された日から  一週間 を経過したときは、  第三債務者 に対し、船舶の  所在地 を管轄する  地方裁判所 の選任する  保管人 にその船舶を引き渡すべきことを  請求 することができる。

    前項 の規定により  保管人 が引渡しを受けた  船舶 の強制執行は、  船舶執行 の方法により行う。

    第一項 に規定する  保管人 が船舶の  引渡 しを受けた場合において、その  船舶 について強制競売の  開始決定 がされたときは、その保管人は、  第百十六条第一項 の規定により  選任 された保管人とみなす。

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第百六十三条 (動産の引渡請求権の差押命令の執行)

   動産 の引渡請求権を差し押さえた  債権者 は、債務者に対して  差押命令 が送達された日から  一週間 を経過したときは、  第三債務者 に対し、差押債権者の  申立 てを受けた執行官にその  動産 を引き渡すべきことを請求することができる。

    執行官 は、動産の  引渡 しを受けたときは、動産執行の  売却 の手続によりこれを  売却 し、その売得金を  執行裁判所 に提出しなければならない。

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第百六十四条 (移転登記等の嘱託)

   第百五十条 に規定する  債権 について、転付命令若しくは  譲渡命令 が確定したとき、又は  売却命令 による売却が  終了 したときは、裁判所書記官は、  申立 てにより、その債権を  取得 した差押債権者又は  買受人 のために先取特権、  質権 又は抵当権の  移転 の登記等を  嘱託 し、及び同条の  規定 による登記等の  抹消 を嘱託しなければならない。

    前項 の規定による  嘱託 をする場合(  次項 に規定する  場合 を除く。)においては、嘱託書に、  転付命令 若しくは譲渡命令の  正本 又は売却命令に基づく  売却 について執行官が  作成 した文書の  謄本 を添付しなければならない。

    第一項 の規定による  嘱託 をする場合において、  不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)  第十六条第二項 (他の法令において  準用 する場合を含む。)において  準用 する同法第十八条 の  規定 による嘱託をするときは、その  嘱託情報 と併せて転付命令若しくは  譲渡命令 があつたことを証する情報又は  売却命令 に基づく売却について  執行官 が作成した  文書 の内容を証する  情報 を提供しなければならない。

    第一項 の規定による  嘱託 に要する登録免許税その他の  費用 は、同項に  規定 する差押債権者又は  買受人 の負担とする。

    第百五十条 の規定により  登記等 がされた場合において、差し押さえられた  債権 について支払又は  供託 があつたことを証する文書が  提出 されたときは、裁判所書記官は、  申立 てにより、その登記等の  抹消 を嘱託しなければならない。  債権執行 の申立てが取り下げられたとき、又は  差押命令 の取消決定が  確定 したときも、同様とする。

    前項 の規定による  嘱託 に要する登録免許税その他の  費用 は、同項前段の  場合 にあつては債務者の  負担 とし、同項後段の  場合 にあつては差押債権者の  負担 とする。

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第百六十五条 (配当等を受けるべき債権者の範囲)

   配当等 を受けるべき債権者は、次に掲げる時までに  差押 え、仮差押えの  執行 又は配当要求をした  債権者 とする。

    第三債務者 が第百五十六条第一項又は  第二項 の規定による  供託 をした時

    取立訴訟 の訴状が  第三債務者 に送達された時

    売却命令 により執行官が  売得金 の交付を受けた時

    動産引渡請求権 の差押えの  場合 にあつては、執行官がその  動産 の引渡しを受けた時

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第百六十六条 (配当等の実施)

   執行裁判所 は、第百六十一条第六項において  準用 する第百九条に  規定 する場合のほか、次に掲げる  場合 には、配当等を  実施 しなければならない。

    第百五十六条第一項 若しくは第二項又は  第百五十七条第五項 の規定による  供託 がされた場合

    売却命令 による売却がされた場合

    第百六十三条第二項 の規定により  売得金 が提出された場合

    第八十四条 、第八十五条及び  第八十八条 から第九十二条までの  規定 は、前項の  規定 により執行裁判所が  実施 する配当等の  手続 について準用する。

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第百六十七条 (その他の財産権に対する強制執行)

   不動産 、船舶、  動産 及び債権以外の  財産権 (以下この条において「その他の  財産権 」という。)に対する強制執行については、  特別 の定めがあるもののほか、債権執行の例による。

     その他の財産権で  権利 の移転について  登記等 を要するものは、強制執行の  管轄 については、その登記等の地にあるものとする。

     その他の財産権で  第三債務者 又はこれに準ずる者がないものに対する差押えの  効力 は、差押命令が  債務者 に送達された時に生ずる。

     その他の財産権で  権利 の移転について  登記等 を要するものについて差押えの  登記等 が差押命令の  送達前 にされた場合には、  差押 えの効力は、  差押 えの登記等がされた時に生ずる。ただし、その他の  財産権 で権利の  処分 の制限について  登記等 をしなければその効力が生じないものに対する  差押 えの効力は、  差押 えの登記等が  差押命令 の送達後にされた  場合 においても、差押えの  登記等 がされた時に生ずる。

    第四十八条 、第五十四条及び  第八十二条 の規定は、  権利 の移転について  登記等 を要するその他の財産権の  強制執行 に関する登記等について  準用 する。

      第二目 少額訴訟債権執行

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第百六十七条の二 (少額訴訟債権執行の開始等)

   次 に掲げる少額訴訟に係る  債務名義 による金銭債権に対する  強制執行 は、前目の定めるところにより  裁判所 が行うほか、第二条の  規定 にかかわらず、申立てにより、この目の定めるところにより  裁判所書記官 が行う。

    少額訴訟 における確定判決

    仮執行 の宣言を付した  少額訴訟 の判決

    少額訴訟 における訴訟費用又は  和解 の費用の  負担 の額を定める裁判所書記官の処分

    少額訴訟 における和解又は  認諾 の調書

    少額訴訟 における民事訴訟法第二百七十五条の  二第一項 の規定による  和解 に代わる決定

    前項 の規定により  裁判所書記官 が行う同項の  強制執行 (以下この目において「  少額訴訟債権執行 」という。)は、裁判所書記官の  差押処分 により開始する。

    少額訴訟債権執行 の申立ては、次の  各号 に掲げる債務名義の  区分 に応じ、それぞれ当該各号に定める  簡易裁判所 の裁判所書記官に対してする。

    第一項第一号 に掲げる債務名義 同号の  判決 をした簡易裁判所

    第一項第二号 に掲げる債務名義 同号の  判決 をした簡易裁判所

    第一項第三号 に掲げる債務名義 同号の  処分 をした裁判所書記官の  所属 する簡易裁判所

    第一項第四号 に掲げる債務名義 同号の  和解 が成立し、又は  同号 の認諾がされた簡易裁判所

    第一項第五号 に掲げる債務名義 同号の  和解 に代わる決定をした簡易裁判所

    第百四十四条第三項 及び第四項の  規定 は、差押えに係る  金銭債権 (差押処分により差し押さえられた  金銭債権 に限る。以下この目において同じ。)について更に  差押処分 がされた場合について  準用 する。この場合において、  同条第三項中 「差押命令を発した  執行裁判所 」とあるのは「差押処分をした  裁判所書記官 の所属する  簡易裁判所 」と、「執行裁判所は」とあるのは「  裁判所書記官 は」と、「他の執行裁判所」とあるのは「他の  簡易裁判所 の裁判所書記官」と、  同条第四項中 「決定」とあるのは「  裁判所書記官 の処分」と読み替えるものとする。

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第百六十七条の三 (執行裁判所)

   少額訴訟債権執行 の手続において  裁判所書記官 が行う執行処分に関しては、その  裁判所書記官 の所属する  簡易裁判所 をもつて執行裁判所とする。

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第百六十七条の四 (裁判所書記官の執行処分の効力等)

   少額訴訟債権執行 の手続において  裁判所書記官 が行う執行処分は、  特別 の定めがある場合を除き、  相当 と認める方法で  告知 することによつて、その効力を生ずる。

    前項 に規定する  裁判所書記官 が行う執行処分に対しては、  執行裁判所 に執行異議を申し立てることができる。

    第十条第六項前段 及び第九項の  規定 は、前項の  規定 による執行異議の  申立 てがあつた場合について  準用 する。

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第百六十七条の五 (差押処分)

   裁判所書記官 は、差押処分において、  債務者 に対し金銭債権の  取立 てその他の処分を  禁止 し、かつ、第三債務者に対し  債務者 への弁済を  禁止 しなければならない。

    第百四十五条第二項 から第四項までの  規定 は、差押処分について  準用 する。

    差押処分 の申立てについての  裁判所書記官 の処分に対する  執行異議 の申立ては、その  告知 を受けた日から一週間の  不変期間内 にしなければならない。

    前項 の執行異議の  申立 てについての裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    民事訴訟法第七十四条第一項 の規定は、  差押処分 の申立てについての  裁判所書記官 の処分について  準用 する。この場合においては、  第三項 及び前項並びに  同条第三項 の規定を  準用 する。

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第百六十七条の六 (費用の予納等)

   少額訴訟債権執行 についての第十四条第一項及び  第四項 の規定の  適用 については、これらの規定中「  執行裁判所 」とあるのは、「裁判所書記官」とする。

    第十四条第二項 及び第三項の  規定 は、前項の  規定 により読み替えて適用する  同条第一項 の規定による  裁判所書記官 の処分については、  適用 しない。

    第一項 の規定により読み替えて  適用 する第十四条第四項の  規定 による裁判所書記官の  処分 に対する執行異議の  申立 ては、その告知を受けた日から  一週間 の不変期間内にしなければならない。

    前項 の執行異議の  申立 てを却下する  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

    第一項 の規定により読み替えて  適用 する第十四条第四項の  規定 により少額訴訟債権執行の  手続 を取り消す旨の裁判所書記官の  処分 は、確定しなければその  効力 を生じない。

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第百六十七条の七 (第三者異議の訴えの管轄裁判所)

   少額訴訟債権執行 の不許を求める  第三者異議 の訴えは、第三十八条第三項の  規定 にかかわらず、執行裁判所の  所在地 を管轄する  地方裁判所 が管轄する。

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第百六十七条の八 (差押禁止債権の範囲の変更)

   執行裁判所 は、申立てにより、  債務者 及び債権者の  生活 の状況その他の  事情 を考慮して、  差押処分 の全部若しくは  一部 を取り消し、又は第百六十七条の  十四 において準用する  第百五十二条 の規定により差し押さえてはならない  金銭債権 の部分について  差押処分 をすべき旨を命ずることができる。

    事情 の変更があつたときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  前項 の規定により  差押処分 が取り消された金銭債権について  差押処分 をすべき旨を命じ、又は同項の  規定 によりされた差押処分の  全部 若しくは一部を取り消すことができる。

    第百五十三条第三項 から第五項までの  規定 は、前二項の  申立 てがあつた場合について  準用 する。この場合において、  同条第四項中 「差押命令」とあるのは、「  差押処分 」と読み替えるものとする。

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第百六十七条の九 (配当要求)

   執行力 のある債務名義の  正本 を有する債権者及び  文書 により先取特権を有することを  証明 した債権者は、  裁判所書記官 に対し、配当要求をすることができる。

    第百五十四条第二項 の規定は、  前項 の配当要求があつた  場合 について準用する。

    第一項 の配当要求を  却下 する旨の裁判所書記官の  処分 に対する執行異議の  申立 ては、その告知を受けた日から  一週間 の不変期間内にしなければならない。

    前項 の執行異議の  申立 てを却下する  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第百六十七条の十 (転付命令等のための移行)

   差押 えに係る金銭債権について  転付命令 又は譲渡命令、  売却命令 、管理命令その  他相当 な方法による  換価 を命ずる命令(  以下 この条において「転付命令等」という。)のいずれかの  命令 を求めようとするときは、差押債権者は、  執行裁判所 に対し、転付命令等のうちいずれの  命令 を求めるかを明らかにして、債権執行の  手続 に事件を  移行 させることを求める旨の申立てをしなければならない。

    前項 に規定する  命令 の種別を明らかにしてされた  同項 の申立てがあつたときは、  執行裁判所 は、その所在地を  管轄 する地方裁判所における  債権執行 の手続に  事件 を移行させなければならない。

    前項 の規定による  決定 が効力を生ずる前に、既にされた  執行処分 について執行異議の  申立 て又は執行抗告があつたときは、  当該決定 は、当該執行異議の  申立 て又は執行抗告についての  裁判 が確定するまでは、その  効力 を生じない。

    第二項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

    第一項 の申立てを  却下 する決定に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    第二項 の規定による  決定 が効力を生じたときは、  差押処分 の申立て又は  第一項 の申立てがあつた時に  第二項 に規定する  地方裁判所 にそれぞれ差押命令の  申立 て又は転付命令等の  申立 てがあつたものとみなし、既にされた執行処分その他の  行為 は債権執行の  手続 においてされた執行処分その他の  行為 とみなす。

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第百六十七条の十一 (配当等のための移行等)

   第百六十七条 の十四において  準用 する第百五十六条第一項若しくは  第二項 又は第百五十七条第五項の  規定 により供託がされた  場合 において、債権者が  二人以上 であつて供託金で  各債権者 の債権及び  執行費用 の全部を  弁済 することができないため配当を  実施 すべきときは、執行裁判所は、その  所在地 を管轄する  地方裁判所 における債権執行の  手続 に事件を  移行 させなければならない。

    前項 に規定する  場合 において、差押えに係る  金銭債権 について更に差押命令又は  差押処分 が発せられたときは、執行裁判所は、  同項 に規定する  地方裁判所 における債権執行の  手続 のほか、当該差押命令を発した  執行裁判所 又は当該差押処分をした  裁判所書記官 の所属する  簡易裁判所 の所在地を  管轄 する地方裁判所における  債権執行 の手続にも  事件 を移行させることができる。

    第一項 に規定する  供託 がされた場合において、  債権者 が一人であるとき、又は  債権者 が二人以上であつて  供託金 で各債権者の  債権 及び執行費用の  全部 を弁済することができるときは、  裁判所書記官 は、供託金の  交付計算書 を作成して、  債権者 に弁済金を  交付 し、剰余金を  債務者 に交付する。

    前項 に規定する  場合 において、差押えに係る  金銭債権 について更に差押命令が発せられたときは、  執行裁判所 は、同項の  規定 にかかわらず、その所在地を  管轄 する地方裁判所又は  当該差押命令 を発した執行裁判所における  債権執行 の手続に  事件 を移行させることができる。

    差押 えに係る金銭債権について更に  差押命令 が発せられた場合において、  当該差押命令 を発した執行裁判所が  第百六十一条第六項 において準用する  第百九条 の規定又は  第百六十六条第一項第二号 の規定により  配当等 を実施するときは、  執行裁判所 は、当該差押命令を発した  執行裁判所 における債権執行の  手続 に事件を  移行 させなければならない。

    第一項 、第二項、  第四項 又は前項の  規定 による決定に対しては、  不服 を申し立てることができない。

    第八十四条第三項 及び第四項、  第八十八条 、第九十一条(  第一項第六号 及び第七号を除く。)並びに  第九十二条第一項 の規定は  第三項 の規定により  裁判所書記官 が実施する  弁済金 の交付の  手続 について、前条第三項の  規定 は第一項、  第二項 、第四項又は  第五項 の規定による  決定 について、同条第六項の  規定 は第一項、  第二項 、第四項又は  第五項 の規定による  決定 が効力を生じた  場合 について準用する。

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第百六十七条の十二 (裁量移行)

   執行裁判所 は、差し押さえるべき金銭債権の  内容 その他の事情を  考慮 して相当と認めるときは、その  所在地 を管轄する  地方裁判所 における債権執行の  手続 に事件を  移行 させることができる。

    前項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

    第百六十七条 の十第三項の  規定 は第一項の  規定 による決定について、  同条第六項 の規定は  第一項 の規定による  決定 が効力を生じた  場合 について準用する。この  場合 において、同条第六項中「  差押処分 の申立て又は  第一項 の申立て」とあるのは「  差押処分 の申立て」と、「それぞれ  差押命令 の申立て又は  転付命令等 の申立て」とあるのは「  差押命令 の申立て」と読み替えるものとする。

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第百六十七条の十三 (総則規定の適用関係)

 少額訴訟債権執行についての第一章及び第二章第一節の規定の適用については、第十三条第一項中「執行裁判所でする手続」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行の手続」と、第十六条第一項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と、第十七条中「執行裁判所の行う民事執行」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行」と、第四十条第一項中「執行裁判所又は執行官」とあるのは「裁判所書記官」と、第四十二条第四項中「執行裁判所の裁判所書記官」とあるのは「裁判所書記官」とする。

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第百六十七条の十四 (債権執行の規定の準用)

   第百四十六条 から第百五十二条まで、  第百五十五条 から第百五十八条まで、  第百六十四条第五項 及び第六項並びに  第百六十五条 (第三号及び  第四号 を除く。)の規定は、  少額訴訟債権執行 について準用する。この  場合 において、第百四十六条、  第百五十五条第三項 及び第百五十六条第三項中「  執行裁判所 」とあるのは「裁判所書記官」と、  第百四十六条第一項中 「差押命令を発する」とあるのは「  差押処分 をする」と、第百四十七条第一項、  第百四十八条第二項 、第百五十条及び  第百五十五条第一項中 「差押命令」とあるのは「  差押処分 」と、第百四十七条第一項及び  第百四十八条第一項中 「差押えに係る  債権 」とあるのは「差押えに係る  金銭債権 」と、第百四十九条中「  差押命令 が発せられたとき」とあるのは「差押処分がされたとき」と、  第百六十四条第五項中 「差押命

     第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例

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第百六十七条の十五 (扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制)

   第百五十一条 の二第一項各号に掲げる  義務 に係る金銭債権についての  強制執行 は、前各款の  規定 により行うほか、債権者の  申立 てがあるときは、執行裁判所が  第百七十二条第一項 に規定する  方法 により行う。ただし、債務者が、  支払能力 を欠くためにその金銭債権に係る  債務 を弁済することができないとき、又はその  債務 を弁済することによつてその  生活 が著しく窮迫するときは、この限りでない。

    前項 の規定により  同項 に規定する  金銭債権 について第百七十二条第一項に  規定 する方法により  強制執行 を行う場合において、  債務者 が債権者に  支払 うべき金銭の額を定めるに当たつては、  執行裁判所 は、債務不履行により  債権者 が受けるべき不利益並びに  債務者 の資力及び  従前 の債務の  履行 の態様を特に  考慮 しなければならない。

    事情 の変更があつたときは、  執行裁判所 は、債務者の  申立 てにより、その申立てがあつた時(その  申立 てがあつた後に事情の  変更 があつたときは、その事情の  変更 があつた時)までさかのぼつて、第一項の  規定 による決定を取り消すことができる。

    前項 の申立てがあつたときは、  執行裁判所 は、その裁判が  効力 を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、  第一項 の規定による  決定 の執行の  停止 を命ずることができる。

    前項 の規定による  決定 に対しては、不服を申し立てることができない。

    第百七十二条第二項 から第五項までの  規定 は第一項の  場合 について、同条第三項及び  第五項 の規定は  第三項 の場合について、  第百七十三条第二項 の規定は  第一項 の執行裁判所について  準用 する。

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第百六十七条の十六 (扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)

   債権者 が第百五十一条の  二第一項各号 に掲げる義務に係る  確定期限 の定めのある定期金債権を有する  場合 において、その一部に  不履行 があるときは、第三十条第一項の  規定 にかかわらず、当該定期金債権のうち  六月以内 に確定期限が  到来 するものについても、前条第一項に  規定 する方法による  強制執行 を開始することができる。

    第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行

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第百六十八条 (不動産の引渡し等の強制執行)

   不動産等 (不動産又は人の  居住 する船舶等をいう。  以下 この条及び次条において同じ。)の  引渡 し又は明渡しの  強制執行 は、執行官が  債務者 の不動産等に対する  占有 を解いて債権者にその  占有 を取得させる  方法 により行う。

    執行官 は、前項の  強制執行 をするため同項の  不動産等 の占有者を  特定 する必要があるときは、  当該不動産等 に在る者に対し、当該不動産等又はこれに  近接 する場所において、  質問 をし、又は文書の  提示 を求めることができる。

    第一項 の強制執行は、  債権者 又はその代理人が  執行 の場所に  出頭 したときに限り、することができる。

    執行官 は、第一項の  強制執行 をするに際し、債務者の  占有 する不動産等に立ち入り、  必要 があるときは、閉鎖した戸を開くため  必要 な処分をすることができる。

    執行官 は、第一項の  強制執行 においては、その目的物でない  動産 を取り除いて、債務者、その  代理人 又は同居の  親族 若しくは使用人その他の  従業者 で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この  場合 において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、  執行官 は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを  売却 することができる。

    執行官 は、前項の  動産 のうちに同項の  規定 による引渡し又は  売却 をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この  場合 においては、前項後段の  規定 を準用する。

    前項 の規定による  保管 の費用は、  執行費用 とする。

    第五項 (第六項後段において  準用 する場合を含む。)の  規定 により動産を  売却 したときは、執行官は、その  売得金 から売却及び  保管 に要した費用を  控除 し、その残余を  供託 しなければならない。

    第五十七条第五項 の規定は、  第一項 の強制執行について  準用 する。

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第百六十八条の二 (明渡しの催告)

   執行官 は、不動産等の  引渡 し又は明渡しの  強制執行 の申立てがあつた  場合 において、当該強制執行を  開始 することができるときは、次項に  規定 する引渡し  期限 を定めて、明渡しの  催告 (不動産等の  引渡 し又は明渡しの  催告 をいう。以下この条において同じ。)をすることができる。ただし、  債務者 が当該不動産等を  占有 していないときは、この限りでない。

    引渡 し期限(  明渡 しの催告に基づき  第六項 の規定による  強制執行 をすることができる期限をいう。  以下 この条において同じ。)は、明渡しの  催告 があつた日から一月を  経過 する日とする。ただし、執行官は、  執行裁判所 の許可を得て、  当該日以後 の日を引渡し  期限 とすることができる。

    執行官 は、明渡しの  催告 をしたときは、その旨、引渡し  期限 及び第五項の  規定 により債務者が  不動産等 の占有を  移転 することを禁止されている旨を、  当該不動産等 の所在する  場所 に公示書その他の  標識 を掲示する  方法 により、公示しなければならない。

    執行官 は、引渡し  期限 が経過するまでの間においては、  執行裁判所 の許可を得て、  引渡 し期限を  延長 することができる。この場合においては、  執行官 は、引渡し  期限 の変更があつた旨及び  変更後 の引渡し  期限 を、当該不動産等の  所在 する場所に  公示書 その他の標識を  掲示 する方法により、  公示 しなければならない。

    明渡 しの催告があつたときは、  債務者 は、不動産等の  占有 を移転してはならない。ただし、  債権者 に対して不動産等の  引渡 し又は明渡しをする  場合 は、この限りでない。

    明渡 しの催告後に  不動産等 の占有の  移転 があつたときは、引渡し  期限 が経過するまでの間においては、  占有者 (第一項の  不動産等 を占有する者であつて  債務者以外 のものをいう。以下この条において同じ。)に対して、  第一項 の申立てに基づく  強制執行 をすることができる。この場合において、  第四十二条 及び前条の  規定 の適用については、  当該占有者 を債務者とみなす。

    明渡 しの催告後に  不動産等 の占有の  移転 があつたときは、占有者は、  明渡 しの催告があつたことを知らず、かつ、  債務者 の占有の  承継人 でないことを理由として、  債権者 に対し、強制執行の  不許 を求める訴えを提起することができる。この  場合 においては、第三十六条、  第三十七条 及び第三十八条第三項の  規定 を準用する。

    明渡 しの催告後に  不動産等 を占有した  占有者 は、明渡しの  催告 があつたことを知つて占有したものと  推定 する。

    第六項 の規定により  占有者 に対して強制執行がされたときは、  当該占有者 は、執行異議の  申立 てにおいて、債権者に  対抗 することができる権原により  目的物 を占有していること、又は  明渡 しの催告があつたことを知らず、かつ、  債務者 の占有の  承継人 でないことを理由とすることができる。

  0  明渡 しの催告に要した  費用 は、執行費用とする。

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第百六十九条 (動産の引渡しの強制執行)

   第百六十八条第一項 に規定する  動産以外 の動産(  有価証券 を含む。)の引渡しの  強制執行 は、執行官が  債務者 からこれを取り上げて債権者に引き渡す  方法 により行う。

    第百二十二条第二項 、第百二十三条第二項及び  第百六十八条第五項 から第八項までの  規定 は、前項の  強制執行 について準用する。

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第百七十条 (目的物を第三者が占有する場合の引渡しの強制執行)

   第三者 が強制執行の  目的物 を占有している  場合 においてその物を債務者に引き渡すべき  義務 を負つているときは、物の引渡しの  強制執行 は、執行裁判所が、  債務者 の第三者に対する  引渡請求権 を差し押さえ、請求権の  行使 を債権者に許す旨の  命令 を発する方法により行う。

    第百四十四条 、第百四十五条、  第百四十七条 、第百四十八条、  第百五十五条第一項 及び第二項並びに  第百五十八条 の規定は、  前項 の強制執行について  準用 する。

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第百七十一条  民法第四百十四条第二項 第百七十一条 (代替執行)

  本文 又は第三項 に  規定 する請求に係る  強制執行 は、執行裁判所が  民法 の規定に従い  決定 をする方法により行う。

    前項 の執行裁判所は、  第三十三条第二項第一号 又は第六号に掲げる  債務名義 の区分に応じ、それぞれ  当該各号 に定める裁判所とする。

    執行裁判所 は、第一項の  決定 をする場合には、  債務者 を審尋しなければならない。

    執行裁判所 は、第一項の  決定 をする場合には、  申立 てにより、債務者に対し、その  決定 に掲げる行為をするために  必要 な費用をあらかじめ  債権者 に支払うべき旨を命ずることができる。

    第一項 の強制執行の  申立 て又は前項の  申立 てについての裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    第六条第二項 の規定は、  第一項 の決定を  執行 する場合について  準用 する。

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第百七十二条 (間接強制)

   作為 又は不作為を  目的 とする債務で  前条第一項 の強制執行ができないものについての  強制執行 は、執行裁判所が、  債務者 に対し、遅延の  期間 に応じ、又は相当と認める  一定 の期間内に  履行 しないときは直ちに、債務の  履行 を確保するために  相当 と認める一定の額の  金銭 を債権者に  支払 うべき旨を命ずる方法により行う。

    事情 の変更があつたときは、  執行裁判所 は、申立てにより、  前項 の規定による  決定 を変更することができる。

    執行裁判所 は、前二項の  規定 による決定をする  場合 には、申立ての  相手方 を審尋しなければならない。

    第一項 の規定により命じられた  金銭 の支払があつた  場合 において、債務不履行により生じた  損害 の額が支払額を超えるときは、  債権者 は、その超える額について損害賠償の  請求 をすることを妨げられない。

    第一項 の強制執行の  申立 て又は第二項の  申立 てについての裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    前条第二項 の規定は、  第一項 の執行裁判所について  準用 する。

第百七十三条

   第百六十八条第一項 、第百六十九条第一項、  第百七十条第一項 及び第百七十一条第一項に  規定 する強制執行は、それぞれ  第百六十八条 から第百七十一条までの  規定 により行うほか、債権者の  申立 てがあるときは、執行裁判所が  前条第一項 に規定する  方法 により行う。この場合においては、  同条第二項 から第五項までの  規定 を準用する。

    前項 の執行裁判所は、  第三十三条第二項各号 (第四号を除く。)に掲げる  債務名義 の区分に応じ、それぞれ  当該債務名義 についての執行文付与の訴えの  管轄裁判所 とする。

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第百七十四条 (意思表示の擬制)

   意思表示 をすべきことを債務者に命ずる  判決 その他の裁判が  確定 し、又は和解、  認諾 、調停若しくは  労働審判 に係る債務名義が  成立 したときは、債務者は、その  確定 又は成立の時に  意思表示 をしたものとみなす。ただし、債務者の  意思表示 が、債権者の  証明 すべき事実の  到来 に係るときは第二十七条第一項の  規定 により執行文が  付与 された時に、反対給付との  引換 え又は債務の  履行 その他の債務者の  証明 すべき事実のないことに係るときは  次項 又は第三項の  規定 により執行文が  付与 された時に意思表示をしたものとみなす。

    債務者 の意思表示が  反対給付 との引換えに係る  場合 においては、執行文は、  債権者 が反対給付又はその  提供 のあつたことを証する文書を  提出 したときに限り、付与することができる。

    債務者 の意思表示が  債務者 の証明すべき  事実 のないことに係る場合において、  執行文 の付与の  申立 てがあつたときは、裁判所書記官は、  債務者 に対し一定の  期間 を定めてその事実を  証明 する文書を  提出 すべき旨を催告し、  債務者 がその期間内にその  文書 を提出しないときに限り、  執行文 を付与することができる。

第百七十五条  削除 第百七十五条

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第百七十六条  削除 第百七十六条

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第百七十七条  削除 第百七十七条

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第百七十八条  削除 第百七十八条

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第百七十九条  削除 第百七十九条

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   第三章 担保権の実行としての競売等

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第百八十条 (不動産担保権の実行の方法)

   不動産 (登記することができない  土地 の定着物を除き、  第四十三条第二項 の規定により  不動産 とみなされるものを含む。以下この章において同じ。)を  目的 とする担保権(  以下 この章において「不動産担保権」という。)の  実行 は、次に掲げる方法であつて  債権者 が選択したものにより行う。

    担保不動産競売 (競売による  不動産担保権 の実行をいう。  以下 この章において同じ。)の方法

    担保不動産収益執行 (不動産から生ずる  収益 を被担保債権の  弁済 に充てる方法による  不動産担保権 の実行をいう。  以下 この章において同じ。)の方法

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第百八十一条 (不動産担保権の実行の開始)

   不動産担保権 の実行は、次に掲げる  文書 が提出されたときに限り、  開始 する。

    担保権 の存在を証する  確定判決 若しくは家事審判法 (  昭和二十二年法律第百五十二号 )第十五条 の  審判 又はこれらと同一の  効力 を有するものの謄本

    担保権 の存在を証する  公証人 が作成した  公正証書 の謄本

    担保権 の登記(  仮登記 を除く。)に関する登記事項証明書

    一般 の先取特権にあつては、その  存在 を証する文書

    抵当証券 の所持人が  不動産担保権 の実行の  申立 てをするには、抵当証券を  提出 しなければならない。

    担保権 について承継があつた  後不動産担保権 の実行の  申立 てをする場合には、  相続 その他の一般承継にあつてはその  承継 を証する文書を、その他の  承継 にあつてはその承継を証する  裁判 の謄本その他の  公文書 を提出しなければならない。

    不動産担保権 の実行の  開始決定 がされたときは、裁判所書記官は、  開始決定 の送達に際し、  不動産担保権 の実行の  申立 てにおいて提出された  前三項 に規定する  文書 の目録及び  第一項第四号 に掲げる文書の写しを  相手方 に送付しなければならない。

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第百八十二条 (開始決定に対する執行抗告等)

   不動産担保権 の実行の  開始決定 に対する執行抗告又は  執行異議 の申立てにおいては、  債務者 又は不動産の  所有者 (不動産とみなされるものにあつては、その  権利者 。以下同じ。)は、  担保権 の不存在又は  消滅 を理由とすることができる。

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第百八十三条 (不動産担保権の実行の手続の停止)

   不動産担保権 の実行の  手続 は、次に掲げる文書の  提出 があつたときは、停止しなければならない。

    担保権 のないことを証する確定判決(  確定判決 と同一の  効力 を有するものを含む。次号において同じ。)の謄本

    第百八十一条第一項第一号 に掲げる裁判若しくはこれと  同一 の効力を有するものを取り消し、若しくはその  効力 がないことを宣言し、又は  同項第三号 に掲げる登記を  抹消 すべき旨を命ずる確定判決の謄本

    担保権 の実行をしない旨、その  実行 の申立てを取り下げる旨又は  債権者 が担保権によつて  担保 される債権の  弁済 を受け、若しくはその債権の  弁済 の猶予をした旨を  記載 した裁判上の  和解 の調書その他の  公文書 の謄本

    担保権 の登記の  抹消 に関する登記事項証明書

    不動産担保権 の実行の  手続 の停止及び  執行処分 の取消しを命ずる旨を  記載 した裁判の謄本

    不動産担保権 の実行の  手続 の一時の  停止 を命ずる旨を記載した  裁判 の謄本

    担保権 の実行を  一時禁止 する裁判の謄本

    前項第一号 から第五号までに掲げる  文書 が提出されたときは、  執行裁判所 は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。

    第十二条 の規定は、  前項 の規定による  決定 については適用しない。

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第百八十四条 (代金の納付による不動産取得の効果)

   担保不動産競売 における代金の  納付 による買受人の  不動産 の取得は、  担保権 の不存在又は  消滅 により妨げられない。

第百八十五条  削除 第百八十五条

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第百八十六条  削除 第百八十六条

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第百八十七条 (担保不動産競売の開始決定前の保全処分等)

   執行裁判所 は、担保不動産競売の  開始決定前 であつても、債務者又は  不動産 の所有者若しくは  占有者 が価格減少行為(  第五十五条第一項 に規定する  価格減少行為 をいう。以下この項において同じ。)をする  場合 において、特に必要があるときは、  当該不動産 につき担保不動産競売の  申立 てをしようとする者の申立てにより、  買受人 が代金を  納付 するまでの間、同条第一項各号に掲げる  保全処分 又は公示保全処分を命ずることができる。ただし、  当該価格減少行為 による価格の  減少 又はそのおそれの程度が  軽微 であるときは、この限りでない。

    前項 の場合において、  第五十五条第一項第二号 又は第三号に掲げる  保全処分 は、次に掲げる場合のいずれかに  該当 するときでなければ、命ずることができない。

    前項 の債務者又は  同項 の不動産の  所有者 が当該不動産を  占有 する場合

    前項 の不動産の  占有者 の占有の  権原 が同項の  規定 による申立てをした者に  対抗 することができない場合

    第一項 の規定による  申立 てをするには、担保不動産競売の  申立 てをする場合において  第百八十一条第一項 から第三項までの  規定 により提出すべき  文書 を提示しなければならない。

    執行裁判所 は、申立人が  第一項 の保全処分を命ずる  決定 の告知を受けた日から  三月以内 に同項の  担保不動産競売 の申立てをしたことを証する  文書 を提出しないときは、  被申立人 又は同項の  不動産 の所有者の  申立 てにより、その決定を取り消さなければならない。

    第五十五条第三項 から第五項までの  規定 は第一項の  規定 による決定について、  同条第六項 の規定は  第一項 又はこの項において準用する  同条第五項 の申立てについての  裁判 について、同条第七項の  規定 はこの項において準用する  同条第五項 の規定による  決定 について、同条第八項及び  第九項並 びに第五十五条の二の  規定 は第一項の  規定 による決定(  第五十五条第一項第一号 に掲げる保全処分又は  公示保全処分 を命ずるものを除く。)について、第五十五条第十項の  規定 は第一項の  申立 て又は同項の  規定 による決定(  同条第一項第一号 に掲げる保全処分又は  公示保全処分 を命ずるものを除く。)の執行に要した  費用 について、第八十三条の二の  規定 は第一項の  規定 による決定(  第五十五条第一項第三号 に掲げる保全処分及び  公示保全処分 を命ずるものに限る。)の執行がされた

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第百八十八条 (不動産執行の規定の準用)

   第四十四条 の規定は  不動産担保権 の実行について、  前章第二節第一款第二目 (第八十一条を除く。)の  規定 は担保不動産競売について、  同款第三目 の規定は  担保不動産収益執行 について準用する。

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第百八十九条 (船舶の競売)

 前章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十四条までの規定は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売について準用する。この場合において、第百十五条第三項中「執行力のある債務名義の正本」とあるのは「第百八十九条において準用する第百八十一条第一項から第三項までに規定する文書」と、第百八十一条第一項第四号中「一般の先取特権」とあるのは「一般の先取特権又は商法第八百四十二条 に定める先取特権」と読み替えるものとする。

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第百九十条 (動産競売の要件)

   動産 を目的とする  担保権 の実行としての  競売 (以下「  動産競売 」という。)は、次に掲げる場合に限り、  開始 する。

    債権者 が執行官に対し  当該動産 を提出した場合

    債権者 が執行官に対し  当該動産 の占有者が  差押 えを承諾することを証する  文書 を提出した場合

    債権者 が執行官に対し  次項 の許可の  決定書 の謄本を  提出 し、かつ、第百九十二条において  準用 する第百二十三条第二項の  規定 による捜索に  先立 つて又はこれと同時に  当該許可 の決定が  債務者 に送達された場合

    執行裁判所 は、担保権の  存在 を証する文書を  提出 した債権者の  申立 てがあつたときは、当該担保権についての  動産競売 の開始を  許可 することができる。ただし、当該動産が  第百二十三条第二項 に規定する  場所 又は容器にない  場合 は、この限りでない。

    前項 の許可の  決定 は、債務者に  送達 しなければならない。

    第二項 の申立てについての  裁判 に対しては、執行抗告をすることができる。

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第百九十一条 (動産の差押えに対する執行異議)

   動産競売 に係る差押えに対する  執行異議 の申立てにおいては、  債務者 又は動産の  所有者 は、担保権の  不存在 若しくは消滅又は  担保権 によつて担保される  債権 の一部の  消滅 を理由とすることができる。

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第百九十二条 (動産執行の規定の準用)

 前章第二節第三款(第百二十三条第二項、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条を除く。)及び第百八十三条の規定は動産競売について、第百二十八条、第百三十一条及び第百三十二条の規定は一般の先取特権の実行としての動産競売について、第百二十三条第二項の規定は第百九十条第一項第三号に掲げる場合における動産競売について準用する。

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第百九十三条 (債権及びその他の財産権についての担保権の実行の要件等)

   第百四十三条 に規定する  債権 及び第百六十七条第一項に  規定 する財産権(  以下 この項において「その他の財産権」という。)を  目的 とする担保権の  実行 は、担保権の  存在 を証する文書(  権利 の移転について  登記等 を要するその他の財産権を  目的 とする担保権で  一般 の先取特権以外のものについては、  第百八十一条第一項第一号 から第三号まで、  第二項 又は第三項に  規定 する文書)が  提出 されたときに限り、開始する。  担保権 を有する者が目的物の  売却 、賃貸、  滅失 若しくは損傷又は  目的物 に対する物権の  設定 若しくは土地収用法 (  昭和二十六年法律第二百十九号 )による収用その他の  行政処分 により債務者が受けるべき  金銭 その他の物に対して民法 その他の  法律 の規定によつてするその  権利 の行使についても、  同様 とする。

2  前章第二節第四款第一目(第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条を除く。)及び第百八十二条から第百八十四条までの規定は前項に規定する担保権の実行及び行使について、第百四十六条第二項、第百五十二条及び第百五十三条の規定は前項に規定する一般の先取特権の実行及び行使について準用する。

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第百九十四条 (担保権の実行についての強制執行の総則規定の準用)

   第三十八条 、第四十一条及び  第四十二条 の規定は、  担保権 の実行としての  競売 、担保不動産収益執行並びに  前条第一項 に規定する  担保権 の実行及び  行使 について準用する。

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第百九十五条 (留置権による競売及び民法 、商法 その他の法律の規定による換価のための競売)

   留置権 による競売及び  民法 、商法 その他の  法律 の規定による  換価 のための競売については、  担保権 の実行としての  競売 の例による。

   第四章 財産開示手続

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第百九十六条 (管轄)

    この章の規定による  債務者 の財産の  開示 に関する手続(  以下 「財産開示手続」という。)については、  債務者 の普通裁判籍の  所在地 を管轄する  地方裁判所 が、執行裁判所として  管轄 する。

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第百九十七条 (実施決定)

   執行裁判所 は、次のいずれかに該当するときは、  執行力 のある債務名義の  正本 (債務名義が  第二十二条第二号 、第四号若しくは  第五号 に掲げるもの又は確定判決と  同一 の効力を有する  支払督促 であるものを除く。)を有する金銭債権の  債権者 の申立てにより、  債務者 について、財産開示手続を  実施 する旨の決定をしなければならない。ただし、  当該執行力 のある債務名義の  正本 に基づく強制執行を  開始 することができないときは、この限りでない。

    強制執行 又は担保権の  実行 における配当等の  手続 (申立ての日より  六月以上前 に終了したものを除く。)において、  申立人 が当該金銭債権の  完全 な弁済を得ることができなかつたとき。

    知 れている財産に対する  強制執行 を実施しても、  申立人 が当該金銭債権の  完全 な弁済を得られないことの  疎明 があつたとき。

    執行裁判所 は、次のいずれかに該当するときは、  債務者 の財産について  一般 の先取特権を有することを証する  文書 を提出した  債権者 の申立てにより、  当該債務者 について、財産開示手続を  実施 する旨の決定をしなければならない。

    強制執行 又は担保権の  実行 における配当等の  手続 (申立ての日より  六月以上前 に終了したものを除く。)において、  申立人 が当該先取特権の  被担保債権 の完全な  弁済 を得ることができなかつたとき。

    知 れている財産に対する  担保権 の実行を  実施 しても、申立人が  前号 の被担保債権の  完全 な弁済を得られないことの  疎明 があつたとき。

    前二項 の規定にかかわらず、  債務者 (債務者に  法定代理人 がある場合にあつては  当該法定代理人 、債務者が  法人 である場合にあつてはその  代表者 。第一号において同じ。)が  前二項 の申立ての  日前三年以内 に財産開示期日(  財産 を開示すべき  期日 をいう。以下同じ。)においてその  財産 について陳述をしたものであるときは、  財産開示手続 を実施する旨の  決定 をすることができない。ただし、次に掲げる事由のいずれかがある  場合 は、この限りでない。

    債務者 が当該財産開示期日において  一部 の財産を  開示 しなかつたとき。

    債務者 が当該財産開示期日の後に新たに  財産 を取得したとき。

    当該財産開示期日 の後に債務者と  使用者 との雇用関係が  終了 したとき。

    第一項 又は第二項の  決定 がされたときは、当該決定(  第二項 の決定にあつては、  当該決定 及び同項の  文書 の写し)を債務者に  送達 しなければならない。

    第一項 又は第二項の  申立 てについての裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

    第一項 又は第二項の  決定 は、確定しなければその  効力 を生じない。

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第百九十八条 (期日指定及び期日の呼出し)

   執行裁判所 は、前条第一項又は  第二項 の決定が  確定 したときは、財産開示期日を  指定 しなければならない。

    財産開示期日 には、次に掲げる者を呼び出さなければならない。

一  申立人

    債務者 (債務者に  法定代理人 がある場合にあつては  当該法定代理人 、債務者が  法人 である場合にあつてはその  代表者

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第百九十九条 (財産開示期日)

   開示義務者 (前条第二項第二号に掲げる者をいう。  以下同 じ。)は、財産開示期日に  出頭 し、債務者の  財産 (第百三十一条第一号又は  第二号 に掲げる動産を除く。)について  陳述 しなければならない。

    前項 の陳述においては、  陳述 の対象となる  財産 について、第二章第二節の  規定 による強制執行又は  前章 の規定による  担保権 の実行の  申立 てをするのに必要となる  事項 その他申立人に  開示 する必要があるものとして  最高裁判所規則 で定める事項を  明示 しなければならない。

    執行裁判所 は、財産開示期日において、  開示義務者 に対し質問を発することができる。

    申立人 は、財産開示期日に  出頭 し、債務者の  財産 の状況を明らかにするため、  執行裁判所 の許可を得て  開示義務者 に対し質問を発することができる。

    執行裁判所 は、申立人が  出頭 しないときであつても、財産開示期日における  手続 を実施することができる。

    財産開示期日 における手続は、  公開 しない。

    民事訴訟法第百九十五条 及び第二百六条 の  規定 は前各項の  規定 による手続について、  同法第二百一条第一項 及び第二項 の  規定 は開示義務者について  準用 する。

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第二百条 (陳述義務の一部の免除)

   財産開示期日 において債務者の  財産 の一部を  開示 した開示義務者は、  申立人 の同意がある  場合 又は当該開示によつて  第百九十七条第一項 の金銭債権若しくは  同条第二項各号 の被担保債権の  完全 な弁済に  支障 がなくなつたことが明らかである場合において、  執行裁判所 の許可を受けたときは、  前条第一項 の規定にかかわらず、その余の  財産 について陳述することを要しない。

    前項 の許可の  申立 てについての裁判に対しては、  執行抗告 をすることができる。

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第二百一条 (財産開示事件の記録の閲覧等の制限)

   財産開示事件 の記録中財産開示期日に関する  部分 についての第十七条の  規定 による請求は、次に掲げる者に限り、することができる。

一  申立人

    債務者 に対する金銭債権について  執行力 のある債務名義の  正本 (債務名義が  第二十二条第二号 、第四号若しくは  第五号 に掲げるもの又は確定判決と  同一 の効力を有する  支払督促 であるものを除く。)を有する債権者

    債務者 の財産について  一般 の先取特権を有することを証する  文書 を提出した債権者

    債務者 又は開示義務者

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第二百二条 (財産開示事件に関する情報の目的外利用の制限)

   申立人 は、財産開示手続において得られた  債務者 の財産又は  債務 に関する情報を、  当該債務者 に対する債権をその  本旨 に従つて行使する  目的以外 の目的のために  利用 し、又は提供してはならない。

    前条第二号 又は第三号に掲げる者であつて、  財産開示事件 の記録中の  財産開示期日 に関する部分の  情報 を得たものは、当該情報を  当該財産開示事件 の債務者に対する  債権 をその本旨に従つて  行使 する目的以外の  目的 のために利用し、又は  提供 してはならない。

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第二百三条 (強制執行及び担保権の実行の規定の準用)

   第三十九条 及び第四十条の  規定 は執行力のある  債務名義 の正本に基づく  財産開示手続 について、第四十二条(  第二項 を除く。)の規定は  財産開示手続 について、第百八十二条及び  第百八十三条 の規定は  一般 の先取特権に基づく  財産開示手続 について準用する。

   第五章 罰則

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第二百四条 (公示書等損壊罪)

   次 の各号のいずれかに  該当 する者は、一年以下の  懲役 又は百万円以下の  罰金 に処する。

    第五十五条第一項 (第一号に係る  部分 に限る。)、第六十八条の  二第一項 若しくは第七十七条第一項(  第一号 に係る部分に限る。)(これらの  規定 を第百二十一条(  第百八十九条 (第百九十五条の  規定 によりその例によることとされる場合を含む。)において  準用 する場合を含む。)及び  第百八十八条 (第百九十五条の  規定 によりその例によることとされる場合を含む。)において  準用 する場合を含む。)又は  第百八十七条第一項 (第百九十五条の  規定 によりその例によることとされる場合を含む。)の  規定 による命令に基づき  執行官 が公示するために施した  公示書 その他の標識(  刑法第九十六条 に規定する  封印 及び差押えの  表示 を除く。)を損壊した者

    第百六十八条 の二第三項又は  第四項 の規定により  執行官 が公示するために施した  公示書 その他の標識を  損壊 した者

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第二百五条 (陳述等拒絶の罪)

   次 の各号のいずれかに  該当 する者は、六月以下の  懲役 又は五十万円以下の  罰金 に処する。

    売却基準価額 の決定に関し、  執行裁判所 の呼出しを受けた  審尋 の期日において、  正当 な理由なく、  出頭 せず、若しくは陳述を拒み、又は  虚偽 の陳述をした者

    第五十七条第二項 (第百二十一条(  第百八十九条 (第百九十五条の  規定 によりその例によることとされる場合を含む。)において  準用 する場合を含む。)及び  第百八十八条 (第百九十五条の  規定 によりその例によることとされる場合を含む。)において  準用 する場合を含む。)の  規定 による執行官の  質問 又は文書の  提出 の要求に対し、  正当 な理由なく、  陳述 をせず、若しくは文書の  提示 を拒み、又は虚偽の  陳述 をし、若しくは虚偽の  記載 をした文書を  提示 した者

    第百六十八条第二項 の規定による  執行官 の質問又は  文書 の提出の  要求 に対し、正当な  理由 なく、陳述をせず、若しくは  文書 の提示を拒み、又は  虚偽 の陳述をし、若しくは  虚偽 の記載をした  文書 を提示した  債務者 又は同項に  規定 する不動産等を  占有 する第三者

    不動産 (登記することができない  土地 の定着物を除く。  以下 この項において同じ。)の占有者であつて、その  占有 の権原を  差押債権者 、仮差押債権者又は  第五十九条第一項 (第百八十八条(  第百九十五条 の規定によりその例によることとされる  場合 を含む。)において準用する  場合 を含む。)の規定により  消滅 する権利を有する者に  対抗 することができないものが、正当な  理由 なく、第六十四条の  二第五項 (第百八十八条(  第百九十五条 の規定によりその例によることとされる  場合 を含む。)において準用する  場合 を含む。)の規定による  不動産 の立入りを拒み、又は妨げたときは、  三十万円以下 の罰金に処する。

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第二百六条 (過料に処すべき場合)

   次 の各号に掲げる  場合 には、三十万円以下の  過料 に処する。

    開示義務者 が、正当な  理由 なく、執行裁判所の  呼出 しを受けた財産開示期日に  出頭 せず、又は当該財産開示期日において  宣誓 を拒んだとき。

    財産開示期日 において宣誓した  開示義務者 が、正当な  理由 なく第百九十九条第一項から  第四項 までの規定により  陳述 すべき事項について  陳述 をせず、又は虚偽の  陳述 をしたとき。

    第二百二条 の規定に  違反 して、同条の  情報 を同条に  規定 する目的以外の  目的 のために利用し、又は  提供 した者は、三十万円以下の  過料 に処する。

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第二百七条 (管轄等)

   前条 に規定する  過料 の事件は、  執行裁判所 の管轄とする。

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