第一編 総則    第一章 通則

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第一条 (基本原則)

 私権は、公共の  福祉 に適合しなければならない。

2  権利の行使及び  義務 の履行は、  信義 に従い誠実に行わなければならない。

3  権利の濫用は、これを許さない。

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第二条 (解釈の基準)

 この法律は、  個人 の尊厳と  両性 の本質的平等を旨として、  解釈 しなければならない。

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   第二章 人

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    第一節 権利能力

第三条  私権の享有は、出生に始まる。 --------------------------------------------------------

2  外国人は、法令又は  条約 の規定により  禁止 される場合を除き、  私権 を享有する。

    第二節 行為能力

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第四条 (成年)

 年齢二十歳をもって、成年とする。

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第五条 (未成年者の法律行為)

 未成年者が法律行為をするには、その  法定代理人 の同意を得なければならない。ただし、単に  権利 を得、又は義務を免れる  法律行為 については、この限りでない。

2  前項の規定に反する  法律行為 は、取り消すことができる。

3  第一項の規定にかかわらず、  法定代理人 が目的を定めて  処分 を許した財産は、その  目的 の範囲内において、  未成年者 が自由に  処分 することができる。目的を定めないで  処分 を許した財産を  処分 するときも、同様とする。

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第六条 (未成年者の営業の許可)

 一種又は数種の  営業 を許された未成年者は、その  営業 に関しては、成年者と  同一 の行為能力を有する。

2  前項の場合において、  未成年者 がその営業に堪えることができない  事由 があるときは、その法定代理人は、  第四編 (親族)の  規定 に従い、その許可を取り消し、又はこれを  制限 することができる。

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第七条 (後見開始の審判)

 精神上の障害により  事理 を弁識する  能力 を欠く常況にある者については、  家庭裁判所 は、本人、  配偶者 、四親等内の  親族 、未成年後見人、  未成年後見監督人 、保佐人、  保佐監督人 、補助人、  補助監督人 又は検察官の  請求 により、後見開始の  審判 をすることができる。

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第八条 (成年被後見人及び成年後見人)

 後見開始の審判を受けた者は、  成年被後見人 とし、これに成年後見人を付する。

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第九条 (成年被後見人の法律行為)

 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、  日用品 の購入その  他日常生活 に関する行為については、この限りでない。

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第十条 (後見開始の審判の取消し)

 第七条に規定する  原因 が消滅したときは、  家庭裁判所 は、本人、  配偶者 、四親等内の  親族 、後見人(  未成年後見人 及び成年後見人をいう。  以下同 じ。)、後見監督人(  未成年後見監督人 及び成年後見監督人をいう。  以下同 じ。)又は検察官の  請求 により、後見開始の  審判 を取り消さなければならない。

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第十一条 (保佐開始の審判)

 精神上の障害により  事理 を弁識する  能力 が著しく不十分である者については、  家庭裁判所 は、本人、  配偶者 、四親等内の  親族 、後見人、  後見監督人 、補助人、  補助監督人 又は検察官の  請求 により、保佐開始の  審判 をすることができる。ただし、第七条に  規定 する原因がある者については、この限りでない。

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第十二条 (被保佐人及び保佐人)

 保佐開始の審判を受けた者は、  被保佐人 とし、これに保佐人を付する。

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第十三条 (保佐人の同意を要する行為等)

 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その  保佐人 の同意を得なければならない。ただし、  第九条 ただし書に規定する  行為 については、この限りでない。

一  元本を領収し、又は  利用 すること。

二  借財又は保証をすること。

三  不動産その他重要な  財産 に関する権利の  得喪 を目的とする  行為 をすること。

四  訴訟行為をすること。

五  贈与、和解又は  仲裁合意 (仲裁法 (  平成十五年法律第百三十八号 )第二条第一項 に  規定 する仲裁合意をいう。)をすること。

六  相続の承認若しくは  放棄 又は遺産の  分割 をすること。

七  贈与の申込みを  拒絶 し、遺贈を  放棄 し、負担付贈与の  申込 みを承諾し、又は  負担付遺贈 を承認すること。

八  新築、改築、  増築 又は大修繕をすること。

九  第六百二条に定める期間を超える  賃貸借 をすること。

2  家庭裁判所は、第十一条本文に  規定 する者又は保佐人若しくは  保佐監督人 の請求により、  被保佐人 が前項各号に掲げる  行為以外 の行為をする  場合 であってもその保佐人の  同意 を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、  第九条 ただし書に規定する  行為 については、この限りでない。

3  保佐人の同意を得なければならない  行為 について、保佐人が  被保佐人 の利益を害するおそれがないにもかかわらず  同意 をしないときは、家庭裁判所は、  被保佐人 の請求により、  保佐人 の同意に代わる  許可 を与えることができる。

4  保佐人の同意を得なければならない  行為 であって、その同意又はこれに代わる  許可 を得ないでしたものは、取り消すことができる。

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第十四条 (保佐開始の審判等の取消し)

 第十一条本文に規定する  原因 が消滅したときは、  家庭裁判所 は、本人、  配偶者 、四親等内の  親族 、未成年後見人、  未成年後見監督人 、保佐人、  保佐監督人 又は検察官の  請求 により、保佐開始の  審判 を取り消さなければならない。

2  家庭裁判所は、前項に  規定 する者の請求により、  前条第二項 の審判の  全部 又は一部を取り消すことができる。

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第十五条 (補助開始の審判)

 精神上の障害により  事理 を弁識する  能力 が不十分である者については、  家庭裁判所 は、本人、  配偶者 、四親等内の  親族 、後見人、  後見監督人 、保佐人、  保佐監督人 又は検察官の  請求 により、補助開始の  審判 をすることができる。ただし、第七条又は  第十一条本文 に規定する  原因 がある者については、この限りでない。

2  本人以外の者の請求により  補助開始 の審判をするには、  本人 の同意がなければならない。

3  補助開始の審判は、  第十七条第一項 の審判又は  第八百七十六条 の九第一項 の  審判 とともにしなければならない。

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第十六条 (被補助人及び補助人)

 補助開始の審判を受けた者は、  被補助人 とし、これに補助人を付する。

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第十七条 (補助人の同意を要する旨の審判等)

 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に  規定 する者又は補助人若しくは  補助監督人 の請求により、  被補助人 が特定の  法律行為 をするにはその補助人の  同意 を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その  審判 によりその同意を得なければならないものとすることができる  行為 は、第十三条第一項に  規定 する行為の  一部 に限る。

2  本人以外の者の請求により  前項 の審判をするには、  本人 の同意がなければならない。

3  補助人の同意を得なければならない  行為 について、補助人が  被補助人 の利益を害するおそれがないにもかかわらず  同意 をしないときは、家庭裁判所は、  被補助人 の請求により、  補助人 の同意に代わる  許可 を与えることができる。

4  補助人の同意を得なければならない  行為 であって、その同意又はこれに代わる  許可 を得ないでしたものは、取り消すことができる。

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第十八条 (補助開始の審判等の取消し)

 第十五条第一項本文に規定する  原因 が消滅したときは、  家庭裁判所 は、本人、  配偶者 、四親等内の  親族 、未成年後見人、  未成年後見監督人 、補助人、  補助監督人 又は検察官の  請求 により、補助開始の  審判 を取り消さなければならない。

2  家庭裁判所は、前項に  規定 する者の請求により、  前条第一項 の審判の  全部 又は一部を取り消すことができる。

3  前条第一項の審判及び  第八百七十六条 の九第一項 の  審判 をすべて取り消す場合には、  家庭裁判所 は、補助開始の  審判 を取り消さなければならない。

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第十九条 (審判相互の関係)

 後見開始の審判をする  場合 において、本人が  被保佐人 又は被補助人であるときは、  家庭裁判所 は、その本人に係る  保佐開始 又は補助開始の  審判 を取り消さなければならない。

2  前項の規定は、  保佐開始 の審判をする  場合 において本人が  成年被後見人 若しくは被補助人であるとき、又は  補助開始 の審判をする  場合 において本人が  成年被後見人 若しくは被保佐人であるときについて  準用 する。

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第二十条 (制限行為能力者の相手方の催告権)

 制限行為能力者(未成年者、  成年被後見人 、被保佐人及び  第十七条第一項 の審判を受けた  被補助人 をいう。以下同じ。)の  相手方 は、その制限行為能力者が  行為能力者 (行為能力の  制限 を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、  一箇月以上 の期間を定めて、その  期間内 にその取り消すことができる行為を  追認 するかどうかを確答すべき旨の  催告 をすることができる。この場合において、その者がその  期間内 に確答を発しないときは、その  行為 を追認したものとみなす。

2  制限行為能力者の相手方が、  制限行為能力者 が行為能力者とならない間に、その  法定代理人 、保佐人又は  補助人 に対し、その権限内の  行為 について前項に  規定 する催告をした  場合 において、これらの者が同項の  期間内 に確答を発しないときも、  同項後段 と同様とする。

3  特別の方式を要する  行為 については、前二項の  期間内 にその方式を  具備 した旨の通知を発しないときは、その  行為 を取り消したものとみなす。

4  制限行為能力者の相手方は、  被保佐人 又は第十七条第一項の  審判 を受けた被補助人に対しては、  第一項 の期間内にその  保佐人 又は補助人の  追認 を得るべき旨の催告をすることができる。この  場合 において、その被保佐人又は  被補助人 がその期間内にその  追認 を得た旨の通知を発しないときは、その  行為 を取り消したものとみなす。

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第二十一条 (制限行為能力者の詐術)

 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため  詐術 を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

    第三節 住所

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第二十二条 (住所)

 各人の生活の  本拠 をその者の住所とする。

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第二十三条 (居所)

 住所が知れない場合には、  居所 を住所とみなす。

2  日本に住所を有しない者は、その者が  日本人 又は外国人のいずれであるかを問わず、  日本 における居所をその者の  住所 とみなす。ただし、法例 (  明治三十一年法律第十号 )その他準拠法を定める  法律 に従いその者の住所地法によるべき  場合 は、この限りでない。

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第二十四条 (仮住所)

 ある行為について  仮住所 を選定したときは、その  行為 に関しては、その仮住所を  住所 とみなす。

    第四節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告

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第二十五条 (不在者の財産の管理)

 従来の住所又は  居所 を去った者(  以下 「不在者」という。)がその  財産 の管理人(  以下 この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、  家庭裁判所 は、利害関係人又は  検察官 の請求により、その  財産 の管理について  必要 な処分を命ずることができる。  本人 の不在中に  管理人 の権限が  消滅 したときも、同様とする。

2  前項の規定による  命令後 、本人が  管理人 を置いたときは、家庭裁判所は、その  管理人 、利害関係人又は  検察官 の請求により、その  命令 を取り消さなければならない。

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第二十六条 (管理人の改任)

 不在者が管理人を置いた  場合 において、その不在者の  生死 が明らかでないときは、家庭裁判所は、  利害関係人 又は検察官の  請求 により、管理人を  改任 することができる。

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第二十七条 (管理人の職務)

 前二条の規定により  家庭裁判所 が選任した  管理人 は、その管理すべき  財産 の目録を  作成 しなければならない。この場合において、その  費用 は、不在者の  財産 の中から支弁する。

2  不在者の生死が明らかでない  場合 において、利害関係人又は  検察官 の請求があるときは、  家庭裁判所 は、不在者が置いた  管理人 にも、前項の  目録 の作成を命ずることができる。

3  前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、  管理人 に対し、不在者の  財産 の保存に  必要 と認める処分を命ずることができる。

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第二十八条 (管理人の権限)

 管理人は、第百三条に  規定 する権限を超える  行為 を必要とするときは、  家庭裁判所 の許可を得て、その  行為 をすることができる。不在者の  生死 が明らかでない場合において、その  管理人 が不在者が定めた  権限 を超える行為を  必要 とするときも、同様とする。

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第二十九条 (管理人の担保提供及び報酬)

 家庭裁判所は、管理人に  財産 の管理及び  返還 について相当の  担保 を立てさせることができる。

2  家庭裁判所は、管理人と  不在者 との関係その他の  事情 により、不在者の  財産 の中から、相当な  報酬 を管理人に与えることができる。

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第三十条 (失踪の宣告)

 不在者の生死が  七年間明 らかでないときは、家庭裁判所は、  利害関係人 の請求により、  失踪 の宣告をすることができる。

2  戦地に臨んだ者、沈没した  船舶 の中に在った者その  他死亡 の原因となるべき  危難 に遭遇した者の  生死 が、それぞれ、戦争が止んだ後、  船舶 が沈没した後又はその他の  危難 が去った  後一年間明 らかでないときも、前項と  同様 とする。

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第三十一条 (失踪の宣告の効力)

 前条第一項の規定により  失踪 の宣告を受けた者は  同項 の期間が  満了 した時に、同条第二項の  規定 により失踪の  宣告 を受けた者はその危難が  去っ た時に、死亡したものとみなす。

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第三十二条 (失踪の宣告の取消し)

 失踪者が生存すること又は  前条 に規定する時と異なる時に  死亡 したことの証明があったときは、  家庭裁判所 は、本人又は  利害関係人 の請求により、  失踪 の宣告を取り消さなければならない。この  場合 において、その取消しは、  失踪 の宣告後その  取消 し前に善意でした  行為 の効力に  影響 を及ぼさない。

2  失踪の宣告によって  財産 を得た者は、その取消しによって  権利 を失う。ただし、現に利益を受けている  限度 においてのみ、その財産を  返還 する義務を負う。

    第五節 同時死亡の推定

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第三十二条の二

 数人の者が死亡した  場合 において、そのうちの一人が他の者の  死亡後 になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、  同時 に死亡したものと  推定 する。

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   第三章 法人

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    第一節 法人の設立

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第三十三条 (法人の成立)

 法人は、この法律その他の  法律 の規定によらなければ、  成立 しない。

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第三十四条 (公益法人の設立)

 学術、技芸、  慈善 、祭祀、  宗教 その他の公益に関する  社団 又は財団であって、  営利 を目的としないものは、  主務官庁 の許可を得て、  法人 とすることができる。

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第三十五条 (名称の使用制限)

 社団法人又は財団法人でない者は、その  名称中 に社団法人若しくは  財団法人 という文字又はこれらと  誤認 されるおそれのある文字を用いてはならない。

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第三十六条 (外国法人)

 外国法人は、国、国の行政区画及び  商事会社 を除き、その成立を  認許 しない。ただし、法律又は  条約 の規定により  認許 された外国法人は、この限りでない。

2  前項の規定により  認許 された外国法人は、  日本 において成立する  同種 の法人と  同一 の私権を有する。ただし、  外国人 が享有することのできない  権利 及び法律又は  条約中 に特別の  規定 がある権利については、この限りでない。

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第三十七条 (定款)

 社団法人を設立しようとする者は、  定款 を作成し、次に掲げる  事項 を記載しなければならない。

一  目的

二  名称

三  事務所の所在地

四  資産に関する規定

五  理事の任免に関する規定

六  社員の資格の  得喪 に関する規定

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第三十八条 (定款の変更)

 定款は、総社員の  四分 の三以上の  同意 があるときに限り、変更することができる。ただし、  定款 に別段の定めがあるときは、この限りでない。

2  定款の変更は、  主務官庁 の認可を受けなければ、その  効力 を生じない。

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第三十九条 (寄附行為)

 財団法人を設立しようとする者は、その  設立 を目的とする  寄附行為 で、第三十七条第一号から  第五号 までに掲げる事項を定めなければならない。

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第四十条 (裁判所による名称等の定め)

 財団法人を設立しようとする者が、その  名称 、事務所の  所在地 又は理事の  任免 の方法を定めないで  死亡 したときは、裁判所は、  利害関係人 又は検察官の  請求 により、これを定めなければならない。

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第四十一条 (贈与又は遺贈に関する規定の準用)

 生前の処分で  寄附行為 をするときは、その性質に反しない限り、  贈与 に関する規定を  準用 する。

2  遺言で寄附行為をするときは、その  性質 に反しない限り、遺贈に関する  規定 を準用する。

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第四十二条 (寄附財産の帰属時期)

 生前の処分で  寄附行為 をしたときは、寄附財産は、  法人 の設立の  許可 があった時から法人に  帰属 する。

2  遺言で寄附行為をしたときは、  寄附財産 は、遺言が  効力 を生じた時から法人に  帰属 したものとみなす。

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第四十三条 (法人の能力)

 法人は、法令の  規定 に従い、定款又は  寄附行為 で定められた目的の  範囲内 において、権利を有し、  義務 を負う。

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第四十四条 (法人の不法行為能力等)

 法人は、理事その他の  代理人 がその職務を行うについて  他人 に加えた損害を  賠償 する責任を負う。

2  法人の目的の  範囲 を超える行為によって  他人 に損害を加えたときは、その  行為 に係る事項の  決議 に賛成した  社員 及び理事並びにその  決議 を履行した  理事 その他の代理人は、  連帯 してその損害を  賠償 する責任を負う。

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第四十五条 (法人の設立の登記等)

 法人は、その設立の日から、主たる  事務所 の所在地においては  二週間以内 に、その他の事務所の  所在地 においては三週間以内に、  登記 をしなければならない。

2  法人の設立は、その主たる  事務所 の所在地において  登記 をしなければ、第三者に  対抗 することができない。

3  法人の設立後に新たに  事務所 を設けたときは、その事務所の  所在地 においては三週間以内に、  登記 をしなければならない。

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第四十六条 (設立の登記の登記事項及び変更の登記等)

 法人の設立の  登記 において登記すべき  事項 は、次のとおりとする。

一  目的

二  名称

三  事務所の所在場所

四  設立の許可の年月日

五  存立時期を定めたときは、その時期

六  資産の総額

七  出資の方法を定めたときは、その方法

八  理事の氏名及び住所

2  前項各号に掲げる事項に  変更 を生じたときは、主たる事務所の  所在地 においては二週間以内に、その他の  事務所 の所在地においては  三週間以内 に、変更の  登記 をしなければならない。この場合において、それぞれ  登記前 にあっては、その変更をもって  第三者 に対抗することができない。

3  理事の職務の  執行 を停止し、若しくはその  職務 を代行する者を  選任 する仮処分命令又はその  仮処分命令 を変更し、若しくは取り消す  決定 がされたときは、主たる事務所及びその他の  事務所 の所在地においてその  登記 をしなければならない。この場合においては、  前項後段 の規定を  準用 する。

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第四十七条 (登記の期間)

 第四十五条第一項及び前条の  規定 により登記すべき  事項 のうち官庁の  許可 を要するものの登記の  期間 については、その許可書が  到達 した日から起算する。

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第四十八条 (事務所の移転の登記)

 法人が主たる事務所を  移転 したときは、二週間以内に、  旧所在地 においては移転の  登記 をし、新所在地においては  第四十六条第一項各号 に掲げる事項を  登記 しなければならない。

2  法人が主たる事務所以外の  事務所 を移転したときは、  旧所在地 においては三週間以内に  移転 の登記をし、  新所在地 においては四週間以内に  第四十六条第一項各号 に掲げる事項を  登記 しなければならない。

3  同一の登記所の  管轄区域内 において事務所を  移転 したときは、その移転を  登記 すれば足りる。

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第四十九条 (外国法人の登記)

 第四十五条第三項、第四十六条及び  前条 の規定は、  外国法人 が日本に  事務所 を設ける場合について  準用 する。ただし、外国において生じた  事項 の登記の  期間 については、その通知が  到達 した日から起算する。

2  外国法人が初めて日本に  事務所 を設けたときは、その事務所の  所在地 において登記するまでは、  第三者 は、その法人の  成立 を否認することができる。

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第五十条 (法人の住所)

 法人の住所は、その主たる  事務所 の所在地にあるものとする。

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第五十一条 (財産目録及び社員名簿)

 法人は、設立の時及び  毎年一月 から三月までの間に  財産目録 を作成し、常にこれをその主たる  事務所 に備え置かなければならない。ただし、特に事業年度を設けるものは、  設立 の時及び毎事業年度の  終了 の時に財産目録を  作成 しなければならない。

2  社団法人は、社員名簿を備え置き、  社員 の変更があるごとに  必要 な変更を加えなければならない。

    第二節 法人の管理

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第五十二条 (理事)

 法人には、一人又は  数人 の理事を置かなければならない。

2  理事が数人ある  場合 において、定款又は  寄附行為 に別段の定めがないときは、  法人 の事務は、  理事 の過半数で決する。

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第五十三条 (法人の代表)

 理事は、法人のすべての  事務 について、法人を  代表 する。ただし、定款の  規定 又は寄附行為の  趣旨 に反することはできず、また、社団法人にあっては  総会 の決議に従わなければならない。

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第五十四条 (理事の代理権の制限)

 理事の代理権に加えた  制限 は、善意の  第三者 に対抗することができない。

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第五十五条 (理事の代理行為の委任)

 理事は、定款、  寄附行為 又は総会の  決議 によって禁止されていないときに限り、  特定 の行為の  代理 を他人に  委任 することができる。

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第五十六条 (仮理事)

 理事が欠けた場合において、  事務 が遅滞することにより  損害 を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、  利害関係人 又は検察官の  請求 により、仮理事を  選任 しなければならない。

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第五十七条 (利益相反行為)

 法人と理事との  利益 が相反する  事項 については、理事は、  代理権 を有しない。この場合においては、  裁判所 は、利害関係人又は  検察官 の請求により、  特別代理人 を選任しなければならない。

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第五十八条 (監事)

 法人には、定款、  寄附行為 又は総会の  決議 で、一人又は  数人 の監事を置くことができる。

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第五十九条 (監事の職務)

 監事の職務は、次のとおりとする。

一  法人の財産の  状況 を監査すること。

二  理事の業務の  執行 の状況を  監査 すること。

三  財産の状況又は  業務 の執行について、  法令 、定款若しくは  寄附行為 に違反し、又は著しく  不当 な事項があると認めるときは、  総会 又は主務官庁に  報告 をすること。

四  前号の報告をするため  必要 があるときは、総会を  招集 すること。

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第六十条 (通常総会)

 社団法人の理事は、少なくとも  毎年一回 、社員の  通常総会 を開かなければならない。

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第六十一条 (臨時総会)

 社団法人の理事は、  必要 があると認めるときは、いつでも臨時総会を  招集 することができる。

2  総社員の五分の  一以上 から会議の  目的 である事項を示して  請求 があったときは、理事は、  臨時総会 を招集しなければならない。ただし、  総社員 の五分の一の  割合 については、定款でこれと異なる  割合 を定めることができる。

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第六十二条 (総会の招集)

 総会の招集の  通知 は、会日より少なくとも  五日前 に、その会議の  目的 である事項を示し、  定款 で定めた方法に  従っ てしなければならない。

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第六十三条 (社団法人の事務の執行)

 社団法人の事務は、  定款 で理事その他の  役員 に委任したものを除き、すべて  総会 の決議によって行う。

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第六十四条 (総会の決議事項)

 総会においては、第六十二条の  規定 によりあらかじめ通知をした  事項 についてのみ、決議をすることができる。ただし、  定款 に別段の定めがあるときは、この限りでない。

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第六十五条 (社員の表決権)

 各社員の表決権は、  平等 とする。

2  総会に出席しない  社員 は、書面で、又は  代理人 によって表決をすることができる。

3  前二項の規定は、  定款 に別段の定めがある  場合 には、適用しない。

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第六十六条 (表決権のない場合)

 社団法人と特定の  社員 との関係について  議決 をする場合には、その  社員 は、表決権を有しない。

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第六十七条 (法人の業務の監督)

 法人の業務は、  主務官庁 の監督に属する。

2  主務官庁は、法人に対し、  監督上必要 な命令をすることができる。

3  主務官庁は、職権で、いつでも  法人 の業務及び  財産 の状況を  検査 することができる。

    第三節 法人の解散

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第六十八条 (法人の解散事由)

 法人は、次に掲げる事由によって  解散 する。

一  定款又は寄附行為で定めた  解散事由 の発生

二  法人の目的である  事業 の成功又はその  成功 の不能

三  破産手続開始の決定

四  設立の許可の  取消

2  社団法人は、前項各号に掲げる  事由 のほか、次に掲げる事由によって  解散 する。

一  総会の決議

二  社員が欠けたこと。

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第六十九条 (法人の解散の決議)

 社団法人は、総社員の  四分 の三以上の  賛成 がなければ、解散の  決議 をすることができない。ただし、定款に  別段 の定めがあるときは、この限りでない。

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第七十条 (法人についての破産手続の開始)

 法人がその債務につきその  財産 をもって完済することができなくなった  場合 には、裁判所は、  理事 若しくは債権者の  申立 てにより又は職権で、  破産手続開始 の決定をする。

2  前項に規定する  場合 には、理事は、直ちに  破産手続開始 の申立てをしなければならない。

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第七十一条 (法人の設立の許可の取消し)

 法人がその目的以外の  事業 をし、又は設立の  許可 を得た条件若しくは  主務官庁 の監督上の  命令 に違反し、その  他公益 を害すべき行為をした  場合 において、他の方法により  監督 の目的を達することができないときは、  主務官庁 は、その許可を取り消すことができる。  正当 な事由なく引き続き  三年以上事業 をしないときも、同様とする。

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第七十二条 (残余財産の帰属)

 解散した法人の  財産 は、定款又は  寄附行為 で指定した者に  帰属 する。

2  定款又は寄附行為で  権利 の帰属すべき者を  指定 せず、又はその者を指定する  方法 を定めなかったときは、理事は、  主務官庁 の許可を得て、その  法人 の目的に  類似 する目的のために、その  財産 を処分することができる。ただし、  社団法人 にあっては、総会の  決議 を経なければならない。

3  前二項の規定により  処分 されない財産は、  国庫 に帰属する。

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第七十三条 (清算法人)

 解散した法人は、  清算 の目的の  範囲内 において、その清算の  結了 に至るまではなお存続するものとみなす。

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第七十四条 (清算人)

 法人が解散したときは、  破産手続開始 の決定による  解散 の場合を除き、  理事 がその清算人となる。ただし、  定款 若しくは寄附行為に  別段 の定めがあるとき、又は総会において  理事以外 の者を選任したときは、この限りでない。

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第七十五条 (裁判所による清算人の選任)

 前条の規定により  清算人 となる者がないとき、又は清算人が欠けたため  損害 を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、  利害関係人 若しくは検察官の  請求 により又は職権で、  清算人 を選任することができる。

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第七十六条 (清算人の解任)

 重要な事由があるときは、  裁判所 は、利害関係人若しくは  検察官 の請求により又は  職権 で、清算人を  解任 することができる。

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第七十七条 (清算人及び解散の登記及び届出)

 清算人は、破産手続開始の  決定 及び設立の  許可 の取消しの  場合 を除き、解散後主たる  事務所 の所在地においては  二週間以内 に、その他の事務所の  所在地 においては三週間以内に、その  氏名 及び住所並びに  解散 の原因及び  年月日 の登記をし、かつ、これらの  事項 を主務官庁に届け出なければならない。

2  清算中に就職した  清算人 は、就職後主たる  事務所 の所在地においては  二週間以内 に、その他の事務所の  所在地 においては三週間以内に、その  氏名 及び住所の  登記 をし、かつ、これらの事項を  主務官庁 に届け出なければならない。

3  前項の規定は、  設立 の許可の  取消 しによる解散の際に  就職 した清算人について  準用 する。

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第七十八条 (清算人の職務及び権限)

 清算人の職務は、次のとおりとする。

一  現務の結了

二  債権の取立て及び  債務 の弁済

三  残余財産の引渡し

2  清算人は、前項各号に掲げる  職務 を行うために必要な  一切 の行為をすることができる。

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第七十九条 (債権の申出の催告等)

 清算人は、その就職の日から  二箇月以内 に、少なくとも三回の  公告 をもって、債権者に対し、  一定 の期間内にその  債権 の申出をすべき旨の  催告 をしなければならない。この場合において、その  期間 は、二箇月を下ることができない。

2  前項の公告には、  債権者 がその期間内に  申出 をしないときは、その債権は  清算 から除斥されるべき旨を  付記 しなければならない。ただし、清算人は、知れている  債権者 を除斥することができない。

3  清算人は、知れている債権者には、  各別 にその申出の  催告 をしなければならない。

4  第一項の規定による  公告 は、官報に  掲載 してする。

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第八十条 (期間経過後の債権の申出)

 前条第一項の期間の  経過後 に申出をした  債権者 は、法人の  債務 が完済された後まだ  権利 の帰属すべき者に引き渡されていない  財産 に対してのみ、請求をすることができる。

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第八十一条 (清算法人についての破産手続の開始)

 清算中に法人の  財産 がその債務を  完済 するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに  破産手続開始 の申立てをし、その旨を  公告 しなければならない。

2  清算人は、清算中の  法人 が破産手続開始の  決定 を受けた場合において、  破産管財人 にその事務を引き継いだときは、その  任務 を終了したものとする。

3  前項に規定する  場合 において、清算中の  法人 が既に債権者に  支払 い、又は権利の  帰属 すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。

4  第一項の規定による  公告 は、官報に  掲載 してする。

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第八十二条 (裁判所による監督)

 法人の解散及び  清算 は、裁判所の  監督 に属する。

2  裁判所は、職権で、いつでも  前項 の監督に  必要 な検査をすることができる。

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第八十三条 (清算結了の届出)

 清算が結了したときは、  清算人 は、その旨を主務官庁に届け出なければならない。

    第四節 補則

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第八十四条 (主務官庁の権限の委任)

 この章に規定する  主務官庁 の権限は、  政令 で定めるところにより、その全部又は  一部 を国に所属する  行政庁 に委任することができる。

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第八十四条の二 (都道府県の執行機関による主務官庁の事務の処理)

 この章に規定する  主務官庁 の権限に属する  事務 は、政令で定めるところにより、  都道府県 の知事その他の  執行機関 (以下「  都道府県 の執行機関」という。)においてその  全部 又は一部を  処理 することとすることができる。

2  前項の場合において、  主務官庁 は、政令で定めるところにより、  法人 に対する監督上の  命令 又は設立の  許可 の取消しについて、  都道府県 の執行機関に対し  指示 をすることができる。

3  第一項の場合において、  主務官庁 は、都道府県の  執行機関 がその事務を  処理 するに当たってよるべき基準を定めることができる。

4  主務官庁が前項の  基準 を定めたときは、これを告示しなければならない。

    第五節 罰則

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第八十四条の三

 法人の理事、  監事 又は清算人は、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 には、五十万円以下の  過料 に処する。

一  この章に規定する  登記 を怠ったとき。

二  第五十一条の規定に  違反 し、又は財産目録若しくは  社員名簿 に不正の  記載 をしたとき。

三  第六十七条第三項又は第八十二条第二項の  規定 による主務官庁、その  権限 の委任を受けた国に  所属 する行政庁若しくはその  権限 に属する事務を  処理 する都道府県の  執行機関 又は裁判所の  検査 を妨げたとき。

四  第六十七条第二項の規定による  主務官庁 又はその権限の  委任 を受けた国に所属する  行政庁 若しくはその権限に属する  事務 を処理する  都道府県 の執行機関の  監督上 の命令に  違反 したとき。

五  官庁、主務官庁の  権限 に属する事務を  処理 する都道府県の  執行機関 又は総会に対し、  不実 の申立てをし、又は  事実 を隠ぺいしたとき。

六  第七十条第二項又は第八十一条第一項の  規定 による破産手続開始の  申立 てを怠ったとき。

七  第七十九条第一項又は第八十一条第一項の  公告 を怠り、又は不正の  公告 をしたとき。

2  第三十五条の規定に  違反 した者は、十万円以下の  過料 に処する。

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   第四章 物

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第八十五条 (定義)

 この法律において「物」とは、  有体物 をいう。

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第八十六条 (不動産及び動産)

 土地及びその定着物は、  不動産 とする。

2  不動産以外の物は、すべて動産とする。

3  無記名債権は、動産とみなす。

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第八十七条 (主物及び従物)

 物の所有者が、その物の  常用 に供するため、自己の  所有 に属する他の物をこれに附属させたときは、その  附属 させた物を従物とする。

2  従物は、主物の  処分 に従う。

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第八十八条 (天然果実及び法定果実)

 物の用法に従い  収取 する産出物を  天然果実 とする。

2  物の使用の  対価 として受けるべき金銭その他の物を  法定果実 とする。

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第八十九条 (果実の帰属)

 天然果実は、その元物から  分離 する時に、これを収取する  権利 を有する者に帰属する。

2  法定果実は、これを収取する  権利 の存続期間に応じて、  日割計算 によりこれを取得する。

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   第五章 法律行為

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    第一節 総則

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第九十条 (公序良俗)

 公の秩序又は  善良 の風俗に反する  事項 を目的とする  法律行為 は、無効とする。

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第九十一条 (任意規定と異なる意思表示)

 法律行為の当事者が  法令中 の公の秩序に関しない  規定 と異なる意思を  表示 したときは、その意思に従う。

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第九十二条 (任意規定と異なる慣習)

 法令中の公の秩序に関しない  規定 と異なる慣習がある  場合 において、法律行為の  当事者 がその慣習による  意思 を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。

    第二節 意思表示

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第九十三条 (心裡留保)

 意思表示は、表意者がその  真意 ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその  効力 を妨げられない。ただし、相手方が  表意者 の真意を知り、又は知ることができたときは、その  意思表示 は、無効とする。

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第九十四条 (虚偽表示)

 相手方と通じてした虚偽の  意思表示 は、無効とする。

2  前項の規定による  意思表示 の無効は、  善意 の第三者に  対抗 することができない。

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第九十五条 (錯誤)

 意思表示は、法律行為の  要素 に錯誤があったときは、  無効 とする。ただし、表意者に  重大 な過失があったときは、  表意者 は、自らその無効を  主張 することができない。

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第九十六条 (詐欺又は強迫)

 詐欺又は強迫による  意思表示 は、取り消すことができる。

2  相手方に対する意思表示について  第三者 が詐欺を  行っ た場合においては、  相手方 がその事実を  知っ ていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

3  前二項の規定による  詐欺 による意思表示の  取消 しは、善意の  第三者 に対抗することができない。

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第九十七条 (隔地者に対する意思表示)

 隔地者に対する意思表示は、その  通知 が相手方に  到達 した時からその効力を生ずる。

2  隔地者に対する意思表示は、  表意者 が通知を発した後に  死亡 し、又は行為能力を  喪失 したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

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第九十八条 (公示による意思表示)

 意思表示は、表意者が  相手方 を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、  公示 の方法によってすることができる。

2  前項の公示は、  公示送達 に関する民事訴訟法 (  平成八年法律第百九号 )の規定に従い、  裁判所 の掲示場に  掲示 し、かつ、その掲示があったことを  官報 に少なくとも一回掲載して行う。ただし、  裁判所 は、相当と認めるときは、  官報 への掲載に代えて、  市役所 、区役所、  町村役場 又はこれらに準ずる施設の  掲示場 に掲示すべきことを命ずることができる。

3  公示による意思表示は、  最後 に官報に  掲載 した日又はその掲載に代わる  掲示 を始めた日から二週間を  経過 した時に、相手方に  到達 したものとみなす。ただし、表意者が  相手方 を知らないこと又はその所在を知らないことについて  過失 があったときは、到達の  効力 を生じない。

4  公示に関する手続は、  相手方 を知ることができない場合には  表意者 の住所地の、  相手方 の所在を知ることができない  場合 には相手方の  最後 の住所地の  簡易裁判所 の管轄に属する。

5  裁判所は、表意者に、  公示 に関する費用を  予納 させなければならない。

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第九十八条の二 (意思表示の受領能力)

 意思表示の相手方がその  意思表示 を受けた時に未成年者又は  成年被後見人 であったときは、その意思表示をもってその  相手方 に対抗することができない。ただし、その  法定代理人 がその意思表示を  知っ た後は、この限りでない。

    第三節 代理

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第九十九条 (代理行為の要件及び効果)

 代理人がその権限内において  本人 のためにすることを示してした意思表示は、  本人 に対して直接にその  効力 を生ずる。

2  前項の規定は、  第三者 が代理人に対してした  意思表示 について準用する。

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第百条 (本人のためにすることを示さない意思表示)

 代理人が本人のためにすることを示さないでした  意思表示 は、自己のためにしたものとみなす。ただし、  相手方 が、代理人が  本人 のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第一項の  規定 を準用する。

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第百一条 (代理行為の瑕疵)

 意思表示の効力が  意思 の不存在、  詐欺 、強迫又はある  事情 を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき  過失 があったことによって影響を受けるべき  場合 には、その事実の  有無 は、代理人について決するものとする。

2  特定の法律行為をすることを  委託 された場合において、  代理人 が本人の  指図 に従ってその  行為 をしたときは、本人は、自ら  知っ ていた事情について  代理人 が知らなかったことを主張することができない。  本人 が過失によって知らなかった  事情 についても、同様とする。

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第百二条 (代理人の行為能力)

 代理人は、行為能力者であることを要しない。

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第百三条 (権限の定めのない代理人の権限)

 権限の定めのない代理人は、次に掲げる  行為 のみをする権限を有する。

一  保存行為

二  代理の目的である物又は  権利 の性質を変えない  範囲内 において、その利用又は  改良 を目的とする行為

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第百四条 (任意代理人による復代理人の選任)

 委任による代理人は、  本人 の許諾を得たとき、又はやむを得ない  事由 があるときでなければ、復代理人を  選任 することができない。

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第百五条 (復代理人を選任した代理人の責任)

 代理人は、前条の  規定 により復代理人を  選任 したときは、その選任及び  監督 について、本人に対してその  責任 を負う。

2  代理人は、本人の  指名 に従って  復代理人 を選任したときは、  前項 の責任を負わない。ただし、その  代理人 が、復代理人が  不適任 又は不誠実であることを知りながら、その旨を  本人 に通知し又は  復代理人 を解任することを  怠っ たときは、この限りでない。

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第百六条 (法定代理人による復代理人の選任)

 法定代理人は、自己の  責任 で復代理人を  選任 することができる。この場合において、やむを得ない  事由 があるときは、前条第一項の  責任 のみを負う。

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第百七条 (復代理人の権限等)

 復代理人は、その権限内の  行為 について、本人を  代表 する。

2  復代理人は、本人及び  第三者 に対して、代理人と  同一 の権利を有し、  義務 を負う。

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第百八条 (自己契約及び双方代理)

 同一の法律行為については、  相手方 の代理人となり、又は  当事者双方 の代理人となることはできない。ただし、  債務 の履行及び  本人 があらかじめ許諾した  行為 については、この限りでない。

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第百九条 (代理権授与の表示による表見代理)

 第三者に対して他人に  代理権 を与えた旨を表示した者は、その  代理権 の範囲内においてその  他人 が第三者との間でした  行為 について、その責任を負う。ただし、  第三者 が、その他人が  代理権 を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

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第百十条 (権限外の行為の表見代理)

 前条本文の規定は、  代理人 がその権限外の  行為 をした場合において、  第三者 が代理人の  権限 があると信ずべき正当な  理由 があるときについて準用する。

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第百十一条 (代理権の消滅事由)

 代理権は、次に掲げる事由によって  消滅 する。

一  本人の死亡

二  代理人の死亡又は  代理人 が破産手続開始の  決定 若しくは後見開始の  審判 を受けたこと。

2  委任による代理権は、  前項各号 に掲げる事由のほか、  委任 の終了によって  消滅 する。

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第百十二条 (代理権消滅後の表見代理)

 代理権の消滅は、  善意 の第三者に  対抗 することができない。ただし、第三者が  過失 によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。

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第百十三条 (無権代理)

 代理権を有しない者が他人の  代理人 としてした契約は、  本人 がその追認をしなければ、  本人 に対してその効力を生じない。

2  追認又はその拒絶は、  相手方 に対してしなければ、その相手方に  対抗 することができない。ただし、相手方がその  事実 を知ったときは、この限りでない。

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第百十四条 (無権代理の相手方の催告権)

 前条の場合において、  相手方 は、本人に対し、  相当 の期間を定めて、その  期間内 に追認をするかどうかを  確答 すべき旨の催告をすることができる。この  場合 において、本人がその  期間内 に確答をしないときは、  追認 を拒絶したものとみなす。

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第百十五条 (無権代理の相手方の取消権)

 代理権を有しない者がした契約は、  本人 が追認をしない間は、  相手方 が取り消すことができる。ただし、契約の時において  代理権 を有しないことを相手方が  知っ ていたときは、この限りでない。

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第百十六条 (無権代理行為の追認)

 追認は、別段の  意思表示 がないときは、契約の時にさかのぼってその  効力 を生ずる。ただし、第三者の  権利 を害することはできない。

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第百十七条 (無権代理人の責任)

 他人の代理人として  契約 をした者は、自己の  代理権 を証明することができず、かつ、  本人 の追認を得ることができなかったときは、  相手方 の選択に従い、  相手方 に対して履行又は  損害賠償 の責任を負う。

2  前項の規定は、  他人 の代理人として  契約 をした者が代理権を有しないことを  相手方 が知っていたとき、若しくは  過失 によって知らなかったとき、又は他人の  代理人 として契約をした者が  行為能力 を有しなかったときは、適用しない。

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第百十八条 (単独行為の無権代理)

 単独行為については、その行為の時において、  相手方 が、代理人と称する者が  代理権 を有しないで行為をすることに  同意 し、又はその代理権を争わなかったときに限り、  第百十三条 から前条までの  規定 を準用する。  代理権 を有しない者に対しその同意を得て  単独行為 をしたときも、同様とする。

    第四節 無効及び取消し

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第百十九条 (無効な行為の追認)

 無効な行為は、  追認 によっても、その効力を生じない。ただし、  当事者 がその行為の  無効 であることを知って  追認 をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。

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第百二十条 (取消権者)

 行為能力の制限によって取り消すことができる  行為 は、制限行為能力者又はその  代理人 、承継人若しくは  同意 をすることができる者に限り、取り消すことができる。

2  詐欺又は強迫によって取り消すことができる  行為 は、瑕疵ある  意思表示 をした者又はその代理人若しくは  承継人 に限り、取り消すことができる。

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第百二十一条 (取消しの効果)

 取り消された行為は、初めから  無効 であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その  行為 によって現に利益を受けている  限度 において、返還の  義務 を負う。

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第百二十二条 (取り消すことができる行為の追認)

 取り消すことができる行為は、  第百二十条 に規定する者が  追認 したときは、以後、取り消すことができない。ただし、  追認 によって第三者の  権利 を害することはできない。

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第百二十三条 (取消し及び追認の方法)

 取り消すことができる行為の  相手方 が確定している  場合 には、その取消し又は  追認 は、相手方に対する  意思表示 によってする。

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第百二十四条 (追認の要件)

 追認は、取消しの  原因 となっていた状況が  消滅 した後にしなければ、その効力を生じない。

2  成年被後見人は、行為能力者となった後にその  行為 を了知したときは、その  了知 をした後でなければ、追認をすることができない。

3  前二項の規定は、  法定代理人 又は制限行為能力者の  保佐人 若しくは補助人が  追認 をする場合には、  適用 しない。

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第百二十五条 (法定追認)

 前条の規定により  追認 をすることができる時以後に、取り消すことができる  行為 について次に掲げる事実があったときは、  追認 をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。

一  全部又は一部の履行

二  履行の請求

三  更改

四  担保の供与

五  取り消すことができる行為によって  取得 した権利の  全部 又は一部の譲渡

六  強制執行

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第百二十六条 (取消権の期間の制限)

 取消権は、追認をすることができる時から  五年間行使 しないときは、時効によって  消滅 する。行為の時から  二十年 を経過したときも、  同様 とする。

    第五節 条件及び期限

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第百二十七条 (条件が成就した場合の効果)

 停止条件付法律行為は、停止条件が  成就 した時からその効力を生ずる。

2  解除条件付法律行為は、解除条件が  成就 した時からその効力を失う。

3  当事者が条件が  成就 した場合の  効果 をその成就した  時以前 にさかのぼらせる意思を  表示 したときは、その意思に従う。

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第百二十八条 (条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)

 条件付法律行為の各当事者は、  条件 の成否が  未定 である間は、条件が  成就 した場合にその  法律行為 から生ずべき相手方の  利益 を害することができない。

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第百二十九条 (条件の成否未定の間における権利の処分等)

 条件の成否が  未定 である間における当事者の  権利義務 は、一般の  規定 に従い、処分し、  相続 し、若しくは保存し、又はそのために  担保 を供することができる。

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第百三十条 (条件の成就の妨害)

 条件が成就することによって  不利益 を受ける当事者が  故意 にその条件の  成就 を妨げたときは、相手方は、その  条件 が成就したものとみなすことができる。

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第百三十一条 (既成条件)

 条件が法律行為の時に既に  成就 していた場合において、その  条件 が停止条件であるときはその  法律行為 は無条件とし、その  条件 が解除条件であるときはその  法律行為 は無効とする。

2  条件が成就しないことが  法律行為 の時に既に確定していた  場合 において、その条件が  停止条件 であるときはその法律行為は  無効 とし、その条件が  解除条件 であるときはその法律行為は  無条件 とする。

3  前二項に規定する  場合 において、当事者が  条件 が成就したこと又は  成就 しなかったことを知らない間は、第百二十八条及び  第百二十九条 の規定を  準用 する。

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第百三十二条 (不法条件)

 不法な条件を付した  法律行為 は、無効とする。  不法 な行為をしないことを  条件 とするものも、同様とする。

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第百三十三条 (不能条件)

 不能の停止条件を付した  法律行為 は、無効とする。

2  不能の解除条件を付した  法律行為 は、無条件とする。

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第百三十四条 (随意条件)

 停止条件付法律行為は、その条件が単に  債務者 の意思のみに係るときは、  無効 とする。

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第百三十五条 (期限の到来の効果)

 法律行為に始期を付したときは、その  法律行為 の履行は、  期限 が到来するまで、これを  請求 することができない。

2  法律行為に終期を付したときは、その  法律行為 の効力は、  期限 が到来した時に  消滅 する。

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第百三十六条 (期限の利益及びその放棄)

 期限は、債務者の  利益 のために定めたものと推定する。

2  期限の利益は、  放棄 することができる。ただし、これによって相手方の  利益 を害することはできない。

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第百三十七条 (期限の利益の喪失)

 次に掲げる場合には、  債務者 は、期限の  利益 を主張することができない。

一  債務者が破産手続開始の  決定 を受けたとき。

二  債務者が担保を  滅失 させ、損傷させ、又は  減少 させたとき。

三  債務者が担保を供する  義務 を負う場合において、これを供しないとき。

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   第六章 期間の計算

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第百三十八条 (期間の計算の通則)

 期間の計算方法は、  法令 若しくは裁判上の  命令 に特別の定めがある  場合 又は法律行為に  別段 の定めがある場合を除き、この章の  規定 に従う。

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第百三十九条 (期間の起算)

 時間によって期間を定めたときは、その  期間 は、即時から  起算 する。

第百四十条

 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、  期間 の初日は、  算入 しない。ただし、その期間が  午前零時 から始まるときは、この限りでない。

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第百四十一条 (期間の満了)

 前条の場合には、  期間 は、その末日の  終了 をもって満了する。

第百四十二条

 期間の末日が  日曜日 、国民の  祝日 に関する法律 (  昭和二十三年法律第百七十八号 )に規定する  休日 その他の休日に当たるときは、その日に  取引 をしない慣習がある  場合 に限り、期間は、その  翌日 に満了する。

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第百四十三条 (暦による期間の計算)

 週、月又は年によって期間を定めたときは、その  期間 は、暦に従って  計算 する。

2  週、月又は年の初めから期間を  起算 しないときは、その期間は、  最後 の週、月又は年においてその起算日に  応当 する日の前日に  満了 する。ただし、月又は年によって期間を定めた  場合 において、最後の月に  応当 する日がないときは、その月の末日に  満了 する。

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   第七章 時効

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    第一節 総則

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第百四十四条 (時効の効力)

 時効の効力は、その  起算日 にさかのぼる。

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第百四十五条 (時効の援用)

 時効は、当事者が  援用 しなければ、裁判所がこれによって  裁判 をすることができない。

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第百四十六条 (時効の利益の放棄)

 時効の利益は、あらかじめ  放棄 することができない。

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第百四十七条 (時効の中断事由)

 時効は、次に掲げる事由によって  中断 する。

一  請求

二  差押え、仮差押え又は仮処分

三  承認

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第百四十八条 (時効の中断の効力が及ぶ者の範囲)

 前条の規定による  時効 の中断は、その  中断 の事由が生じた  当事者 及びその承継人の間においてのみ、その  効力 を有する。

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第百四十九条 (裁判上の請求)

 裁判上の請求は、訴えの  却下 又は取下げの  場合 には、時効の  中断 の効力を生じない。

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第百五十条 (支払督促)

 支払督促は、債権者が  民事訴訟法第三百九十二条 に規定する  期間内 に仮執行の  宣言 の申立てをしないことによりその  効力 を失うときは、時効の  中断 の効力を生じない。

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第百五十一条 (和解及び調停の申立て)

 和解の申立て又は  民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは  家事審判法 (昭和二十二年法律第百五十二号)による  調停 の申立ては、  相手方 が出頭せず、又は  和解 若しくは調停が調わないときは、  一箇月以内 に訴えを提起しなければ、  時効 の中断の  効力 を生じない。

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第百五十二条 (破産手続参加等)

 破産手続参加、再生手続参加又は  更生手続参加 は、債権者がその  届出 を取り下げ、又はその届出が  却下 されたときは、時効の  中断 の効力を生じない。

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第百五十三条 (催告)

 催告は、六箇月以内に、  裁判上 の請求、  支払督促 の申立て、  和解 の申立て、  民事調停法 若しくは家事審判法 による  調停 の申立て、  破産手続参加 、再生手続参加、  更生手続参加 、差押え、  仮差押 え又は仮処分をしなければ、  時効 の中断の  効力 を生じない。

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第百五十四条 (差押え、仮差押え及び仮処分)

 差押え、仮差押え及び  仮処分 は、権利者の  請求 により又は法律の  規定 に従わないことにより取り消されたときは、時効の  中断 の効力を生じない。

第百五十五条

 差押え、仮差押え及び  仮処分 は、時効の  利益 を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、  時効 の中断の  効力 を生じない。

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第百五十六条 (承認)

 時効の中断の  効力 を生ずべき承認をするには、  相手方 の権利についての  処分 につき行為能力又は  権限 があることを要しない。

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第百五十七条 (中断後の時効の進行)

 中断した時効は、その  中断 の事由が  終了 した時から、新たにその進行を始める。

2  裁判上の請求によって  中断 した時効は、  裁判 が確定した時から、新たにその  進行 を始める。

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第百五十八条 (未成年者又は成年被後見人と時効の停止)

 時効の期間の  満了前六箇月以内 の間に未成年者又は  成年被後見人 に法定代理人がないときは、その  未成年者 若しくは成年被後見人が  行為能力者 となった時又は法定代理人が  就職 した時から六箇月を  経過 するまでの間は、その未成年者又は  成年被後見人 に対して、時効は、  完成 しない。

2  未成年者又は成年被後見人がその  財産 を管理する父、母又は  後見人 に対して権利を有するときは、その  未成年者 若しくは成年被後見人が  行為能力者 となった時又は後任の  法定代理人 が就職した時から  六箇月 を経過するまでの間は、その  権利 について、時効は、  完成 しない。

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第百五十九条 (夫婦間の権利の時効の停止)

 夫婦の一方が他の  一方 に対して有する権利については、  婚姻 の解消の時から  六箇月 を経過するまでの間は、  時効 は、完成しない。

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第百六十条 (相続財産に関する時効の停止)

 相続財産に関しては、相続人が  確定 した時、管理人が  選任 された時又は破産手続開始の  決定 があった時から六箇月を  経過 するまでの間は、時効は、  完成 しない。

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第百六十一条 (天災等による時効の停止)

 時効の期間の  満了 の時に当たり、天災その  他避 けることのできない事変のため  時効 を中断することができないときは、その  障害 が消滅した時から  二週間 を経過するまでの間は、  時効 は、完成しない。

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    第二節 取得時効

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第百六十二条 (所有権の取得時効)

 二十年間、所有の  意思 をもって、平穏に、かつ、  公然 と他人の物を  占有 した者は、その所有権を  取得 する。

2  十年間、所有の  意思 をもって、平穏に、かつ、  公然 と他人の物を  占有 した者は、その占有の  開始 の時に、善意であり、かつ、  過失 がなかったときは、その所有権を  取得 する。

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第百六十三条 (所有権以外の財産権の取得時効)

 所有権以外の財産権を、  自己 のためにする意思をもって、  平穏 に、かつ、公然と  行使 する者は、前条の  区別 に従い二十年又は  十年 を経過した後、その  権利 を取得する。

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第百六十四条 (占有の中止等による取得時効の中断)

 第百六十二条の規定による  時効 は、占有者が  任意 にその占有を  中止 し、又は他人によってその  占有 を奪われたときは、中断する。

第百六十五条

 前条の規定は、  第百六十三条 の場合について  準用 する。

    第三節 消滅時効

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第百六十六条 (消滅時効の進行等)

 消滅時効は、権利を  行使 することができる時から進行する。

2  前項の規定は、  始期付権利 又は停止条件付権利の  目的物 を占有する  第三者 のために、その占有の  開始 の時から取得時効が  進行 することを妨げない。ただし、権利者は、その  時効 を中断するため、いつでも  占有者 の承認を求めることができる。

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第百六十七条 (債権等の消滅時効)

 債権は、十年間行使しないときは、  消滅 する。

2  債権又は所有権以外の  財産権 は、二十年間行使しないときは、  消滅 する。

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第百六十八条 (定期金債権の消滅時効)

 定期金の債権は、  第一回 の弁済期から  二十年間行使 しないときは、消滅する。  最後 の弁済期から  十年間行使 しないときも、同様とする。

2  定期金の債権者は、  時効 の中断の  証拠 を得るため、いつでも、その債務者に対して  承認書 の交付を求めることができる。

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第百六十九条 (定期給付債権の短期消滅時効)

 年又はこれより短い時期によって定めた  金銭 その他の物の給付を  目的 とする債権は、  五年間行使 しないときは、消滅する。

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第百七十条 (三年の短期消滅時効)

 次に掲げる債権は、  三年間行使 しないときは、消滅する。ただし、  第二号 に掲げる債権の  時効 は、同号の  工事 が終了した時から  起算 する。

一  医師、助産師又は  薬剤師 の診療、  助産 又は調剤に関する債権

二  工事の設計、  施工 又は監理を業とする者の  工事 に関する債権

第百七十一条

 弁護士又は弁護士法人は  事件 が終了した時から、  公証人 はその職務を  執行 した時から三年を  経過 したときは、その職務に関して受け  取っ た書類について、その  責任 を免れる。

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第百七十二条 (二年の短期消滅時効)

 弁護士、弁護士法人又は  公証人 の職務に関する  債権 は、その原因となった  事件 が終了した時から  二年間行使 しないときは、消滅する。

2  前項の規定にかかわらず、  同項 の事件中の  各事項 が終了した時から  五年 を経過したときは、  同項 の期間内であっても、その  事項 に関する債権は、  消滅 する。

第百七十三条

 次に掲げる債権は、  二年間行使 しないときは、消滅する。

一  生産者、卸売商人又は  小売商人 が売却した  産物 又は商品の  代価 に係る債権

二  自己の技能を用い、  注文 を受けて、物を製作し又は  自己 の仕事場で  他人 のために仕事をすることを業とする者の  仕事 に関する債権

三  学芸又は技能の  教育 を行う者が生徒の  教育 、衣食又は  寄宿 の代価について有する債権

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第百七十四条 (一年の短期消滅時効)

 次に掲げる債権は、  一年間行使 しないときは、消滅する。

一  月又はこれより短い時期によって定めた  使用人 の給料に係る債権

二  自己の労力の  提供 又は演芸を業とする者の  報酬 又はその供給した物の  代価 に係る債権

三  運送賃に係る債権

四  旅館、料理店、  飲食店 、貸席又は  娯楽場 の宿泊料、  飲食料 、席料、  入場料 、消費物の  代価 又は立替金に係る債権

五  動産の損料に係る債権

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第百七十四条の二 (判決で確定した権利の消滅時効)

 確定判決によって確定した  権利 については、十年より短い  時効期間 の定めがあるものであっても、その時効期間は、  十年 とする。裁判上の  和解 、調停その  他確定判決 と同一の  効力 を有するものによって確定した  権利 についても、同様とする。

2  前項の規定は、  確定 の時に弁済期の  到来 していない債権については、  適用 しない。

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