第一章 総則 --------------------------------------------------------

第一条

 労働者災害補償保険は、業務上の  事由 又は通勤による  労働者 の負傷、  疾病 、障害、  死亡等 に対して迅速かつ  公正 な保護をするため、  必要 な保険給付を行い、あわせて、  業務上 の事由又は  通勤 により負傷し、又は  疾病 にかかつた労働者の  社会復帰 の促進、  当該労働者 及びその遺族の  援護 、適正な  労働条件 の確保等を図り、もつて  労働者 の福祉の  増進 に寄与することを  目的 とする。

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第二条

 労働者災害補償保険は、政府が、これを  管掌 する。

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第二条の二

 労働者災害補償保険は、第一条の  目的 を達成するため、  業務上 の事由又は  通勤 による労働者の  負傷 、疾病、  障害 、死亡等に関して  保険給付 を行うほか、労働福祉事業を行うことができる。

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第三条

 この法律においては、  労働者 を使用する  事業 を適用事業とする。

○2  前項の規定にかかわらず、国の  直営事業 、官公署の  事業 (労働基準法 (  昭和二十二年法律第四十九号 )別表第一に掲げる  事業 を除く。)及び船員保険法 (  昭和十四年法律第七十三号 )第十七条 の  規定 による船員保険の  被保険者 については、この法律は、これを  適用 しない。

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第四条  削除 第四条

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第五条

 この法律に基づく  政令 及び厚生労働省令並びに  労働保険 の保険料の  徴収等 に関する法律 (  昭和四十四年法律第八十四号 。以下「  徴収法 」という。)に基づく政令及び  厚生労働省令 (労働者災害補償保険事業に係るものに限る。)は、その  草案 について、労働政策審議会の  意見 を聞いて、これを制定する。

   第二章 保険関係の成立及び消滅

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第六条

 保険関係の成立及び  消滅 については、徴収法 の定めるところによる。

   第三章 保険給付

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    第一節 通則

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第七条

 この法律による  保険給付 は、次に掲げる保険給付とする。

一  労働者の業務上の  負傷 、疾病、  障害 又は死亡(  以下 「業務災害」という。)に関する保険給付

二  労働者の通勤による  負傷 、疾病、  障害 又は死亡(  以下 「通勤災害」という。)に関する保険給付

三  二次健康診断等給付

○2  前項第二号の通勤とは、  労働者 が、就業に関し、次に掲げる  移動 を、合理的な  経路 及び方法により行うことをいい、  業務 の性質を有するものを除くものとする。

一  住居と就業の  場所 との間の往復

二  厚生労働省令で定める就業の  場所 から他の就業の  場所 への移動

三  第一号に掲げる往復に  先行 し、又は後続する  住居間 の移動(  厚生労働省令 で定める要件に  該当 するものに限る。)

○3  労働者が、前項各号に掲げる  移動 の経路を  逸脱 し、又は同項各号に掲げる  移動 を中断した  場合 においては、当該逸脱又は  中断 の間及びその後の同項各号に掲げる  移動 は、第一項第二号の  通勤 としない。ただし、当該逸脱又は  中断 が、日常生活上必要な  行為 であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない  事由 により行うための最小限度のものである  場合 は、当該逸脱又は  中断 の間を除き、この限りでない。

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第八条

 給付基礎日額は、労働基準法第十二条 の  平均賃金 に相当する額とする。この  場合 において、同条第一項 の  平均賃金 を算定すべき  事由 の発生した日は、  前条第一項第一号 及び第二号に  規定 する負傷若しくは  死亡 の原因である  事故 が発生した日又は  診断 によつて同項第一号及び  第二号 に規定する  疾病 の発生が  確定 した日(以下「  算定事由発生日 」という。)とする。

○2  労働基準法第十二条 の平均賃金に  相当 する額を給付基礎日額とすることが  適当 でないと認められるときは、前項の  規定 にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによつて  政府 が算定する額を  給付基礎日額 とする。

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第八条の二

 休業補償給付又は休業給付(  以下 この条において「休業補償給付等」という。)の額の  算定 の基礎として用いる  給付基礎日額 (以下この条において「  休業給付基礎日額 」という。)については、次に定めるところによる。

一  次号に規定する  休業補償給付等以外 の休業補償給付等については、  前条 の規定により  給付基礎日額 として算定した額を  休業給付基礎日額 とする。

二  一月から三月まで、  四月 から六月まで、  七月 から九月まで及び  十月 から十二月までの  各区分 による期間(  以下 この条において「四半期」という。)ごとの  平均給与額 (厚生労働省において  作成 する毎月勤労統計における  毎月 きまつて支給する  給与 の額を基礎として  厚生労働省令 で定めるところにより算定した  労働者一人当 たりの給与の  一箇月平均額 をいう。以下この号において同じ。)が、  算定事由発生日 の属する四半期(この号の  規定 により算定した額(  以下 この号において「改定日額」という。)を  休業給付基礎日額 とすることとされている場合にあつては、  当該改定日額 を休業補償給付等の額の  算定 の基礎として用いるべき  最初 の四半期の  前々四半期 )の平均給与額の  百分 の百十を超え、又は  百分 の九十を下るに至つた  場合 において、その上昇し、又は  低下 するに至

○2  休業補償給付等を支給すべき  事由 が生じた日が当該休業補償給付等に係る  療養 を開始した日から  起算 して一年六箇月を  経過 した日以後の日である  場合 において、次の各号に掲げる  場合 に該当するときは、  前項 の規定にかかわらず、  当該各号 に定める額を休業給付基礎日額とする。

一  前項の規定により  休業給付基礎日額 として算定した額が、  厚生労働省令 で定める年齢階層(  以下 この条において単に「年齢階層」という。)ごとに  休業給付基礎日額 の最低限度額として  厚生労働大臣 が定める額のうち、当該休業補償給付等を受けるべき  労働者 の当該休業補償給付等を  支給 すべき事由が生じた日の属する  四半期 の初日(  次号 において「基準日」という。)における  年齢 の属する年齢階層に係る額に満たない  場合 当該年齢階層 に係る額

二  前項の規定により  休業給付基礎日額 として算定した額が、  年齢階層 ごとに休業給付基礎日額の  最高限度額 として厚生労働大臣が定める額のうち、  当該休業補償給付等 を受けるべき労働者の  基準日 における年齢の属する  年齢階層 に係る額を超える場合 当該年齢階層に係る額

○3  前項第一号の厚生労働大臣が定める額は、  毎年 、年齢階層ごとに、  厚生労働省令 で定めるところにより、当該年齢階層に属するすべての  労働者 を、その受けている一月当たりの  賃金 の額(以下この項において「  賃金月額 」という。)の高低に従い、  二十 の階層に  区分 し、その区分された  階層 のうち最も低い賃金月額に係る  階層 に属する労働者の受けている  賃金月額 のうち最も高いものを基礎とし、  労働者 の年齢階層別の  就業状態 その他の事情を  考慮 して定めるものとする。

○4  前項の規定は、  第二項第二号 の厚生労働大臣が定める額について  準用 する。この場合において、  前項中 「最も低い賃金月額に係る」とあるのは、「最も高い  賃金月額 に係る階層の  直近下位 の」と読み替えるものとする。

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第八条の三

 年金たる保険給付の額の  算定 の基礎として用いる  給付基礎日額 (以下この条において「  年金給付基礎日額 」という。)については、次に定めるところによる。

一  算定事由発生日の属する年度(  四月一日 から翌年三月三十一日までをいう。  以下同 じ。)の翌々年度の  七月以前 の分として支給する  年金 たる保険給付については、  第八条 の規定により  給付基礎日額 として算定した額を  年金給付基礎日額 とする。

二  算定事由発生日の属する年度の  翌々年度 の八月以後の分として  支給 する年金たる  保険給付 については、第八条の  規定 により給付基礎日額として  算定 した額に当該年金たる  保険給付 を支給すべき月の属する  年度 の前年度(  当該月 が四月から  七月 までの月に該当する  場合 にあつては、前々年度)の  平均給与額 (厚生労働省において  作成 する毎月勤労統計における  毎月 きまつて支給する  給与 の額を基礎として  厚生労働省令 で定めるところにより算定した  労働者一人当 たりの給与の  平均額 をいう。以下この号及び  第十六条 の六第二項において同じ。)を  算定事由発生日 の属する年度の  平均給与額 で除して得た率を基準として  厚生労働大臣 が定める率を乗じて得た額を年金給付基礎日額とする。

○2  前条第二項から第四項までの  規定 は、年金給付基礎日額について  準用 する。この場合において、  同条第二項中 「前項」とあるのは「  次条第一項 」と、同項第一号中「  休業補償給付等 」とあるのは「年金たる  保険給付 」と、「支給すべき  事由 が生じた日」とあるのは「支給すべき月」と、「  四半期 の初日(  次号 」とあるのは「年度の  八月一日 (当該月が  四月 から七月までの月に  該当 する場合にあつては、  当該年度 の前年度の  八月一日 。以下この項」と、「  年齢 の」とあるのは「年齢(  遺族補償年金 又は遺族年金を  支給 すべき場合にあつては、  当該支給 をすべき事由に係る  労働者 の死亡がなかつたものとして  計算 した場合に得られる  当該労働者 の基準日における  年齢 。次号において同じ。)の」と、  同項第二号中 「休業補償給付等」とあるのは「  年金 たる保険給付」と読み替

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第八条の四

 前条第一項の規定は、  障害補償一時金 若しくは遺族補償一時金又は  障害一時金 若しくは遺族一時金の額の  算定 の基礎として用いる  給付基礎日額 について準用する。この  場合 において、同項中「の分として  支給 する」とあるのは「に支給すべき  事由 が生じた」と、「支給すべき月」とあるのは「  支給 すべき事由が生じた月」と読み替えるものとする。

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第八条の五

 給付基礎日額に一円未満の  端数 があるときは、これを一円に切り上げるものとする。

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第九条

 年金たる保険給付の  支給 は、支給すべき  事由 が生じた月の翌月から始め、  支給 を受ける権利が  消滅 した月で終わるものとする。

○2  年金たる保険給付は、その  支給 を停止すべき  事由 が生じたときは、その事由が生じた月の  翌月 からその事由が  消滅 した月までの間は、支給しない。

○3  年金たる保険給付は、  毎年二月 、四月、  六月 、八月、  十月 及び十二月の  六期 に、それぞれその前月分までを  支払 う。ただし、支給を受ける  権利 が消滅した  場合 におけるその期の年金たる  保険給付 は、支払期月でない月であつても、  支払 うものとする。

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第十条

 船舶が沈没し、  転覆 し、滅失し、若しくは  行方不明 となつた際現にその  船舶 に乗つていた労働者若しくは  船舶 に乗つていてその船舶の  航行中 に行方不明となつた  労働者 の生死が  三箇月間 わからない場合又はこれらの  労働者 の死亡が  三箇月以内 に明らかとなり、かつ、その死亡の  時期 がわからない場合には、  遺族補償給付 、葬祭料、  遺族給付 及び葬祭給付の  支給 に関する規定の  適用 については、その船舶が  沈没 し、転覆し、  滅失 し、若しくは行方不明となつた日又は  労働者 が行方不明となつた日に、  当該労働者 は、死亡したものと  推定 する。航空機が  墜落 し、滅失し、若しくは  行方不明 となつた際現にその  航空機 に乗つていた労働者若しくは  航空機 に乗つていてその航空機の  航行中行方不明 となつた労働者の  生死 が三箇月間わからない  場合 又はこれらの労働者の  死亡 が三箇月以

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第十一条

 この法律に基づく  保険給付 を受ける権利を有する者が  死亡 した場合において、その  死亡 した者に支給すべき  保険給付 でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の  配偶者 (婚姻の  届出 をしていないが、事実上婚姻関係と  同様 の事情にあつた者を含む。  以下同 じ。)、子、父母、孫、  祖父母 又は兄弟姉妹であつて、その者の  死亡 の当時その者と  生計 を同じくしていたもの(遺族補償年金については  当該遺族補償年金 を受けることができる他の遺族、  遺族年金 については当該遺族年金を受けることができる他の  遺族 )は、自己の名で、その  未支給 の保険給付の  支給 を請求することができる。

○2  前項の場合において、  死亡 した者が死亡前にその  保険給付 を請求していなかつたときは、  同項 に規定する者は、  自己 の名で、その保険給付を  請求 することができる。

○3  未支給の保険給付を受けるべき者の  順位 は、第一項に  規定 する順序(  遺族補償年金 については第十六条の  二第三項 に、遺族年金については  第二十二条 の四第三項において  準用 する第十六条の  二第三項 に規定する  順序 )による。

○4  未支給の保険給付を受けるべき  同順位者 が二人以上あるときは、その  一人 がした請求は、  全員 のためその全額につきしたものとみなし、その  一人 に対してした支給は、  全員 に対してしたものとみなす。

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第十二条

 年金たる保険給付の  支給 を停止すべき  事由 が生じたにもかかわらず、その停止すべき  期間 の分として年金たる  保険給付 が支払われたときは、その  支払 われた年金たる  保険給付 は、その後に支払うべき  年金 たる保険給付の  内払 とみなすことができる。年金たる  保険給付 を減額して  改定 すべき事由が生じたにもかかわらず、その  事由 が生じた月の翌月以後の分として  減額 しない額の年金たる  保険給付 が支払われた  場合 における当該年金たる  保険給付 の当該減額すべきであつた  部分 についても、同様とする。

○2  同一の業務上の  事由 又は通勤による  負傷 又は疾病(  以下 この条において「同一の  傷病 」という。)に関し、年金たる  保険給付 (遺族補償年金及び  遺族年金 を除く。以下この項において「  乙年金 」という。)を受ける権利を有する  労働者 が他の年金たる  保険給付 (遺族補償年金及び  遺族年金 を除く。以下この項において「  甲年金 」という。)を受ける権利を有することとなり、かつ、  乙年金 を受ける権利が  消滅 した場合において、その  消滅 した月の翌月以後の分として  乙年金 が支払われたときは、その  支払 われた乙年金は、  甲年金 の内払とみなす。  同一 の傷病に関し、  年金 たる保険給付(  遺族補償年金 及び遺族年金を除く。)を受ける  権利 を有する労働者が  休業補償給付 若しくは休業給付又は  障害補償一時金 若しくは障害一時金を受ける  権利 を有することとなり、かつ、当

○3  同一の傷病に関し、  休業補償給付 又は休業給付を受けている  労働者 が障害補償給付若しくは  傷病補償年金 又は障害給付若しくは  傷病年金 を受ける権利を有することとなり、かつ、  休業補償給付 又は休業給付を行わないこととなつた  場合 において、その後も休業補償給付又は  休業給付 が支払われたときは、その  支払 われた休業補償給付又は  休業給付 は、当該障害補償給付若しくは  傷病補償年金 又は障害給付若しくは  傷病年金 の内払とみなす。

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第十二条の二

 年金たる保険給付を受ける  権利 を有する者が死亡したためその  支給 を受ける権利が  消滅 したにもかかわらず、その死亡の日の属する月の  翌月以後 の分として当該年金たる  保険給付 の過誤払が行われた  場合 において、当該過誤払による  返還金 に係る債権(  以下 この条において「返還金債権」という。)に係る  債務 の弁済をすべき者に  支払 うべき保険給付があるときは、  厚生労働省令 で定めるところにより、当該保険給付の  支払金 の金額を  当該過誤払 による返還金債権の  金額 に充当することができる。

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第十二条の二の二

 労働者が、故意に  負傷 、疾病、  障害 若しくは死亡又はその  直接 の原因となつた  事故 を生じさせたときは、政府は、  保険給付 を行わない。

○2  労働者が故意の  犯罪行為 若しくは重大な  過失 により、又は正当な  理由 がなくて療養に関する  指示 に従わないことにより、負傷、  疾病 、障害若しくは  死亡 若しくはこれらの原因となつた  事故 を生じさせ、又は負傷、  疾病 若しくは障害の  程度 を増進させ、若しくはその  回復 を妨げたときは、政府は、  保険給付 の全部又は  一部 を行わないことができる。

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第十二条の三

 偽りその他不正の  手段 により保険給付を受けた者があるときは、  政府 は、その保険給付に要した  費用 に相当する  金額 の全部又は  一部 をその者から徴収することができる。

○2  前項の場合において、  事業主 (徴収法第八条第一項 又は  第二項 の規定により  元請負人 が事業主とされる  場合 にあつては、当該元請負人。  以下同 じ。)が虚偽の  報告 又は証明をしたためその  保険給付 が行なわれたものであるときは、政府は、その  事業主 に対し、保険給付を受けた者と  連帯 して前項の  徴収金 を納付すべきことを命ずることができる。

○3  徴収法第二十六条 、第二十八条、  第二十九条 及び第四十一条の  規定 は、前二項の  規定 による徴収金について  準用 する。

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第十二条の四

 政府は、保険給付の  原因 である事故が  第三者 の行為によつて生じた  場合 において、保険給付をしたときは、その  給付 の価額の  限度 で、保険給付を受けた者が  第三者 に対して有する損害賠償の  請求権 を取得する。

○2  前項の場合において、  保険給付 を受けるべき者が当該第三者から  同一 の事由について  損害賠償 を受けたときは、政府は、その  価額 の限度で  保険給付 をしないことができる。

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第十二条の五

 保険給付を受ける権利は、  労働者 の退職によつて  変更 されることはない。

○2  保険給付を受ける権利は、譲り渡し、  担保 に供し、又は差し押さえることができない。ただし、年金たる  保険給付 を受ける権利を  独立行政法人福祉医療機構法 (平成十四年法律第百六十六号)の定めるところにより  独立行政法人福祉医療機構 に担保に供する  場合 は、この限りでない。

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第十二条の六

 租税その他の公課は、  保険給付 として支給を受けた  金品 を標準として課することはできない。

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第十二条の七

 保険給付を受ける権利を有する者は、  厚生労働省令 で定めるところにより、政府に対して、  保険給付 に関し必要な  厚生労働省令 で定める事項を届け出、又は  保険給付 に関し必要な  厚生労働省令 で定める書類その他の  物件 を提出しなければならない。

    第二節 業務災害に関する保険給付

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第十二条の八

 第七条第一項第一号の業務災害に関する  保険給付 は、次に掲げる保険給付とする。

一  療養補償給付

二  休業補償給付

三  障害補償給付

四  遺族補償給付

五  葬祭料

六  傷病補償年金

七  介護補償給付

○2  前項の保険給付(  傷病補償年金 及び介護補償給付を除く。)は、  労働基準法第七十五条 から第七十七条 まで、  第七十九条 及び第八十条に  規定 する災害補償の  事由 が生じた場合に、  補償 を受けるべき労働者若しくは  遺族 又は葬祭を行う者に対し、その  請求 に基づいて行う。

○3  傷病補償年金は、業務上負傷し、又は  疾病 にかかつた労働者が、  当該負傷 又は疾病に係る  療養 の開始後一年六箇月を  経過 した日において次の各号のいずれにも  該当 するとき、又は同日後次の  各号 のいずれにも該当することとなつたときに、その  状態 が継続している間、  当該労働者 に対して支給する。

一  当該負傷又は疾病が治つていないこと。

二  当該負傷又は疾病による  障害 の程度が  厚生労働省令 で定める傷病等級に  該当 すること。

○4  介護補償給付は、障害補償年金又は  傷病補償年金 を受ける権利を有する  労働者 が、その受ける権利を有する  障害補償年金 又は傷病補償年金の  支給事由 となる障害であつて  厚生労働省令 で定める程度のものにより、  常時 又は随時介護を要する  状態 にあり、かつ、常時又は  随時介護 を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く。)、  当該労働者 に対し、その請求に基づいて行う。

一  障害者自立支援法 (平成十七年法律第百二十三号)  第五条第十二項 に規定する  障害者支援施設 (以下「  障害者支援施設 」という。)に入所している間(  同条第六項 に規定する  生活介護 (以下「  生活介護 」という。)を受けている場合に限る。)

二  障害者支援施設(生活介護を行うものに限る。)に準ずる  施設 として厚生労働大臣が定めるものに  入所 している間

三  病院又は診療所に  入院 している間

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第十三条

 療養補償給付は、療養の  給付 とする。

○2  前項の療養の  給付 の範囲は、次の  各号 (政府が  必要 と認めるものに限る。)による。

一  診察

二  薬剤又は治療材料の支給

三  処置、手術その他の治療

四  居宅における療養上の  管理 及びその療養に伴う  世話 その他の看護

五  病院又は診療所への  入院 及びその療養に伴う  世話 その他の看護

六  移送

○3  政府は、第一項の  療養 の給付をすることが  困難 な場合その  他厚生労働省令 で定める場合には、  療養 の給付に代えて  療養 の費用を  支給 することができる。

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第十四条

 休業補償給付は、労働者が  業務上 の負傷又は  疾病 による療養のため  労働 することができないために賃金を受けない日の  第四日目 から支給するものとし、その額は、  一日 につき給付基礎日額の  百分 の六十に  相当 する額とする。ただし、労働者が  業務上 の負傷又は  疾病 による療養のため  所定労働時間 のうちその一部分についてのみ  労働 する日に係る休業補償給付の額は、  給付基礎日額 (第八条の  二第二項第二号 に定める額(以下この項において「  最高限度額 」という。)を給付基礎日額とすることとされている  場合 にあつては、同号の  規定 の適用がないものとした  場合 における給付基礎日額)から  当該労働 に対して支払われる  賃金 の額を控除して得た額(  当該控除 して得た額が最高限度額を超える  場合 にあつては、最高限度額に  相当 する額)の百分の  六十 に相当する額とする。

○2  休業補償給付を受ける労働者が  同一 の事由について  厚生年金保険法 (昭和二十九年法律第百十五号)の  規定 による障害厚生年金又は  国民年金法 (昭和三十四年法律第百四十一号)の  規定 による障害基礎年金を受けることができるときは、  当該労働者 に支給する  休業補償給付 の額は、前項の  規定 にかかわらず、同項の額に  別表第一第一号 から第三号までに  規定 する場合に応じ、それぞれ  同表第一号 から第三号までの  政令 で定める率のうち傷病補償年金について定める率を乗じて得た額(その額が  政令 で定める額を下回る  場合 には、当該政令で定める額)とする。

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第十四条の二

 労働者が次の各号のいずれかに  該当 する場合(  厚生労働省令 で定める場合に限る。)には、  休業補償給付 は、行わない。

一  刑事施設、労役場その他これらに準ずる  施設 に拘禁されている場合

二  少年院その他これに準ずる施設に  収容 されている場合

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第十五条

 障害補償給付は、厚生労働省令で定める  障害等級 に応じ、障害補償年金又は  障害補償一時金 とする。

○2  障害補償年金又は障害補償一時金の額は、それぞれ、  別表第一 又は別表第二に  規定 する額とする。

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第十五条の二

 障害補償年金を受ける労働者の  当該障害 の程度に  変更 があつたため、新たに別表第一又は  別表第二中 の他の障害等級に  該当 するに至つた場合には、  政府 は、厚生労働省令で定めるところにより、新たに  該当 するに至つた障害等級に応ずる  障害補償年金 又は障害補償一時金を  支給 するものとし、その後は、従前の  障害補償年金 は、支給しない。

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第十六条

 遺族補償給付は、遺族補償年金又は  遺族補償一時金 とする。

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第十六条の二

 遺族補償年金を受けることができる遺族は、  労働者 の配偶者、子、  父母 、孫、祖父母及び  兄弟姉妹 であつて、労働者の  死亡 の当時その  収入 によつて生計を  維持 していたものとする。ただし、妻(婚姻の  届出 をしていないが、事実上婚姻関係と  同様 の事情にあつた者を含む。  以下同 じ。)以外の者にあつては、  労働者 の死亡の  当時次 の各号に掲げる  要件 に該当した  場合 に限るものとする。

一  夫(婚姻の  届出 をしていないが、事実上婚姻関係と  同様 の事情にあつた者を含む。  以下同 じ。)、父母又は  祖父母 については、六十歳以上であること。

二  子又は孫については、十八歳に達する  日以後 の最初の  三月三十一日 までの間にあること。

三  兄弟姉妹については、十八歳に達する  日以後 の最初の  三月三十一日 までの間にあること又は六十歳以上であること。

四  前三号の要件に  該当 しない夫、子、父母、孫、  祖父母 又は兄弟姉妹については、  厚生労働省令 で定める障害の  状態 にあること。

○2  労働者の死亡の  当時胎児 であつた子が出生したときは、  前項 の規定の  適用 については、将来に向かつて、その子は、  労働者 の死亡の  当時 その収入によつて  生計 を維持していた子とみなす。

○3  遺族補償年金を受けるべき遺族の  順位 は、配偶者、子、  父母 、孫、祖父母及び  兄弟姉妹 の順序とする。

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第十六条の三

 遺族補償年金の額は、別表第一に  規定 する額とする。

○2  遺族補償年金を受ける権利を有する者が  二人以上 あるときは、遺族補償年金の額は、  前項 の規定にかかわらず、  別表第一 に規定する額をその  人数 で除して得た額とする。

○3  遺族補償年金の額の算定の  基礎 となる遺族の数に  増減 を生じたときは、その増減を生じた月の  翌月 から、遺族補償年金の額を  改定 する。

○4  遺族補償年金を受ける権利を有する  遺族 が妻であり、かつ、当該妻と  生計 を同じくしている遺族補償年金を受けることができる  遺族 がない場合において、  当該妻 が次の各号の一に  該当 するに至つたときは、その該当するに至つた月の  翌月 から、遺族補償年金の額を  改定 する。

一  五十五歳に達したとき(別表第一の  厚生労働省令 で定める障害の  状態 にあるときを除く。)。

二  別表第一の厚生労働省令で定める  障害 の状態になり、又はその  事情 がなくなつたとき(五十五歳以上であるときを除く。)。

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第十六条の四

 遺族補償年金を受ける権利は、その  権利 を有する遺族が次の  各号 の一に該当するに至つたときは、  消滅 する。この場合において、  同順位者 がなくて後順位者があるときは、  次順位者 に遺族補償年金を  支給 する。

一  死亡したとき。

二  婚姻(届出をしていないが、  事実上婚姻関係 と同様の  事情 にある場合を含む。)をしたとき。

三  直系血族又は直系姻族以外の者の  養子 (届出をしていないが、  事実上養子縁組関係 と同様の  事情 にある者を含む。)となつたとき。

四  離縁によつて、死亡した  労働者 との親族関係が  終了 したとき。

五  子、孫又は兄弟姉妹については、  十八歳 に達した日以後の  最初 の三月三十一日が  終了 したとき(労働者の  死亡 の時から引き続き第十六条の  二第一項第四号 の厚生労働省令で定める  障害 の状態にあるときを除く。)。

六  第十六条の二第一項第四号の  厚生労働省令 で定める障害の  状態 にある夫、子、父母、孫、  祖父母 又は兄弟姉妹については、その  事情 がなくなつたとき(夫、父母又は  祖父母 については、労働者の  死亡 の当時六十歳以上であつたとき、子又は孫については、  十八歳 に達する日以後の  最初 の三月三十一日までの間にあるとき、  兄弟姉妹 については、十八歳に達する  日以後 の最初の  三月三十一日 までの間にあるか又は労働者の  死亡 の当時六十歳以上であつたときを除く。)。

○2  遺族補償年金を受けることができる遺族が  前項各号 の一に該当するに至つたときは、その者は、  遺族補償年金 を受けることができる遺族でなくなる。

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第十六条の五

 遺族補償年金を受ける権利を有する者の  所在 が一年以上明らかでない  場合 には、当該遺族補償年金は、  同順位者 があるときは同順位者の、  同順位者 がないときは次順位者の  申請 によつて、その所在が明らかでない間、その  支給 を停止する。この  場合 において、同順位者がないときは、その間、  次順位者 を先順位者とする。

○2  前項の規定により  遺族補償年金 の支給を  停止 された遺族は、いつでも、その  支給 の停止の  解除 を申請することができる。

○3  第十六条の三第三項の  規定 は、第一項の  規定 により遺族補償年金の  支給 が停止され、又は  前項 の規定によりその  停止 が解除された  場合 に準用する。この  場合 において、同条第三項中「  増減 を生じた月」とあるのは、「支給が  停止 され、又はその停止が  解除 された月」と読み替えるものとする。

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第十六条の六

 遺族補償一時金は、次の場合に  支給 する。

一  労働者の死亡の  当時遺族補償年金 を受けることができる遺族がないとき。

二  遺族補償年金を受ける権利を有する者の  権利 が消滅した  場合 において、他に当該遺族補償年金を受けることができる  遺族 がなく、かつ、当該労働者の  死亡 に関し支給された  遺族補償年金 の額の合計額が  当該権利 が消滅した日において  前号 に掲げる場合に  該当 することとなるものとしたときに支給されることとなる  遺族補償一時金 の額に満たないとき。

○2  前項第二号に規定する  遺族補償年金 の額の合計額を  計算 する場合には、  同号 に規定する  権利 が消滅した日の属する  年度 (当該権利が  消滅 した日の属する月が四月から  七月 までの月に該当する  場合 にあつては、その前年度。  以下 この項において同じ。)の七月以前の分として  支給 された遺族補償年金の額については、その現に  支給 された額に当該権利が  消滅 した日の属する年度の  前年度 の平均給与額を  当該遺族補償年金 の支給の  対象 とされた月の属する年度の  前年度 (当該月が  四月 から七月までの月に  該当 する場合にあつては、  前々年度 )の平均給与額で除して得た率を  基準 として厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額により  算定 するものとする。

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第十六条の七

 遺族補償一時金を受けることができる遺族は、次の  各号 に掲げる者とする。

一  配偶者

二  労働者の死亡の  当時 その収入によつて  生計 を維持していた子、  父母 、孫及び祖父母

三  前号に該当しない子、  父母 、孫及び祖父母並びに兄弟姉妹

○2  遺族補償一時金を受けるべき遺族の  順位 は、前項各号の  順序 により、同項第二号及び  第三号 に掲げる者のうちにあつては、それぞれ、当該各号に掲げる  順序 による。

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第十六条の八

 遺族補償一時金の額は、別表第二に  規定 する額とする。

○2  第十六条の三第二項の  規定 は、遺族補償一時金の額について  準用 する。この場合において、  同項中 「別表第一」とあるのは、「  別表第二 」と読み替えるものとする。

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第十六条の九

 労働者を故意に  死亡 させた者は、遺族補償給付を受けることができる  遺族 としない。

○2  労働者の死亡前に、  当該労働者 の死亡によつて  遺族補償年金 を受けることができる先順位又は  同順位 の遺族となるべき者を  故意 に死亡させた者は、  遺族補償年金 を受けることができる遺族としない。

○3  遺族補償年金を受けることができる遺族を  故意 に死亡させた者は、  遺族補償一時金 を受けることができる遺族としない。  労働者 の死亡前に、  当該労働者 の死亡によつて  遺族補償年金 を受けることができる遺族となるべき者を  故意 に死亡させた者も、  同様 とする。

○4  遺族補償年金を受けることができる遺族が、  遺族補償年金 を受けることができる先順位又は  同順位 の他の遺族を  故意 に死亡させたときは、その者は、  遺族補償年金 を受けることができる遺族でなくなる。この  場合 において、その者が遺族補償年金を受ける  権利 を有する者であるときは、その権利は、  消滅 する。

○5  前項後段の場合には、  第十六条 の四第一項後段の  規定 を準用する。

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第十七条

 葬祭料は、通常葬祭に要する  費用 を考慮して  厚生労働大臣 が定める金額とする。

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第十八条

 傷病補償年金は、第十二条の  八第三項第二号 の厚生労働省令で定める  傷病等級 に応じ、別表第一に  規定 する額とする。

○2  傷病補償年金を受ける者には、休業補償給付は、行わない。 

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第十八条の二

 傷病補償年金を受ける労働者の  当該障害 の程度に  変更 があつたため、新たに別表第一中の他の  傷病等級 に該当するに至つた  場合 には、政府は、  厚生労働省令 で定めるところにより、新たに該当するに至つた  傷病等級 に応ずる傷病補償年金を  支給 するものとし、その後は、従前の  傷病補償年金 は、支給しない。

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第十九条

 業務上負傷し、又は疾病にかかつた  労働者 が、当該負傷又は  疾病 に係る療養の  開始後三年 を経過した日において  傷病補償年金 を受けている場合又は  同日後 において傷病補償年金を受けることとなつた  場合 には、労働基準法第十九条第一項 の  規定 の適用については、  当該使用者 は、それぞれ、当該三年を  経過 した日又は傷病補償年金を受けることとなつた日において、  同法第八十一条 の規定により  打切補償 を支払つたものとみなす。

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第十九条の二

 介護補償給付は、月を単位として  支給 するものとし、その月額は、  常時 又は随時介護を受ける  場合 に通常要する  費用 を考慮して  厚生労働大臣 が定める額とする。

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第二十条

 この節に定めるもののほか、業務災害に関する  保険給付 について必要な  事項 は、厚生労働省令で定める。

    第三節 通勤災害に関する保険給付

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第二十一条

 第七条第一項第二号の通勤災害に関する  保険給付 は、次に掲げる保険給付とする。

一  療養給付

二  休業給付

三  障害給付

四  遺族給付

五  葬祭給付

六  傷病年金

七  介護給付

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第二十二条

 療養給付は、労働者が  通勤 (第七条第一項第二号の  通勤 をいう。以下同じ。)により  負傷 し、又は疾病(  厚生労働省令 で定めるものに限る。以下この節において同じ。)にかかつた  場合 に、当該労働者に対し、その  請求 に基づいて行なう。

○2  第十三条の規定は、  療養給付 について準用する。

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第二十二条の二

 休業給付は、労働者が  通勤 による負傷又は  疾病 に係る療養のため  労働 することができないために賃金を受けない  場合 に、当該労働者に対し、その  請求 に基づいて行なう。

○2  第十四条及び第十四条の二の  規定 は、休業給付について  準用 する。この場合において、  第十四条第一項中 「業務上の」とあるのは「  通勤 による」と、同条第二項中「  別表第一第一号 から第三号までに  規定 する場合に応じ、それぞれ  同表第一号 から第三号までの  政令 で定める率のうち傷病補償年金について定める率」とあるのは「  第二十三条第二項 において準用する  別表第一第一号 から第三号までに  規定 する場合に応じ、それぞれ  同表第一号 から第三号までの  政令 で定める率のうち傷病年金について定める率」と読み替えるものとする。

○3  療養給付を受ける労働者(  第三十一条第二項 の厚生労働省令で定める者を除く。)に  支給 する休業給付であつて  最初 に支給すべき  事由 の生じた日に係るものの額は、前項において  準用 する第十四条第一項の  規定 にかかわらず、同項の額から  第三十一条第二項 の厚生労働省令で定める額に  相当 する額を減じた額とする。

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第二十二条の三

 障害給付は、労働者が  通勤 により負傷し、又は  疾病 にかかり、なおつたとき身体に  障害 が存する場合に、  当該労働者 に対し、その請求に基づいて行なう。

○2  障害給付は、第十五条第一項の  厚生労働省令 で定める障害等級に応じ、  障害年金 又は障害一時金とする。

○3  第十五条第二項及び第十五条の  二並 びに別表第一(  障害補償年金 に係る部分に限る。)及び  別表第二 (障害補償一時金に係る  部分 に限る。)の規定は、  障害給付 について準用する。この  場合 において、これらの規定中「  障害補償年金 」とあるのは「障害年金」と、「  障害補償一時金 」とあるのは「障害一時金」と読み替えるものとする。

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第二十二条の四

 遺族給付は、労働者が  通勤 により死亡した  場合 に、当該労働者の  遺族 に対し、その請求に基づいて行なう。

○2  遺族給付は、遺族年金又は  遺族一時金 とする。

○3  第十六条の二から第十六条の九まで並びに  別表第一 (遺族補償年金に係る  部分 に限る。)及び別表第二(  遺族補償一時金 に係る部分に限る。)の  規定 は、遺族給付について  準用 する。この場合において、これらの  規定中 「遺族補償年金」とあるのは「  遺族年金 」と、「遺族補償一時金」とあるのは「  遺族一時金 」と読み替えるものとする。

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第二十二条の五

 葬祭給付は、労働者が  通勤 により死亡した  場合 に、葬祭を行なう者に対し、その  請求 に基づいて行なう。

○2  第十七条の規定は、  葬祭給付 について準用する。

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第二十三条

 傷病年金は、通勤により  負傷 し、又は疾病にかかつた  労働者 が、当該負傷又は  疾病 に係る療養の  開始後一年六箇月 を経過した日において次の  各号 のいずれにも該当するとき、又は  同日後次 の各号のいずれにも  該当 することとなつたときに、その状態が  継続 している間、当該労働者に対して  支給 する。

一  当該負傷又は疾病が治つていないこと。

二  当該負傷又は疾病による  障害 の程度が  第十二条 の八第三項第二号の  厚生労働省令 で定める傷病等級に  該当 すること。

○2  第十八条、第十八条の二及び  別表第一 (傷病補償年金に係る  部分 に限る。)の規定は、  傷病年金 について準用する。この  場合 において、第十八条第二項中「  休業補償給付 」とあるのは「休業給付」と、  同表中 「傷病補償年金」とあるのは「  傷病年金 」と読み替えるものとする。

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第二十四条

 介護給付は、障害年金又は  傷病年金 を受ける権利を有する  労働者 が、その受ける権利を有する  障害年金 又は傷病年金の  支給事由 となる障害であつて  第十二条 の八第四項の  厚生労働省令 で定める程度のものにより、  常時 又は随時介護を要する  状態 にあり、かつ、常時又は  随時介護 を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く。)、  当該労働者 に対し、その請求に基づいて行う。

一  障害者支援施設に入所している間(  生活介護 を受けている場合に限る。)

二  第十二条の八第四項第二号の  厚生労働大臣 が定める施設に  入所 している間

三  病院又は診療所に  入院 している間

○2  第十九条の二の規定は、  介護給付 について準用する。

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第二十五条

 この節に定めるもののほか、通勤災害に関する  保険給付 について必要な  事項 は、厚生労働省令で定める。

    第四節 二次健康診断等給付

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第二十六条

 二次健康診断等給付は、労働安全衛生法 (  昭和四十七年法律第五十七号 )第六十六条第一項 の  規定 による健康診断又は  当該健康診断 に係る同条第五項 ただし書の  規定 による健康診断のうち、  直近 のもの(以下この項において「  一次健康診断 」という。)において、血圧検査、  血液検査 その他業務上の  事由 による脳血管疾患及び  心臓疾患 の発生にかかわる  身体 の状態に関する  検査 であつて、厚生労働省令で定めるものが行われた  場合 において、当該検査を受けた  労働者 がそのいずれの項目にも  異常 の所見があると  診断 されたときに、当該労働者(  当該一次健康診断 の結果その他の  事情 により既に脳血管疾患又は  心臓疾患 の症状を有すると認められるものを除く。)に対し、その  請求 に基づいて行う。

○2  二次健康診断等給付の範囲は、次のとおりとする。

一  脳血管及び心臓の  状態 を把握するために  必要 な検査(  前項 に規定する  検査 を除く。)であつて厚生労働省令で定めるものを行う  医師 による健康診断(  一年度 につき一回に限る。  以下 この節において「二次健康診断」という。)

二  二次健康診断の結果に基づき、  脳血管疾患 及び心臓疾患の  発生 の予防を図るため、  面接 により行われる医師又は  保健師 による保健指導(  二次健康診断 ごとに一回に限る。  次項 において「特定保健指導」という。)

○3  政府は、二次健康診断の  結果 その他の事情により既に  脳血管疾患 又は心臓疾患の  症状 を有すると認められる労働者については、  当該二次健康診断 に係る特定保健指導を行わないものとする。

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第二十七条

 二次健康診断を受けた労働者から  当該二次健康診断 の実施の日から  三箇月 を超えない期間で  厚生労働省令 で定める期間内に  当該二次健康診断 の結果を  証明 する書面の  提出 を受けた事業者(  労働安全衛生法第二条第三号 に規定する  事業者 をいう。)に対する同法第六十六条の  四 の規定の  適用 については、同条 中「  健康診断 の結果(  当該健康診断 」とあるのは、「健康診断及び  労働者災害補償保険法第二十六条第二項第一号 に規定する  二次健康診断 の結果(これらの  健康診断 」とする。

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第二十八条

 この節に定めるもののほか、二次健康診断等給付について  必要 な事項は、  厚生労働省令 で定める。

   第三章の二 労働福祉事業

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第二十九条

 政府は、この保険の  適用事業 に係る労働者及びその  遺族 の福祉の  増進 を図るため、労働福祉事業として、次の  事業 を行うことができる。

一  療養に関する施設及びリハビリテーションに関する  施設 の設置及び  運営 その他業務災害及び  通勤災害 を被つた労働者(  次号 において「被災労働者」という。)の  円滑 な社会復帰を  促進 するために必要な事業

二  被災労働者の療養生活の  援護 、被災労働者の受ける  介護 の援護、その  遺族 の就学の  援護 、被災労働者及びその  遺族 が必要とする  資金 の貸付けによる  援護 その他被災労働者及びその  遺族 の援護を図るために  必要 な事業

三  業務災害の防止に関する  活動 に対する援助、  健康診断 に関する施設の  設置 及び運営その  他労働者 の安全及び  衛生 の確保のために  必要 な事業

四  賃金の支払の  確保 、労働条件に係る  事項 の管理に関する  事業主 に対する指導及び  援助 その他適正な  労働条件 の確保を図るために  必要 な事業

○2  前項各号に掲げる事業の  実施 に関して必要な  基準 は、厚生労働省令で定める。

○3  政府は、第一項の  労働福祉事業 のうち、独立行政法人労働者健康福祉機構法 (  平成十四年法律第百七十一号 )第十二条第一項 に掲げるものを  独立行政法人労働者健康福祉機構 に行わせるものとする。

   第四章 費用の負担

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第三十条

 労働者災害補償保険事業に要する費用にあてるため  政府 が徴収する  保険料 については、徴収法 の定めるところによる。

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第三十一条

 政府は、次の各号のいずれかに  該当 する事故について  保険給付 を行つたときは、厚生労働省令で定めるところにより、  業務災害 に関する保険給付にあつては  労働基準法 の規定による  災害補償 の価額の  限度 で、通勤災害に関する  保険給付 にあつては通勤災害を  業務災害 とみなした場合に  支給 されるべき業務災害に関する  保険給付 に相当する  同法 の規定による  災害補償 の価額の  限度 で、その保険給付に要した  費用 に相当する  金額 の全部又は  一部 を事業主から  徴収 することができる。

一  事業主が故意又は  重大 な過失により  徴収法第四条 の二第一項 の  規定 による届出であつてこの  保険 に係る保険関係の  成立 に係るものをしていない期間(  政府 が当該事業について  徴収法第十五条第三項 の規定による  決定 をしたときは、その決定後の  期間 を除く。)中に生じた事故

二  事業主が徴収法第十条第二項第一号の  一 般保険料 を納付しない  期間 (徴収法第二十六条第二項 の  督促状 に指定する  期限後 の期間に限る。)中に生じた事故

三  事業主が故意又は  重大 な過失により生じさせた  業務災害 の原因である事故

○2  政府は、療養給付を受ける  労働者 (厚生労働省令で定める者を除く。)から、  二百円 を超えない範囲内で  厚生労働省令 で定める額を一部負担金として  徴収 する。ただし、第二十二条の  二第四項 の規定により  減額 した休業給付の  支給 を受けた労働者については、この限りでない。

○3  政府は、前項の  労働者 から徴収する  同項 の一部負担金に充てるため、  厚生労働省令 で定めるところにより、当該労働者に  支払 うべき保険給付の額から  当該一部負担金 の額に相当する額を  控除 することができる。

○4  徴収法第二十六条 、第二十八条、  第二十九条 及び第四十一条の  規定 は、第一項又は  第二項 の規定による  徴収金 について準用する。

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第三十二条

 国庫は、予算の  範囲内 において、労働者災害補償保険事業に要する  費用 の一部を  補助 することができる。

   第四章の二 特別加入

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第三十三条

 次の各号に掲げる者(  第二号 、第四号及び  第五号 に掲げる者にあつては、労働者である者を除く。)の  業務災害 及び通勤災害に関しては、この章に定めるところによる。

一  厚生労働省令で定める数以下の  労働者 を使用する  事業 (厚生労働省令で定める  事業 を除く。第七号において「  特定事業 」という。)の事業主で  徴収法第三十三条第三項 の労働保険事務組合(  以下 「労働保険事務組合」という。)に  同条第一項 の労働保険事務の  処理 を委託するものである者(  事業主 が法人その他の  団体 であるときは、代表者)

二  前号の事業主が行う  事業 に従事する者

三  厚生労働省令で定める種類の  事業 を労働者を  使用 しないで行うことを常態とする者

四  前号の者が行う事業に  従事 する者

五  厚生労働省令で定める種類の  作業 に従事する者

六  この法律の  施行地外 の地域のうち  開発途上 にある地域に対する  技術協力 の実施の  事業 (事業の  期間 が予定される  事業 を除く。)を行う団体が、  当該団体 の業務の  実施 のため、当該開発途上にある  地域 (業務災害及び  通勤災害 に関する保護制度の  状況 その他の事情を  考慮 して厚生労働省令で定める国の  地域 を除く。)において行われる事業に  従事 させるために派遣する者

七  この法律の  施行地内 において事業(  事業 の期間が  予定 される事業を除く。)を行う  事業主 が、この法律の  施行地外 の地域(  業務災害 及び通勤災害に関する  保護制度 の状況その他の  事情 を考慮して  厚生労働省令 で定める国の地域を除く。)において行われる  事業 に従事させるために  派遣 する者(当該事業が  特定事業 に該当しないときは、  当該事業 に使用される  労働者 として派遣する者に限る。)

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第三十四条

 前条第一号の事業主が、  同号 及び同条第二号に掲げる者を  包括 して当該事業について  成立 する保険関係に基づきこの  保険 による業務災害及び  通勤災害 に関する保険給付を受けることができる者とすることにつき  申請 をし、政府の  承認 があつたときは、第三章第一節から  第三節 まで及び第三章の二の  規定 の適用については、次に定めるところによる。

一  前条第一号及び第二号に掲げる者は、  当該事業 に使用される  労働者 とみなす。

二  前条第一号又は第二号に掲げる者が  業務上負傷 し、若しくは疾病にかかつたとき、その  負傷 若しくは疾病についての  療養 のため当該事業に  従事 することができないとき、その負傷若しくは  疾病 が治つた場合において  身体 に障害が存するとき、又は  業務上死亡 したときは、労働基準法第七十五条 から  第七十七条 まで、第七十九条及び  第八十条 に規定する  災害補償 の事由が生じたものとみなす。

三  前条第一号及び第二号に掲げる者の  給付基礎日額 は、当該事業に  使用 される労働者の  賃金 の額その他の事情を  考慮 して厚生労働大臣が定める額とする。

四  前条第一号又は第二号に掲げる者の  事故 が徴収法第十条第二項第二号 の  第一種特別加入保険料 が滞納されている  期間中 に生じたものであるときは、政府は、  当該事故 に係る保険給付の  全部 又は一部を行わないことができる。これらの者の  業務災害 の原因である  事故 が前条第一号の  事業主 の故意又は  重大 な過失によつて生じたものであるときも、  同様 とする。

○2  前条第一号の事業主は、  前項 の承認があつた後においても、  政府 の承認を受けて、  同号 及び同条第二号に掲げる者を  包括 して保険給付を受けることができる者としないこととすることができる。

○3  政府は、前条第一号の  事業主 がこの法律若しくは  徴収法 又はこれらの法律に基づく  厚生労働省令 の規定に  違反 したときは、第一項の  承認 を取り消すことができる。

○4  前条第一号及び第二号に掲げる者の  保険給付 を受ける権利は、  第二項 の規定による  承認 又は前項の  規定 による第一項の  承認 の取消しによつて  変更 されない。これらの者が同条第一号及び  第二号 に掲げる者でなくなつたことによつても、同様とする。

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第三十五条

 第三十三条第三号に掲げる者の団体又は  同条第五号 に掲げる者の団体が、  当該団体 の構成員である  同条第三号 に掲げる者及びその者に係る同条第四号に掲げる者又は  当該団体 の構成員である  同条第五号 に掲げる者の業務災害及び  通勤災害 (これらの者のうち、住居と  就業 の場所との間の  往復 の状況等を  考慮 して厚生労働省令で定める者にあつては、  業務災害 に限る。)に関してこの保険の  適用 を受けることにつき申請をし、  政府 の承認があつたときは、  第三章第一節 から第三節まで(  当該厚生労働省令 で定める者にあつては、同章第一節及び  第二節 )、第三章の二及び  徴収法第二章 から第六章 までの  規定 の適用については、次に定めるところによる。

一  当該団体は、第三条第一項の  適用事業 及びその事業主とみなす。

二  当該承認があつた日は、前号の  適用事業 が開始された日とみなす。

三  当該団体に係る第三十三条第三号から  第五号 までに掲げる者は、第一号の  適用事業 に使用される  労働者 とみなす。

四  当該団体の解散は、  事業 の廃止とみなす。

五  前条第一項第二号の規定は、  第三十三条第三号 から第五号までに掲げる者に係る  業務災害 に関する保険給付の  事由 について準用する。この  場合 において同条第五号に掲げる者に関しては、  前条第一項第二号中 「業務上」とあるのは「  当該作業 により」と、「当該事業」とあるのは「  当該作業 」と読み替えるものとする。

六  第三十三条第三号から第五号までに掲げる者の  給付基礎日額 は、当該事業と  同種 若しくは類似の  事業 又は当該作業と  同種 若しくは類似の  作業 を行う事業に  使用 される労働者の  賃金 の額その他の事情を  考慮 して厚生労働大臣が定める額とする。

七  第三十三条第三号から第五号までに掲げる者の  事故 が、徴収法第十条第二項第三号 の  第二種特別加入保険料 が滞納されている  期間中 に生じたものであるときは、政府は、  当該事故 に係る保険給付の  全部 又は一部を行わないことができる。

○2  一の団体に係る  第三十三条第三号 から第五号までに掲げる者として  前項第三号 の規定により  労働者 とみなされている者は、同一の  種類 の事業又は  同一 の種類の  作業 に関しては、他の団体に関し重ねて  同号 の規定により  労働者 とみなされることはない。

○3  第一項の団体は、  同項 の承認があつた後においても、  政府 の承認を受けて、  当該団体 についての保険関係を  消滅 させることができる。

○4  政府は、第一項の  団体 がこの法律若しくは  徴収法 又はこれらの法律に基づく  厚生労働省令 の規定に  違反 したときは、当該団体についての  保険関係 を消滅させることができる。

○5  第三十三条第三号から第五号までに掲げる者の  保険給付 を受ける権利は、  同条第三号 又は第五号に掲げる者が  第一項 の団体から  脱退 することによつて変更されない。  同条第三号 から第五号までに掲げる者がこれらの  規定 に掲げる者でなくなつたことによつても、同様とする。

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第三十六条

 第三十三条第六号の団体又は  同条第七号 の事業主が、  同条第六号 又は第七号に掲げる者を、  当該団体 又は当該事業主がこの  法律 の施行地内において行う  事業 (事業の  期間 が予定される  事業 を除く。)についての保険関係に基づきこの  保険 による業務災害及び  通勤災害 に関する保険給付を受けることができる者とすることにつき  申請 をし、政府の  承認 があつたときは、第三章第一節から  第三節 まで及び第三章の二の  規定 の適用については、次に定めるところによる。

一  第三十三条第六号又は第七号に掲げる者は、  当該事業 に使用される  労働者 とみなす。

二  第三十四条第一項第二号の規定は  第三十三条第六号 又は第七号に掲げる者に係る  業務災害 に関する保険給付の  事由 について、同項第三号の  規定 は同条第六号又は  第七号 に掲げる者の給付基礎日額について  準用 する。この場合において、  同項第二号中 「当該事業」とあるのは、「  第三十三条第六号 又は第七号に  規定 する開発途上にある  地域 又はこの法律の  施行地外 の地域において行われる  事業 」と読み替えるものとする。

三  第三十三条第六号又は第七号に掲げる者の  事故 が、徴収法第十条第二項第三号の  二 の第三種特別加入保険料が  滞納 されている期間中に生じたものであるときは、  政府 は、当該事故に係る  保険給付 の全部又は  一部 を行わないことができる。

○2  第三十四条第二項及び第三項の  規定 は前項の  承認 を受けた第三十三条第六号の  団体 又は同条第七号の  事業主 について、第三十四条第四項の  規定 は第三十三条第六号又は  第七号 に掲げる者の保険給付を受ける  権利 について準用する。この  場合 において、これらの規定中「  前項 の承認」とあり、及び「  第一項 の承認」とあるのは「  第三十六条第一項 の承認」と、  第三十四条第二項中 「同号及び  同条第二号 に掲げる者を包括して」とあるのは「  同条第六号 又は第七号に掲げる者を」と、  同条第四項中 「同条第一号及び  第二号 」とあるのは「第三十三条第六号又は  第七号 」と読み替えるものとする。

第三十七条

 この章に定めるもののほか、第三十三条各号に掲げる者の  業務災害 及び通勤災害に関し  必要 な事項は、  厚生労働省令 で定める。

   第五章 不服申立て及び訴訟

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第三十八条

 保険給付に関する決定に  不服 のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して  審査請求 をし、その決定に  不服 のある者は、労働保険審査会に対して  再審査請求 をすることができる。

○2  前項の審査請求をしている者は、  審査請求 をした日から三箇月を  経過 しても審査請求についての  決定 がないときは、当該審査請求に係る  処分 について、決定を経ないで、  労働保険審査会 に対して再審査請求をすることができる。

○3  第一項の審査請求及び  前二項 の再審査請求は、  時効 の中断に関しては、これを  裁判上 の請求とみなす。

第三十九条

 前条第一項の審査請求及び  同条第一項 又は第二項の  再審査請求 については、行政不服審査法 (  昭和三十七年法律第百六十号 )第二章第一節 、  第二節 (第十八条及び  第十九条 を除く。)及び第五節の  規定 を適用しない。

第四十条

 第三十八条第一項に規定する  処分 の取消しの訴えは、  当該処分 についての再審査請求に対する  労働保険審査会 の裁決を経た後でなければ、  提起 することができない。ただし、次の各号のいずれかに  該当 するときは、この限りでない。

一  再審査請求がされた日から三箇月を  経過 しても裁決がないとき。

二  再審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい  損害 を避けるため緊急の  必要 があるときその他その裁決を経ないことにつき  正当 な理由があるとき。

第四十一条  徴収法第三十七条 第四十一条

の規定は第三十一条第一項 の  規定 による徴収金について、  徴収法第三十八条 の規定は  第十二条 の三第一項 及び  第二項 並 びに第三十一条第一項 の  規定 による徴収金について  準用 する。

   第六章 雑則

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第四十二条

 療養補償給付、休業補償給付、  葬祭料 、介護補償給付、  療養給付 、休業給付、  葬祭給付 、介護給付及び  二次健康診断等給付 を受ける権利は、  二年 を経過したとき、  障害補償給付 、遺族補償給付、  障害給付 及び遺族給付を受ける  権利 は、五年を  経過 したときは、時効によつて  消滅 する。

第四十三条

 この法律又はこの  法律 に基づく政令及び  厚生労働省令 に規定する  期間 の計算については、  民法 の期間の  計算 に関する規定を  準用 する。

第四十四条

 労働者災害補償保険に関する書類には、  印紙税 を課さない。

第四十五条

 市町村長(特別区及び  地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)  第二百五十二条 の十九第一項 の  指定都市 においては、区長とする。)は、  行政庁 又は保険給付を受けようとする者に対して、  当該市 (特別区を含む。)  町村 の条例で定めるところにより、  保険給付 を受けようとする者又は遺族の  戸籍 に関し、無料で  証明 を行なうことができる。

第四十六条

 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、  労働者 を使用する者、  労働保険事務組合 又は第三十五条第一項に  規定 する団体に対して、この  法律 の施行に関し  必要 な報告、  文書 の提出又は  出頭 を命ずることができる。

第四十七条

 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、  保険関係 が成立している  事業 に使用される  労働者 (第三十四条第一項第一号、  第三十五条第一項第三号 又は第三十六条第一項第一号の  規定 により当該事業に  使用 される労働者とみなされる者を含む。)若しくは  保険給付 を受け、若しくは受けようとする者に対して、この法律の  施行 に関し必要な  報告 、届出、  文書 その他の物件の  提出 (以下この条において「  報告等 」という。)若しくは出頭を命じ、又は  保険給付 の原因である  事故 を発生させた  第三者 (第五十三条において「  第三者 」という。)に対して、報告等を命ずることができる。

第四十七条の二

 行政庁は、保険給付に関して  必要 があると認めるときは、保険給付を受け、又は受けようとする者(  遺族補償年金 又は遺族年金の額の  算定 の基礎となる者を含む。)に対し、その  指定 する医師の  診断 を受けるべきことを命ずることができる。

第四十七条の三

 政府は、保険給付を受ける  権利 を有する者が、正当な  理由 がなくて、第十二条の七の  規定 による届出をせず、若しくは  書類 その他の物件の  提出 をしないとき、又は前二条の  規定 による命令に従わないときは、  保険給付 の支払を  一時差 し止めることができる。

第四十八条

 行政庁は、この法律の  施行 に必要な  限度 において、当該職員に、  適用事業 の事業場又は  労働保険事務組合 若しくは第三十五条第一項に  規定 する団体の  事務所 に立ち入り、関係者に  質問 させ、又は帳簿書類その他の  物件 を検査させることができる。

○2  前項の規定により  立入検査 をする職員は、その  身分 を示す証明書を  携帯 し、関係者に  提示 しなければならない。

○3  第一項の規定による  立入検査 の権限は、  犯罪捜査 のために認められたものと解釈してはならない。

第四十九条

 行政庁は、保険給付に関して  必要 があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところによつて、  保険給付 を受け、又は受けようとする者(遺族補償年金又は  遺族年金 の額の算定の  基礎 となる者を含む。)の診療を  担当 した医師その他の者に対して、その行つた  診療 に関する事項について、  報告 若しくは診療録、  帳簿書類 その他の物件の  提示 を命じ、又は当該職員に、これらの  物件 を検査させることができる。

○2  前条第二項の規定は  前項 の規定による  検査 について、同条第三項の  規定 は前項の  規定 による権限について  準用 する。

第四十九条の二

 この法律に基づき  政令 又は厚生労働省令を  制定 し、又は改廃する  場合 においては、それぞれ、政令又は  厚生労働省令 で、その制定又は  改廃 に伴い合理的に  必要 と判断される  範囲内 において、所要の  経過措置 を定めることができる。

第四十九条の三

 この法律に定める  厚生労働大臣 の権限は、  厚生労働省令 で定めるところにより、その一部を  都道府県労働局長 に委任することができる。

第五十条

 この法律の  施行 に関する細目は、  厚生労働省令 で、これを定める。

   第七章 罰則

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第五十一条

 事業主が次の各号のいずれかに  該当 するときは、六月以下の  懲役 又は三十万円以下の  罰金 に処する。労働保険事務組合又は  第三十五条第一項 に規定する  団体 がこれらの各号のいずれかに  該当 する場合におけるその  違反行為 をした当該労働保険事務組合又は  当該団体 の代表者又は  代理人 、使用人その他の  従業者 も、同様とする。

一  第四十六条の規定による  命令 に違反して  報告 をせず、若しくは虚偽の  報告 をし、又は文書の  提出 をせず、若しくは虚偽の  記載 をした文書を  提出 した場合

二  第四十八条第一項の規定による  当該職員 の質問に対して  答弁 をせず、若しくは虚偽の  陳述 をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは  忌避 した場合

第五十二条  削除 第五十二条

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第五十三条

 事業主、労働保険事務組合及び  第三十五条第一項 に規定する  団体以外 の者(第三者を除く。)が次の  各号 のいずれかに該当するときは、  六月以下 の懲役又は  二十万円以下 の罰金に処する。

一  第四十七条の規定による  命令 に違反して  報告 若しくは届出をせず、若しくは  虚偽 の報告若しくは  届出 をし、又は文書その他の  物件 の提出をせず、若しくは  虚偽 の記載をした  文書 を提出した場合

二  第四十八条第一項の規定による  当該職員 の質問に対し  答弁 をせず、若しくは虚偽の  陳述 をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは  忌避 した場合

三  第四十九条第一項の規定による  命令 に違反して  報告 をせず、虚偽の  報告 をし、若しくは診療録、  帳簿書類 その他の物件の  提示 をせず、又は同条の  規定 による検査を拒み、妨げ、若しくは  忌避 した場合

第五十四条

 法人(法人でない  労働保険事務組合 及び第三十五条第一項に  規定 する団体を含む。  以下 この項において同じ。)の代表者又は  法人 若しくは人の代理人、  使用人 その他の従業者が、その  法人 又は人の業務に関して、  第五十一条 又は前条の  違反行為 をしたときは、行為者を罰するほか、その  法人 又は人に対しても、各本条の  罰金刑 を科する。

○2  前項の規定により  法人 でない労働保険事務組合又は  第三十五条第一項 に規定する  団体 を処罰する  場合 においては、その代表者が  訴訟行為 につきその労働保険事務組合又は  団体 を代表するほか、  法人 を被告人又は  被疑者 とする場合の  刑事訴訟 に関する法律の  規定 を準用する。