第一章 総則 -------------------------------------------------

第一条 (この法律の目的)

 この法律は、  農地 はその耕作者みずからが  所有 することを最も適当であると認めて、  耕作者 の農地の  取得 を促進し、及びその  権利 を保護し、並びに  土地 の農業上の  効率的 な利用を図るためその  利用関係 を調整し、もつて  耕作者 の地位の  安定 と農業生産力の  増進 とを図ることを目的とする。

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第二条 (定義)

 この法律で「  農地 」とは、耕作の  目的 に供される土地をいい、「  採草放牧地 」とは、農地以外の  土地 で、主として耕作又は  養畜 の事業のための  採草 又は家畜の  放牧 の目的に供されるものをいう。

2  この法律で「  自作地 」とは、耕作の  事業 を行う者が所有権に基いてその  事業 に供している農地をいい、「  小作地 」とは、耕作の  事業 を行う者が所有権以外の  権原 に基いてその事業に供している  農地 をいう。

3  この法律で「  小作採草放牧地 」とは、耕作又は  養畜 の事業を行う者が  所有権以外 の権原に基いてその  事業 に供している採草放牧地をいう。

4  この法律で「  自作農 」とは、農地又は  採草放牧地 につき所有権に基いて  耕作 又は養畜の  事業 を行う個人をいい、「  小作農 」とは、農地又は  採草放牧地 につき所有権以外の  権原 に基いて耕作又は  養畜 の事業を行う  個人 をいう。

5  前三項の規定の  適用 については、耕作又は  養畜 の事業を行う者の  世帯員 が農地又は  採草放牧地 について有する所有権その他の  権利 は、その耕作又は  養畜 の事業を行う者が有するものとみなす。

6  この法律で「  世帯員 」とは、住居及び  生計 を一にする親族をいう。この  場合 において、世帯員のいずれかについて生じた左に掲げる  事由 により世帯員が  一時住居 又は生計を異にしても、これらの者は、なお  住居 又は生計を一にするものとみなす。

一  疾病又は負傷による療養

二  就学

三  公選による公職への就任

四  その他農林水産省令で定める事由

7  この法律で「  農業生産法人 」とは、農事組合法人、  株式会社 (公開会社(  会社法 (平成十七年法律第八十六号)  第二条第五号 に規定する  公開会社 をいう。)でないものに限る。以下同じ。)又は  持分会社 (同法第五百七十五条第一項 に  規定 する持分会社をいう。  以下同 じ。)で、次に掲げる要件のすべてを満たしているものをいう。

一  その法人の主たる  事業 が農業(その行う  農業 に関連する  事業 であつて農畜産物を  原料 又は材料として  使用 する製造又は  加工 その他農林水産省令で定めるもの、  農業 と併せ行う林業及び  農事組合法人 にあつては農業と併せ行う  農業協同組合法 (昭和二十二年法律第百三十二号)  第七十二条 の八第一項第一号 の  事業 を含む。以下この項において同じ。)であること。

二  その法人の  組合員 、株主(  自己 の株式を  保有 している当該法人を除く。)又は  社員 (以下「  構成員 」という。)は、すべて、次に掲げる者のいずれかであること(株式会社にあつては、トに掲げる者の有する  議決権 の合計が  総株主 の議決権の  四分 の一以下であり、かつ、トに掲げる者の有する  議決権 がいずれもその法人の  総株主 の議決権の  十分 の一以下であるもの、  持分会社 にあつては、トに掲げる者の数が社員の  総数 の四分の  一以下 であるものに限る。)。

イ その法人に農地若しくは  採草放牧地 について所有権若しくは  使用収益権 (地上権、  永小作権 、使用貸借による  権利 又は賃借権をいう。  以下同 じ。)を移転した  個人 (その法人の  構成員 となる前にこれらの権利をその  法人 に移転した者のうち、その  移転後農林水産省令 で定める一定期間内に  構成員 となり、引き続き構成員となつている  個人以外 のものを除く。)又はその一般承継人(  農林水産省令 で定めるものに限る。)

ロ その法人に農地又は  採草放牧地 について使用収益権に基づく  使用 及び収益をさせている個人

ハ その法人に使用及び  収益 をさせるため農地又は  採草放牧地 について所有権の  移転 又は使用収益権の  設定 若しくは移転に関し  次条第一項 又は第七十三条第一項の  許可 を申請している  個人 (当該申請に対する  許可 があり、近くその許可に係る  農地 又は採草放牧地についてその  法人 に所有権を  移転 し、又は使用収益権を  設定 し、若しくは移転することが  確実 と認められる個人を含む。)

ニ その法人の行う農業に  常時従事 する者(前項各号に掲げる  事由 により一時的にその  法人 の行う農業に  常時従事 することができない者で当該事由がなくなれば  常時従事 することとなると農業委員会が認めたもの及び  農林水産省令 で定める一定期間内にその  法人 の行う農業に  常時従事 することとなることが確実と認められる者を含む。  以下 「常時従事者」という。)

ホ その法人に農業経営基盤強化促進法 (  昭和五十五年法律第六十五号 )第四条第二項第三号 に掲げる  事業 に係る出資を行つた  同項 に規定する  農地保有合理化法人 (市町村及び  農業協同組合 を除く。)

ヘ 地方公共団体、農業協同組合又は農業協同組合連合会

ト その法人からその法人の  事業 に係る物資の  供給 若しくは役務の  提供 を受ける者又はその法人の  事業 の円滑化に  寄与 する者であつて、政令で定めるもの

三  その法人の  常時従事者 たる構成員が  理事等 (農事組合法人にあつては  理事 、株式会社にあつては  取締役 、持分会社にあつては  業務 を執行する  社員 をいう。以下この号において同じ。)の数の  過半 を占め、かつ、その過半を占める  理事等 の過半数の者が、その  法人 の行う農業に  必要 な農作業に  農林水産省令 で定める日数以上従事すると認められるものであること。

8  法人の構成員につき  常時従事者 であるかどうかを判定すべき  基準 は、農林水産省令で定める。

9  この法律で「  小作料 」とは、耕作の  目的 で農地につき  地上権 又は賃借権が  設定 されている場合の  地代 又は借賃(その  地上権 又は賃借権の  設定 に附随して、  農地以外 の土地についての  地上権 若しくは賃借権又は  建物 その他の工作物についての  賃借権 が設定され、その  地代 又は借賃と  農地 の地代又は  借賃 とを分けることができない場合には、その  農地以外 の土地又は  工作物 の地代又は  借賃 を含む。)及び農地につき  永小作権 が設定されている  場合 の小作料をいう。

   第二章 農地及び採草放牧地

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    第一節 権利移動及び転用の制限

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第三条 (農地又は採草放牧地の権利移動の制限)

 農地又は採草放牧地について  所有権 を移転し、又は  地上権 、永小作権、  質権 、使用貸借による  権利 、賃借権若しくはその他の  使用 及び収益を  目的 とする権利を  設定 し、若しくは移転する  場合 には、政令で定めるところにより、  当事者 が農業委員会の  許可 (これらの権利を  取得 する者(政令で定める者を除く。)がその  住所 のある市町村の  区域 の外にある農地又は  採草放牧地 について権利を  取得 する場合その  他政令 で定める場合には、  都道府県知事 の許可)を受けなければならない。ただし、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 及び第五条第一項本文に  規定 する場合は、この限りでない。

一  第三十六条、第六十一条、  第六十八条 、第六十九条、  第七十条 又は第八十条の  規定 によつてこれらの権利が  設定 され、又は移転される場合

二  第二十六条から第三十一条までの  規定 によつて利用権が  設定 され、又は第七十五条の二から  第七十五条 の七までの規定によつて  草地利用権 が設定される場合

二の二  第七十五条の八の規定によつてこれらの  権利 が移転される場合

三  これらの権利を  取得 する者が国又は都道府県である場合

四  土地改良法 (昭和二十四年法律第百九十五号)、  農業振興地域 の整備に関する  法律 (昭和四十四年法律第五十八号)、  集落地域整備法 (昭和六十二年法律第六十三号)若しくは  市民農園整備促進法 (平成二年法律第四十四号)による  交換分合 又は独立行政法人緑資源機構法 (  平成十四年法律第百三十号 )第十一条第一項第八号 の  業務 の実施によつてこれらの  権利 が設定され、又は  移転 される場合

四の二  農業経営基盤強化促進法第十九条 の規定による  公告 があつた農用地利用集積計画の定めるところによつて  同法第四条第三項第一号 の権利が  設定 され、又は移転される場合

四の三  農業経営基盤強化促進法第二十七条の四第三項 の  規定 により都道府県知事が  作成 した調停案の  受諾 に伴い同法第四条第三項第一号 の  権利 が設定され、又は  移転 される場合

四の四  農業経営基盤強化促進法第二十七条の五 から  第二十七条 の八 までの  規定 によつて同法第二十七条の  五 に規定する  特定利用権 が設定される場合

四の五  特定農山村地域における農林業等の  活性化 のための基盤整備の  促進 に関する法律 (  平成五年法律第七十二号 )第九条第一項 の  規定 による公告があつた  所有権移転等促進計画 の定めるところによつて同法第二条第三項第三号 の  権利 が設定され、又は  移転 される場合

五  民事調停法 (昭和二十六年法律第二百二十二号)による  農事調停 によつてこれらの権利が  設定 され、又は移転される場合

六  土地収用法 (昭和二十六年法律第二百十九号)その他の  法律 によつて農地若しくは  採草放牧地 又はこれらに関する権利が  収用 され、又は使用される場合

七  遺産の分割、  民法 (明治二十九年法律第八十九号)  第七百六十八条第二項 (同法第七百四十九条 及び  第七百七十一条 で準用する  場合 を含む。)の規定による  財産 の分与に関する  裁判 若しくは調停又は  同法第九百五十八条 の三 の  規定 による相続財産の  分与 に関する裁判によつてこれらの  権利 が設定され、又は  移転 される場合

七の二  農業経営基盤強化促進法第四条第二項 に規定する  農地保有合理化法人 (以下「  農地保有合理化法人 」という。)が、農林水産省令で定めるところによりあらかじめ  農業委員会 に届け出て、同項第一号 に  規定 する農地売買等事業(  以下 「農地売買等事業」という。)の  実施 によりこれらの権利を  取得 する場合

七の三  農業経営基盤強化促進法第六条第六項 の同意を得た  市町村 (以下「  同意市町村 」という。)又は農地保有合理化法人が、  農林水産省令 で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、  同法第四条第四項 に規定する  特定法人貸付事業 (以下「  特定法人貸付事業 」という。)の用に供するためこれらの権利を  取得 する場合

八  農業協同組合法第十条第三項 の信託の  引受 けの事業又は  農業経営基盤強化促進法第四条第二項第二号 若しくは第二号の  二 に掲げる事業(  以下 これらを「信託事業」という。)を行う  農業協同組合 又は農地保有合理化法人が  信託事業 による信託の  引受 けにより所有権を  取得 する場合及び  当該信託 の終了によりその  委託者 又はその一般承継人が  所有権 を取得する場合

九  地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)  第二百五十二条 の十九第一項 の  指定都市 (以下単に「  指定都市 」という。)が古都における  歴史的風土 の保存に関する  特別措置法 (昭和四十一年法律第一号)  第十九条 の規定に基づいてする  同法第十一条第一項 の規定による  買入 れによつて所有権を  取得 する場合

十  その他農林水産省令で定める場合

2  前項の許可は、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 には、することができない。ただし、民法第二百六十九条の  二第一項 の地上権又はこれと  内容 を同じくするその他の権利が  設定 され、又は移転されるとき、  農業協同組合法第十条第二項 に規定する  事業 を行う農業協同組合が  農地 又は採草放牧地の  所有者 から同項 の  委託 を受けることにより第二号 に掲げる  権利 が取得されることとなるとき、並びに  第二号 の二、第四号、  第五号 及び第八号に掲げる  場合 において政令で定める  相当 の事由があるときは、この限りでない。

一  小作地又は小作採草放牧地につきその  小作農 及びその世帯員並びにその  土地 について耕作又は  養畜 の事業を行つている  農業生産法人 (以下この号で「  小作農等 」という。)以外の者が  所有権 を取得しようとする  場合 (その小作農等がその  小作農等以外 の者に対し所有権を  移転 することにつきその許可の  申請前六月以内 に同意した  小作地 又は小作採草放牧地でその  同意 した旨が書面において明らかであるものについてその  小作農等以外 の者が所有権を  取得 しようとする場合並びに  強制執行 、担保権の  実行 としての競売(その例による  競売 を含む。以下単に「  競売 」という。)若しくは国税徴収法 (  昭和三十四年法律第百四十七号 )による滞納処分(その例による  滞納処分 を含む。以下「  国税滞納処分等 」という。)に係る差押え又は  仮差押 えの執行のあつた後に  使用 及び収

二  所有権、地上権、  永小作権 、質権、  使用貸借 による権利、  賃借権 若しくはその他の使用及び  収益 を目的とする  権利 を取得しようとする者又はその  世帯員 がその取得後において  耕作 又は養畜の  事業 に供すべき農地及び  採草放牧地 のすべてについて耕作又は  養畜 の事業を行うと認められない場合

二の二  農業生産法人及び農業経営基盤強化促進法第四条第四項 に  規定 する特定法人(  以下 「特定法人」という。)  以外 の法人が  前号 に掲げる権利を  取得 しようとする場合

二の三  農業生産法人が所有権及び  使用収益権以外 の権利を  取得 しようとする場合

二の四  特定法人が使用貸借による  権利 及び賃借権以外の  権利 を取得しようとする場合

二の五  信託の引受けにより  第二号 に掲げる権利が  取得 される場合

三  耕作又は養畜の  事業 の委託を受けることにより  第二号 に掲げる権利が  取得 されることとなる場合

四  第二号に掲げる権利を  取得 しようとする者(農業生産法人及び  特定法人 を除く。)又はその世帯員がその  取得後 において行う耕作又は  養畜 の事業に  必要 な農作業に  常時従事 すると認められない場合

五  第二号に掲げる権利を  取得 しようとする者又はその世帯員がその  取得後 において耕作の  事業 に供すべき農地の  面積 の合計及びその  取得後 において耕作又は  養畜 の事業に供すべき  採草放牧地 の面積の  合計 が、いずれも、北海道では二ヘクタール、  都府県 では五十アール(  都道府県知事 が、農林水産省令で定める  基準 に従い、その都道府県の  区域 の一部についてこれらの  面積 の範囲内で  別段 の面積を定め、これを  公示 したときは、その面積)に達しない場合

六  第三十六条又は第六十一条の  規定 により売り渡された農地又は  採草放牧地 であつてその売渡し  後十年 を経過しないものにつき  地上権 、永小作権、  質権 、使用貸借による  権利 又は賃借権を  設定 しようとする場合(その  土地 の所有者又はその  世帯員 の死亡又は  前条第六項 に掲げる事由によりその  土地 について耕作、  採草 又は家畜の  放牧 をすることができないため一時貸し付けようとする  場合 、その土地の  所有者 がその土地をその  世帯員 に貸し付けようとする場合、  農地保有合理化法人 が農地売買等事業の  実施 により所有権を  取得 したその土地を  一時貸 し付けようとする場合、その  土地 を水田裏作(田において稲を  通常栽培 する期間以外の  期間稲以外 の作物を  栽培 することをいう。以下同じ。)の  目的 に供するため貸し付けようとする場合及び  農業生産法人 の構成員がその  土地

七  小作地又は小作採草放牧地について  耕作 又は養畜の  事業 を行う者がその小作地又は  小作採草放牧地 を貸し付け、又は質入れしようとする  場合 (その土地の  小作農 又はその世帯員の  死亡 又は前条第六項に掲げる  事由 によりその土地について  耕作 、採草又は  家畜 の放牧をすることができないため  一時貸 し付けようとする場合、その  土地 の小作農がその  土地 をその世帯員に貸し付けようとする  場合 、農地保有合理化法人がその  土地 を農地売買等事業の  実施 により貸し付けようとする場合、  同意市町村 又は農地保有合理化法人がその  土地 を特定法人貸付事業の  実施 により貸し付けようとする場合、その  土地 を水田裏作の  目的 に供するため貸し付けようとする場合及び  農業生産法人 の常時従事者たる  構成員 がその土地をその  法人 に貸し付けようとする場合を除く。)

八  第二号に掲げる権利を  取得 しようとする者又はその世帯員の  農業経営 の状況、その  住所地 からその農地又は  採草放牧地 までの距離等からみて、これらの者がその  土地 を効率的に  利用 して耕作又は  養畜 の事業を行うことができると認められない場合

3  第一項の許可は、  条件 をつけてすることができる。

4  第一項の許可を受けないでした  行為 は、その効力を生じない。

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第四条 (農地の転用の制限)

 農地を農地以外のものにする者は、  政令 で定めるところにより、都道府県知事の  許可 (その者が同一の  事業 の目的に供するため四ヘクタールを超える  農地 を農地以外のものにする  場合 (農村地域工業等導入促進法 (  昭和四十六年法律第百十二号 )その他の地域の  開発 又は整備に関する  法律 で政令で定めるもの(  以下 「地域整備法」という。)の定めるところに従つて  農地 を農地以外のものにする  場合 で政令で定める  要件 に該当するものを除く。)には、  農林水産大臣 の許可)を受けなければならない。ただし、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 は、この限りでない。

一  第七条第一項第四号に掲げる農地を  農地以外 のものにする場合

二  次条第一項の許可に係る  農地 をその許可に係る  目的 に供する場合

三  国又は都道府県が  農地 を農地以外のものにする場合

三の二  農業経営基盤強化促進法第十九条 の規定による  公告 があつた農用地利用集積計画の定めるところによつて  設定 され、又は移転された  同法第四条第三項第一号 の権利に係る  農地 を当該農用地利用集積計画に定める  利用目的 に供する場合

三の三  特定農山村地域における農林業等の  活性化 のための基盤整備の  促進 に関する法律第九条第一項 の  規定 による公告があつた  所有権移転等促進計画 の定めるところによつて設定され、又は  移転 された同法第二条第三項第三号 の  権利 に係る農地を  当該所有権移転等促進計画 に定める利用目的に供する場合

四  土地収用法 その他の法律によつて  収用 し、又は使用した  農地 をその収用又は  使用 に係る目的に供する場合

五  市街化区域(都市計画法 (  昭和四十三年法律第百号 )第七条第一項 の  市街化区域 と定められた区域で、  同法第二十三条第一項 の規定による  協議 が調つたものをいう。)内にある農地を、  政令 で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、  農地以外 のものにする場合

六  その他農林水産省令で定める場合

2  前項の許可は、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 には、することができない。ただし、第一号及び  第二号 に掲げる場合において、  土地収用法第二十六条第一項 の規定による  告示 (他の法律の  規定 による告示又は  公告 で同項 の  規定 による告示とみなされるものを含む。  次条第二項 において同じ。)に係る事業の用に供するため  農地 を農地以外のものにしようとするとき、  第一号 イに掲げる農地を  農業振興地域 の整備に関する  法律第八条第四項 に規定する  農用地利用計画 (以下単に「  農用地利用計画 」という。)において指定された  用途 に供するため農地以外のものにしようとするときその  他政令 で定める相当の  事由 があるときは、この限りでない。

一  次に掲げる農地を  農地以外 のものにしようとする場合

イ 農用地区域(農業振興地域の  整備 に関する法律第八条第二項第一号に  規定 する農用地区域をいう。  以下同 じ。)内にある農地

ロ イに掲げる農地以外の農地で、  集団的 に存在する  農地 その他の良好な  営農条件 を備えている農地として  政令 で定めるもの(市街化調整区域(  都市計画法第七条第一項 の市街化調整区域をいう。  以下同 じ。)内にある政令で定める  農地以外 の農地にあつては、次に掲げる  農地 を除く。)

(1) 市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で政令で定めるもの

(2) (1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で政令で定めるもの

二  前号イ及びロに掲げる農地(  同号 ロ(1)に掲げる農地を含む。)  以外 の農地を  農地以外 のものにしようとする場合において、  申請 に係る農地に代えて  周辺 の他の土地を供することにより  当該申請 に係る事業の  目的 を達成することができると認められるとき。

三  申請者に申請に係る  農地 を農地以外のものにする  行為 を行うために必要な  資力 及び信用があると認められないこと、  申請 に係る農地を  農地以外 のものにする行為の妨げとなる  権利 を有する者の同意を得ていないことその  他農林水産省令 で定める事由により、  申請 に係る農地のすべてを  住宅 の用、事業の用に供する  施設 の用その他の当該申請に係る  用途 に供することが確実と認められない場合

四  申請に係る農地を  農地以外 のものにすることにより、土砂の  流出 又は崩壊その他の  災害 を発生させるおそれがあると認められる  場合 、農業用用排水施設の有する  機能 に支障を及ぼすおそれがあると認められる  場合 その他の周辺の  農地 に係る営農条件に  支障 を生ずるおそれがあると認められる場合

五  仮設工作物の設置その他の  一時的 な利用に供するため  農地 を農地以外のものにしようとする  場合 において、その利用に供された後にその  土地 が耕作の  目的 に供されることが確実と認められないとき。

3  都道府県知事が、第一項の  規定 により許可をしようとするときは、あらかじめ、  都道府県農業会議 の意見を聴かなければならない。

4  第一項の許可は、  条件 を付けてすることができる。

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第五条 (農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)

 農地を農地以外のものにするため又は  採草放牧地 を採草放牧地以外のもの(  農地 を除く。次項において同じ。)にするため、これらの  土地 について第三条第一項本文に掲げる  権利 を設定し、又は  移転 する場合には、  政令 で定めるところにより、当事者が  都道府県知事 の許可(これらの  権利 を取得する者が  同一 の事業の  目的 に供するため四ヘクタールを超える農地又はその  農地 と併せて採草放牧地について  権利 を取得する  場合 (地域整備法の定めるところに従つてこれらの  権利 を取得する  場合 で政令で定める  要件 に該当するものを除く。)には、  農林水産大臣 の許可)を受けなければならない。ただし、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 は、この限りでない。

一  これらの権利を  取得 する者が国又は都道府県である場合

一の二  農地又は採草放牧地を  農業経営基盤強化促進法第十九条 の規定による  公告 があつた農用地利用集積計画に定める  利用目的 に供するため当該農用地利用集積計画の定めるところによつて  同法第四条第三項第一号 の権利が  設定 され、又は移転される場合

一の三  農地又は採草放牧地を  特定農山村地域 における農林業等の  活性化 のための基盤整備の  促進 に関する法律第九条第一項 の  規定 による公告があつた  所有権移転等促進計画 に定める利用目的に供するため  当該所有権移転等促進計画 の定めるところによつて同法第二条第三項第三号 の  権利 が設定され、又は  移転 される場合

二  土地収用法 その他の法律によつて  農地 若しくは採草放牧地又はこれらに関する  権利 が収用され、又は  使用 される場合

三  前条第一項第五号に規定する  市街化区域内 にある農地又は  採草放牧地 につき、政令で定めるところによりあらかじめ  農業委員会 に届け出て、農地及び  採草放牧地以外 のものにするためこれらの権利を  取得 する場合

四  その他農林水産省令で定める場合

2  前項の許可は、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 には、することができない。ただし、第一号及び  第二号 に掲げる場合において、  土地収用法第二十六条第一項 の規定による  告示 に係る事業の用に供するため  第三条第一項 本文 に掲げる権利を  取得 しようとするとき、第一号イに掲げる  農地 又は採草放牧地につき  農用地利用計画 において指定された  用途 に供するためこれらの権利を  取得 しようとするときその他政令で定める  相当 の事由があるときは、この限りでない。

一  次に掲げる農地又は  採草放牧地 につき第三条第一項本文に掲げる  権利 を取得しようとする場合

イ 農用地区域内にある農地又は採草放牧地

ロ イに掲げる農地又は採草放牧地以外の  農地 又は採草放牧地で、  集団的 に存在する  農地 又は採草放牧地その他の  良好 な営農条件を備えている  農地 又は採草放牧地として  政令 で定めるもの(市街化調整区域内にある  政令 で定める農地又は  採草放牧地以外 の農地又は  採草放牧地 にあつては、次に掲げる農地又は  採草放牧地 を除く。)

(1) 市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの

(2) (1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの

二  前号イ及びロに掲げる農地(  同号 ロ(1)に掲げる農地を含む。)  以外 の農地を  農地以外 のものにするため第三条第一項本文に掲げる  権利 を取得しようとする  場合 又は同号イ及びロに掲げる  採草放牧地 (同号ロ(1)に掲げる  採草放牧地 を含む。)以外の  採草放牧地 を採草放牧地以外のものにするためこれらの  権利 を取得しようとする  場合 において、申請に係る  農地 又は採草放牧地に代えて  周辺 の他の土地を供することにより  当該申請 に係る事業の  目的 を達成することができると認められるとき。

三  第三条第一項本文に掲げる権利を  取得 しようとする者に申請に係る  農地 を農地以外のものにする  行為 又は申請に係る  採草放牧地 を採草放牧地以外のものにする  行為 を行うために必要な  資力 及び信用があると認められないこと、  申請 に係る農地を  農地以外 のものにする行為又は  申請 に係る採草放牧地を  採草放牧地以外 のものにする行為の妨げとなる  権利 を有する者の同意を得ていないことその  他農林水産省令 で定める事由により、  申請 に係る農地又は  採草放牧地 のすべてを住宅の用、  事業 の用に供する施設の用その他の  当該申請 に係る用途に供することが  確実 と認められない場合

四  申請に係る農地を  農地以外 のものにすること又は申請に係る  採草放牧地 を採草放牧地以外のものにすることにより、  土砂 の流出又は  崩壊 その他の災害を  発生 させるおそれがあると認められる場合、  農業用用排水施設 の有する機能に  支障 を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の  周辺 の農地又は  採草放牧地 に係る営農条件に  支障 を生ずるおそれがあると認められる場合

五  仮設工作物の設置その他の  一時的 な利用に供するため  所有権 を取得しようとする場合

六  仮設工作物の設置その他の  一時的 な利用に供するため、  農地 につき所有権以外の  第三条第一項本文 に掲げる権利を  取得 しようとする場合においてその  利用 に供された後にその土地が  耕作 の目的に供されることが  確実 と認められないとき、又は採草放牧地につきこれらの  権利 を取得しようとする  場合 においてその利用に供された後にその  土地 が耕作の  目的 若しくは主として耕作若しくは  養畜 の事業のための  採草 若しくは家畜の  放牧 の目的に供されることが  確実 と認められないとき。

七  農地を採草放牧地にするため  第三条第一項本文 に掲げる権利を  取得 しようとする場合において、  同条第二項 の規定により  同条第一項 の許可をすることができない  場合 に該当すると認められるとき。

3  第三条第三項及び第四項並びに  前条第三項 の規定は、  第一項 の場合に  準用 する。

    第二節 小作地等の所有の制限

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第六条 (所有できない小作地)

 国以外の者は、何人も次に掲げる  小作地 を所有してはならない。

一  その所有者の  住所 のある市町村の  区域 の外にある小作地

二  その所有者の  住所 のある市町村の  区域内 にある小作地でその  住所 のある都道府県について  別表 で定める面積(  都道府県知事 が農林水産大臣の  承認 を受け、その都道府県の  区域 を二以上の  区域 に分けて各区域の  面積 をその平均がおおむね  別表 のその都道府県の  面積 と等しくなるように定め、これを公示したときは、その  面積 )をこえる面積のもの

2  前項の規定の  適用 については、小作地の  所有者 の世帯員が  当該所有者 の住所のある  市町村 の区域内で  所有 する小作地は、  当該所有者 が所有するものとみなす。

3  第一項の規定の  適用 については、小作地の  所有者 で第二条第六項に掲げる  事由 により、一時その  住所 がその所有する  小作地 のある市町村の  区域内 にないものは、その住所がその  市町村 の区域内にあるものとみなす。

4  第一項の規定の  適用 については、自作農又はその  世帯員 であつた者で第二条第六項に掲げる  事由以外 の事由によりその  住所 がその所有する  農地 のある市町村の  区域内 になくなり、その者の配偶者又はその者と  住居 及び生計を一にしていた  二親等内 の血族がその  農地 について引き続き耕作をしていて、かつ、その  農地 の所有者がその  農地 のある市町村の  区域内 に住所を有するに至る  見込 があると農業委員会が認めたものは、その  住所 がその市町村の  区域内 にあるものとみなす。

5  第一項の規定の  適用 については、小作地以外の  農地 でその所有者又はその  世帯員 でない者が平穏に、かつ、  公然 と耕作の  事業 に供しているものは、小作地とみなす。

6  第一項の規定の  適用 については、次条第一項第二号から  第十六号 までに掲げる小作地の  面積 は、その所有者の  所有面積 に算入しない。

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第七条 (所有制限の例外)

 次の各号のいずれかに  該当 する小作地は、  前条第一項 の規定にかかわらず、  所有 することができる。

一  農地の所有者(  法人 を除く。)若しくはその世帯員が  耕作 の事業に供すべき  農地 のすべてについてその耕作の  事業 を廃止した時の  住所地 の属する市町村の  区域内 において所有する  小作地 (次号から  第十六号 までに掲げる小作地以外の  小作地 で、その所有者又はその者の  配偶者 若しくはその者と住居及び  生計 を一にしていた二親等内の  血族 がその廃止前通じて  政令 で定める一定期間所有していたものに限る。)であつてその  面積 の合計がその  住所地 の属する都道府県について  前条第一項第二号 の別表で定める  面積 (同号の  規定 による公示がされているときは、その  公示 に係る面積)を超えないもの(  農林水産省令 で定めるところにより当該小作地である旨の  農業委員会 の確認を受けたもので、その  確認後引 き続き小作地であるものに限る。)又はその  小作地 の所有権をその廃

二  国又は地方公共団体が  公用 又は公共用に供している小作地

三  試験研究又は農事指導の  目的 に供するものとして、政令で定めるところにより、  都道府県知事 の指定を受けた小作地

四  近く農地以外のものとすることを  相当 とするものとして、政令で定めるところにより、  都道府県知事 の指定を受けた小作地

五  自作農又はその世帯員の  死亡 又は第二条第六項に掲げる  事由 によつて自作地として  耕作 をすることができなくなつたため、小作地として貸し付けられている  土地 であつて、自作農であつた者又はその  世帯員 が耕作をすることができるようになれば直ちにこれをすると  農業委員会 が認めたもの

六  新開墾地、焼畑、  切替畑等収穫 の著しく不定な  小作地 で、政令で定めるところにより、  都道府県知事 の指定を受けたもの

七  地割慣行のある小作地又は  鉱山 若しくは炭坑附近の  陥没 のおそれがある小作地で、  都道府県知事 の承認を受けて  農業委員会 の指定したもの

八  農業生産法人の構成員が  所有 する小作地で、その  法人 がその者から設定を受けた  使用収益権 に基づいて耕作の  事業 に供しているもの

九  農業協同組合がその組合員の行う  耕作 又は養畜の  事業 に必要な  施設 の用に供している小作地

十  農業協同組合法第十条第二項 に規定する  事業 を行う農業協同組合がその  所有者 (法人を除く。)から  同項 の委託を受けて  当該事業 に供している小作地

十一  信託事業を行う農業協同組合又は  農地保有合理化法人 が所有する  小作地 で信託事業に係る  信託財産 であるもの

十二  農地保有合理化法人が農地売買等事業の  実施 により借り受けている小作地

十三  農地保有合理化法人が所有し、かつ、  農地売買等事業 の実施により貸し付けている小作地

十三の二  農業経営基盤強化促進法第十九条 の  規定 による公告があつた  農用地利用集積計画 の定めるところによつて設定され、又は  移転 された同法第四条第三項第一号 に  規定 する利用権に基づいて  耕作 の事業に供されている小作地

十三の三  農業経営基盤強化促進法第二十七条の  五 から第二十七条の  八 までの規定によつて  設定 された同法第二十七条の  五 に規定する  特定利用権 に基づいて耕作の  事業 に供されている小作地

十三の四  同意市町村又は  農地保有合理化法人 が特定法人貸付事業の用に供すべきものとして  所有権以外 の使用及び  収益 を目的とする  権利 の設定又は  移転 を受けている小作地

十三の五  同意市町村又は  農地保有合理化法人 が所有し、かつ、  特定法人貸付事業 の実施により貸し付けている小作地

十四  第四条第一項第五号に規定する  市街化区域内 にある小作地

十五  府県(指定都市を含む。)が  古都 における歴史的風土の  保存 に関する特別措置法第十一条第一項 の  規定 による買入れ(  同法第十九条 の規定に基づいてする  同法第十一条第一項 の規定による  買入 れを含む。)をして引き続き所有している小作地

十六  その他農林水産省令で定める小作地

2  前項第一号の規定の  適用 については、同号の  規定 による農業委員会の  確認 を受けた小作地が  小作地 でなくなつた場合において、その  小作地 でなくなつた後一年以内に再び  小作地 となつたときは、その小作地は、  当該確認後引 き続き小作地であつたものとみなす。

3  第一項第三号、第四号及び  第六号 の指定は、  有効期間 を限り、又はその他の条件を付けてすることができる。

4  農業生産法人の構成員以外の者で、  従前 その法人の  構成員 であつたもの又はその法人の  構成員 であつた者の一般承継人であるものが  所有 する小作地で、その  法人 がその所有者(  所有者 がその法人の  構成員 であつた者の一般承継人である  場合 には、その構成員であつた者)からその者がその  法人 の構成員でなくなる  以前 に設定を受けた  期間 の定めがある使用収益権に基づいて  耕作 の事業に供しているものについての  第一項第八号 の規定の  適用 については、その所有者は、その  使用収益権 の残存期間に限り、その  法人 の構成員とみなす。

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第八条 (公示及び通知)

 農業委員会は、前二条の  規定 により所有してはならない  小作地 があると認めたときは、次に掲げる事項を  公示 し、かつ、公示の日の  翌日 から起算して  一箇月間 、その事務所で、これらの  事項 を記載した  書類 を縦覧に供しなければならない。

一  その小作地の  所有者 の氏名又は  名称 及び住所

二  第六条第一項第一号の規定により  所有 してはならない場合には、その  小作地 の所在、  地番 、地目及び  面積 、同項第二号の  規定 により所有してはならない  場合 には、その者がその市町村の  区域内 で所有するすべての  小作地 (前条第一項第二号から  第十六号 までに掲げるものを除く。)の所在、  地番 、地目及び  面積並 びに所有してはならない面積

三  その他必要な事項

2  農業委員会は、前項の  規定 による公示をしたときは、  遅滞 なく、その土地の  所有者 に同項に掲げる  事項 を通知しなければならない。この  場合 において、通知ができないときは、  通知 すべき事項を  公示 して通知に代えることができる。

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第九条 (買収)

 前条第一項の規定により  公示 された小作地の  所有者 が、第六条第一項第一号に  該当 する旨の公示があつたときはその  公示 に係る小作地につき、  同項第二号 に該当する旨の  公示 があつたときはその公示に係る  小作地 のうち所有してはならない  面積 に相当するものにつき、その  公示 の日から起算して  一箇月以内 に(その公示に係る  小作地 の所有者がその  期間 の満了前に  農業委員会 に対しその期間の  満了 の日の翌日から  起算 して二箇月をこえない  期間内 で期日を定め、その  期日 までその期間を  延長 すべきことを書類で申し入れたときは、その  期日 までに)、所有権の  譲渡 しをしないとき(第七条第一項第八号に掲げる  小作地 に該当するものでなくなつた  小作地 にあつては、農林水産省令で定めるところにより、  所有権 の譲渡しをし、  地上権 若しくは永小作権の  消滅 をさせ、使用貸借

2  国は、第六条第一項第二号に  該当 するものとして前項の  規定 により小作地を  買収 する場合において、その  分筆 を避けるため特に必要があるときは、十アールをこえない  範囲内 で、所有してはならない  面積 をこえる面積のものを  買収 することができる。

3  前二項の規定による国の  買収 は、後三条に  規定 する手続に従つてするものとする。

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第十条 (農業委員会の関係書類の送付)

 農業委員会は、前条の  規定 により国が小作地を  買収 すべき場合には、  遅滞 なく、買収すべき  小作地 を定め、次に掲げる事項を  記載 した書類を  都道府県知事 に送付しなければならない。

一  その土地の  所有者 の氏名又は  名称 及び住所

二  その土地の  所在 、地番、  地目 及び面積

三  その土地の上に  先取特権 、質権又は  抵当権 がある場合には、その  権利 の種類並びにその  権利 を有する者の氏名又は  名称 及び住所

2  農業委員会は、前項の  書類 を送付する  場合 において、買収すべき  土地 の上に先取特権、  質権 又は抵当権があるときは、その  権利 を有する者に対し、農林水産省令で定めるところにより、  対価 の供託の  要否 を二十日以内に  都道府県知事 に申し出るべき旨を通知しなければならない。

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第十一条 (買収令書の交付及び縦覧)

 都道府県知事は、前条第一項の  規定 により送付された  書類 に記載されたところに従い、  遅滞 なく(同条第二項の  規定 による通知をした  場合 には、同項の  期間経過後遅滞 なく)、次に掲げる事項を  記載 した買収令書を  作成 し、これをその土地の  所有者 に、その謄本をその  農業委員会 に交付しなければならない。

一  前条第一項各号に掲げる事項

二  買収の期日

三  対価

四  対価の支払の  方法 (次条第二項の  規定 により対価を  供託 する場合には、その旨)

五  その他必要な事項

2  都道府県知事は、前項の  規定 による買収令書の  交付 をすることができない場合には、その  内容 を公示して  交付 に代えることができる。

3  農業委員会は、買収令書の  謄本 の交付を受けたときは、  遅滞 なく、その旨を公示するとともに、その  公示 の日の翌日から  起算 して二十日間、その  事務所 でこれを縦覧に供しなければならない。

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第十二条 (対価)

 前条第一項第三号の対価は、  政令 で定めるところにより算出した額とする。

2  買収すべき土地の上に  先取特権 、質権又は  抵当権 がある場合には、その  権利 を有する者から第十条第二項の  期間内 に、その対価を  供託 しないでもよい旨の申出があつたときを除いて、国は、その  対価 を供託しなければならない。

3  国は、前項に  規定 する場合の外、左に掲げる  場合 にも対価を  供託 することができる。

一  対価の支払を受けるべき者が  受領 を拒み、又は受領することができない場合

二  対価の支払を受けるべき者を  確知 することができない場合

三  差押又は仮差押により  対価 の支払の  禁止 を受けた場合

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第十三条 (効果)

 国が買収令書に  記載 された買収の  期日 までにその買収令書に  記載 された対価の  支払 又は供託をしたときは、その  期日 に、その土地の上にある  先取特権 、質権及び  抵当権 は、消滅し、その  土地 の所有権は、国が  取得 する。

2  前項の規定により  消滅 する先取特権、  質権 又は抵当権を有する者は、  前条第二項 若しくは第三項の  規定 により供託された  対価 に対してその権利を行うことができる。

3  国が買収令書に  記載 された買収の  期日 までにその買収令書に  記載 された対価の  支払 又は供託をしないときは、その  買収令書 は、効力を失う。

4  第一項及び前項の  規定 の適用については、国が、  会計法 (昭和二十二年法律第三十五号)  第二十一条第一項 の規定により、  対価 の支払に  必要 な資金を  日本銀行 に交付して  送金 の手続をさせ、その旨をその  土地 の所有者に  通知 したときは、その通知が  到達 した時を国が対価の  支払 をした時とみなす。

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第十四条 (附帯施設の買収)

 第九条の規定による  買収 をする場合において、  農業委員会 がその買収される  土地 の農業上の  利用 のため特に必要があると認めるときは、国は、その  買収 される土地の  所有者 又はその世帯員の有する  土地 (農地を除く。)、  立木 、建物その他の  工作物 又は水の使用に関する  権利 をあわせて買収することができる。

2  第十条から前条までの  規定 は、前項の  規定 による買収をする  場合 に準用する。この  場合 において、第十条第一項中第二号は、「  二 土地 についてはその所在、  地番 、地目及び  面積 、立木についてはその  樹種 、数量及び  所在 の場所、  工作物 についてはその種類及び  所在 の場所、水の  使用 に関する権利についてはその  内容 」と読み替えるものとする。

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第十五条 (国が売り渡した農地等の買収)

 第三条第二項第六号に規定する  農地 又は採草放牧地をその  所有者 及びその世帯員以外の者が  耕作 又は養畜の  事業 に供したときは、第三条第一項の  規定 による許可を受けて貸し付けられた  場合 を除き、国がこれを買収する。

2  第十条から前条までの  規定 は、前項の  規定 による買収をする  場合 に準用する。

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第十五条の二 (農業生産法人の報告等)

 農業生産法人であつて、農地若しくは  採草放牧地( その法人が  第三条第一項本文 に掲げる権利を  取得 した時に農地及び  採草放牧地以外 の土地であつたものその  他政令 で定めるものを除く。以下この項において同じ。)を  所有 し、又はその法人以外の者が  所有 する農地若しくは  採草放牧地 をその法人の  耕作 若しくは養畜の  事業 に供しているものは、農林水産省令で定めるところにより、  毎年 、事業の  状況 その他農林水産省令で定める  事項 を農業委員会に  報告 しなければならない。農業生産法人が  農業生産法人 でなくなつた場合(農業生産法人が  合併 によつて解散し、又は  分割 をした場合において、  当該合併 によつて設立し、若しくは  当該合併後存続 する法人又は  当該分割 によつて農地若しくは  採草放牧地 について同条第一項本文に掲げる  権利 を承継した  法人 が農業生産法人でな

2  農業委員会は、前項前段の  規定 による報告に基づき、  農業生産法人 が第二条第七項各号に掲げる  要件 を満たさなくなるおそれがあると認めるときは、その法人に対し、  必要 な措置をとるべきことを  勧告 することができる。

3  農業委員会は、前項の  規定 による勧告をした  場合 において、その勧告を受けた  法人 からその所有する  農地 又は採草放牧地について  所有権 の譲渡しをする旨の  申出 があつたときは、これらの土地の  所有権 の譲渡しについてのあつせんに努めなければならない。

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第十五条の三 (農業生産法人が農業生産法人でなくなつた場合等における買収)

 農業生産法人が農業生産法人でなくなつた  場合 において、その法人若しくはその  一般承継人 が所有する  農地 若しくは採草放牧地があるとき、又はその  法人 及びその一般承継人以外の者が  所有 する農地若しくは  採草放牧地 でその法人若しくはその  一般承継人 の耕作若しくは  養畜 の事業に供されているものがあるときは、国がこれを  買収 する。ただし、これらの土地でその  法人 が第三条第一項本文に掲げる  権利 を取得した時に  農地 及び採草放牧地以外の  土地 であつたものその他政令で定めるものについては、この限りでない。

2  第三条第二項第六号に規定する  農地 又は採草放牧地をその  所有者 が農業生産法人に貸し付けた  場合 において、その所有者が  当該貸付 けに係る法人の  構成員 でなくなつたときは、国がその農地又は  採草放牧地 を買収する。

3  農業委員会は、前二項の  規定 による買収をすべき  農地 又は採草放牧地があると認めたときは、次に掲げる  事項 を公示し、かつ、  公示 の日の翌日から  起算 して一月間、その  事務所 で、これらの事項を  記載 した書類を  縦覧 に供しなければならない。この場合には、  第八条第二項 の規定を  準用 する。

一  その農地又は  採草放牧地 の所有者の  氏名 又は名称及び住所

二  その農地又は  採草放牧地 の所在、  地番 、地目及び面積

三  その他必要な事項

4  農業委員会は、第一項の  規定 による買収をすべき  農地 又は採草放牧地が  前条第二項 の規定による  勧告 に係るものであるときは、当該勧告の日(  同条第三項 の申出があつたときは、  当該申出 の日)の翌日から  起算 して三月間(  当該期間内 に第三条第一項又は  第二十条第一項 の規定による  許可 の申請があり、その  期間経過後 までこれに対する処分がないときは、その  処分 があるまでの間)、前項の  規定 による公示をしないものとする。

5  農業委員会は、第一項の  規定 による買収をすべき  農地 又は採草放牧地につき  第三項 の規定により  公示 をした場合において、その  公示 の日の翌日から  起算 して三月以内に  農林水産省令 で定めるところにより当該法人から  第二条第七項各号 に掲げる要件のすべてを満たすに至つた旨の  届出 があり、かつ、審査の  結果 その届出が  真実 であると認められるときは、遅滞なく、その  公示 を取り消さなければならない。

6  農業委員会は、前項の  規定 による届出があり、  審査 の結果その  届出 が真実であると認められないときは、  遅滞 なく、その旨を公示しなければならない。

7  第五項の規定により  公示 が取り消されたときは、その公示に係る  農地 又は採草放牧地については、国は、  第一項 の規定による  買収 をしない。

8  第三項の規定により  公示 された農地若しくは  採草放牧地 の所有者又はこれらの  土地 について使用収益権に基づく  使用 及び収益をさせている者が、その  公示 に係る農地又は  採草放牧地 につき、第一項の  規定 による買収をすべき  農地 又は採草放牧地にあつては  第五項 に規定する  期間 の満了の日(その日までに  同項 の規定による  届出 があり、これにつき第六項の  規定 による公示があつた  場合 のその公示に係る  農地 又は採草放牧地については、その  公示 の日)、第二項の  規定 による買収をすべき  農地 又は採草放牧地にあつては  第三項 の規定による  公示 の日の翌日から  起算 して三月以内に、  農林水産省令 で定めるところにより、所有権の  譲渡 しをし、地上権若しくは  永小作権 の消滅をさせ、  使用貸借 の解除をし、  合意 による解約をし、若しくは  返還 の請求をし、又は  賃貸借 の解除をし

9  農業委員会は、第一項の  法人 又はその一般承継人からその  所有 する農地又は  採草放牧地 について所有権の  譲渡 しをする旨の申出があつた  場合 は、前項の  期間 が経過するまでの間、これらの  土地 の所有権の  譲渡 しについてのあつせんに努めなければならない。

10  第十条から第十四条までの  規定 は、第一項又は  第二項 の規定による  買収 をする場合に  準用 する。

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第十五条の四 (立入調査)

 農業委員会は、農業委員会等に関する  法律 (昭和二十六年法律第八十八号)  第二十九条第一項 の規定による  立入調査 のほか、前条の  規定 による買収をするため  必要 があるときは、委員又は  職員 に法人の  事務所 その他の事業場に立ち入らせて  必要 な調査をさせることができる。

2  前項の規定により  立入調査 をする委員又は  職員 は、その身分を示す  証明書 を携帯し、  関係者 の要求があるときは、これを  提示 しなければならない。

3  第一項の規定による  立入調査 の権限は、  犯罪捜査 のために認められたものと解してはならない。

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第十六条 (申出による買収)

 農地又は採草放牧地の  所有者 は、農業委員会に対し、その  所有 する農地又は  採草放牧地 を国が買収すべき旨を申し出ることができる。

2  第十条から第十四条までの  規定 は、前項の  規定 による申出があつた  場合 に準用する。

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第十七条 (承継人に対する効力)

 第十条第二項(第十四条第二項(  第十五条第二項 、第十五条の  三第十項 又は前条第二項で  準用 する場合を含む。  以下 この条において同じ。)、第十五条第二項、  第十五条 の三第十項又は  前条第二項 で準用する  場合 を含む。)の規定による  通知 及び第十一条(  第十四条第二項 、第十五条第二項、  第十五条 の三第十項又は  前条第二項 で準用する  場合 を含む。)の規定による  買収令書 の交付は、その  通知 又は交付を受けた者の  承継人 に対してもその効力を有する。

    第三節 利用関係の調整

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第十八条 (農地又は採草放牧地の賃貸借の対抗力)

 農地又は採草放牧地の  賃貸借 は、その登記がなくても、  農地 又は採草放牧地の  引渡 があつたときは、これをもつてその後その農地又は  採草放牧地 について物権を  取得 した第三者に  対抗 することができる。

2  民法第五百六十六条第一項 及び第三項 (  用益的権利 による制限がある  場合 の売主の  担保責任 )の規定は、  登記 をしてない賃貸借の  目的 である農地又は  採草放牧地 が売買の  目的物 である場合に  準用 する。

3  民法第五百三十三条 (同時履行の  抗弁 )の規定は、  前項 の場合に  準用 する。

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第十九条 (農地又は採草放牧地の賃貸借の更新)

 農地又は採草放牧地の  賃貸借 について期間の定めがある  場合 において、その当事者が、その  期間 の満了の  一年前 から六月前まで(  賃貸人 又はその世帯員の  死亡 又は第二条第六項に掲げる  事由 によりその土地について  耕作 、採草又は  家畜 の放牧をすることができないため、  一時賃貸 をしたことが明らかな場合は、その  期間 の満了の  六月前 から一月前まで)の間に、  相手方 に対して更新をしない旨の  通知 をしないときは、従前の  賃貸借 と同一の  条件 で更に賃貸借をしたものとみなす。ただし、  水田裏作 を目的とする  賃貸借 でその期間が  一年未満 であるもの、第七十五条の二から  第七十五条 の七までの規定によつて  設定 された草地利用権(その  存続期間 が更新されたものにあつては、その  更新 が第七十五条の  七第一項 の規定又は  同条第二項 で準用する  第七十五条 の二第二項から第五

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第二十条 (農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)

 農地又は採草放牧地の  賃貸借 の当事者は、  政令 で定めるところにより都道府県知事の  許可 を受けなければ、賃貸借の  解除 をし、解約の  申入 れをし、合意による  解約 をし、又は賃貸借の  更新 をしない旨の通知をしてはならない。ただし、次の  各号 のいずれかに該当する  場合 は、この限りでない。

一  解約の申入れ、  合意 による解約又は  賃貸借 の更新をしない旨の  通知 が、信託事業に係る  信託財産 につき行なわれる場合(その  賃貸借 がその信託財産に係る  信託 の引受け前から既に存していたものである  場合 及び解約の  申入 れ又は合意による  解約 にあつてはこれらの行為によつて  賃貸借 の終了する日、  賃貸借 の更新をしない旨の  通知 にあつてはその賃貸借の  期間 の満了する日がその  信託 に係る信託行為によりその  信託 が終了することとなる  日前一年以内 にない場合を除く。)

二  合意による解約が、その  解約 によつて農地若しくは  採草放牧地 を引き渡すこととなる期限前六箇月以内に  成立 した合意でその旨が  書面 において明らかであるものに基づいて行なわれる場合又は  民事調停法 による農事調停によつて行なわれる場合

三  賃貸借の更新をしない旨の  通知 が、十年以上の  期間 の定めがある賃貸借(  解約 をする権利を  留保 しているもの及び期間の  満了前 にその期間を  変更 したものでその変更をした  時以後 の期間が  十年未満 であるものを除く。)又は水田裏作を  目的 とする賃貸借につき行なわれる場合

四  第七十五条の二から第七十五条の七までの  規定 によつて設定された  草地利用権 に係る賃貸借の  解除 が、第七十五条の九の  規定 により都道府県知事の  承認 を受けて行なわれる場合

五  農業経営基盤強化促進法第二十七条の五 から  第二十七条 の八 までの  規定 によつて設定された  同法第二十七条 の五 に  規定 する特定利用権に係る  賃貸借 の解除が、  同法第二十七条 の十 の  規定 により都道府県知事の  承認 を受けて行われる場合

六  特定法人貸付事業の実施によつて  特定法人 のために設定された  賃借権 に係る賃貸借の  解除 が、農業経営基盤強化促進法第二十七条の  十三第三項 の規定により行われる場合

2  前項の許可は、次に掲げる  場合 でなければしてはならない。

一  賃借人が信義に反した  行為 をした場合

二  その農地又は  採草放牧地 を農地又は  採草放牧地以外 のものにすることを相当とする場合

三  賃借人の生計(  法人 にあつては、経営)、  賃貸人 の経営能力等を  考慮 し、賃貸人がその  農地 又は採草放牧地を  耕作 又は養畜の  事業 に供することを相当とする場合

四  賃借人である農業生産法人が  農業生産法人 でなくなつた場合並びに  賃借人 である農業生産法人の  構成員 となつている賃貸人がその  法人 の構成員でなくなり、その  賃貸人 又はその世帯員がその  許可 を受けた後において耕作又は  養畜 の事業に供すべき  農地 及び採草放牧地のすべてを  効率的 に利用して  耕作 又は養畜の  事業 を行なうことができると認められ、かつ、その事業に  必要 な農作業に  常時従事 すると認められる場合

五  その他正当の  事由 がある場合

3  都道府県知事が、第一項の  規定 により許可をしようとするときは、あらかじめ、  都道府県農業会議 の意見を聞かなければならない。

4  第一項の許可は、  条件 をつけてすることができる。

5  第一項の許可を受けないでした  行為 は、その効力を生じない。

6  農地又は採草放牧地の  賃貸借 につき解約の  申入 れ、合意による  解約 又は賃貸借の  更新 をしない旨の通知が  第一項 ただし書の規定により  同項 の許可を要しないで行なわれた  場合 には、これらの行為をした者は、  農林水産省令 で定めるところにより、農業委員会にその旨を  通知 しなければならない。

7  前条又は民法第六百十七条 (  期間 の定めのない賃貸借の  解約 の申入れ)若しくは  第六百十八条 (期間の定めのある  賃貸借 の解約をする  権利 の留保)の  規定 と異なる小作条件でこれらの  規定 による場合に比して  賃借人 に不利なものは、定めないものとみなす。

8  農地又は採草放牧地の  賃貸借 につけた解除条件(  特定法人 が農業経営基盤強化促進法第二十七条の  十三第二項 の協定に  違反 した場合に  当該賃貸借 の解除をすることを  内容 とするものを除く。)又は不確定期限は、つけないものとみなす。

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第二十一条 (小作料の増額又は減額の請求権)

 小作料の額が農産物の  価格 若しくは生産費の  上昇 若しくは低下その他の  経済事情 の変動により又は  近傍類似 の農地の  小作料 の額に比較して  不相当 となつたときは、契約の  条件 にかかわらず、当事者は、  将来 に向かつて小作料の額の  増減 を請求することができる。ただし、  一定 の期間小作料の額を  増加 しない旨の特約があるときは、その定めに従う。

2  小作料の増額について  当事者間 に協議が調わないときは、その  請求 を受けた者は、増額を  正当 とする裁判が  確定 するまでは、相当と認める額の  小作料 を支払うことをもつて足りる。ただし、その  裁判 が確定した  場合 において、既に支払つた額に  不足 があるときは、その不足額に  年十パー セントの割合による  支払期後 の利息を付してこれを  支払 わなければならない。

3  小作料の減額について  当事者間 に協議が調わないときは、その  請求 を受けた者は、減額を  正当 とする裁判が  確定 するまでは、相当と認める額の  小作料 の支払を  請求 することができる。ただし、その裁判が  確定 した場合において、既に  支払 を受けた額が正当とされた  小作料 の額を超えるときは、その超過額に  年十パー セントの割合による  受領 の時からの利息を付してこれを  返還 しなければならない。

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第二十二条

 小作料の額が、不可抗力により、田にあつては、  収穫 された米の価額の  二割五分 、畑にあつては、収穫された  主作物 の価額の  一割五分 を超えることとなつたときは、小作農は、その  農地 の所有者又は  賃貸人 に対し、その割合に  相当 する額になるまで小作料の  減額 を請求することができる。

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第二十三条 (小作料の標準額)

 農業委員会は、その区域内の  農地 につき、その自然的条件及び  利用上 の条件を  勘案 して必要な  区分 をし、その区分ごとに  小作料 の額の標準となるべき額(  以下 「小作料の  標準額 」という。)を定めることができる。

2  農業委員会は、小作料の  標準額 を定めるに当たつては、前項の  区分 ごとにその区分に属する  農地 につき通常の  農業経営 が行われたとした場合における  生産量 、生産物の  価格 、生産費等を  参酌 し、耕作者の  経営 の安定を図ることを旨としなければならない。

3  農業委員会は、小作料の  標準額 を定めたときは、これを公示するとともに  都道府県知事 に通知しなければならない。

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第二十四条 (小作料の減額の勧告)

 農業委員会は、小作料の  標準額 を定めた場合において、  契約 で定める小作料の額がその  小作料 に係る農地の属する  前条第一項 の区分に係る  小作料 の標準額に  比較 して著しく高額であると認めるときは、  農林水産省令 で定めるところにより、当事者に対し、その  小作料 を減額すべき旨を  勧告 することができる。

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第二十五条 (契約の文書化及び通知)

 農地又は採草放牧地の  賃貸借契約 については、当事者は、  書面 によりその存続期間、  小作料 の額及び支払条件その他その  契約並 びにこれに附随する  契約 の内容を明らかにしなければならない。

2  農地又は採草放牧地の  賃貸借契約 の当事者は、その  契約 を締結したときは、  農林水産省令 で定めるところにより、その存続期間、  小作料 の額及び支払条件その他の  事項 を農業委員会に  通知 しなければならない。これらの事項を  変更 したときもまた同様とする。

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第二十六条 (利用権設定に関する承認)

 耕作の事業を行う者は、左に掲げる  事項 を目的とする  土地 又は立木についての  使用収益 の権利(  以下 「利用権」という。)を  取得 する必要があるときは、  農林水産省令 で定める手続に従い、  農業委員会 の承認を受け、  土地 又は立木の  所有者 その他これらに関し権利を有する者に対し、  利用権 の設定に関する  協議 を求めることができる。

一  自家用の薪炭とするための  原木 の採取

二  自家用の燃料とするための枝、  落葉等 の採取

三  自家用の肥料、  飼料 又は敷料とするための草又は  落葉 の採取

四  耕作の事業に  附随 して飼育する  家畜 の放牧

2  前項第一号に掲げる事項を  目的 とする利用権の  設定 については、農業委員会は、左に掲げる  場合 に限り、同項の  承認 をすることができる。

一  耕作の事業を行う者が  従来慣行 又は契約により  原木 の採取をしていた  土地 について利用権を  設定 しようとする場合

二  耕作の事業を行う者が  従来慣行 又は契約により  原木 の採取をしていた  土地 についてその採取をすることができなくなつた  場合 において、これに代るべき土地に  利用権 を設定しようとする場合

三  他の耕作の  事業 を行う者が慣行又は  契約 により原木の  採取 をしている土地について  利用権 を設定しようとする場合

3  農業委員会は、第一項の  規定 による承認の  申請 があつたときは、その申請に係る  協議 の相手方その  他農林水産省令 で定める者の意見を聞かなければならない。

4  農業委員会は、第一項の  承認 をしたときは、遅滞なく、その旨をその  承認 に係る協議の  相手方 に通知するとともに、これを  公示 しなければならない。

5  第一項の規定は、  国有林野 の管理経営に関する  法律 (昭和二十六年法律第二百四十六号)による  国有林野 には、適用しない。

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第二十七条 (裁定の申請)

 前条第一項の協議がととのわず、又は  協議 をすることができないときは、同項の  承認 を受けた者は、その承認を受けた日から  起算 して二箇月以内に、  農林水産省令 で定める手続に従い、その  利用権 の設定に関し  農業委員会 に裁定を  申請 することができる。

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第二十八条 (意見書の提出)

 農業委員会は、前条の  規定 による申請があつたときは、  農林水産省令 で定める事項を  公示 するとともに、その申請に係る  利用権設定 の相手方にこれを  通知 し、二週間を下らない  期間 を指定して  意見書 を提出する  機会 を与えなければならない。

2  農業委員会は、前項の  期間経過後二箇月以内 に裁定をしなければならない。

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第二十九条 (裁定)

 利用権を設定すべき旨の  裁定 においては、左に掲げる事項を定めなければならない。

一  利用権を設定すべき  土地 の所在、  地番 、地目及び  面積 又は立木の  所在 、樹種及び数量

二  利用権の内容

三  利用権の始期及び存続期間

四  対価

五  対価の支払の方法

2  前項の裁定は、  同項第一号 から第三号までの  事項 については、申請の  範囲 をこえてはならない。

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第三十条

 農業委員会は、裁定をしたときは、  遅滞 なく、農林水産省令で定める  手続 に従い、その旨をその裁定の  申請者 及び第二十八条第一項の  通知 をした者に通知するとともに、これを  公示 しなければならない。裁定についての  審査請求 に対する裁決によつて  裁定 の内容が  変更 されたときもまた同様とする。

2  利用権を設定すべき旨の  裁定 について前項の  公示 があつたときは、その裁定の定めるところにより、  当事者間 に協議がととのつたものとみなす。

3  民法第二百七十二条 ただし書(永小作権の  譲渡 又は賃貸の  禁止 )及び第六百十二条 (  賃借権 の譲渡及び  転貸 の制限)の  規定 は、前項の  場合 には、適用しない。

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第三十一条 (市町村等の利用権設定)

 第二十六条から前条までの  規定 は、市町村、  農業協同組合 又は農事組合法人が  耕作 の事業を行う者のために  第二十六条第一項 に掲げる事項を  目的 とする土地又は  立木 の利用権を  取得 する必要があると認めた  場合 に準用する。

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第三十二条 (利用権の保護)

 耕作の事業を行う者が  第二十六条第一項 に掲げる事項を行うことを  目的 とする有償の  契約 については、第十八条から  第二十条 まで及び第二十五条の  規定 を準用する。

    第四節 強制競売、競売及び公売の特例

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第三十三条 (強制競売及び競売の特例)

 強制競売又は競売の  開始決定 のあつた農地又は  採草放牧地 について、入札又は競り売りを  実施 すべき日において許すべき買受けの  申出 がないときは、強制競売又は  競売 を申し立てた者は、農林水産省令で定める  手続 に従い、農林水産大臣に対し、国がその  土地 を買い取るべき旨を申し出ることができる。

2  農林水産大臣は、前項の  申出 があつたときは、次に掲げる場合を除いて、次の  入札 又は競り売りを実施すべき日までに、  裁判所 に対し、その土地を  第十二条第一項 (第十五条第二項で  準用 する場合を含む。  以下 この条及び次条において同じ。)の  政令 で定めるところにより算出した額で買い取る旨を申し入れなければならない。

一  民事執行法 (昭和五十四年法律第四号)  第六十条第三項 に規定する  買受可能価額 が第十二条第一項 の  政令 で定めるところにより算出した額を超える場合

二  国が買受人となれば、その  土地 の上にある留置権、  先取特権 、質権又は  抵当権 で担保される  債権 を弁済する  必要 がある場合

三  売却条件が国に不利になるように  変更 されている場合

四  国が買受人となつた後もその  土地 につき所有権に関する  仮登記上 の権利又は  仮処分 の執行に係る  権利 が存続する場合

3  前項の申入れがあつたときは、国は、  強制競売 又は競売による  最高価買受申出人 となつたものとみなす。この場合の  買受 けの申出の額は、  第十二条第一項 の政令で定めるところにより  算出 した額とする。

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第三十四条 (公売の特例)

 国税滞納処分等により公売に付された  農地 又は採草放牧地について  買受人 がない場合に、  国税滞納処分等 を行う行政庁が、  農林水産省令 で定める手続に従い、  農林水産大臣 に対し、国がその土地を  第十二条第一項 の政令で定めるところにより  算出 した額で買い取るべき旨の申出をしたときは、  農林水産大臣 は、前条第二項第二号から  第四号 までに掲げる場合を除いて、その  行政庁 に対し、その土地を買い取る旨を申し入れなければならない。

2  前項の申入があつたときは、国は、  公売 により買受人となつたものとみなす。

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第三十五条 (農業委員会への通知)

 農林水産大臣は、第三十三条又は  前条 の規定により国が  農地 又は採草放牧地を  取得 したときは、農業委員会に対し、その旨を  通知 しなければならない。

    第五節 国からの売渡

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第三十六条 (農地、採草放牧地等の売渡しの相手方)

 国は、第九条第一項若しくは  第二項 、第十五条第一項若しくは  第十五条 の三第一項若しくは  第二項 の規定により  買収 し、又は第十六条第一項の  規定 に基づく申出により  買収 した農地及び  採草放牧地 、所管換又は  所属替 を受けて第七十八条第一項の  規定 により農林水産大臣が  管理 する農地及び  採草放牧地 のうち農林水産大臣が定めるもの並びに  第三十三条 又は第三十四条の  規定 により国が取得した  農地 及び採草放牧地を、この節に  規定 する手続に従い、次に掲げる者に売り渡す。ただし、  第八十条 の規定により売り払い、又は  所管換 若しくは所属替をする  場合 は、この限りでない。

一  その土地が  小作地 又は小作採草放牧地(  次号 に掲げるものを除く。)である場合には、その  土地 につき現に耕作又は  養畜 の事業を行つている者(  耕作 又は養畜の  事業 を行つていた者又はその世帯員の  死亡 又は第二条第六項に掲げる  事由 によつて耕作又は  養畜 の事業を行うことができなくなつたため、その  土地 を貸し付けている場合において、その  貸主 が耕作又は  養畜 の事業を行うことができるようになれば直ちにその  事業 を行うと農業委員会が認めた  場合 にあつては、その貸主)で、  自作農 として農業に  精進 する見込みがあるもの又は  農業生産法人 であるもの

二  その土地が  共同利用 することが適当な  農地 又は採草放牧地(その  土地 が小作地又は  小作採草放牧地 である場合にあつては、現に  共同利用 されているものに限る。)である場合には、  地方公共団体 、農業協同組合、  農業協同組合連合会 又は農事組合法人

三  前二号以外の場合には、  自作農 として農業に  精進 する見込みがある者又は  農業生産法人 で農業委員会が  適当 と認めたもの

2  前項の規定により売り渡すべき  農地 又は採草放牧地について、その  農業上 の利用のため  第十四条第一項 (第十五条第二項、  第十五条 の三第十項及び  第十六条第二項 で準用する  場合 を含む。)の規定により併せて  買収 した土地、  立木 、建物その他の  工作物 又は水の使用に関する  権利 (当該売り渡すべき  農地 又は採草放牧地の  農業上 の利用のため併せて  所管換 又は所属替を受けたものを含む。  以下 「附帯施設」という。)があるときは、これをその  農地 又は採草放牧地の  売渡 しを受ける者に併せて売り渡す。

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第三十七条 (買受の申込)

 前条第一項の農地又は  採草放牧地 を買い受けようとする者は、農林水産省令で定める  買受申込書 を農業委員会に  提出 しなければならない。

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第三十八条 (農業委員会の関係書類の送付)

 農業委員会は、第三十六条第一項各号のいずれかに  該当 する者から前条の  買受申込書 の提出があつたときは、これに基づき、次に掲げる  事項 を記載した  書類 を都道府県知事に  送付 しなければならない。

一  売渡しの相手方の  氏名 又は名称及び住所

二  売り渡すべき農地又は  採草放牧地 の所在、  地番 、地目及び面積

三  売り渡すべき附帯施設があるときは、  土地 については所在、  地番 、地目及び  面積 、立木についてはその  樹種 、数量及び  所在 の場所、  工作物 についてはその種類及び  所在 の場所、水の  使用 に関する権利についてはその内容

四  その他農林水産省令で定める事項

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第三十九条 (売渡通知書)

 都道府県知事は、前条の  規定 により送付された  書類 に記載されたところに従い、次に掲げる  事項 を記載した  売渡通知書 を作成し、これを  売渡 しの相手方に、その  謄本 をその農業委員会に  交付 しなければならない。

一  前条第一号から第三号までに掲げる事項

二  売渡しの期日

三  対価

四  対価の支払の方法

五  その他必要な事項

2  前項第三号の対価は、  第十二条第一項 (第十四条第二項で  準用 する場合を含む。)の  政令 で定めるところにより算出した額とする。

3  第十一条第三項の規定は、  第一項 の場合に  準用 する。

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第四十条 (効果)

 前条の規定による  売渡通知書 の交付があつたときは、その  通知書 に記載された  売渡 の期日に、その  農地 若しくは採草放牧地の  所有権 又は附帯施設である  土地 、立木若しくは  工作物 の所有権若しくは水の  使用 に関する権利は、その  売渡 の相手方に  移転 する。

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第四十一条 (対価の支払)

 第三十六条の規定により売り渡した  農地 、採草放牧地及び  附帯施設 の対価の  支払 は、支払期間三十年(  据置期間 を含む。)以内、  年利五・五パー セントの均等年賦支払の  方法 によるものとする。但し、その農地、  採草放牧地 又は附帯施設を買い受ける者の  申出 があつたときは、その対価の  全部 又は一部につき  一時支払 の方法によるものとする。

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第四十二条 (市町村が行う対価の徴収の事務)

 国は、政令で定めるところにより、  前条 の対価の  徴収 の事務の  一部 を、市町村が行うこととすることができる。

2  市町村が避けられない災害によつて  前項 の規定による  徴収金 を失つたときは、国は、農林水産省令・財務省令で定めるところにより、その  責任 を免除することができる。

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第四十三条 (督促、滞納処分等)

 第三十六条の規定による  売渡 を受けた者がその指定された  期日 までにその対価を  支払 わなかつたときは、国は、督促状により、  期限 を指定してその  支払 を督促しなければならない。

2  前項の督促状で  指定 された期限までに  対価 の支払がないときは、その  期限満了 の日の翌日から  対価 の支払の日までの  日数 に応じ、滞納額につき  年十四・五パー セントの割合を乗じて  計算 した金額を  延滞金 として徴収する。

3  第一項の対価及び  前項 の延滞金は、  国税滞納処分 の例により処分し、又は  滞納者 の居住地若しくは  財産所在地 の属する市町村に対してその  処分 を請求することができる。

4  国が前項の  規定 により市町村に対して  処分 を請求したときは、  市町村 は、市町村税の例によつてこれを  処分 する。この場合には、国は、  徴収金額 の百分の四をその  市町村 に交付しなければならない。

5  第四十一条の対価及び  第二項 の延滞金の  先取特権 の順位は、  国税 及び地方税に次ぐものとする。

6  第一項の規定による  督促 は、民法第百五十三条 の  規定 にかかわらず、時効中断の  効力 を有する。

7  国税通則法 (昭和三十七年法律第六十六号)  第十二条 (書類の  送達 )、第十四条(  公示送達 )、第三十八条第一項(  繰上請求 )、第六十二条(  一部納付 が行なわれた場合の  延滞税 の額の計算等)、  第六十三条 (納税の  猶予 の場合の  延滞税 の免除)、  第百十八条第三項 (附帯税の額を  計算 する場合の  端数計算等 )並びに第百十九条第四項(  附帯税 の確定金額の  端数計算等 )の規定は、  第四十一条 の対価の  徴収 について準用する。この  場合 において、同法第六十二条 及び  第六十三条 中 「延滞税」とあり、  同法第百十八条第三項 及び第百十九条第四項 中「  附帯税 」とあるのは、「延滞金」と読み替えるものとする。